今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利2007年以来となる高水準に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • FOMCを控え小動きながら米金利の上昇にドル円も上昇。147円92銭までドルが買われたが、148円台載せには至らず。
  • ユーロドルはやや上昇し、1.0718近辺まで買われる。
  • 株式市場は3指数が揃って反落。米金利の上昇に加え、原油高も重荷に。
  • 債券は反落。長期金利は一時4.36%台まで上昇し、2007年以来となる高水準に。
  • 金と原油は4日続伸。
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8月住宅着工件数 → 128.3万件
8月建設許可件数 → 154.3万件
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ドル/円 147.64 〜 147.92
ユーロ/ドル 1.0677 〜 1.0718
ユーロ/円 157.80 〜 158.28
NYダウ −106.67 → 34,517.73ドル
GOLD +0.30 → 1,953.70ドル
WTI +0.28 → 91.20ドル
米10年国債 +0.056 → 4.359%

本日の注目イベント

  • 日 8月貿易統計
  • 独 独8月生産者物価指数
  • 英 英8月消費者物価指数
  • 米 FOMC政策金利発表
  • 米 パウエル議長記者会見

本日のコメント

FOMCに日銀決定会合と、日米中央銀行の金融政策発表を前にして小動きでしたが、それでもドル円はジリ高が続き、NYでは一時147円92銭まで上昇。連日148円テストを試みていますが、今回も「お預け」といった状況でした。ドルが買われた原因は、米金利の上昇でした。米長期金利は一時4.36%台まで上昇し、2007年以来となる高水準を付けました。もっとも、その源をたどれば、原油高に行き着きます。WTI原油価格は引けでは小幅に4日続伸でしたが、一時は93ドル74セントまで買われ、連日直近の高値を更新しています。原油高はガソリン価格などの上昇にもつながり、「米インフレの再燃懸念」が想起され、再び政策金利引き上げに結び付き易いことからドルが買われるといった構図です。FRBにとっても、原油価格の高騰は「天敵」と言えます。順調に低下傾向を見せ、これまでの政策に自信を深めているFRBにとっては、とんだ「伏兵」といったところでしょう。今後も原油価格の動きが米金利を左右する可能性があり、目配せも必要です。イエレン財務長官はインタビューで「最近の原油価格の上昇は望ましくないが、いずれ安定するはずだ」と語っています。この日は、カナダの8月の消費者物価指数(CPI)が前月比で「0.4%」と、市場予想の2倍に伸びたことも影響したようです。

OECDは19日、世界経済の見通しを発表しました。それによると、世界全体の成長率は今年が「3%」、2024年は「2.7%」と、新型コロナのパンデミックが始まった20年を除けば、24年は世界的な金融危機以降で最も低い成長率になると予想しています。「世界各国・地域が利上げを続け、新型コロナウイルス禍から回帰していた中国経済が勢いを失っている」ことをその理由に挙げていました。24年の主要国のGDPは、米国が「1.3%」、日本が「1.0%」、ユーロ圏は「1.1%」、そして中国が「4.6%」と、ユーロ圏以外の国は23年度と比べ、いずれも成長が鈍化すると見られています。

米長期金利が2007年以来となる高水準を付けましたが、米金利との相関が高いドル円は148円目前で足踏み状態です。昨年10月にドル円が151円95銭近辺まで上昇した際の米長期金利は「4.32〜4.33%」でした。今回はその水準を若干ですが上回ったにもかかわらず、ドル円の水準は4円ほど「円高方向」で推移しています。もちろん、ドル円の水準は金利差だけで決まるものではありませんが、金利差が最大の要因であることは間違いありません。考えられるのは、この4円の差は「介入警戒感」と、「日銀金融政策決定会合の不透明さ」に由来している可能性が高いということです。財務省は145円を超える円安が進んでも、単に「口先介入」だけにとどめ、「実弾介入」は封印しています。それだけに不気味といえば不気味ですが、今朝その介入を巡るイエレン財務長官のコメントが伝わってきました。

イエレン長官は、日本の通貨当局が外為市場で円買い介入に動く場合、米財務省は容認するのかとの質問に対し、「大いに詳細に左右されるだろう。こうした介入について、われわれはいつも彼らと連絡を取り合っている」と発言し、ボラティリティーを滑らかにするスムージングが目的であれば、理解できるとの認識を明らかにしました。(ブルームバーグ)この発言を受けて財務省の神田財務官は20日、「行き過ぎた変動には適切な対応をあらゆる手段を排除せず取っていく。引き続き高い緊張感を持って市場を監視・注視する」と財務省内で記者団に語っています。この両者の発言を考えると、「米財務省のお墨付きを得た」とし、今後ドル円がさらに上昇し、150円に接近する局面では「実弾介入」が行われる可能性が極めて高いと予想されます。もっとも、それでこのドル高の流れが変わるのかどうかは不明で、さらに足元の動きのように、「ジリ高」で推移しているようだと、「行き過ぎた変動」とは言えないため、介入しにくいのも事実でしょう。推移をしっかりと見極めたいと思います。

本日のドル円は146円30銭〜148円80銭程度を予想します。パウエル議長が8月下旬のジャクソンホール会合で、「適切と判断すれば追加利上げに動く用意がある」と述べましたが、その姿勢に変わりはないのか、明日朝の会見での一つのポイントです。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/20 神田・財務官 「行き過ぎた変動には適切な対応をあらゆる手段を排除せず取っていく。引き続き高い緊張感を持って市場を監視・注視する」 --------
9/19 イエレン・財務長官 (日本の通貨当局が外為市場で円買い介入に動く場合、米財務省は容認するのかとの質問に対し)、「大いに詳細に左右されるだろう。こうした介入について、われわれはいつも彼らと連絡を取り合っている」 --------
9/14 ラガルド・ECB総裁 「Inflation still remains too high too long」、「現在の判断では、今日の決定でインフレ率を適時に目標に戻すために十分な貢献をしたと考えている」とし、「焦点は恐らく若干、期間へと移るだろう。しかし、これがピークだと言っているのではない。そうは言えないからだ」、「政策委員会の確かな過半数が利上げを支持したが、何人かは利上げ停止を望んだ」 発言はややネガティブと受け止められ、ユーロ売りにつながる。
9/9 植田・日銀総裁 「物価目標の実現が見えてくるのは、賃金と物価の好循環が金融緩和を止めても自律的に回っていく状況だ」、「十分だと思える情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではなくなった」 ドル円は11日(月)、週明けのオセアニア市場で大きく窓を開ける。NYでは147円80銭近辺で引けたが、早朝には146円65銭前後まで円が急騰。
9/7 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれの政策は良い位置にあるが、引き続きデータ次第の姿勢が必要だろう」、「われわれは引き続きデータを注視し、その全てを分析し、自問自答しなければならない。政策は十分に景気抑制的であるのかと」、「労働市場の不均衡を縮小し、インフレを抑制するという点で、着実に前進していることを確認するために、もう一度利上げする必要があるだろうか」 --------
9/7 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「金利をどこまで引き上げるべきかが議論の内容にならない時期がかなり急速に近づいている」、「需給と供給は一段とバランスを取り戻しつつある。だが、全体的なインフレ水準はなおわれわれが望む水準を上回っている」、「この流れがある程度持続することを確認し、われわれが黄金の道を歩んでおり最後まで行き着く方向にあると実感する必要があるだろう」 --------
9/5 ウォラー・FRB理事 「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」、「何もしないで、データを待つことが可能だ」 --------
9/4 ナーゲル・ドイツ連銀総裁 「一段の措置にオープンになる必要がある」、「余剰流動性への対応において政策委がすべきことは終わったと、金融市場は受け止めるべきではない」 --------
9/4 ラガルド・ECB総裁 「行動は言葉よりも雄弁だ」、「われわれは12カ月の間に政策金利を計425ベーシスポイントという記録的なペースで引き上げてきた。インフレ率を中期目標である2%へと適時に戻す」 --------
8/30 田村・日銀審議委員 「まだ、賃金や物価動向を謙虚に見つめていくべき局面にあり、現時点において、金融緩和を継続することが適当」、「想定以上に物価が上振れる可能性も否定できない」 --------
8/25 植田・日銀総裁 「基調的なインフレは依然として目標の2%を若干下回っていると、われわれは考えている。日銀が現行の金融緩和の枠組みを維持しているのは、それが理由だ」、(7月の日本の生鮮食品を除くコアCPIは、前年同月比で「3.1%」だったことに対して)、「年末にかけて鈍化する見込みだ」 --------
8/25 ラガルド・ECB総裁 「インフレ率を目標値へ下げるため必要に応じて金利を高水準に設定し、必要な限りその水準を維持する」、「現在の環境に照らし合わせれば、これは、インフレ率を中期目標の2%へと適時に戻すため、ECBが必要な限り金利を十分景気抑制的な水準に設定することを意味する」 --------
8/25 パウエル・FRB議長 「インフレ率はピークからは下がってきており、それは喜ばしい展開だが、なお高すぎる」、「適切と判断すれば追加利上げに動く用意がある。インフレがわれわれの目標に向って持続的に低下していると確信できるまで、政策を景気抑制的な水準に据え置く考えだ」、「これまでの道のりを踏まえると、次回の会合では入手するデータと変化する見通し、そしてリスクを精査しつつ、慎重に政策を進めていくスタンスだ」 ドル円は買われ株価は上昇。債券は一時売られたもののほぼ横ばい。
8/24 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「現時点でわれわれは恐らく十分なことをした」、「景気抑制的なスタンスを取ってその効果が発揮されるのをしばらくの間見て、それによってインフレを押し下げるというのが私の立場だ」 --------
8/24 コリンズ・ボストン連銀総裁 「需給が持続的なレベルで再調整された状況、インフレ率を2%に引き下げる軌道に戻すために必要となるそうした状況を確認するには一定の時間がかかるだろう」、「かなりの期間にわたって据え置く必要が生じる可能性は極めて高いと考えるが、ピーク金利が正確にどの水準かという点について現時点では示唆しない。近づいている可能性はあるが、さらにもう少し引き上げる必要があるかもしれない」 株と債券が売られ、ドル円は145円台から146円目前に上昇。
8/16 FOMC議事録 「インフレに著しい上振れリスクがあり金融政策の追加引き締めが必要になり得るとの認識を大半の参加者は引き続き示した」、「経済活動は強靭で労働市場も強さを維持しているものの、引き続き経済活動に下振れリスク、失業率には上振れリスクがあるとの見解が一部の参加者から示された」、「2人が政策金利の据え置きを望んだ、ないし、そうした提案を支持した」、「政策を不用意に引き締め過ぎるリスクと、引き締めが不十分な場合のコストとの間でバランスを取ることが重要だとの見解を示した」 株安・債券安が進み、ドル円は145円台から146円40銭まで上昇。
8/15 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「インフレ率は現在、鈍化しつつある。順調な進展を一定程度遂げてきた」、「インフレ率は依然として高すぎる」、「利上げは終了か。私自身、終わったという準備はない。しかし、明るい兆候は見られる。例えば、その過程にあるのかもしれない。もう少し時間をかけて、もっとデータを確認してから、追加措置が必要かどうかを決めることになる」、「私の頭の中にある疑問は、インフレ率を当局の2%目標に実際に戻すのに十分な措置を講じてきたのか、あるいはさらなる措置が必要なのかだ」 株と債券が売られ、金利上昇にドル円は145円83銭まで買われる。
8/7(8月2日NYTとのインタビューで) ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金融政策は好ましい位置にある。政策はあるべきところにある。ピーク金利の観点でこれを調整する必要があるかどうか、また景気抑制的なスタンスをどれくらい長く続ける必要があるかはデータ次第になる」、「景気抑制的なスタンスを当面は維持する必要があると想定している」、「追加利上げの必要性については、議論の余地がある」、「インフレ率が下がり続ける場合、実質金利がさらに上がらないよう、2024年か25年に金利を引き下げる必要があるかもしれない」 --------
8/7 ボウマン・FRB理事 「私は7月のFOMC会合でフェデラルファンド(FF)金利の引き上げを支持した。インフレ率をFOMCの目標に低下させるには、追加利上げが必要になる可能性が高いと想定している」、「今後発表されるデータ次第になる」 --------
8/4 ボウマン・FRB理事 「インフレ率をFOMCの目標である2%に押し下げるには、追加利上げが必要になる可能性が高い」、「最近のインフレ鈍化は好ましいが、追加利上げとフェデラルファンド(FF)金利がいつまで景気抑制的な水準にとどまる必要があるのかを検討する際、私はインフレ率が2%の物価目標に向って有意な下降線をたどっているという一貫した証拠を探すつもりだ」、「個人消費鈍化と労働市場環境緩和の兆しにも注意する」 --------
8/1 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (9月会合で)「仮に投票権を持っていたなら、不本意ながら支持しただろう」「基本的な見解は変っていないが、当局は9月までに多くの追加データを入手することになるため、自身の予想に反するデータがあれば、9月会合の見通しを調整することもいとわない」、「現在、当局は過度の引き締めのリスクが多少ある段階にあると思う。そのことを念頭に置いておかなければならない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和