今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「8月米失業率は3.8%に上昇」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は「雇用統計」の発表を受け急落。失業率が3.8%と大幅に上昇したことを受け144円44銭まで売られる。ただその後の経済指標が依然強めの内容だったことで、146円30銭まで買われるなど、荒っぽい値動きに。
  • ユーロドルは1.08台後半まで買われたが反落。
  • 株式市場はS&P500とダウが買われたものの、ナスダックは小幅に下落。ダウは一時300ドルを超える上昇後115ドル高で取引を終える。
  • 債券は大幅に売られ、長期金利は一時4.2%台まで上昇。
  • 金は小幅に反発。原油は7日続伸し、昨年11月以来となる85ドル台後半まで上昇する場面も。OPECプラスの供給削減を受け、買いが優勢に。
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8月失業率 → 3.8%
8月非農業部門雇用者数 → 18.7万人
8月平均時給 (前月比) → 0.2%
8月平均時給 (前年比) → 4.3%
8月労働参加率 → 62.8%
8月ISM製造業景況指数 → 47.6
8月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 47.9
8月自動車販売台数 → 1504万台
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ドル/円 144.44 〜 146.30
ユーロ/ドル 1.0772 〜 1.0882
ユーロ/円 157.05 〜 157.91
NYダウ +115.80 → 34,837.71ドル
GOLD +1.20 → 1,967.10ドル
WTI +1.92 → 85.55ドル
米10年国債 +0.071 → 4.179%

本日の注目イベント

  • 独 独7月貿易収支
  • 独 独7月鉱工業生産
  • 米 株式、債券市場休場(レーバーデー)

本日のコメント

米8月の雇用統計の結果を受け、ドル円は大きく売られました。非農業部門雇用者数(NFP)は予想を上回ったものの失業率が「3.8%」と、市場予想の「3.5%」を大きく上回る結果でした。またNFPにしても、8月分は予想を上回りましたが、7月分は「18.7万人」から「15.7万人」に、6月分も「18.5万人」から「10.5万人」のそれぞれ下方修正されたことも、好調だった労働市場の変化を示唆し、ドルが大きく売られました。

ただ、ドル円はその後に発表された「8月ISM製造業景況指数」と「8月製造業PMI」が上振れしたことを受け一転ドル買いが強まり、146円30銭まで急反発しました。底値から1円90銭近くドルが反発した動きは、今後のドル高を示唆しているのか、判断に迷うところです。先週発表された「7月の求人件数」や「8月のADP雇用者数」、さらには「GDP改定値」は全て下振れしており、「労働市場にもようやく減速傾向が表れた」といった見方が高まりました。そのため今月開催されるFOMC会合では、「利上げの可能性はほぼ消滅した」といった観測が市場のコンセンサスになりつつある状況でした。今回の「雇用統計」を受け、この観測がさらに強まったと思われます。直近3カ月のNFPを見ると、平均で「14.96万人」で、好調な労働市場の目安とされる「20万人」を大きく下回っています。今後利上げ局面の終焉が見込まれるようなら、債券価格は上昇し金利が低下すると見られることから、債券市場では「2年債を screaming buy(絶叫するほどの買い)」と呼ぶ声や、「米金融当局が当面は金利を据え置き、恐らくこのサイクルは完了したと債券市場を安心させるという内容だった」といった声も上がっている(ブルームバーグ)と報じられていました。しかし実際には、NY市場の終盤には債券は売られ金利が上昇。ドル円は金利上昇に146円台前半まで引っ張られた印象です。「雇用統計」の結果だけでは、なかなか動きを予想できなかった一日でした。それでも、まだ「8月の消費者物価指数」の発表は残しているものの、今月のFOMC会合ではほぼ利上げが見送られると予想しています。そして、焦点は残り2回の会合で最後の利上げがあるのかどうかに移って来ます。同時に今度は日銀の次の動きにも大きな関心が寄せられます。米国でこれ以上複数回の追加利上げがないとすれば、米国のハードランディングも避けられる可能性が高く、常日ごろ米景気に対して厳しい見方を示しているサマーズ元財務長官も、雇用統計の結果を踏まえ、「非常に楽観的なシナリオに一致している。統計内容には警鐘となり得たあらゆる要素が含まれているが、警鐘は鳴らなかった」と述べ、「依然としてソフトランディングへの道は非常に険しいと考える。しかし今回はそれに向けた一歩となった」と、ややポジティブな言い回しで評価していました。

結局先週末の金曜日は、「長い下ひげを描き、陽線で」終わっています。教科書通りに言えば、「陽線の下ひげは、長ければ長いほど買い圧力が強い」ことを意味し、ドル上昇を示唆していると理解できますが、上でも述べたように、今後の日米の金融政策に変化が出て来るとすれば、ドル上昇のサインをそのまま受け入れていいのか迷うところです。来週13日(水)に発表される「8月の消費者物価指数」がダメ押しになるのかどうか、見極めたいと思います。

本日のドル円は145円30銭〜146円80銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/30 田村・日銀審議委員 「まだ、賃金や物価動向を謙虚に見つめていくべき局面にあり、現時点において、金融緩和を継続することが適当」、「想定以上に物価が上振れる可能性も否定できない」 --------
8/25 植田・日銀総裁 「基調的なインフレは依然として目標の2%を若干下回っていると、われわれは考えている。日銀が現行の金融緩和の枠組みを維持しているのは、それが理由だ」、(7月の日本の生鮮食品を除くコアCPIは、前年同月比で「3.1%」だったことに対して)、「年末にかけて鈍化する見込みだ」 --------
8/25 ラガルド・ECB総裁 「インフレ率を目標値へ下げるため必要に応じて金利を高水準に設定し、必要な限りその水準を維持する」、「現在の環境に照らし合わせれば、これは、インフレ率を中期目標の2%へと適時に戻すため、ECBが必要な限り金利を十分景気抑制的な水準に設定することを意味する」 --------
8/25 パウエル・FRB議長 「インフレ率はピークからは下がってきており、それは喜ばしい展開だが、なお高すぎる」、「適切と判断すれば追加利上げに動く用意がある。インフレがわれわれの目標に向って持続的に低下していると確信できるまで、政策を景気抑制的な水準に据え置く考えだ」、「これまでの道のりを踏まえると、次回の会合では入手するデータと変化する見通し、そしてリスクを精査しつつ、慎重に政策を進めていくスタンスだ」 ドル円は買われ株価は上昇。債券は一時売られたもののほぼ横ばい。
8/24 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「現時点でわれわれは恐らく十分なことをした」、「景気抑制的なスタンスを取ってその効果が発揮されるのをしばらくの間見て、それによってインフレを押し下げるというのが私の立場だ」 --------
8/24 コリンズ・ボストン連銀総裁 「需給が持続的なレベルで再調整された状況、インフレ率を2%に引き下げる軌道に戻すために必要となるそうした状況を確認するには一定の時間がかかるだろう」、「かなりの期間にわたって据え置く必要が生じる可能性は極めて高いと考えるが、ピーク金利が正確にどの水準かという点について現時点では示唆しない。近づいている可能性はあるが、さらにもう少し引き上げる必要があるかもしれない」 株と債券が売られ、ドル円は145円台から146円目前に上昇。
8/16 FOMC議事録 「インフレに著しい上振れリスクがあり金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」、「経済活動は強靭で労働市場も強さを維持しているものの、引き続き経済活動に下振れリスク、失業率には上振れリスクがあるとの見解が一部の参加者から示された」、「2人が政策金利の据え置きを望んだ、ないし、そうした提案を支持した」、「政策を不用意に引き締め過ぎるリスクと、引き締めが不十分な場合のコストとの間でバランスを取ることが重要だとの見解を示した」 株安・債券安が進み、ドル円は145円台から146円40銭まで上昇。
8/15 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「インフレ率は現在、鈍化しつつある。順調な進展を一定程度遂げてきた」、「インフレ率は依然として高すぎる」、「利上げは終了か。私自身、終わったという準備はない。しかし、明るい兆候は見られる。例えば、その過程にあるのかもしれない。もう少し時間をかけて、もっとデータを確認してから、追加措置が必要かどうかを決めることになる」、「私の頭の中にある疑問は、インフレ率を当局の2%目標に実際に戻すのに十分な措置を講じてきたのか、あるいはさらなる措置が必要なのかだ」 株と債券が売られ、金利上昇にドル円は145円83銭まで買われる。
8/7(8月2日NYTとのインタビューで) ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策は好ましい位置にある。政策はあるべきところにある。ピーク金利の観点でこれを調整する必要があるかどうか、また景気抑制的なスタンスをどれくらい長く続ける必要があるかはデータ次第になる」、「景気抑制的なスタンスを当面は維持する必要があると想定している」、「追加利上げの必要性については、議論の余地がある」、「インフレ率が下がり続ける場合、実質金利がさらに上がらないよう、2024年か25年に金利を引き下げる必要があるかもしれない」 --------
8/7 ボウマン・FRB理事 「私は7月のFOMC会合でフェデラルファンド(FF)金利の引き上げを支持した。インフレ率をFOMCの目標に低下させるには、追加利上げが必要になる可能性が高いと想定している」、「今後発表されるデータ次第になる」 --------
8/4 ボウマン・FRB理事 「インフレ率をFOMCの目標である2%に押し下げるには、追加利上げが必要になる可能性が高い」、「最近のインフレ鈍化は好ましいが、追加利上げとフェデラルファンド(FF)金利がいつまで景気抑制的な水準にとどまる必要があるのかを検討する際、私はインフレ率が2%の物価目標に向って有意な下降線をたどっているという一貫した証拠を探すつもりだ」、「個人消費鈍化と労働市場環境緩和の兆しにも注意する」 --------
8/1 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (9月会合で)「仮に投票権を持っていたなら、不本意ながら支持しただろう」「基本的な見解は変っていないが、当局は9月までに多くの追加データを入手することになるため、自身の予想に反するデータがあれば、9月会合の見通しを調整することもいとわない」、「現在、当局は過度の引き締めのリスクが多少ある段階にあると思う。そのことを念頭に置いておかなければならない」 --------
7/31 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレの鈍化を示すデータは素晴らしいニュースだ」、「9月にどう動くべきか私はまだ判断していない」、「政策金利が十分に景気抑制的であるかどうか金融当局は臨機応変でなければならない。次回の会合までに、さらにいくつかの重要なデータが得られる」、「しかし、われわれはかなり良い線を進んでいるように見える」 --------
7/27 ラガルド・ECB総裁 9月とその後の決定についてはオープンな考えだ。利上げをするかもしれないし、据え置くかもしれない」、(据え置く場合は)「必ずしも長期間続けるとは限らない」 --------
7/27 ECB声明文 将来の決定はインフレ率が中銀目標の2%に速やかに戻るよう、必要な限り政策金利が十分に景気抑制的な水準に設定されていることを確実にする」、「政策委員会は景気抑制の適切な水準と期間を決定するに当たり、データ依存のアプローチを続ける」 --------
7/26 FOMC声明文 「最近の複数の指標は、経済活動が緩やかに拡大してきていることを示唆する。雇用の伸びはここ数カ月堅調で、失業率は低いままだ。インフレは依然として高水準にある」、「委員会は引き続き、インフレリスクに細心の注意を払っている。委員会はより長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これらの目標実現を支えるため、委員会はFF金利誘導目標のレンジを5.25−5.5%に引き上げることを決めた」 --------
7/26 パウエル・FRB議長 「この先、適切と考えられる追加政策引き締めの程度を決定する上では、引き続きデータ重視のアプローチで臨む」と述べ、また「データが正当化すれば、9月会合で再び利上げする可能性は当然あると言えよう。そして、同会合で金利据え置きを選択する可能性もあると言っておく」、「スタッフは現在、成長の顕著な減速が年内に始まると予想しているが、最近の経済に見られる強靭性から、もはやリセッションは見込んでいない」 発言内容が「ハト派」と受け止められ、ドル円は140円を割り込む場面も。
7/20 バーナンキ・元FRB議長 「7月の利上げが最後となることはあり得る」、「インフレ率は向こう6カ月で3−3.5%へと、より持続的に低下すると見ている。家賃の上昇幅が縮小し、自動車価格が下落する」、「FOMCはそこから時間をかけて2%目標に押し下げようとするだろう」、「FRBがインフレとの闘いで勝利を宣言するには、その前に労働市場で需給バランスの改善を確認したいだろう」、「依然としてかなりホットだ」(米景気のリセッションについて)、「向こう1年で深刻なリセッションになるとすれば、非常に驚く」 --------
7/18 植田・日銀総裁 「金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策の下で粘り強く金融緩和を続けてきた」、「目標との距離や見通しを毎回の金融政策決定会合できちんとチェックし、その前提が変わらない限り、全体のストーリーは不変だ」 ドル円137円台後半から139円台前半に急騰。
7/17 イエレン・財務長官 「多くの国が自国経済の促進に向け、力強い中国の成長に依存している。特にアジアの諸国がそうだ。中国の成長減速は米国にある程度の悪影響を及ぼす可能性もある」、「米国の成長は減速したが、労働市場はかなりの力強さを維持している。リセッションは予想していない。米国は労働市場の大幅な軟化を伴わずにインフレ率を低下させる、『好ましい軌道』を進んでいると考える」 --------
7/13 デーリー・SF連銀総裁 「インフレとの闘いで勝利宣言するのは実に早すぎる」、「インフレを2%に押し下げる決意は変わらないため、これについては様子見モードだ」 --------
7/12 ブレイナード・米国家経済会議委員長 「リセッションがすぐそこまで来ているとの予想が繰り返されているが、米国の景気回復は堅調で、インフレ率は低下している」、「著しい雇用破壊が伴わなければインフレ率は下がらないとの予測が覆されている」、「これらの経済的利益は偶然に生じたものではなく、熟慮された戦略がなければ維持することはできない」 --------
7/12 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ率は高過ぎる。われわれの目標は2%だ」、「手を引くのが早すぎればインフレが再び強まり、そうなれば米金融当局はさらなる行動が必要になる」 --------
7/10 ベイリー・BOE総裁 「英国のインフレ率は年内に著しく低下する公算が大きく、利上げの影響はまだ完全には経済に表れていない」 --------
7/10 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「インフレ率を持続可能な2%水準に沿った軌道へと確実に戻すため、年内あと2回の利上げが必要になる公算が大きい」 --------
7/10 バー・FRB副議長 「インフレはまだかなり高すぎる。この1年余りにわたって、金融政策で多くの進展を遂げてきた。それは必要な仕事だ」と述べた上で、「あと少しだが、まだやるべき仕事がある」 --------
7/10 メスター・クリーブランド連銀総裁 インフレが持続的かつ時宜を得た形で2%へと戻ることを確実にするためには、政策金利が現行の水準からさらに幾分か上昇する必要があるというのが私の見解だ。その後は、経済の進展状況についてさらなる情報を収集する中で、政策金利をしばらく据え置く必要がある」 --------
7/7 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (雇用統計について)「より持続可能なペースになりつつある。インフレにとってはこうした動きが必要だ」、「現時点における米金融当局の最優先目標はインフレを押し下げることで、われわれはそれに成功する。リセッションを起さずにそうすることが勝利となる。それは『黄金の道』で、その道を進んでいる感触を私は持っている」 --------
7/6 ローガン・ダラス連銀総裁 「インフレ率が持続可能かつ適時な形で目標に戻るかどうかについて、依然として非常に懸念している」、「物価安定と最大雇用というFOMCのゴールに達成するためには、より景気抑制的な金融政策が必要になると考える」 ドル高に作用。
7/6 内田・日銀副総裁 「金融仲介や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスを取って判断していきたい」、(その上で当面は)「YCCを続けていく」 ドル円小幅に下落。
7/5 FOMC議事録 「ほぼ全ての参加者がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5−5.25%に据え置くことが適切、あるいは容認できると判断した」、「一部の参加者は今会合で目標レンジを25ベーシスポイント(bp)引き上げる方が好ましい、ないし、そうした提案を支持できたかもしれないと表明した」 株と債券が売られ、ドルが上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和