「ユーロ円174円台半ばに急騰」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は欧州市場で161円95銭まで買われたが、NYの朝方には経済指標が軒並み景気減速を示唆するものだったことで160円77銭まで急落。ただ、その後再び161円台後半まで反発。
- ユーロドルは続伸し、1.0817まで上昇。ユーロ円の買いも活発となり、一時174円52銭前後に急騰。
- 景気減速を示唆する指標が相次いだことで株式市場ではナスダックとS&P500が揃って最高値を更新。一方ダウは23ドル安。
- 債券は続伸。市場予想を下回る経済指標が示され、9月利下げの可能性がより高まったことで債券は買われる。長期金利は4.35%台に低下。
- 金は大幅に反発。原油も買われ83ドル台に。
6月ADP雇用者数 → 15.0万人
新規失業保険申請件数 → 23.8万件
5月製造業受注 → −0.5%
5月貿易収支 → −75.1b
6月ISM非製造業景況指数 → 48.8
6月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 55.3
6月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 54.8
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| ドル/円 | 160.77 〜 161.94 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.0755 〜 1.0817 |
| ユーロ/円 | 173.77 〜 174.52 |
| NYダウ | −23.85 → 39,308.00ドル |
| GOLD | +36.00 → 2,369.40ドル |
| WTI | +1.07 → 83.88ドル |
| 米10年国債 | −0.073 → 4.359% |
本日の注目イベント
- 豪 豪5月貿易収支
- 独 独5月製造業新規受注
- 欧 ECB議事要旨(6月開催分)
- 英 総選挙
- 米 株式、債券市場休場(独立記念日)
本日のコメント
昨日のドル円の動きにはやや驚きを隠せません。NY市場では、発表された経済指標はほぼ景気の減速を示唆するもので、FRBの利下げを後押しするものでした。それまでの欧州市場でドル円は小刻みに上昇し、161円96銭近辺までドル高が進んでいた中での、米経済指標の下振れに、ドル円は急落。160円77銭近辺まで下げ、1円以上も売られました。9月のFOMC会合での利下げの確率がより高まったことから当然の動きでしたが、問題はそこからの反発でした。米金利が低下する中、161円75銭まで反発する動きはなかなか説明できません。
昨日の日本の債券市場では10年債が売られ、長期金利は1.10%台まで上昇しました。足元で円安が進んでいることから、今月30−31日に開催される日銀金融政策決定会合では、国債購入の大幅減額と利上げが同時に行われるのではないかといった観測も出始めています。そうでもしないと、円安の流れは止められないといった危機感のようなものもあり、植田総裁もその可能性を排除していません。FRBの利下げと日銀の利上げが見込まれるとすれば、一旦円がある程度買い戻されてもおかしくはない状況のようにも思えます。もっとも、昨日はドル円で円安が進んだこともありましたが、ユーロ円などクロス円でも大きく円が売られたことも、回りまわってドル円を支えたようです。ユーロ円は史上最高値となる174円52銭前後まで上昇し、豪ドル円も108円50銭辺りまで買われ、こちらも2008年9月の「リーマンショック」前の高値を抜き、30年以上もチャート遡らなければ確認できない状況です。欧州、豪州、米国からのワインの価格が上昇することは必至でしょう。
それにしても昨日の米経済指標は揃って弱かったです。新規失業保険申請件数は、先週から4000件増えて「23.8万件」でした。より傾向が示される4週移動平均でも「23.9万件」に増加しています。また失業保険の継続受給者は9週連続で増え、2018年以来の長期増加局面となっており、再就職探しが難しさを増している状況かと思われます。民間の雇用統計である6月のADP雇用者数は「15万人」でした。こちらも増加ペースが一段と減速しており、ADPのチーフ・エコノミストは、「雇用の伸びは堅調だが、広範にわたっていない」と述べ、好調な労働市場にも、景気抑制的政策による減速の足音がヒタヒタと迫って来た印象です。
さらに6月のISM非製造業景況指数は、4年ぶりの低水準でした。指数は「48.8」と、活動の拡大と縮小の境目である「50」を大きく割り込んでいました。結果は、前月の「53.8」、今月の市場予想の「52.7」からも大きく下振れしています。また5月の製造業受注も、前月比で「0.5%減少」していました。これだけ景気減速を示唆するデータが出たにもかかわらず、一旦売られたドル円が再び値を戻す動きには驚きです。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は再選を目指すバイデン氏に対して、「近日中に世論を動かせられなければ断念せざるを得ないかもしれないと、バイデン氏が側近に漏らした」と報じました。ホワイトハウスとバイデン陣営は直ちにこの報道の内容を否定しましたが、このままでは、大統領選でバイデン氏がトランプ氏に負けるだけではなく、議会選挙でも不利になるとの見方が民主党内で広まっているようです。数十人の同党下院議員がバイデン氏に大統領候補からの撤退を求める書簡への署名を検討しているとも伝えられています。バイデン大統領はハリス副大統領とともに臨んだ電話会議では、「この選挙戦を最後まで闘い抜く。民主党が団結すれば、われわれは常に勝利する」と話しています。バイデン氏にとって、先のテレビ討論会でのパフォーマンスが大きな 分岐点になったようです。
今朝のドル円はほぼ前日の水準で推移しています。上でも述べたように、発表されるデータは強弱入り混ざったものですが、徐々に下振れする割合が増える可能性もあります。ここからは介入警戒感だけではなく、発表されるデータにも、より注意する必要がありそうです。また今日はNY市場が休場で、参加者が少ないことにも注意が必要です。
本日のドル円は160円50銭〜162円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 7/2 | パウエル・FRB議長 | 「米経済は力強く、労働市場も強いことから、われわれは時間をかけて正しく対応することが可能だ」、「それがわれわれの計画だ」、(前回のインフレ統計とその前のデータについて)、「ディスインフレの軌道に戻りつつあることを示唆している」、「最近見られたようなデータがさらに続くのが望ましい」 | 株と債券が買われ、金利が低下したことでドル円は161円台前半まで売られる。 |
| 6/26 | 神田・財務官 | 「行き過ぎた動きに対して必要な対応を取る」と述べ、「特定の相場水準を対象には考えておらず、あくまで投機などによる急激な変動あるいは無秩序な動きに対して対応する方針に変わりはない」、「最近の円安の進行には深刻な懸念を有している」、「高い緊張感を持って市場の動向を注視している」 | ドル円が160円台半ばまで上昇した際に。発言を受けやや円が買い戻されたが、直ぐに円売りが再燃。 |
| 6/25 | クック・FRB理事 | 「インフレが大幅に改善し、労働市場が徐々に冷え込む状況では、経済の健全なバランスを維持するために政策の抑制度合いを緩和することが、ある時点で適切となるだろう」、「3カ月と6カ月先のインフレ率は23年下期(7−12月)に見られたような『良好な数字』と類似したものになると予想している」 | -------- |
| 6/25 | ボウマン・FRB理事 | 「経済見通しを巡るリスクと不確実性を踏まえ、政策スタンスの将来的な変更を検討するアプローチにおいて、私は慎重姿勢を保つつもりだ」 | -------- |
| 6/24 | デーリー・SF連銀総裁 | 「労働市場の調整は今のところ緩やかで、失業率は小幅にしか上昇していない。しかし、このような緩やかな展開になる可能性が低下する時点に近づいている」 | -------- |
| 6/24 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「インフレに関してここ1カ月に見られたようなデータがさらに数カ月続き、実体経済の他の部分の状況も鈍化した場合、『これまでのような景気抑制的な政策を維持すべきなのだろうか』という疑問を持ち始めざるを得なくなる」、「インフレ率が当局目標の2%に向けて低下しているという確信をもう少し強められると期待している」 | -------- |
| 6/20 | 米財務省 | 「財務省としては、自由に取引される大規模な為替市場で介入は適切な事前協議を伴う形で極めて例外的な状況に限定されるべきだ」、「日本は為替運営の点で透明性がある」 | 日本を為替「監視リスト」に追加。ドル円の上昇要因となり、ドル円は158円95銭まで買われる。 |
| 6/20 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | (米金融当局はインフレ率を目標の2%へと引き下げるとしつつも)、「それには1、2年かかる可能性が高い」 | ドル円の上昇要因となり、ドル円は158円95銭まで買われる。 |
| 6/20 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「今回のインフレの数字は非常に心強いもので、こうした数字がさらに得られるなら、利下げは可能だというのが私の見解だ」 | -------- |
| 6/18 | 植田・日銀総裁 | (7月会合までに入手できる経済・物価・金融情勢い関するデータや情報次第としながらも)、「場合によっては政策金利が引き上げられるということも十分あり得るというふうに考えている」、「基調的な物価上昇率がしっかりと高まっていくかどうか、もう少し引き続き点検していく必要があると考えた」 | やや円を買い戻す動きもあり、ドル円は小幅に下落。 |
| 6/17 | ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 | 「現時点における自身の予想に基づけば、年内1回の利下げが適切だ。ただ、利下げの前にさらに数ケ月のインフレ改善を確認したい」 | -------- |
| 6/14 | メスター・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレに対するリスクはまだ上向きだと考えている。労働市場へのリスクは両方向だと思う」、(今年1回の利下げを示唆した最新のFOMC予想について)、「自分の経済予測とかなり近い」 | -------- |
| 6/14 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「インフレ率が2%に戻りつつあることを確信するには、もっと多くの証拠が必要だ。われわれは現在、何らかの意思を決定する前に時間をかけてインフレ統計、および経済や労働市場に関するデータをさらに見られる非常に良い位置にいる」、「年内に1回の利下げがあるとすれば、年末に向けて行われる公算が大きい」 | -------- |
| 6/12 | パウエル・FRB議長 | 「最近のインフレ指標は今年の早い時期より良好な内容で、われわれのインフレ目標に向けて緩慢なる一段の進展が見られている」、「インフレ率が持続的に2%に向っているという確信を強めるには、良好なデータをさらに目にする必要がある」、「今回の統計が確信を強める上では前進と言えるが、現時点での利下げを正当化するほどではない」 | ドル円は155円台から156円台に反発。 |
| 6/12 | FOMC声明文 | 「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。雇用の伸びは強さを維持しており、失業率は低いままだ。インフレはこの1年で緩和したが、依然として高い水準にある。委員会は目標実現のため、FF金利誘導目標レンジを5.25−5.5%に据え置くことを決めた。委員会はインフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」 | -------- |
| 6/10 | ラガルド・ECB総裁 | 「われわれは適切な決定を下したが、それは金利が直線的な低下軌道にあることを意味するものではない」、「われわれは新たな見通しが立った時のみならず、あらゆる段階で再評価を行う」、「ディスインフレは十分に進行しており、向こう1年半にわたり継続すると考えている。そのため金利を引き下げる可能性がある。だが、まだ勝利宣言はしない」 | -------- |
| 6/6 | ホルツマン・オーストリア中銀総裁 | 「年内3回のECB利下げという当初の想定が現実になり、一方でFRBが相応の動きをしなかった場合、為替レートやインフレ率に影響を与えることは間違いない」、「さまざまな意見がかわされたが、政策委員会の見解は他に方法はないというものだった」 | -------- |
| 6/6 | ラガルド・ECB総裁 | 「今日から利上げを巻き戻す段階に移行するのかと聞かれれば、そうだとは言わない。その可能性は極めて高いが、データ次第だろう。非常に不確実なのは、われわれが進むスピードとそれに要する時間だ」、「委員会は引き続き、会合ごとのアプローチを取る。特定の金利の道筋をあらかじめ約束はしない。利下げ決定は1人を除く全員が同意した」 | タカ派的な内容だったためユーロドルは1.09台まで買われる。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
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