今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利急低下」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円はパウエル議長のハト派寄りの発言に148円台前半から下落。一時は146円66銭まで売られ、29日に記録した直近安値に並ぶ。
  • ユーロドルは下落。1.0829まで売られ、対円でも159円台半ばまで下落。ポジションの巻き戻しと見られる売りが活発に。
  • 株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは4日続伸し、3万6000ドルの大台を回復し、今年の最高値を更新。
  • 債券はパウエル議長の発言を受け上昇。長期金利は一気に4.2%台を割り込む。
  • 金は大幅に買われ、過去最高値を記録。原油は続落。
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11月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 49.4
11月ISM製造業景況指数 → 46.7
11月自動車販売台数 → 15.32百万台
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ドル/円 146.66 〜 148.26
ユーロ/ドル 1.0829 〜 1.0983
ユーロ/円 159.60 〜 161.30
NYダウ +294.61 → 36,245.50ドル
GOLD +32.50 → 2,089.70ドル
WTI −1.89 → 74.07ドル
米10年国債 −0.130 → 4.196%

本日の注目イベント

  • 日 日銀が「金融政策の多角化的レヴュー」に関するワークショップの第一回会合開催
  • 中 中国11月消費者物価指数
  • 中 中国11月生産者物価指数
  • 独 独10月貿易収支
  • 米 10月製造業受注

本日のコメント

やはりこの人の発言は重いというか、市場はすぐに反応します。パウエル議長は1日アトランタで講演を行い、「かなり急ピッチでここまで来たあと、FOMCは慎重に前進している。引き締め不足と引き締め過ぎのリスクは一段とバランスが取れてきている」と話し、さらに、「政策は今、かなり景気抑制的な領域に入っている」と述べ、これまでと比べ「ハト派寄り」の内容でした。

パウエル議長の11月9日の講演では、「金融政策のさらなる引き締めが適切となれば、そうすることをためらわない」と発言。「しかし、数カ月の良好なデータで見誤るリスクと、引き締め過ぎるリスクの両方に対処できるよう、引き続き慎重に行動していく」と述べ、金融政策の当局者はインフレ率を目標の2%に下げることに注力しているが、「そのようなスタンスを達成できたと確信していない」と話していました。ここ1カ月で幾つかの指標が景気抑制的な影響を受けている内容を示してきたことを踏まえての発言だとは思いますが、明らかに楽観的に変わったと思えます。FOMCメンバーの中にも同じような認識が広がってきたことが想定されます。議長は、「十分景気抑制的なスタンスを達成したと確信を持って結論付ける、あるいは金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だ。追加の金融引き締めが適切になる場合、そうする用意がある」と、けん制する発言も行いましたが、市場は前者の部分に大きく反応し、株と債券が買われ、長期金利が大きく低下したことでドル円は売られました。先週29日(水)に付けた146円66銭に並びましたが、今朝のオセアニア市場ではその水準を下回っています。

先週のコメントでも書きましたが、ドル円は目先152円手前でピークを付けた可能性があり、日足の「一目均衡表」でも「雲の下抜け」を完成させています。これまではドルが売られたら拾う展開でしたが、今度はドルが戻ったところを売る展開になってきたように思います。軟調な米経済指標が発表されてドルが売られても、直ぐに切り返して来たこれまでとは明らかに環境が異なってきました。米金利が大きく低下し、金利高に弱い「金が過去最高値」を更新し、NYダウも3万6000ドルの大台を超えてきました。この先円が買い戻されるようだと、クロス円での巻き戻しも活発になり、これがドル円を押し下げる一因にもなります。先週末のNYでのユーロ円の動きを見ると、それも感じられます。ただ、金利低下により株価がさらに上昇するようだと、リスクオンから低金利の円は売られ易い傾向があるため、この点には注意が必要です。目先は120日移動平均線の位置する146円35銭前後と、その下の200日移動平均線の143円70銭辺りが次のターゲットになろうかと思います。

都合1週間の停戦期間を終えイスラエルは再びパレスチナ自治区ガザで、今度は南部への大規模な空爆を開始しました。すでに200人を超える死者も出た模様で、イスラエルはガザ地区南部にハマスの指導者らが潜伏していることを理由にしているようです。オースティン国防長官は2日、パレスチナ自治区ガザでの民間人の犠牲者拡大について、「イスラエルが警告に耳を傾けなければ、イスラム組織ハマスと再開した戦闘で『戦略的敗北』を喫する危険がある」と述べています。欧米の強い警告にも屈しないイスラエル。米国もこれまでの「過保護」を止め、さらに強い姿勢で臨まないと、バイデン政権そのものが危機にさらされる可能性もあり、2024年度の大統領選でも「再選はほぼ不可能になるリスク」もあります。

本日のドル円は145円50銭〜147円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
12/1 パウエル・FRB議長 「かなり急ピッチでここまで来たあと、FOMCは慎重に前進している。引き締め不足と引き締め過ぎのリスクは一段とバランスが取れてきている」、「政策は今、かなり景気抑制的な領域に入っている」、「十分景気抑制的なスタンスを達成したと確信を持って結論付ける、あるいは金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だ。追加の金融引き締めが適切になる場合、そうする用意がある」 株式と債券が買われ、ドル円は148円台から146円台半ばまで下落。金価格も過去最高値を記録。
11/30 デーリー・SF連銀総裁 「政策は非常に良い位置にある。われわれは政策金利を大幅に引き上げてきた。インフレ上昇をヘッジするような保険的な思考は現時点では必要ない。金融当局はただ忍耐強く、警戒を怠らないようにすべきだ」、「私自身現時点では利下げは全く考えていない」 --------
11/30 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「金利は過去25年で最も景気抑制的だと推定される。バランスを完全に取り戻し、インフレ率を当局の中長期的目標である2%へと持続的に低下させ、景気抑制的なスタンスをかなりの期間維持するのが適切になると想定される」 --------
11/29 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレは自然かつスムーズに下がってくるなら、素晴らしいことだ。しかし、インフレが再燃する場合は、金利に関してさらに行動するという選択肢を持っておきたいと思う」 --------
11/29 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「いくつかの重要な流れに関して、明確性が増しているとの感触を持っている」、「われわれの調査や企業経営者らの情報に基づくと、インフレの下向き軌道は続く可能性が高いと思われる」、「われわれの情報では、経済活動は今後数カ月に減速すると考えられる。景気抑制的な金融政策と金融環境の引き締まりで経済活動が一段と抑制されていることが一因だ」 --------
11/28 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「全体として、食品セクター以外ではインフレ面で進展を遂げてきた。下がってきてはいるが、まだ目標にまで低下していない。しかし、2023年はインフレ率の低下が過去71年で最大になる軌道にある」 --------
11/28 ボウマン・FRB理事 「私の基本的な経済見通しでは、インフレ率2%の目標まで時宜を得て低下させる上で、十分に景気抑制的な政策を維持するにはFF金利のさらなる引き上げが必要だと、引き続き想定している」、「しかし、金融政策はあらかじめ決まった軌道にはなく、経済見通しと適切な金融政策の道筋への影響を見極めるため、今後発表されるデータを注視していく」 --------
11/28 ウォラー・FRB理事 「経済を減速させ、インフレ率を2%に戻す上で政策が現在、好位置にあるとの確信を私は強めている」、「ここ数週間に目にした状況を心強く感じている。それは経済のペースだ」、「インフレは依然高過ぎで、最近の進展が持続可能だと確信するには時期尚早だ」 株と債券が買われ、金利が低下したことでドル円は148円台から147円台前半まで売られる。ユーロドルは3カ月ぶりに1.10台を回復。
11/21 FOMC議事録 「委員会は慎重に進む態勢にあり、各会合での政策判断は引き続き、入手する情報の全体像に基づいて行うことで全参加者の意見が一致した」、「参加者はインフレが過去1年間に減速したことを指摘しつつも、インフレは現在でもなお容認できないほど高く、委員会の中長期的目標である2%を大きく上回っていると指摘した」、「インフレが2%目標への道筋を明確にたどっていると確信するためには、さらなる証拠が必要になることも強調した」 ドル円は147円台から148円60銭まで上昇。株は売られ、債券は買われる。
11/14 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ率が2%に下がる円滑な軌道にあるとは確信していない」、「米金融当局は正しい方向に向かっているが、最近のデータは米経済が驚くほど底堅いことを示唆している」 --------
11/14 グールズビー・シカゴ連銀総裁 2%の目標達成までにはまだ距離がある」、「財のインフレはすでに鈍化しており、住宅を除くサービスのインフレは通常、調整が遅れることが多いことから、向こう数四半期にさらなる進展を遂げるには、住宅関連のインフレ動向が重要になる。より一般的に言えば、インフレが低下していく過程では、常にいくらか紆余曲折がある」 --------
11/9 パウエル・FRB議長 「金融政策のさらなる引き締めが適切となれば、そうすることをためらわない」、「しかし、数カ月の良好なデータで見誤るリスクと、引き締め過ぎるリスクの両方に対処できるよう、引き続き慎重に行動していく」、(金融政策の当局者はインフレ率を目標の2%に下げることに注力しているが)、「そのようなスタンスを達成できたと確信していない」、「将来のインフレ抑制が供給サイドの改善によってどれだけ改善できるかは定かではない」 債券と株が売られ、長期金利が大きく上昇。ドル円は151円前後から151円39銭まで買われる。
11/9 植田・日銀総裁 「日本の現状を踏まえると、望ましい水準よりも低いインフレ率はオーバーシュートよりも対処が難しい」 --------
11/8 クック・FRB理事 「中東の紛争は世界的な人道・移民問題の悪化に加え、エネルギー市場や金融市場にさらなるリスクを生じさせる可能性がある」とし、「争いがエスカレートすれば経済活動や貿易の重しとなり、資金調達・生産コストを押し上げて、サプライチェーンが抱える問題の悪化やインフレ圧力の高まりにつながりかねない」 --------
11/8 ジェファーソン・FRB副議長 「経済見通しに強い不確実性がある場合であっても、インフレ期待が上昇し始めれば金融当局として強力に対応する必要がある」 --------
11/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「金融当局はまだインフレとの闘いに勝利していない。妥当な時間をかけてインフレ率を2%まで下げなければならない」、「そこに到達するためにどれくらいが必要なのかは、最終的には経済が教えてくれるだろう。私にはわからない」 --------
11/7 ボウマンFRB理事 「インフレ率を適切なタイミングでわれわれが目指す2%に低下させるには、さらなる利上げが必要になるとなおも予想する」 --------
11/7 シカゴ連銀・グールズビー総裁 「インフレ率を下げなければならない。それが最優先だ。われわれが注視しているのはまさにそれだと、強く断言する」、「次回FOMCまでにまだ数週間あり、まだ多くの情報がそれまでに出て来る。金利がどうなるのか、あらかじめコミットするのは好ましくない。自身はこれまでの利上げによる累積効果に経済がどのように反応しているのか、統計から犬のように嗅ぎ取ろうとする『データドッグ派』の一員だ」 --------
11/7 ブロック・RBA総裁 「適切な期間内にインフレ率の目標に確実に回帰させるため金融政策のさらなる引き締めが必要かどうかは、データやリスクを巡る評価に左右される」 豪ドルは発表後買われたが、その後発表前に水準を下回る。
11/5 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「金融当局はこの緩やかで着実な姿勢を続けるというのが、今の私の見通しだ」 --------
11/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「統計は労働市場の減速を示唆している。われわれが待ち望んでいたことであり、助けられた。経済がバランスを取り戻しつつあることはさらなる安心を与えてくれるが、一つの雇用統計に過剰反応したくはない」 --------
11/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「この日発表されたのは、雇用市場の漸進的な緩和を示すデータだ。追加利上げを望まない人々が望むような内容だと考える。インフレがどうなるかを見極める」 --------
11/1 パウエル・FRB議長 「慎重に進んでいる」、「経済活動が持続的に潜在成長率を上回っている兆候が、ないし労働市場の引き締まりがもはや緩和していない兆候が新たに見られた場合は、追加利上げが正当化され得る」 --------
11/1 FOMC声明文 「最近の複数の指標は、経済活動が3四半期に力強いペースで拡大したこと示唆する。雇用の伸びは今年の早い時期より緩やかになってきているが、強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレは依然として高水準にある」、「委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅行性、経済や金融の情勢を考慮する」 2会合連続で据え置きを決めたことで、株と債券が買われ、ドル円は151円台から150円台半ばまで下落。
11/1 神田・財務省財務官 (為替介入の可能性について)、「スタンバイしている」、「いつ何をするか申しあげることは出来ない」、(急激な円安の背景については、内外金利差や地政学的なリスクなどさまざまな要因がある中で)、「一番大きいのは投機だ」、「総合的に勘案するとファンダメンタルズと合っていない。国民生活に対して影響が大きいので適切に対応をとらなければならない」 ドル円→151円台半ばから30銭程下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和