「ドル円再び年初来高値更新」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は続伸。147円80銭まで買われ1週間ぶりに年初来高値を更新。米金利の上昇が引き金となり、ドルは全面高の展開。
- ユーロドルも続落し、6月以来となる1.0705までユーロ安が進む。
- 株式市場は3指数が揃って下落。米債券市場で社債発行が相次いだことが株価の重荷に。
- 債券は大きく売られ、長期金利は4.26%まで上昇。需給の崩れから売りものが膨らんだ模様。
- 金は続落。原油はサウジが12月まで減産を継続するとのニュースで8日続伸。一時は88ドル台まで買われ、昨年11月以来となる高水準に。
7月製造業受注 → −2.1%
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| ドル/円 | 147.09 〜 147.80 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0705 〜 1.0749 |
| ユーロ/円 | 157.89 〜 158.50 |
| NYダウ | −195.74 → 34,641.97ドル |
| GOLD | −14.50 → 1,952.60ドル |
| WTI | +1.14 → 86.69ドル |
| 米10年国債 | +0.081 → 4.260% |
本日の注目イベント
- 豪 豪4−6月期GDP
- 日 日銀の高田審議委員講演(下関市)
- 独 独7月製造業新規受注
- 欧 ユーロ圏7月小売売上高
- 米 7月貿易収支
- 米 8月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
- 米 8月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
- 米 8月ISM非製造業景況指数
- 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
- 米 コリンズ・ボストン連銀総裁講演
- 米 ローガン・ダラス連銀総裁、イベントに参加
- 加 カナダ中銀政策金利発表
本日のコメント
昨日のNYでは、想定以上にドル円が上昇しました。今回は円が売られたというよりも米金利の上昇がドルを押し上げ「ドル全面高」の様相でした。社債の発行が相次ぎ、米国債はあらゆる年限で売られ、10年債も一時は4.3%に接近する水準まで売られました。「売り圧力の大部分は、市場参加者が休暇シーズンから戻る中、社債発行が異例に多かったことに起因している」との見方が支配的でした。金利上昇はドルを押し上げただけではなく、株価にも重荷となり、株式市場では主要3指数が揃って下落しています。ドル円も147円台に載せてからも上昇し、一時は147円80銭と、先週記録したドルの年初来高値を更新しました。米政策金利の引き上げ観測が徐々に後退し、日銀による金融政策の修正観測が強まる状況の中でもドルが買われ、昨日も触れましたが、ドル高を示唆しているテクニカルに軍配があがったようです。
昨日は原油価格の動きも注目を集めました。サウジアラビアが世界の原油市場を支えることを目指し、日量100万バレルの自主減産をさらに3カ月延長し、12月まで継続すると、国営サウジ通信が伝えました。サウジの産油量は日量約900万バレルと、7年ぶりの低水準となります。これを受けて北海ブレント原油先物が急伸し、これがNYのWTI先物を押し上げ、一時は「88.07ドル」まで上昇。昨年11月以来の水準を付けました。また、ロシアも日量30万バレルの輸出制限を同じ期間継続するとしています。(ブルームバーグ)原油価格の上昇は、そのほぼ全量を輸入に頼っている日本では、貿易収支の赤字幅拡大につながり、ドル買い需要を増加させます。これもドル円が上昇した「遠因」になった可能性もありそうです。円安と原油価格の上昇を受け、政府の援助がなければ日本のガソリン価格は「リッター当たり200円の時代」が現実的になってきました。
先週発表された「ADP雇用者数」、「GDP改定値」、さらには「8月の雇用統計」といった重要指標が下振れしたことで、今月のFOMC会合での政策金利据え置き観測が急速に高まってきましたが、これら重要指標の下振れは、FOMCメンバーのインフレ認識にも影響を与えています。FOMCで常に投票権を持つウォラーFRB理事は5日、インフレが引き続き緩和していることを最近のデータが示しているため、金融当局は利上げを「慎重に進める」ことが出来るとの考えを示しました。ウォラー理事はCNBCとのインタビューで、「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」と発言し、「何もしないで、データを待つことが可能だ」と述べ、次回のFOMC会合で金利据え置きを支持する考えを示唆しました。ウォラー理事は7月には「インフレ率が当局目標に向け鈍化し続けるためには、年内に0.25ポイントずつ、あと2回引き上げる必要があるとみている」と話していました。大きく変わったこの発言の違いは、上記指標の下振れがかなり作用していると考えるのが順当と言えるでしょう。ただ通常、こういった内容の発言が伝えられれば、ドル売りが加速する動きにつながりますが、昨日は金利上昇の波に飲み込まれた格好だったようです。
ますます介入警戒感が強まる水準へと上昇しているドル円ですが、市場の一部にも「150円台までは介入はない」といった意見や、「介入しても効果はない」といった見方も出始めてきました。安心感が強まれば強まるほど、介入時の効果は高まります。本日のドル円は146円50銭〜148円30銭程度を予想します。
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明日7日(木)の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせていただきます。ご愛読者の皆様にはご不便をお掛け致しますが、ご理解のほどお願い申し上げます。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 9/5 | ウォラー・FRB理事 | 「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」、「何もしないで、データを待つことが可能だ」 | -------- |
| 9/4 | ナーゲル・ドイツ連銀総裁 | 「一段の措置にオープンになる必要がある」、「余剰流動性への対応において政策委がすべきことは終わったと、金融市場は受け止めるべきではない」 | -------- |
| 9/4 | ラガルド・ECB総裁 | 「行動は言葉よりも雄弁だ」、「われわれは12カ月の間に政策金利を計425ベーシスポイントという記録的なペースで引き上げてきた。インフレ率を中期目標である2%へと適時に戻す」 | -------- |
| 8/30 | 田村・日銀審議委員 | 「まだ、賃金や物価動向を謙虚に見つめていくべき局面にあり、現時点において、金融緩和を継続することが適当」、「想定以上に物価が上振れる可能性も否定できない」 | -------- |
| 8/25 | 植田・日銀総裁 | 「基調的なインフレは依然として目標の2%を若干下回っていると、われわれは考えている。日銀が現行の金融緩和の枠組みを維持しているのは、それが理由だ」、(7月の日本の生鮮食品を除くコアCPIは、前年同月比で「3.1%」だったことに対して)、「年末にかけて鈍化する見込みだ」 | -------- |
| 8/25 | ラガルド・ECB総裁 | 「インフレ率を目標値へ下げるため必要に応じて金利を高水準に設定し、必要な限りその水準を維持する」、「現在の環境に照らし合わせれば、これは、インフレ率を中期目標の2%へと適時に戻すため、ECBが必要な限り金利を十分景気抑制的な水準に設定することを意味する」 | -------- |
| 8/25 | パウエル・FRB議長 | 「インフレ率はピークからは下がってきており、それは喜ばしい展開だが、なお高すぎる」、「適切と判断すれば追加利上げに動く用意がある。インフレがわれわれの目標に向って持続的に低下していると確信できるまで、政策を景気抑制的な水準に据え置く考えだ」、「これまでの道のりを踏まえると、次回の会合では入手するデータと変化する見通し、そしてリスクを精査しつつ、慎重に政策を進めていくスタンスだ」 | ドル円は買われ株価は上昇。債券は一時売られたもののほぼ横ばい。 |
| 8/24 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「現時点でわれわれは恐らく十分なことをした」、「景気抑制的なスタンスを取ってその効果が発揮されるのをしばらくの間見て、それによってインフレを押し下げるというのが私の立場だ」 | -------- |
| 8/24 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「需給が持続的なレベルで再調整された状況、インフレ率を2%に引き下げる軌道に戻すために必要となるそうした状況を確認するには一定の時間がかかるだろう」、「かなりの期間にわたって据え置く必要が生じる可能性は極めて高いと考えるが、ピーク金利が正確にどの水準かという点について現時点では示唆しない。近づいている可能性はあるが、さらにもう少し引き上げる必要があるかもしれない」 | 株と債券が売られ、ドル円は145円台から146円目前に上昇。 |
| 8/16 | FOMC議事録 | 「インフレに著しい上振れリスクがあり金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」、「経済活動は強靭で労働市場も強さを維持しているものの、引き続き経済活動に下振れリスク、失業率には上振れリスクがあるとの見解が一部の参加者から示された」、「2人が政策金利の据え置きを望んだ、ないし、そうした提案を支持した」、「政策を不用意に引き締め過ぎるリスクと、引き締めが不十分な場合のコストとの間でバランスを取ることが重要だとの見解を示した」 | 株安・債券安が進み、ドル円は145円台から146円40銭まで上昇。 |
| 8/15 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「インフレ率は現在、鈍化しつつある。順調な進展を一定程度遂げてきた」、「インフレ率は依然として高すぎる」、「利上げは終了か。私自身、終わったという準備はない。しかし、明るい兆候は見られる。例えば、その過程にあるのかもしれない。もう少し時間をかけて、もっとデータを確認してから、追加措置が必要かどうかを決めることになる」、「私の頭の中にある疑問は、インフレ率を当局の2%目標に実際に戻すのに十分な措置を講じてきたのか、あるいはさらなる措置が必要なのかだ」 | 株と債券が売られ、金利上昇にドル円は145円83銭まで買われる。 |
| 8/7(8月2日NYTとのインタビューで) | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「金融政策は好ましい位置にある。政策はあるべきところにある。ピーク金利の観点でこれを調整する必要があるかどうか、また景気抑制的なスタンスをどれくらい長く続ける必要があるかはデータ次第になる」、「景気抑制的なスタンスを当面は維持する必要があると想定している」、「追加利上げの必要性については、議論の余地がある」、「インフレ率が下がり続ける場合、実質金利がさらに上がらないよう、2024年か25年に金利を引き下げる必要があるかもしれない」 | -------- |
| 8/7 | ボウマン・FRB理事 | 「私は7月のFOMC会合でフェデラルファンド(FF)金利の引き上げを支持した。インフレ率をFOMCの目標に低下させるには、追加利上げが必要になる可能性が高いと想定している」、「今後発表されるデータ次第になる」 | -------- |
| 8/4 | ボウマン・FRB理事 | 「インフレ率をFOMCの目標である2%に押し下げるには、追加利上げが必要になる可能性が高い」、「最近のインフレ鈍化は好ましいが、追加利上げとフェデラルファンド(FF)金利がいつまで景気抑制的な水準にとどまる必要があるのかを検討する際、私はインフレ率が2%の物価目標に向って有意な下降線をたどっているという一貫した証拠を探すつもりだ」、「個人消費鈍化と労働市場環境緩和の兆しにも注意する」 | -------- |
| 8/1 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | (9月会合で)「仮に投票権を持っていたなら、不本意ながら支持しただろう」「基本的な見解は変っていないが、当局は9月までに多くの追加データを入手することになるため、自身の予想に反するデータがあれば、9月会合の見通しを調整することもいとわない」、「現在、当局は過度の引き締めのリスクが多少ある段階にあると思う。そのことを念頭に置いておかなければならない」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



