今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利急低下」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米長期金利の低下にドル円は東京時間朝方には148円16銭近辺まで下落。NYでは149円台に乗せる場面もあったが、上値は重く148円台半ばで引ける。
  • ユーロドルは続伸し、1.06台を回復。米金利低下に素直に反応した格好。
  • 株式市場は3指数が3日続伸。中東情勢が不安定ながらも、米金利低下を好感し株式に資金が流入。
  • 債券価格は地政学的リスクを織り込む形で大幅に上昇。長期金利は4.65%台に急低下。
  • 金は3日続伸し、原油は反落。
ドル/円 148.55 〜 149.09
ユーロ/ドル 1.0575 〜 1.0620
ユーロ/円 157.53 〜 157.96
NYダウ +134.65 → 33,739.30ドル
GOLD +11.00 → 1,875.30ドル
WTI −0.41 → 85.97ドル
米10年国債 −0.148 → 4.653%

本日の注目イベント

  • 独    独9月消費者物価指数(改定値)
  • モロッコ G20財務相・中央銀行会議(13日、モロッコ)
  • 米    9月生産者物価指数
  • 米    FOMC議事録(9月19−20日分)
  • 米    ボウマン・FRB理事講演
  • 米    ボスティック・アトランタ連銀総裁講演
  • 米    ウォラー・FRB理事、イベントに参加
  • 米    下院議長選挙の予定
  • 加    カナダ8月住宅建設許可件数

本日のコメント

イスラエルがハマスに対する本格的な反転攻勢に出たこともあり、イスラエルとハマスの戦闘による死者数が計2000人に近づいている模様です。バイデン大統領は10日もイスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談し、その後ホワイトハウスで演説を行い、「イスラエルに軍需物資を送るほか、情報活動や軍事面での支援を行う」と表明しました。米国の市民14人ほどが殺害され、人質に取られた人もいると、国民に最新情報を説明しています。またブリンケン国務長官が今週イスラエルを訪問し、イスラエルへの「連帯と支持」を表明する模様です。一方、トルコのエルドアン大統領は、イスラエルとの連帯を示すために東地中海に空母打撃群を派遣する米国を「米国はイスラエルに空母を派遣している。米空母がイスラエルで何をするというのか」と批判しています。(ブルームバーグ)今回の軍事衝突はロシアとウクライナ情勢よりも深刻で、世界に与える影響も大きいと分析する専門家もおり、イランや米国を巻き込めば、「第一次世界大戦のように世界の国を次々と巻き込む可能性」を指摘する声もあります。米国にとってイスラエルは、ウクライナ以上に地政学的にも「重要な同盟国」であるようです。

先週末のNYでは4.88%台まで急騰した後、4.8%近辺で引けた米長期金利は昨日のアジア時間には4.62%前後まで低下し、ドル売り円買いの手掛かりになりました。ドル円は東京時間の朝方には148円16銭前後まで売られましたが、NYでは金利低下はすでに織り込まれていたため、それ以上の円高は進みませんでした。ユーロドルは米金利低下により反応し、5日続伸し1.06台を回復しています。

今や「ハト派」の代表的存在であるアトランタ連銀のボスティック総裁は10日、改めてハト派発言を繰り返しています。総裁は、「米政策金利はインフレ率を2%に押し下げるのに十分に景気抑制的な水準にあると私は考える」と発言。「これ以上の利上げが必要だとは実際思わない」と述べ、「景気見通しが予想外に変化した場合は利上げが必要になるかもしれないが、それは現時点で自身が予想するものではない」と付け加えていました。今月末のFOMC会合では「利上げは見送られる」との観測が徐々に浸透してきたせいか、軟調だった米株式市場はにわかに切り返してきました。その影響もあり昨日の日経平均株価もザラ場では800円を超える場面もあり、米国の金利低下傾向を織り込む動きになっています。ただそれでも現時点では、絶対的な日米金利差は縮まらないことから円が大きく買われる状況にはなっていませんが、為替も株も、「米金利の動き次第」という構図は続いています。

予定では本日11日に下院で議長選挙が行われますが、米議会史上初となる下院議長を解任されたマッカーシー氏は、下院議長に復帰する用意があると述べています。マッカーシー氏は、議長選への立候補表明と受け止められないよう注意しながらも、自身が共和党下院議員96%の支持を得ており、「4%の共和党議員が民主党と協力し、議長解任動議を可決させたことは誤りだ」と強調していました。議長選には、下院共和党ナンバー2のスカリス院内総務と、トランプ前大統領の支持を受けているジョーダン司法委員長が立候補しています。一時は「トランプ氏を議長に」といった笑えない話もあったようです。

本日のドル円は147円50銭〜149円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/10 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「米政策金利はインフレ率を2%に押し下げるのに十分に景気抑制的な水準にあると私は考える」、「これ以上の利上げが必要だとは実際思わない」、「景気見通しが予想外に変化した場合は利上げが必要になるかもしれないが、それは現時点で自身が予想するものではない」 --------
10/9 ローガン・ダラス連銀総裁 「タームプレミアムが上昇すれば、それが経済の沈静化に向けた金融当局の仕事を一部肩代わりし、当局として政策を追加で引き締める必要性が低下する可能性がある」(講演後の質疑応答で)、「われわれはまだやるべき仕事がある。景気抑制的な金融環境はしばらく必要になると考えられる」 前者の発言に反応し、ドル円は下落。
10/9 ジェファーソン・FRB副議長 「米金融当局は、必要となり得る追加的な政策引き締めの程度を見極める上で、慎重に進むことができる立場になりつつある」 ドル円は下落。
10/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「もう十分やったのか、もっとやるべきことがあるのか、見極める時間はある。今後の道筋は、インフレ圧力がピークを過ぎたと確信できるのか、なお持続すると見るかに左右される。その手掛かりを求め、労働市場を注意深く見守りたい」 --------
10/5 デーリー・SF連銀総裁 「労働市場の減速が続き、インフレが当局の目標に向って低下し続ければ、金利を据え置き、政策効果が引き続き働くのを見ていることができる」、「金融環境は過去90日間でかなり引き締まったが、その状態が続く場合は、われわれがさらに行動を起す必要性が低下する」 --------
10/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「次回会合でも、最近の会合と同じような経済状況であれば、私なら追加利上げを行うだろう」 --------
10/3 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「利上げを急ぐつもりはないが、利下げを急ぐつもりもない。米金融当局はインフレ率を目標の2%に戻すため、政策金利を高水準で長期にわたり据え置くことを望む」 --------
10/2 バー・FRB副議長 「インフレ率を長期的に2%に戻すのに十分な景気抑制的水準に達しているか、極めて接近している可能性が高いと思う」、「われわれは長期的な金利の道筋を考えることにますます重点を置くようになると思う。インフレ率を2%まで下げるために金利をしばらくの間高止まりする必要がある。2%に到達すると私は確信している」 --------
10/2 ボウマン・FRB理事 「インフレ率を適宜にかなって目標の2%に戻すには、さらなる利上げが必要になる可能性が高いとの予想を変えていない」、「エネルギー価格の高騰により、ここ数ケ月におけるインフレ抑制に向けた進展の一部が損なわれるリスクがくすぶっている」 債券が売られ金利が上昇。ドルが買われ、ユーロと円などが下落。
9/29 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (講演原稿) 「フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジはピークかそれに近い水準にあるというのが、現在の私の判断だ」、「しばらくの間、景気抑制的な金融政策スタンスを維持する必要があるとみている」 --------
9/27 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「このような下振れシナリオが米経済を直撃した場合、インフレ率を2%に下げるための金融政策を縮小する必要が生じるかもしれない。政府機関の閉鎖や自動車ストライキはわれわれに代わって景気を鈍化させる恐れがあるからだ」、「利上げが期待通りに景気を減速させられないのでれば、金利をもっと引き上げなければならないかもしれない」 --------
9/26 ボウマン・FRB理事 「インフレ率が賃金の伸びを上回る中で、賃借人のコスト負担増がFRBによる物価上昇圧力を抑制する行動も重要性を明確にしている」、「この取り組みは、賃貸住宅の供給増加など賃貸料に影響する他の要因に対処する施策を補完し得る」 --------
9/26 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「年内に恐らくあと1回、政策金利を0.25ポイント引き上げた後で、FOMCは政策金利をその水準で十分に長く、妥当な時間をかけてインフレ率を目標まで低下させる」、「われわれがインフレ対策で達成してきた実際の進展と労働市場の動向を理由に、私は現在、60%の確率でこの結果になると予想している」 --------
9/25 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (米国がリセッションを回避することは可能だとの考えを示し)、「私はそれを『黄金の道』と呼んできた。それは可能だと考えるが、多くのリスクがあり、その道は長く曲がりくねっている」、「金利をどこまで引き上げるべきかというよりも、どの程度長い期間高水準で維持するかを議論する時期に急速に近づいている」 --------
9/20 パウエル・FRB議長 「政策金利が、適切な水準に達したという説得力のある証拠をつかみたい」と述べ、「適切であればさらに利上げをする用意がある」(中立金利について)「現在の推計値よりも高い可能性があるが、政策当局者にはまだ分からない」、「金利の動向を考えると、米経済は多くの予想よりも好調だと言ってもいいだろう」 ドル円は147円台半ばから148円台前半まで上昇。債券と株が売られ、長期金利は4.4%台に。
9/20 FOMC声明文 「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示唆する。雇用の伸びはここ数カ月に鈍化してきたが力強さは維持しており、失業率は低いままだ。インフレは依然高水準にある。委員会は引き続きインフレリスクに細心の注意を払い、より長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これら目標実現を支えるため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを5.25−5.5%に据え置くことを決めた」 --------
9/20 神田・財務官 「行き過ぎた変動には適切な対応をあらゆる手段を排除せず取っていく。引き続き高い緊張感を持って市場を監視・注視する」 --------
9/19 イエレン・財務長官 (日本の通貨当局が外為市場で円買い介入に動く場合、米財務省は容認するのかとの質問に対し)、「大いに詳細に左右されるだろう。こうした介入について、われわれはいつも彼らと連絡を取り合っている」 --------
9/14 ラガルド・ECB総裁 「Inflation still remains too high too long」、「現在の判断では、今日の決定でインフレ率を適時に目標に戻すために十分な貢献をしたと考えている」とし、「焦点は恐らく若干、期間へと移るだろう。しかし、これがピークだと言っているのではない。そうは言えないからだ」、「政策委員会の確かな過半数が利上げを支持したが、何人かは利上げ停止を望んだ」 発言はややネガティブと受け止められ、ユーロ売りにつながる。
9/9 植田・日銀総裁 「物価目標の実現が見えてくるのは、賃金と物価の好循環が金融緩和を止めても自律的に回っていく状況だ」、「十分だと思える情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではなくなった」 ドル円は11日(月)、週明けのオセアニア市場で大きく窓を開ける。NYでは147円80銭近辺で引けたが、早朝には146円65銭前後まで円が急騰。
9/7 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれの政策は良い位置にあるが、引き続きデータ次第の姿勢が必要だろう」、「われわれは引き続きデータを注視し、その全てを分析し、自問自答しなければならない。政策は十分に景気抑制的であるのかと」、「労働市場の不均衡を縮小し、インフレを抑制するという点で、着実に前進していることを確認するために、もう一度利上げする必要があるだろうか」 --------
9/7 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「金利をどこまで引き上げるべきかが議論の内容にならない時期がかなり急速に近づいている」、「需給と供給は一段とバランスを取り戻しつつある。だが、全体的なインフレ水準はなおわれわれが望む水準を上回っている」、「この流れがある程度持続することを確認し、われわれが黄金の道を歩んでおり最後まで行き着く方向にあると実感する必要があるだろう」 --------
9/5 ウォラー・FRB理事 「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」、「何もしないで、データを待つことが可能だ」 --------
9/4 ナーゲル・ドイツ連銀総裁 「一段の措置にオープンになる必要がある」、「余剰流動性への対応において政策委がすべきことは終わったと、金融市場は受け止めるべきではない」 --------
9/4 ラガルド・ECB総裁 「行動は言葉よりも雄弁だ」、「われわれは12カ月の間に政策金利を計425ベーシスポイントという記録的なペースで引き上げてきた。インフレ率を中期目標である2%へと適時に戻す」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和