今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「5月のPPIは予想外のマイナス」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 前日155円73銭まで売られたドル円は157円台を回復。この日は米5月のPPIや失業保険申請件数が利下げにプラスに働き、156円台半ばまで売られたが再び157円台に反発。
  • ユーロドルは1.08台まで上昇したがその後反落。
  • 株式市場ではハイテク株の上昇が続き、ナスダックとS&P500は4日連続で最高値を更新。一方ダウは3日続落。
  • 債券は続伸。長期金利は4.24%台に低下。
  • 金は大幅に反落。原油は4日続伸。
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5月生産者物価指数 → −0.2%
新規失業保険申請件数 → 24.2万
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ドル/円 156.59 〜 157.27
ユーロ/ドル 1.0732 〜 1.0815
ユーロ/円 168.27 〜 169.85
NYダウ −66.11 → 38,647.10ドル
GOLD −36.80 → 2,318.00ドル
WTI +0.12 → 78.62ドル
米10年国債 −0.072 → 4.244%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合
  • 日 植田日銀総裁記者会見
  • 日 4月鉱工業生産(確定値)
  • 欧 ユーロ圏4月貿易収支
  • 欧 ラガルド・ECB総裁講演
  • 米 5月輸入物価指数
  • 米 5月輸出物価指数
  • 米 6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、座談会に参加
  • 米 クック・FRB理事講演

本日のコメント

ドル円の底堅さというか、円の弱さには目を見張るものがあります。前日の5月の消費者物価指数(CPI)の鈍化に加え、この日発表された5月の生産者物価指数(PPI)も予想を下回り、さらに週間失業保険申請件数も予想より増加していました。米長期金利は5月22日以来となる4.2%台まで低下。ドル売り材料が揃ったわりにはドルの下値は限定的でした。発表を受けてドル円は156円59銭まで売られましたが、その後再び157円台に戻してNYでの取引を終えています。市場のセンチメントは短期的であっても、なかなか変わりません。

5月のPPIは市場予想の「+0.1%」から大きく乖離し「−0.1%」と、7カ月ぶりの低水準でした。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは前月比変わらず、こちらも市場予想の「+0.3%」を大きく下回っていました。ブルームバーグは、「昨日のFOMCを信じていない向きには勇気づけられる数字だろう。FOMCは今年の利下げは一度だけとの見方を示した。予想外の低下は、ディスインフレがより持続可能なペースで一段と深まり始めたとの期待を裏付ける」といった、エコノミストのコメントを紹介していました。前日のFOMCでのメンバーの予想では、年内は1回の利下げにとどまるとの見通しでしたが、2回の利下げを予想したメンバーは8人と、最多でした。「利下げ回数ゼロ」を予想したメンバーが4人いたことから、中心値としては「1回」になりましたが、「1回」を予想した7人よりも多かったことは記憶しておきたいと思います。また、失業保険申請件数も「24.2万件」と、先週よりも1万3000件増加していました。この時期は祝日や学校の年度終了で申請件数が大きく変動する傾向があるようですが、4週移動平均でも「22.7万件」となっており、昨年9月以来の高水準になっているも事実です。この点にも個人的には注目しています。

市場はFRBの利下げ回数に対して悲観的過ぎるのではないかと思う節もあります。労働市場など、米景気の底堅さを示唆するデータがある一方、景気の鈍化を示唆するデータもそれらを上回るほどあります。コンファレンスボードが発表する消費者マインドでは、5月は「102」(1月は「110.9」)で、5月の景気先行総合指数では「−0.6」(1月は「−0.4」)、さらにミシガン大学消費者マインドでも、5月は「69.1」(1月は「79」)といった具合です。また米長期金利の低下も加速しており、NY株式市場ではナスダックとS&P500が、今週に入ってからは連日で最高値を更新していることも、利下げを織り込む動きと見ることができそうです。今後さらにインフレの鈍化が示される数字が出れば、一気に円の巻き戻しが起こる可能性には注意したいと思います。

トランプ氏は13日、経営トップとの会合で自身が大統領に返り咲いたら、法人税率を20%に引き下げると約束しました。現行の法人税率は21%でわずか「1%」の引き下げですが、高収益を上げている大企業にとっては決して少ない金額ではありません。この日の会合にはJPモルガンのダイモンCEOやアップルのクックCEOも参加しています。因みに、アップルの純利益は15−20兆円と見込まれており、仮に15兆円としても1500億円にもなります。JPモルガンでも7−8兆円程の利益を稼ぐと見られます。

本日は日銀決定会合の結果が発表されます。例によって会合終了次第結果が公表されますが、注目は国債買い入れの減額を決めるかどうかです。また、植田総裁の会見でも、介入にもかかわらず「止まらない円安」について言及があるのかどうかです。これまで「為替を見ながら金融政策を決めているわけではない」といった姿勢でしたが、「基調的な物価上昇に影響を与えるようなら、金融政策の変更も有り得る」とのスタンスに変わりつつあることから、記者会見ではこれについての質問も出そうです。

本日のドル円は156円〜157円80銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/12 パウエル・FRB議長 「最近のインフレ指標は今年の早い時期より良好な内容で、われわれのインフレ目標に向けて緩慢なる一段の進展が見られている」、「インフレ率が持続的に2%に向っているという確信を強めるには、良好なデータをさらに目にする必要がある」、「今回の統計が確信を強める上では前進と言えるが、現時点での利下げを正当化するほどではない」 ドル円は155円台から156円台に反発。
6/12 FOMC声明文 「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。雇用の伸びは強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレはこの1年で緩和したが、依然として高い水準にある。委員会は目標実現のため、FF金利誘導目標レンジを5.25−5.5%に据え置くことを決めた。委員会はインフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」 --------
6/10 ラガルド・ECB総裁 「われわれは適切な決定を下したが、それは金利が直線的な低下軌道にあることを意味するものではない」、「われわれは新たな見通しが立った時のみならず、あらゆる段階で再評価を行う」、「ディスインフレは十分に進行しており、向こう1年半にわたり継続すると考えている。そのため金利を引き下げる可能性がある。だが、まだ勝利宣言はしない」 --------
6/6 ホルツマン・オーストリア中銀総裁 「年内3回のECB利下げという当初の想定が現実になり、一方でFRBが相応の動きをしなかった場合、為替レートやインフレ率に影響を与えることは間違いない」、「さまざまな意見がかわされたが、政策委員会の見解は他に方法はないというものだった」 --------
6/6 ラガルド・ECB総裁 「今日から利上げを巻き戻す段階に移行するのかと聞かれれば、そうだとは言わない。その可能性は極めて高いが、データ次第だろう。非常に不確実なのは、われわれが進むスピードとそれに要する時間だ」、「委員会は引き続き、会合ごとのアプローチを取る。特定の金利の道筋をあらかじめ約束はしない。利下げ決定は1人を除く全員が同意した」 タカ派的な内容だったためユーロドルは1.09台まで買われる。
5/30 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「経済は時間の経過とともにバランス改善に向かっており、米国外でのディスインフレが世界的なインフレ圧力を弱めている。インフレは今年後半に沈静化を再開すると予想している」、「この1年に経済動向から、金融政策が景気抑制的であり、われわれの目標達成を助けている十分な証拠が得られた」、「今月中旬には金融政策が良い状態にある」、「インフレ率が目標に近づくというもっと強い確信が必要だ」 --------
5/28 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「利上げを選択肢から完全に排除した人は誰もいないと思う」と発言し、「利上げを実施する確率はかなり低いが、選択肢からは何も排除したくない」と述べその上で、「賃金の伸びは、最終的に2%のインフレ目標と整合的と思われる水準に比べてまだ堅調だ。新たな政策決定を下す前に、需要にどれほどの下押し圧力がかかっているのか見極める時間はある」上げを実施する確率はかなり低いが、選択肢からは何も排除したくない」と述べその上で、「賃金の伸びは、最終的に2%のインフレ目標と整合的と思われる水準に比べてまだ堅調だ。新たな政策決定を下す前に、需要にどれほどの下押し圧力がかかっているのか見極める時間はある」 債券が売られ、金利上昇にドル円は157円20銭まで買われる。
5/27 レーン・ECB理事 景気抑制の適切な度合いと期間を決定するため、引き続きデータに依存し、会合ごとのアプローチに従う」 --------
5/27 ビルロワドガロー・仏中銀総裁 「ECBは6月と7月の会合で利下げをする可能性を排除すべきではない」 --------
5/23 ビルロワドガロー・仏中銀総裁 「インフレ面でわれわれの確信は増した。従って予想外の事態がなければ、次回の政策委員会会合で初回の利下げを実施する可能性は極めて高い」 --------
5/22 FOMC議事録 「参加者は1−3月のインフレデータが期待外れだったと指摘した」、「インフレ率が持続的に2%に向っている兆候が示されない場合は、政策金利をより長期に維持すること、あるいは労働市場が予想外に弱まった場合に景気抑制の度合いを和らげることを議論した」 株と債券が売られ、ドル円は156円85銭まで買われる。
5/21 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「米金融当局は10−12月に利下げを開始できる可能性が高い」 --------
5/21 バー・FRB副議長 「われわれは以前考えていたより長い間、現在の金利を据え置く必要がある。そうするのに良好な状況だと考えている」 株と債券が買われ、ドル円は156円台半ばから155円85銭まで下落。
5/21 ウォラー・FRB理事 「私がまだ教授で、このインフレ統計に成績を付けるとすれば、『Cプラス』を与えるだろう。落第から程遠いが優秀とも言えない」、「最新のCPIはインフレが加速していないという良い兆候であり、消費と労働市場に関するデータはインフレを押し下げる圧力を加えるという意味で、金融政策が適切に設定されていることを示唆していると私には見受けられる」、(追加利上げについては)、「おそらく不要だろう」 株と債券が買われ、ドル円は156円台半ばから155円85銭まで下落。
5/16 メスター・クリーブランド連銀総裁 「入ってくる情報は、インフレ鎮静化の確信を得るのに、より長い時間がかかることを示唆している。インフレが持続的に、また時宜を得た形で2%に戻る道筋にあることを確信させる十分な証拠がないまま、金利をあまり早く急激に下げれば、これまでのインフレ鎮静化の進展が台無しになる恐れがある」 株と債券が売られ、ドル円は買われる。
5/16 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「適切な方法で持続的に2%に達するには、もう少し時間がかかると思う」、「サービスではまだ多くの動きがあり、少し時間がかかりそうだ。われわれは正しい道のりを進んでいると確信している」 株と債券が売られ、ドル円は買われる。
5/16 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「今、金融政策のスタンスを変える理由があることを示す指標は見当たらない。インフレ率が2%目標に近づくという、より強い確信が必要だが、近い将来これが得られるとは思わない」 株と債券が売られ、ドル円は買われる。
5/14 パウエル・FRB議長 「米国は第1四半期、インフレ沈静化のさらなる進展を著しく欠いた。順調な道のりになるとは考えていなかったが、この間のインフレは誰の予想よりも高い水準だった」、「われわれは忍耐強くあるべきで、景気抑制的な政策がその効果を発揮するのを待つ必要があることが分かった」、「インフレ率が時間とともに2%に低下するとの確信を得るまで、より長い時間がかかりそうだ」、「米金融当局の次の動きが利上げになる公算は小さい」、「政策金利を現行水準に維持する可能性の方が高い」 --------
5/13 イエレン・財務長官 「I’m not going to comment on a situation in specific country」(特定な国についてのコメントはするつもりはない)としながらも、「それぞれの国にとって介入は可能だ。よりファンダメンタルな変化を伴わない限り、極めてまれなケースであるべきで、貿易相手国に伝達するのが適切だろう」、「ドル相場を見る上でどの通貨を注視しているか」という質問に対しては、「ユーロと円、人民元だ」 ドル高に作用しドル円は156円26銭まで上昇。
5/13 ジェファーソン・FRB副議長 「インフレを当局目標に下げるという点で進展が鈍化していることから、政策金利を現在のような景気抑制的な領域に維持することが適切だ」、「われわれは、インフレ率が2%目標へと下がることを示すさらなる証拠を探し続けている。そうした証拠が得られるまで、政策金利を景気抑制的な領域にとどめておくことが適切だろう」 ドル高に作用しドル円は156円26銭まで上昇。
5/9 ボウマン・FRB理事 (今年に入りインフレの根強さを示す指標が続いている点を指摘して)、「年内に利下げを開始することが適切になるとは思わない」 --------
5/9 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ率の高止まりと、堅調な労働市場を考慮すると、政策には慎重で忍耐強いアプローチが必要」、「今後を予想するのは難しい。インフレ減速が持続することを期待している」 --------
5/9 グールズビー・シカゴ連銀総 「現時点においては、インフレ面での進展が3%で失速しているという証拠はあまりないというのが私の見解だ」、「金融政策は、比較的抑制的だ。この先多くのデータが得られると分かっている状況で、自ら手を縛るのは理にかなわない」 --------
5/8 コリンズ・ボストン連銀総裁 「最近の経済活動とインフレ率の上振れは、インフレ率が持続的に2%に向っているとの確信が高まるまで、政策を現在の水準に維持しなければならない可能性が高いことを示唆している」、「最近のデータから、従来の想定以上に時間がかかるだろうと考えている」、「インフレ鈍化の道のりが曲折を経ても驚くべきではない」、「現在の状況を踏まえると、進展に時間がかかり、まだら模様が続くことを認識した上で、整然とした忍耐強さが必要だ」 ややドル高に作用。
5/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「間違いなく失速していると断言するにはやや時期尚早だ。現在われわれは良い位置にある。労働市場は依然として強く、ディスインフレが続くのであれば素晴らしいが、そうでない場合は、そのことを受け入れる必要がある」、「インフレが再び下がり始める、あるいは労働市場に著しい軟化がいくらか見られた場合、金利を引き下げるかもしれない。一方で、インフレが3%で定着し、金利を引き上げる必要があると最終的に確信した場合は、必要に応じてそうするだろう」、「インフレは直近四半期に横ばいで推移しており、政策がどれほど実際に抑制的か疑問を提起する」 市場はややドル高で反応。
5/6 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現行の景気抑制的な金利水準が需要を抑制できると、私は楽観している。金利上昇の本格的な影響はこれから表れる」 --------
5/6 ウィリアムズ・NY連銀総裁 データは予測不可能な形で上下する可能性がある」と指摘し、「過去1年半に見られた兆候は概ね良好だったが、政策当局者としては、経済のバランスを回復させるという点で、インフレがわれわれの望む方向に進んでいるという証拠をさらに目にする必要がある。そして、それに基づいてわれわれは決定を下すことになる」 --------
5/1 パウエル・FRB議長 「今年これまでのところ、特に確信を深められるようなデータは得られていない。インフレに関する指標は予想を上回っている。確信を強めるには、従来の想定よりも時間がかかりそうだ」(一方で次の一手については)、「FOMCの次の動きが利上げになる可能性は低い」と指摘し、「利上げに踏み切るには、インフレ率を当局目標の2%に戻す上で政策の引き締めが不十分だという説得力ある証拠を目にする必要がある」 債券が買われ、金利が低下。ドル円は157円台後半からやや下落。
5/1 FOMC声明文 「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。雇用の伸びは強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレはこの1年で緩和したが、依然として高い水準にある。ここ数カ月、委員会が目指す2%のインフレ目標に向けた一段の進展は見られていない」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和