今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米長期金利一時4.46%台に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 底堅い動きを続けるドル円はNYのオープン時に151円94銭まで買われる。介入警戒感からそれ以上の上昇は見られなかったが米金利の上昇もあり、底堅い展開か。
  • ユーロドルは1.08台でもみ合い。
  • 株式市場は3指数がまちまちながらほぼ横ばい。ダウは上げ、他の2指数は下げる。
  • 債券は続落。長期金利は一時、昨年11月以来となる4.46%まで上昇し、4.42%台で引ける。
  • 金は7日続伸し最高値を更新。原油は7日ぶりに小反落。
ドル/円 151.73 〜 151.94
ユーロ/ドル 1.0822 〜 1.0862
ユーロ/円 164.40 〜 164.90
NYダウ −11.24 → 38,892.80ドル
GOLD +5.60 → 2,351.00ドル
WTI −0.48 → 86.43ドル
米10年国債 +0.018 → 4.420%

本日の注目イベント

  • 豪 豪4月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 豪 豪3月NAB企業景況感指数

本日のコメント

昨日のウィークリー・コメントに、「ドル円は先月20日に151円81銭まで上昇して以来、151円70銭を越えるのは今日(8日)までで10回ほどあります。そして全ては151円台後半で押し戻される展開が続いています。かといってドル売りが進むわけではないものの、151円台後半では『介入警戒感』が相当強く、152円台までドルを買い上げる『勇気』はないようです」と書きました。昨日のNYの朝方にも再び151円94銭までドルが買われる場面がありました。米長期金利が昨年11月以来となる4.46%台まで上昇したことを手掛かりにドルが買われたようですが、結局昨日も152円テストには至っていません。ただ、それでも今朝の本稿執筆時は151円80銭以上で推移しており、152円台は手の届く位置にあります。明日の消費者物価指数(CPI)が「大本命」ですが、何かのきっかけで届く可能性はありそうです。

金価格が昨日も続伸し、一時「2372ドル」まで上昇する場面がありました。中国で金ブームが起きていることは聞いていましたが、昨日は中国で、金関連企業に投資するETF取引が一時停止されたというニュースがありました。中国の華夏基金管理は8日、投資家の利益を守るため「チャイナAMC CSI SH−SZ−HK金産業株ETF」の取引を現地時間午前10時30分まで停止したと発表しました。取引停止は3日以来2度目とのことです。報道によると、中国では最近金取引に投資家が殺到しているとのことで、米国の利下げ期待や地政学的な高まりが背景にあることも買い材料になっており、中国の中央銀行である人民銀行も大口の買い手で、大量の金を準備資産として購入している模様です。人民銀行の金保有高は17カ月連続で増加しており、保有していた米国債を売って金に換えていると見られます。

イスラエルとパレスチナ自治区ガザでの停戦交渉が進展を見せています。イスラエルのカッツ外相は8日陸軍ラジオに対して、「われわれは重大な局面を迎えている」と述べ、「交渉が上手く進めば多くの人質が帰還し、その後段階的に全員が解放されるだろう。しかし、イスラム組織ハマスを相手にした交渉であり、時間はあまりない。以前よりは楽観が増しているということだ」と続けています。(ブルームバーグ)今回の報道はイスラエルとハマスの衝突以来、停戦に向け最も期待できそうな状況になっています。

市場は明日の米3月の消費者物価指数の発表が、ドル円が152円を試すとすれば一つのきっかけになる可能性があることに注目しています。CPIが2月と同様に上振れするようだと、ドル買いに弾みが付く可能性があり、152円台乗せもあり得るかもしれません。また、152円台に乗せれば上昇にも勢いが付くことも予想されますが、その際には当然「実弾介入」に細心の注意が必要になります。財務省のここ最近の発言を考えると、152円台に乗せドル買いに勢いが付いた局面を放置しておくとは考えられません。本日のドル円は151円20銭〜152円20銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
4/5 ローガン・ダラス連銀総裁 (インフレ率の上昇や、借り入れコストが以前考えられていたほど景気を抑制していない事実を理由に挙げ)、「こうしたリスクを踏まえると、利下げについて考えるのはあまりに早過ぎる」 --------
4/5 ボウマン・FRB理事 「インフレ率が当局の2%に向かって持続的に低下していることが今後のデータで引き続き示唆されれば、金融政策が過度に抑制的にならないよう政策金利を徐々に引き下げるのがいずれ適切になるだろう」、「しかし、政策金利を引き下げるのに適切な地点にはまだ至っていない。複数のインフレ上振れリスクが引き続き見られる」 --------
4/4 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「一段の明瞭さを得るべく利下げまでに時間をかけるのが賢明だ」 --------
4/4 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「年初に予想を上回るインフレ指標が示されたものの、物価の伸びが鈍化しているという全体像が変わることはないだろう」 --------
4/4 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「現在の状況はあるべき姿ではない。インフレはなお高すぎる」 --------
4/4 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「インフレの横ばい推移が続くようであれば、利下げを実施する必要があるのかどうか疑問が生じる」、「特に、経済が堅調を維持する場合はなおさらだ」 NYダウ530ドル下落。ドル円はリスク回避から151円70銭台から151円13銭まで売られる。
4/3 クーグラー・FRB理事 「堅調な供給を背景に需要の伸びが鈍化しているため、失業率がかなり上昇することなく、さらなるディスインフレが実現するというのが私の基本的な予想だ」、「ディスインフレと労働市場の現状が私の予想通り進めば、今年中に政策金利をいくらか引き下げるのが適切だろう」 --------
4/3 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「今年末、つまり第4四半期の利下げを開始するのが適切になると思う」、「インフレの軌道が鈍化すれば、多くの人が予想している以上に辛抱強くなる必要があるだろう」 --------
4/3 パウエル・FRB議長 最近のインフレデータは予想を上回ったものの、全体像を有意に変えるものではなかった」、「年内どこかの時点で利下げを開始するのが適切になる可能性が高い」、「経済の強さと、インフレ面でのこれまでの進展を踏まえれば、今後発表されるデータに政策判断を導いてもらう時間はある」 --------
4/2 デーリー・SF連銀総裁 「成長は好調なので、金利を調整する緊急性はない。これは非常に合理的な基本シナリオだと思う」 --------
4/2 メスター・クリーブランド連銀総裁 「利下げを開始する前にインフレが鈍化しているというさらなる証拠を目にしたい。今年は3回の利下げが適切になる可能性が高いが、それより少ない回数が必要になるのかどうかは五分五分だ」 --------
3/29 パウエル・FRB議長 「米経済が非常に堅調なペースで成長し、労働市場も極めて強いという事実は、われわれが利下げという重要な一歩を踏み出す前にインフレ率の低下についてもう少し確信を強める機会を与えてくれる」、「早過ぎる利下げがインフレの再燃を招く一方、遅すぎる対応は、不必要ダメージを経済に与えることになり、慎重な対応が必要だ」、「利上げを急ぐ必要はない」 --------
3/27 ウォラー・FRB理事 利下げに踏み切る前に、少なくとも数カ月分の良い内容のインフレデータを目にしたい」、「最近の経済データでは年内に予想される利下げを遅らせるか、利下げ回数を減らすことが裏付けられる。金利引き下げを急ぐことはないと」 --------
3/27 神田・財務省財務官 「最近の円安の進展はファンダメンタルズに沿ったものとは到底言えず、背景に投機的な動きがあることは明らかだ。行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」、「最近の円安傾向はなだらかなものとは到底言えない」 介入警戒感が強まり、151円97銭まで買われたドル円は、その後151円03銭前後まで下落。
3/25 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「これに関して私の予想は中央値だった」(3回の利下げを見込んでいた) --------
3/25 クック・FRB理事 「雇用とインフレの2大責務はより良いバランスになりつつある」、「しかしながら物価の安定を完全に回復するためには、時間をかけて金融政策を緩和する慎重なアプローチが必要になるだろう」 --------
3/25 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (年内の利下げは1回にとどまるとの見方を改めて示し)、「自身の見通しに沿って経済が推移すれば、忍耐強くいられると思う」 --------
3/22 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「インフレの軌道について昨年12月時点よりも確信がない。主要な数字の陰には厄介なことがいくつかある」、「今年の利下げは1回に留まると現時点では予想している」 --------
3/20 パウエル・FRB議長 「インフレ率が目標の2%に向う全体的なストーリーは変わっていない。たとえ労働市場が堅調であっても、利下げ開始を止められないだろう」 ドル円は151円台半ばから150円74銭まで下落。株価は大幅高。債券も小幅に買われる。
3/20 FOMC議事録 「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示唆している。雇用の伸びは強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレはこの1年で緩和したが、依然として高い水準にある」、「委員会は目標実現を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標レンジを5.25−5.5%に据え置くことを決めた。FF金利誘導目標レンジに対するいかなる調整も、委員会はそれを検討する上で、今後入手するデータや変化する見通し、リスクのバランスを慎重に見極める。委員会はインフレ率が持続的に2%に向っているとの確信を強めるまで、誘導目標レンジの引き下げが適切になるとは見ていない」 --------
3/18 ウォーレン・サンダース議員などからの書簡 「利下げに向けた明確かつ迅速なタイムテーブルを提示するよう」、(利下げは)「理想的には5月のFOMCから開始するのが望ましい」 --------
3/9 バイデン大統領 「保証はできないが、金利はもっと下がるのは間違いない」、「金利を決定する小さな組織が今後引き下げに動くと確信するからだ」 --------
3/7 パウエル・FRB議長(議会証言) 「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信が強まるのを待っている」、「その確信を得た時点で、今から遠くないその時点で、景気抑制の度合いを巻き戻し始めるのが適切になるだろう」 株と債券が買われ、ドル円は147円52銭まで下落。
3/7 中川・日銀審議委員 「2%の物価安定目標の実現に向けて、着実に歩みを進めている」 ドル円は148円台後半から148円台半ばまで売られる。プラス圏で推移していた日経平均株価も大きく下落。
3/6 パウエル・FRB議長(議会証言) 「インフレとの闘いで勝利したとの確信を得るまでは性急に利下げに動く考えはない」、「年内いずれかの時点で、利下げを開始するのが適切になる可能性が高い」、「当局としてはまだその用意はない」 株と債券が買われ、ドル円は149円10銭まで下落。
3/4 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「7−9月に1回利下げを始めるのが適切だ」、「利下げが連続したものになることは恐らくないだろう」、「不確実性を考えると、行動を起こした後に市場参加者や企業幹部、および家計がそえにどう反応するかを見ることがある程度望ましいのではないかと思う」 株と債券が売られドルが買われる。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和