今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円年初来高値を更新」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円はNYの午後150円台に入り、前回付けた150円16銭を上回る150円32銭まで上昇。介入がなかったことでストップロスを巻き込み上昇。
  • ユーロドルも下落し、1.0566まで売られる。
  • 株式市場は3指数が揃って反落。ナスダックが大きく下げ、決算を発表したアルファベットの下落が下げをけん引。
  • 債券は大幅に売られ、長期金利は4.96%台まで上昇。
  • 金と原油は反発。
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9月新築住宅販売件数 → 75.9万件
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ドル/円 149.86 〜 150.32
ユーロ/ドル 1.0566 〜 1.0595
ユーロ/円 158.42 〜 158.84
NYダウ −104.45 → 33,035.93ドル
GOLD +8.80 → 1,994.90ドル
WTI +1.65 → 85.39ドル
米10年国債 +0.132 → 4.955%

本日の注目イベント

  • 豪   豪7−9月四半期輸入物価指数
  • トルコ トルコ中銀政策金利発表
  • 欧   ECB政策金利発表
  • 欧   ラガルド・ECB総裁記者会見
  • 米   新規失業保険申請件数
  • 米   7−9月GDP(速報値)
  • 米   9月耐久財受注
  • 米   9月中古住宅販売成約件数
  • 米   中国の王外相、ワシントン訪問(28日まで)
  • 米   企業決算 → インテル、アマゾン、マスターカード、フォード、UPS

本日のコメント

「今回は本物か?」

ドル円が150円台に乗せ、今月3日に記録した150円16銭を上回る150円32銭まで上昇し、年初来高値を更新しました。150円近辺では介入警戒感があったものの、上記水準でも「何もなかった」ことから、ストップロスのドル買いを巻き込み150円32銭まで上昇したようです。投資家は介入の動きが無かったことで、次の介入警戒水準を模索し始めると見られます。ここからは全ての水準で介入警戒感が必要ですが、恐る恐るドルを買う展開はこれまでと変わらず、大きな流れで言えば、ここから昨年10月に記録した151円95銭までの間に介入があるのかどうかという点が焦点になります。仮にないとすれば、上記水準を試す可能性も浮上しそうです。

米長期金利が再び上昇に転じ、昨日のNYでは4.86%台まで上昇しました。9月の新築住宅販売件数が大きく伸びており、株と債券が売られ金利上昇につながりました。日本の長期金利も上昇しており、昨日の債券市場では0.865%まで上昇しましたが、依然として日米金利差は大きく、ドル買いをサポートする状況になっています。来週の日銀決定会合で仮に日銀が政策据え置きを決めたとすれば、ドル円の上昇に弾みが付く可能性もありそうです。

日本の9月の消費者物価指数(総合)は「3.0%」と、2カ月連続で鈍化していたものの、日銀の物価目標である「2%」は、昨年4月以来18カ月連続で上回った状態が続いています。それでも大規模な金融緩和政策を続けている日銀ですが、植田総裁は今年8月25日に行われた米ジャクソンホールでのパネル・ディスカッションで、「基調的なインフレは依然として目標の2%を若干下回っていると、われわれは考えている。日銀が現行の金融緩和の枠組みを維持しているのは、それが理由だ」とはっきりと述べ、金融緩和政策維持の正当化に努めていました。ところが、その根拠にも変化が見られ、日銀はいよいよ追い込まれそうな状況になってきました。24日、日銀が基調的なインフレを把握する際の「3つの指標」全てが2%を超えていることが発表されました。日銀が金融政策の判断材料としている指標は「刈り込み平均値」、「加重中央値」そして、「最頻値」の3つです。日銀が発表した3つの指標の値は順に、「3.4%」、「2.0%」、「2.8%」でした。また日銀は足元のインフレは「コストプッシュ型のインフレ」だとし「輸入物上昇の上昇を起点とする価格転嫁の影響」だと分析しています。輸入物価の上昇は言うまでもなく、「円安」の影響に他なりません。その円安の根源の一つに大規模な金融緩和政策があるとすれば、筆者も含めて多くの人が「矛盾」を感じてしまうのは自然です。ここから円安がさらに進む可能性もあり、日銀の政策変更に対する圧力が一段と増すことになります。30−31日の決定会合からますます目が離せません。

欧米からの圧力もあり、イスラエルは未だに地上侵攻は実施してはいないものの、ハマスへの攻撃は連日続いており、支援物資の遅れもあり民間人の犠牲者は増え続けています。イスラエルのネタニヤフ首相は地上侵攻の可能性を示唆しており、米国も人道的な配慮を求める一方、「地上侵攻を実施するかどうかはイスラエルが決めること」との姿勢を見せています。国連は即時停戦(Ceasefire)を求めていますが、ブリンケン国務長官は一時停戦(Pause)という言葉を使用しています。こうした動きはイランを中心としたイスラム諸国を巻き込んできました。ヨルダン、トルコ、あるいはマレーシアなども批判の声を挙げています。国連のグテレス事務総長は、「ハマスによる攻撃が理由もなく起きたわけではないことを確認することも重要だ」と述べ、「パレスチナ人は56年間にわたり息が詰まるような占領下に置かれてきた」と、イスラエルの大規模な反撃を非難するような発言を行っています。これに対してイスラエルのエルダン国連大使はグテレス事務総長の辞任を要求しています。またトルコのエルドアン大統領も、「ハマスはテロ組織ではなく、領土と市民を守るために戦う聖戦士の集団だ」とのコメントを発表しています。イスラエル・ハマスの戦闘は、ロシア・ウクライナ問題を大きく上回るリスクがあるようにも思えます。地政学的リスクがさらに高まり、ドルや金、原油が買われ、リスク資産の株や低金利の円が売られる展開になっています。これら一連の流れは世界的なインフレ沈静化にとっては逆風となり、高金利政策がさらに長く継続される可能性が懸念されます。

本日のドル円は149円50銭〜150円80銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/19 パウエル・FRB議長 「経済成長の強靭さと労働需給の底堅さを示している最近のデータに、われわれは留意している。経済成長が継続的に潜在成長率を上回っている兆候、ないし労働市場の引き締まりがもはや緩和していない兆候が新たに見られた場合、インフレに関する一層の進展にリスクが生じる可能性がり、金融政策の追加引き締めが正当化される」、「政策が現在引き締めすぎである兆候はないと考えている」、「インフレはなお高すぎる。インフレがわれわれの目標に向けて持続的に低下しているという確信を得るには時間が必要で、数カ月の良好なデータはその始まりに過ぎない」、地政学的な緊張は、極めて高い状態にある」 債券が売られ金利が上昇。株も大きく下げ、ドル円は149円95銭まで買われる。
10/18 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「インフレ率を当局目標の2%に戻すためには、政策金利を景気抑制的水準に『当面』とどめておくべきだ」 --------
10/18 ウォラー・FRB理事 「政策金利の軌道に関して最終的に行動する前に、景気がどのように進展するのか様子を見ることは可能だと考える」、「実態経済が冷え込み始めるのか、あるいは名目経済の物価が過熱するのかを確認するため、データを注意深く見ていく」 --------
10/17 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ軌道がまだはっきりしていない。これまでの行動が十分だったか、あるいはやるべき仕事がまだあるのか見極める時間はある」、「われわれは紙一重のところを進んでいる。修正が足りなければ、インフレが再燃する。修正し過ぎれば、景気に不必要なダメージをもたらす」、「最善の政策ですら、外部のイベントによって妨げられる可能性がある。最近の中東でのニュースでそれを改めて思い知らされた」 --------
10/16 神田・財務官 「為替相場が激しく下落した場合には、国は『金利を引き上げることによって資本流出を止めるか、為替介入で過度の変動に対抗する』」、「非常に複雑な状況の中で総合的にファンダメンタルズを判断する」 --------
10/16 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「データが急激に変化しない限り、政策金利を現在の水準で据え置くことが望ましい」 --------
10/16 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「最近のインフレ鈍化は単月の一時的なものではない」、「限られた一部のデータと関連付けないよう」 --------
10/14 サンジャヤ・パンス・IMFアジア太平洋局副局長 「日本が円相場を支えるため為替市場で介入を余儀なくされる要素はない」、「該当する条件は見当たらない」、「円安は主に金利差が要因で、経済のファンダメンタルズを反映している。つまり、日本国外ではどこもインフレ率が上昇している一方、日本銀行は超緩和政策を継続している」 --------
10/11 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「政策金利については、これ以上何かをする必要はないと考える」 --------
10/11 ウォラー・FRB理事 「実態経済は好調のようだ。名目経済もわれわれが望む方向に進んでいる。従って当局は金利に関してある種、状況を見極める立場にある」、「金融市場は引き締まりつつあり、それがわれわれの仕事の一部を肩代わりすることになる」 --------
10/11 コリンズ・ボストン連銀総裁 「現行の引き締めサイクルのピークに近づいているか、もしかするとピークにあるかもしれない」、「ただ、新たに入手する情報次第では、さらなる引き締めが適切になる可能性がある」 --------
10/10 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「米政策金利はインフレ率を2%に押し下げるのに十分に景気抑制的な水準にあると私は考える」、「これ以上の利上げが必要だとは実際思わない」、「景気見通しが予想外に変化した場合は利上げが必要になるかもしれないが、それは現時点で自身が予想するものではない」 --------
10/9 ローガン・ダラス連銀総裁 「タームプレミアムが上昇すれば、それが経済の沈静化に向けた金融当局の仕事を一部肩代わりし、当局として政策を追加で引き締める必要性が低下する可能性がある」(講演後の質疑応答で)、「われわれはまだやるべき仕事がある。景気抑制的な金融環境はしばらく必要になると考えられる」 前者の発言に反応し、ドル円は下落。
10/9 ジェファーソン・FRB副議長 「米金融当局は、必要となり得る追加的な政策引き締めの程度を見極める上で、慎重に進むことができる立場になりつつある」 ドル円は下落。
10/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「もう十分やったのか、もっとやるべきことがあるのか、見極める時間はある。今後の道筋は、インフレ圧力がピークを過ぎたと確信できるのか、なお持続すると見るかに左右される。その手掛かりを求め、労働市場を注意深く見守りたい」 --------
10/5 デーリー・SF連銀総裁 「労働市場の減速が続き、インフレが当局の目標に向って低下し続ければ、金利を据え置き、政策効果が引き続き働くのを見ていることができる」、「金融環境は過去90日間でかなり引き締まったが、その状態が続く場合は、われわれがさらに行動を起す必要性が低下する」 --------
10/3 メスター・クリーブランド連銀総裁 「次回会合でも、最近の会合と同じような経済状況であれば、私なら追加利上げを行うだろう」 --------
10/3 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「利上げを急ぐつもりはないが、利下げを急ぐつもりもない。米金融当局はインフレ率を目標の2%に戻すため、政策金利を高水準で長期にわたり据え置くことを望む」 --------
10/2 バー・FRB副議長 「インフレ率を長期的に2%に戻すのに十分な景気抑制的水準に達しているか、極めて接近している可能性が高いと思う」、「われわれは長期的な金利の道筋を考えることにますます重点を置くようになると思う。インフレ率を2%まで下げるために金利をしばらくの間高止まりする必要がある。2%に到達すると私は確信している」 --------
10/2 ボウマン・FRB理事 「インフレ率を適宜にかなって目標の2%に戻すには、さらなる利上げが必要になる可能性が高いとの予想を変えていない」、「エネルギー価格の高騰により、ここ数ケ月におけるインフレ抑制に向けた進展の一部が損なわれるリスクがくすぶっている」 債券が売られ金利が上昇。ドルが買われ、ユーロと円などが下落。
9/29 ウィリアムズ・NY連銀総裁 (講演原稿) 「フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジはピークかそれに近い水準にあるというのが、現在の私の判断だ」、「しばらくの間、景気抑制的な金融政策スタンスを維持する必要があるとみている」 --------
9/27 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「このような下振れシナリオが米経済を直撃した場合、インフレ率を2%に下げるための金融政策を縮小する必要が生じるかもしれない。政府機関の閉鎖や自動車ストライキはわれわれに代わって景気を鈍化させる恐れがあるからだ」、「利上げが期待通りに景気を減速させられないのでれば、金利をもっと引き上げなければならないかもしれない」 --------
9/26 ボウマン・FRB理事 「インフレ率が賃金の伸びを上回る中で、賃借人のコスト負担増がFRBによる物価上昇圧力を抑制する行動も重要性を明確にしている」、「この取り組みは、賃貸住宅の供給増加など賃貸料に影響する他の要因に対処する施策を補完し得る」 --------
9/26 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「年内に恐らくあと1回、政策金利を0.25ポイント引き上げた後で、FOMCは政策金利をその水準で十分に長く、妥当な時間をかけてインフレ率を目標まで低下させる」、「われわれがインフレ対策で達成してきた実際の進展と労働市場の動向を理由に、私は現在、60%の確率でこの結果になると予想している」 --------
9/25 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (米国がリセッションを回避することは可能だとの考えを示し)、「私はそれを『黄金の道』と呼んできた。それは可能だと考えるが、多くのリスクがあり、その道は長く曲がりくねっている」、「金利をどこまで引き上げるべきかというよりも、どの程度長い期間高水準で維持するかを議論する時期に急速に近づいている」 --------
9/20 パウエル・FRB議長 「政策金利が、適切な水準に達したという説得力のある証拠をつかみたい」と述べ、「適切であればさらに利上げをする用意がある」(中立金利について)「現在の推計値よりも高い可能性があるが、政策当局者にはまだ分からない」、「金利の動向を考えると、米経済は多くの予想よりも好調だと言ってもいいだろう」 ドル円は147円台半ばから148円台前半まで上昇。債券と株が売られ、長期金利は4.4%台に。
9/20 FOMC声明文 「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示唆する。雇用の伸びはここ数カ月に鈍化してきたが力強さは維持しており、失業率は低いままだ。インフレは依然高水準にある。委員会は引き続きインフレリスクに細心の注意を払い、より長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指す。これら目標実現を支えるため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを5.25−5.5%に据え置くことを決めた」 --------
9/20 神田・財務官 「行き過ぎた変動には適切な対応をあらゆる手段を排除せず取っていく。引き続き高い緊張感を持って市場を監視・注視する」 --------
9/19 イエレン・財務長官 (日本の通貨当局が外為市場で円買い介入に動く場合、米財務省は容認するのかとの質問に対し)、「大いに詳細に左右されるだろう。こうした介入について、われわれはいつも彼らと連絡を取り合っている」 --------
9/14 ラガルド・ECB総裁 「Inflation still remains too high too long」、「現在の判断では、今日の決定でインフレ率を適時に目標に戻すために十分な貢献をしたと考えている」とし、「焦点は恐らく若干、期間へと移るだろう。しかし、これがピークだと言っているのではない。そうは言えないからだ」、「政策委員会の確かな過半数が利上げを支持したが、何人かは利上げ停止を望んだ」 発言はややネガティブと受け止められ、ユーロ売りにつながる。
9/9 植田・日銀総裁 「物価目標の実現が見えてくるのは、賃金と物価の好循環が金融緩和を止めても自律的に回っていく状況だ」、「十分だと思える情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではなくなった」 ドル円は11日(月)、週明けのオセアニア市場で大きく窓を開ける。NYでは147円80銭近辺で引けたが、早朝には146円65銭前後まで円が急騰。
9/7 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「われわれの政策は良い位置にあるが、引き続きデータ次第の姿勢が必要だろう」、「われわれは引き続きデータを注視し、その全てを分析し、自問自答しなければならない。政策は十分に景気抑制的であるのかと」、「労働市場の不均衡を縮小し、インフレを抑制するという点で、着実に前進していることを確認するために、もう一度利上げする必要があるだろうか」 --------
9/7 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「金利をどこまで引き上げるべきかが議論の内容にならない時期がかなり急速に近づいている」、「需給と供給は一段とバランスを取り戻しつつある。だが、全体的なインフレ水準はなおわれわれが望む水準を上回っている」、「この流れがある程度持続することを確認し、われわれが黄金の道を歩んでおり最後まで行き着く方向にあると実感する必要があるだろう」 --------
9/5 ウォラー・FRB理事 「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」、「何もしないで、データを待つことが可能だ」 --------
9/4 ナーゲル・ドイツ連銀総裁 「一段の措置にオープンになる必要がある」、「余剰流動性への対応において政策委がすべきことは終わったと、金融市場は受け止めるべきではない」 --------
9/4 ラガルド・ECB総裁 「行動は言葉よりも雄弁だ」、「われわれは12カ月の間に政策金利を計425ベーシスポイントという記録的なペースで引き上げてきた。インフレ率を中期目標である2%へと適時に戻す」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和