今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米12月のPCEコアデフレータは2.9%」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 朝方ドル円は、PCEコアデフレータの発表を受け147円41銭まで下げたが売りは続かず。その後148円台まで値を戻したが上値も重くもみ合いが続く。
  • ユーロドルは1.08台で推移。早期利下げを巡り、支持、不支持の発言があったが反応せず。
  • 株式市場ではダウが買われ最高値を更新。他の2指数は売り優勢となり小幅な下げに。
  • 債券は小幅に反落。長期金利は4.13%台に上昇。
  • 金は反落し、原油は続伸。
*************************
12月個人所得 → 0.3%
12月個人支出 → 0.7%
12月PCEデフレータ(前月比) → 0.2%
12月PCEデフレータ(前年比) → 2.6%
12月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.2%
12月PCEコアデフレータ(前年比) → 2.9%
12月中古住宅販売成約件数 → 8.3%
*************************
ドル/円 147.41 〜 148.21
ユーロ/ドル 1.0851 〜 1.0885
ユーロ/円 160.41 〜 160.93
NYダウ +60.30 → 38,109.43ドル
GOLD −0.50 → 2,017.30ドル
WTI +0.65 → 78.01ドル
米10年国債 +0.017 → 4.137%

本日の注目イベント

  • 米 1月ダラス連銀製造業景況指数

本日のコメント

12月のPCEコアデフレータは前年同月比で「2.9%」と、市場予想を下回りほぼ3年ぶりの鈍い伸びとなりました。好調だった昨年末の年末商戦も、インフレの加速にはつながらなかったようです。FRBによる利下げが3月会合であるのかどうかが目先の最大の焦点になりますが、インフレを示すデータでは着実に鈍化傾向を示す一方、「個人消費は驚くほど堅調を維持している。インフレ鈍化が個人消費を押し上げているのは間違いないが、この強さによって物価上昇圧力が再び高まることを懸念する向きもある」(ブルームバーグ)ようです。3月会合での利下げの可能性は依然として「五分五分」のようですが、明日30日に発表される求人件数と消費者マインド、31日に発表される四半期雇用コスト指数も、重要になってきます。そして31日のFOMC後の会見でパウエル議長が3月利下げに関して言及すのかどうか、注目されます。イエレン財務長官は、金利について「根本的には何も変わっておらず、いずれ(コロナ禍前の標準に)戻ると確信している人もいる」と語り、「しかし、米経済の力強さを踏まえると、おそらく生産性の向上と、潜在成長率の改善も示唆しており、その水準はもっと高いだろう」と述べています。また、自身の考えについては「明らかにしたくない」とし、低金利が復活するかどうかについては、「まだ、結論が出ていないと思う」と話しています。

イスラエルとイスラム組織ハマスが人質と囚人の交換で新たな合意に達すれば、およそ2カ月間戦闘が休止される可能性があると、NYタイムズが報じています。米政府が交渉を主導しているとされ、28日にはエジプト、カタールを含め、パリで協議が行われた模様です。ただ一方で今朝の報道では、イランが支援する武装組織グループがヨルダン北西部のシリア国境近くの駐留米軍基地を無人機で攻撃し、米兵3人が死亡、25人が負傷したとのことです。これに対してバイデン大統領は28日、報復を明言。「攻撃に関与した全員に責任を取らせるべく、米国が選択する時と方法で行動する」と声明を発表しています。今回の事態はこれが初めてではなく、米国とイランとの緊張も徐々に高まっていると感じます。

11月の米大統領選では、共和党候補者では俄然トランプ氏が優勢となっていますが、ワシントンポスト電子版は、トランプ氏が再選したら中国からの輸入品に一律60%の関税を課すことを検討していると報じています。国内産業を守ることと、税収確保という名目の下行われるようですが、これが実施されれば、中国側もだまってはおらず、「貿易戦争」の再現になる可能性があります。トランプ氏はMAGA「Make America Great Again」政策を掲げ、支持率の拡大につながっていますが、これは中国だけではなく同盟国の日本にも、関税、防衛などあらゆる分野で圧力をかけてくることが予想されます。市場参加者はすでに「もしトラ」(もし、トランプ氏が再選されたら)を想定し、あらゆる対策を考え始めているようです。

本日のドル円は147円50銭〜148円80銭程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
1/25 トルコ中銀声明文 「ディスインフレ基調を確立するのに必要な金融引き締めは達成された。月次インフレ率の基調的トレンドに大幅な低下が見られ、インフレ期待が中銀の予測レンジに収束するまで、必要な限り現在の金利水準を維持する」 ドルリラは変わらず。
1/25 ラガルド・ECB総裁 「利下げはまだ議論されていない」、「前に自分が言ったことに変わりはない」、(ドイツなどが利下げには慎重な姿勢を見せていることに関して)、「政策委員会では、利下げを議論するのは時期尚早だというのがコンセンサスだった」 ユーロドルは1.09台から1.0822まで売られる。
1/23 植田・日銀総裁 「物価目標実現の確度が少しずつ高まっている」 ドル円148円から147円台割れまで売られる。
1/18 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「インフレ率が金融当局の目標である2%に向かう軌道に乗っている証拠をより多く目にしたい」、「現在の私の見通しは、今年第3四半期(7−9月)のどこかで最初の利下げを行うというものだ。データがどのような進展をたどるかを見極める必要がある」 ドル円を押し上げる。
1/16 ウォラー・FRB理事 「持続的な形で個人消費支出(PCE)インフレ2%達成が射程距離内にあると確信を強めつつある。インフレが再燃せず、高水準にとどまらない限り、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを年内に引き下げることが可能になると、私は考えている」、「金利の引き下げを開始するのに適切な時期が来れば、秩序だって慎重に引き下げることが可能であり、そうすべきだ」、「経済活動と労働市場は良好な状態で、インフレ率は漸進的に2%へと低下しつつあることから、以前ほど急いだり迅速に利下げをしたりする理由が見当たらない」 債券と株が売られ、金利上昇にドル円は146円台半ばから147円台前半まで上昇。
1/15 ナーゲル・ドイツ連銀総裁 「利下げについての協議は時期尚早だろう」 --------
1/15 ホルツマン・オーストリア中銀総裁 「イエメンの親イラン武装組織フーシ派による動きで、地政学的な脅威が高まったが、これで終わりではないだろう。より広範な動きにつながる可能性がある。2024年は利下げを全く想定すべきではないと」 --------
1/12 グールズビー総裁・シカゴ連銀総裁 「金融市場は今年の積極的な利下げ軌道を想定しているが、政策当局者らよりも先走っている可能性がある」、「市場は前後を誤っている」、「金利に関する判断を左右するのは実際のデータになる」、(昨年12月のFOMC会合で公表された最新の経済・金利予測で、2024年に3回の利下げが実施される可能性が高いことが示された点については)、「個々の予測であり、将来の政策に関するFOMC全体の見解として受け止めるべきではない」 --------
1/11 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「私が探しているのはインフレが当局の目標に回帰するという確信だ」(3月の利下げの見通しを聞かれ)、「FOMC会合前に、予断を与えたくない」 --------
1/11 メスター・クリーブランド連銀総裁 「3月利下げは時期として恐らく早過ぎる」 --------
1/11 ラガルド・ECB総裁 「利下げの時期についてはいえない。それを言えるのは、われわれがこの闘いに勝利した場合や、当局の予想通り2025年に2%に戻る場合、および今後数カ月のデータでそれが確信される場合だ」、「こうした確実性があれば、金利が下がり始めるだろうと確信している」 --------
1/10 シュナーベル・ECB理事 「利下げを協議するには時期尚早だ」、「2025年には目標の2%になる。地政学的な緊張がインフレの上振れリスクの一つだ」 ユーロドルは買われ、対円では昨年12月1日以来となる159円92銭まで上昇。
1/10 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「現在の金融政策の景気抑制的スタンスがバランス回復を継続させ、インフレ率を2%の長期目標に戻すというのが私の基本的な考え方だ」、「金融当局の目標を完全に達成するにはしばらくの間、景気抑制的なスタンスを維持する必要があるだろう。インフレ率が持続的に2%に向うと確信したときにのみ、抑制の程度を緩めることが適切となる」 ドル円の上昇を促す。
1/8 ボウマン・FRB理事 「インフレ率が2%目標に向けて徐々に鈍化し続けるなら、金融政策が過度に景気抑制的になるのを防ぐため、政策金利引き下げのプロセスを開始するのが将来的には適切になるだろう」、「ただ、まだそうした地点にはない」と発言し、「政策スタンスの将来的変更を考慮するアプローチにおいて、私としては警戒的姿勢を保つ方針だ」 --------
1/8 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「われわれは現在、2%に向けた道を進んでいる。目標はその道を外さないことだ」、「勝利宣言には時期尚早だ」 --------
1/3 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「米経済がソフトランディングを達成する可能性は高まっているように見えるが、確実とは言えない」、(大半の米金融当局者らが2024年の利下げを想定していることを認識しながらも)、「インフレ率の低下継続と広範な景気の動向という両方の問題に関する確信が金利変更のペースとタイミングを決める」 --------
1/3 FOMC議事要旨 政策金利は今回の引き締めサイクルにおけるピークが、それに近い可能性が高いとの認識を参加者は示した」、「当局者らは、インフレの持続的な鈍化が明確になるまで、当局は政策が景気抑制的なスタンスにとどまることが適切になるとの見解を再認識した」、「インフレの鈍化が持続に確認されるまで、景気抑制的なスタンス」、「参加者は総じて、経済見通しを巡っては不確実性が高いとの認識を示した」 債券が買われ株は売られる。ドル円は142円台から143円へ。
12/24 石破・元自民党幹事長 「『イシバノミクス』と偉そうなことを言うつもりはないが、本来の資本主義に戻す」、「金利のある世界が必要不可欠」、「異次元の金融緩和を実施し、壮大な実験ではあったが、それが所期の結果をおさめたかは検証が必要だ。需給ギャップが本当になくなったのか、そうではないと思っている」、「岸田首相は聞く力も大事だが、自民党が窮地にあり、発言力を発揮しなければいけない」 債券が買われ株は売られる。ドル円は142円台から143円へ。
12/20 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「金利を下げ始めることが重要だ。しかし、あまり急ぐ必要はないし、今すぐやるつもりもない」 --------
12/19 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「インフレ率は向こう6カ月は比較的緩やかに低下していくと考えている。これは景気抑制的なスタンスを撤回する緊急性がないことを意味する」、(FOMCは来年の後半に2回の利下げを実施するだろうと、自身は予想するが)「それに関して活発に議論しているというわけではない --------
12/19 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレがうまく鈍化すると見なすなら、われわれは当然、適正に対応するだろう」、「向こう数カ月間にインフレに関するデータの一貫性と広がりを見たい」 --------
12/18 デーリー・SF連銀総裁 「今年のインフレ鈍化の程度を踏まえ、当局者が24年に利下げの検討を開始するのは適切だとしつつも、それがいつになりそうか臆測するのは時期尚早だ」 債券が売られ、ドルは上昇。
12/18 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「米金融当局は市場がどう反応するかを考えて行動すべきではない」、「先週のFOMC後に公開した四半期の経済・金利予測に対し、市場が示した反応に困惑している」、「インフレについては、著しい改善が見られるものの、目標には依然戻っていない」 債券が売られ、ドルは上昇。
12/18 メスター・クリーブランド連銀総裁 (来年の早期利下げを織り込んでいる金融市場について)、「政策の正常化について、少し先走っている」、「利下げに関する議論が活発化すれば、1年先のインフレ期待と、それが2%の目標に向かってどの程度のペースで下がっていくかを注視する」 債券が売られ、ドルは上昇。
12/15 ブレイナード・NEC委員長 「サプライチェーンの圧力緩和や堅調な雇用市場、力強い生産性、データにおけるさまざまな遅行効果を総合すると、インフレとの闘いが終わりに近づきつつあることが示唆される」、「想定し得る限りにおいて、経済は実に良好なバランスが取れた状態になりつつある。ディスインフレのプロセスがかなり安定した形で進んでいるようだ。従って、進展の継続を期待する十分な根拠はある」 --------
12/15 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「インフレ率が予想通り低下すれば、2024年第3四半期に利下げが始まる」との見方を示し、「インフレ率は2024年末時点で2.4%前後になり、目標の2%からさほど離れていない見通しだ」 --------
12/15 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「2023年に多くの進展を遂げてきたが、な注意しておこう。まだ終わっていない。従って、データが今後の金利動向を左右することになる」 --------
12/15 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「利下げについて協議しているというほどでもない」、(来年3月の利下げについて考えるのは)「時期尚早だ」、「パウエル議長が言ったように、問題はインフレ率が2%に下がるのを確実にするため、金融政策は十分景気抑制的なスタンスになったかどうかだ、それが目前にある問題だ」 ドル円は141円台後半から142円台半ばまで買われる。
12/14 ラガルド・ECB総裁 「決して警戒を緩めてはならない。利下げについては全く議論しなかった」(消費者物価の上振れリスクは続いていると警告し)、「現在あるデータを見ると、圧力は弱まっていない」 市場の利下げ観測を一蹴したことで、ユーロドルは1.09台から1.10台に上昇。
12/13 パウエル・FRB議長 「予測はあらかじめ決められた計画ではない。物価上昇圧力が再び台頭しないようにするため、追加利上げの選択肢を外す用意はない」、「利下げは視野に入り始めており、実社会で話題になっているのは明白だ。今回のFOMC会合でも議論した」 株と債券が急騰。金利が大幅に低下したことでドル円は145円前後から142円台半ばまで下落。
12/13 FOMC声明文 「最近の複数の指標は、経済活動の伸びが第3四半期の力強いペースから鈍化してきたことを示唆する。雇用の伸びは今年の早い時期より緩やかになってきているが、強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレはこの1年で緩和したが、依然として高い水準にある」 --------
12/6 シュナーベル・ECB理事 「直近のインフレ率を見ると、追加利上げの可能性はかなり低い」、「11月のインフレ速報値は非常に嬉しいサプライズだった。最も重要なのは、より頑固だった基調的インフレ率が、予想以上に急激に低下していたことだ。これは驚くべきことだ。全体として、インフレの進展は心強い」 ユーロ安が進み、ユーロドルは1.0760まで売られる。
12/5 ブロック・RBA総裁 「インフレ率を合理的な時間枠で当局目標に確実に回帰させるため、金融政策のさらなる引き締めが必要かどうかはデータやリスクの評価に左右される」、「インフレ率を目標に回帰させる確固たる決意に変わりはなく、それを達成するために必要なことを行うつもりだ」 --------
12/1 パウエル・FRB議長 「かなり急ピッチでここまで来たあと、FOMCは慎重に前進している。引き締め不足と引き締め過ぎのリスクは一段とバランスが取れてきている」、「政策は今、かなり景気抑制的な領域に入っている」、「十分景気抑制的なスタンスを達成したと確信を持って結論付ける、あるいは金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だ。追加の金融引き締めが適切になる場合、そうする用意がある」 株式と債券が買われ、ドル円は148円台から146円台半ばまで下落。金価格も過去最高値を記録。
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和