今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円145円台後半に急落後反発」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は東京時間夕方には145円91銭近辺まで急落したが、欧州市場ではドルを買う動きが活発で146円98銭前後まで反発。NYでは終始146円台で推移し、読売新聞が報じた植田総裁の発言も海外市場では限定的。
  • ユーロドルはやや水準を切り上げ、1.07台前半から半ばでもみ合い。
  • 株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは3日続伸。ナスダックはテスラが大きく買われ156ポイント上昇。
  • 債券は続落。長期金利は4.28%台に上昇。
  • 金は続伸し、原油は反落。
ドル/円 146.20 〜 146.80
ユーロ/ドル 1.0716 〜 1.0758
ユーロ/円 156.89 〜 157.54
NYダウ +87.13 → 34,663.72ドル
GOLD +4.50 → 1,947.20ドル
WTI −0.22 → 87.29ドル
米10年国債 +0.024 → 4.288%

本日の注目イベント

  • 豪  豪9月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 豪  豪8月NAB企業景況感指数
  • 独  独9月ZEW景気期待指数
  • 中東 OPEC月報
  • 英  英ILO失業率(5−7月)
  • 英  英8月失業率

本日のコメント

昨日の本リポートでもお知らせしたように、ドル円は9日付け読売新聞が報じた植田日銀総裁のインタビューでの発言で大きく「窓開け」を見せましたが、その影響は日本の債券市場と株式市場にも及び、金融緩和政策の早期解除を織り込む動きになりました。東京時間夕方4時過ぎにはドル円は146円を割り込み、145円91銭近辺までかなりの勢いを伴って下げました。ただ、やはりと言うかドル買いのモメンタムは強く、欧州市場に入るとドル円はほぼ一直線で上昇し147円手前まで反発しました。日本での反応と海外での反応の違いを見せつけられた格好です。NYでは金利が上昇し、株価も上昇したことから円は終始売られ易い状況でした。

ただそれでも、日銀が年末に向ってイールドカーブコントロール(YCC)の修正など、金融緩和政策解除への大きな一歩を踏み出す可能性はくすぶり続けると思われます。一方で、植田氏の発言は「間接的な円安けん制を行ったのでは」とする声も支持されているようです。ドル円の荒っぽい動きが今後も続きそうです。明日は米8月の消費者物価指数(CPI)が発表され、14日にはECBの政策金利も発表されます。来週にはFOMCがあり、その前には日本の3連休もあります。相場を動かす材料には事欠きません。そして最後には日銀の政策決定会合が21−22日に予定されています。FRBが政策金利の据え置きを決め、日銀が緩和政策修正に関して何らかのメッセージを発するのであれば、ドル円は下方リスクの方が高いと考えることは無理のないストーリーと思われますが、どうでしょう。

北朝鮮の金正恩総書記がプーチン氏の招待で数日中にロシアを訪問すると、ロシア大統領府と北朝鮮の国営通信、朝鮮中央通信(KCNA)が、ほぼ同じタイミングで発表しています。これに先駆けて韓国メディアは、金氏がウラジオストクに向けて豪華装甲車で出発した模様だと報じています。また、専用列車が北東部の国境地帯に向ってゆっくりと移動しているのが目撃されたという報道もあります。北朝鮮とロシアは鉄道で結ばれており、北朝鮮国境からウラジオストクまでの距離はわずか150キロほどだそうです。もし、韓国の報道通りだとすれば、金氏はすでにウラジオストクに到着している可能性もあります。このタイミングで首脳会談を行う意味は、ウクライナでの戦争に必要な武器供与が議題の中心であることは容易に想像できます。日曜日のある番組で、著名な評論家がこの会談を「嫌われ者同士の会談」と論じていました。北朝鮮からロシアに武器が供与されるようだと、この戦争はまだまだ続くのではと考えられます。

9月のFOMCではほぼ利上げはないと見られますが、残りのFOMCは11月と12月の2回です。現時点では11月の利上げ観測が五分五分です。焦点は、ここでも利上げが見送られるのか、あるいは、今回の利上げステージで最後の利上げを行うのかという点です。今後のデータ次第です。

本日のドル円は145円70銭〜147円40銭程度と予想します。

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明日13日(水)の「アナリストレポート」は都合によりお休みとさせていただきます。ご愛読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解の程お願い申し上げます。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/9 植田・日銀総裁 「物価目標の実現が見えてくるのは、賃金と物価の好循環が金融緩和を止めても自律的に回っていく状況だ」、「十分だと思える情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではなくなった」 ドル円は11日(月)、週明けのオセアニア市場で大きく窓を開ける。NYでは147円80銭近辺で引けたが、早朝には146円65銭前後まで円が急騰。
9/7 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれの政策は良い位置にあるが、引き続きデータ次第の姿勢が必要だろう」、「われわれは引き続きデータを注視し、その全てを分析し、自問自答しなければならない。政策は十分に景気抑制的であるのかと」、「労働市場の不均衡を縮小し、インフレを抑制するという点で、着実に前進していることを確認するために、もう一度利上げする必要があるだろうか」 --------
9/7 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「金利をどこまで引き上げるべきかが議論の内容にならない時期がかなり急速に近づいている」、「需給と供給は一段とバランスを取り戻しつつある。だが、全体的なインフレ水準はなおわれわれが望む水準を上回っている」、「この流れがある程度持続することを確認し、われわれが黄金の道を歩んでおり最後まで行き着く方向にあると実感する必要があるだろう」 --------
9/5 ウォラー・FRB理事 「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」、「何もしないで、データを待つことが可能だ」 --------
9/4 ナーゲル・ドイツ連銀総裁 「一段の措置にオープンになる必要がある」、「余剰流動性への対応において政策委がすべきことは終わったと、金融市場は受け止めるべきではない」 --------
9/4 ラガルド・ECB総裁 「行動は言葉よりも雄弁だ」、「われわれは12カ月の間に政策金利を計425ベーシスポイントという記録的なペースで引き上げてきた。インフレ率を中期目標である2%へと適時に戻す」 --------
8/30 田村・日銀審議委員 「まだ、賃金や物価動向を謙虚に見つめていくべき局面にあり、現時点において、金融緩和を継続することが適当」、「想定以上に物価が上振れる可能性も否定できない」 --------
8/25 植田・日銀総裁 「基調的なインフレは依然として目標の2%を若干下回っていると、われわれは考えている。日銀が現行の金融緩和の枠組みを維持しているのは、それが理由だ」、(7月の日本の生鮮食品を除くコアCPIは、前年同月比で「3.1%」だったことに対して)、「年末にかけて鈍化する見込みだ」 --------
8/25 ラガルド・ECB総裁 「インフレ率を目標値へ下げるため必要に応じて金利を高水準に設定し、必要な限りその水準を維持する」、「現在の環境に照らし合わせれば、これは、インフレ率を中期目標の2%へと適時に戻すため、ECBが必要な限り金利を十分景気抑制的な水準に設定することを意味する」 --------
8/25 パウエル・FRB議長 「インフレ率はピークからは下がってきており、それは喜ばしい展開だが、なお高すぎる」、「適切と判断すれば追加利上げに動く用意がある。インフレがわれわれの目標に向って持続的に低下していると確信できるまで、政策を景気抑制的な水準に据え置く考えだ」、「これまでの道のりを踏まえると、次回の会合では入手するデータと変化する見通し、そしてリスクを精査しつつ、慎重に政策を進めていくスタンスだ」 ドル円は買われ株価は上昇。債券は一時売られたもののほぼ横ばい。
8/24 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「現時点でわれわれは恐らく十分なことをした」、「景気抑制的なスタンスを取ってその効果が発揮されるのをしばらくの間見て、それによってインフレを押し下げるというのが私の立場だ」 --------
8/24 コリンズ・ボストン連銀総裁 「需給が持続的なレベルで再調整された状況、インフレ率を2%に引き下げる軌道に戻すために必要となるそうした状況を確認するには一定の時間がかかるだろう」、「かなりの期間にわたって据え置く必要が生じる可能性は極めて高いと考えるが、ピーク金利が正確にどの水準かという点について現時点では示唆しない。近づいている可能性はあるが、さらにもう少し引き上げる必要があるかもしれない」 株と債券が売られ、ドル円は145円台から146円目前に上昇。
8/16 FOMC議事録 「インフレに著しい上振れリスクがあり金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」、「経済活動は強靭で労働市場も強さを維持しているものの、引き続き経済活動に下振れリスク、失業率には上振れリスクがあるとの見解が一部の参加者から示された」、「2人が政策金利の据え置きを望んだ、ないし、そうした提案を支持した」、「政策を不用意に引き締め過ぎるリスクと、引き締めが不十分な場合のコストとの間でバランスを取ることが重要だとの見解を示した」 株安・債券安が進み、ドル円は145円台から146円40銭まで上昇。
8/15 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「インフレ率は現在、鈍化しつつある。順調な進展を一定程度遂げてきた」、「インフレ率は依然として高すぎる」、「利上げは終了か。私自身、終わったという準備はない。しかし、明るい兆候は見られる。例えば、その過程にあるのかもしれない。もう少し時間をかけて、もっとデータを確認してから、追加措置が必要かどうかを決めることになる」、「私の頭の中にある疑問は、インフレ率を当局の2%目標に実際に戻すのに十分な措置を講じてきたのか、あるいはさらなる措置が必要なのかだ」 株と債券が売られ、金利上昇にドル円は145円83銭まで買われる。
8/7(8月2日NYTとのインタビューで) ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策は好ましい位置にある。政策はあるべきところにある。ピーク金利の観点でこれを調整する必要があるかどうか、また景気抑制的なスタンスをどれくらい長く続ける必要があるかはデータ次第になる」、「景気抑制的なスタンスを当面は維持する必要があると想定している」、「追加利上げの必要性については、議論の余地がある」、「インフレ率が下がり続ける場合、実質金利がさらに上がらないよう、2024年か25年に金利を引き下げる必要があるかもしれない」 --------
8/7 ボウマン・FRB理事 「私は7月のFOMC会合でフェデラルファンド(FF)金利の引き上げを支持した。インフレ率をFOMCの目標に低下させるには、追加利上げが必要になる可能性が高いと想定している」、「今後発表されるデータ次第になる」 --------
8/4 ボウマン・FRB理事 「インフレ率をFOMCの目標である2%に押し下げるには、追加利上げが必要になる可能性が高い」、「最近のインフレ鈍化は好ましいが、追加利上げとフェデラルファンド(FF)金利がいつまで景気抑制的な水準にとどまる必要があるのかを検討する際、私はインフレ率が2%の物価目標に向って有意な下降線をたどっているという一貫した証拠を探すつもりだ」、「個人消費鈍化と労働市場環境緩和の兆しにも注意する」 --------
8/1 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (9月会合で)「仮に投票権を持っていたなら、不本意ながら支持しただろう」「基本的な見解は変っていないが、当局は9月までに多くの追加データを入手することになるため、自身の予想に反するデータがあれば、9月会合の見通しを調整することもいとわない」、「現在、当局は過度の引き締めのリスクが多少ある段階にあると思う。そのことを念頭に置いておかなければならない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和