今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ミシガン消費者マインド、予想を上回る」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は148円台から反落。ミシガン大学消費者マインドが市場予想を上回り、9月会合での大幅利下げ観測が後退。ドル円は一時147円58銭まで売られる。
  • ユーロドルは1.10を挟んでもみ合う。
  • 株式市場では3指数が揃って続伸。ダウは96ドル高で4日続伸。
  • 債券は反落。長期金利は3.83%台に低下。
  • 金は大幅に続伸。原油は反落。
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7月住宅着工件数 → 1238千件
7月建設許可件数 → 1396千件
8月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 67.8
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ドル/円 147.58 〜 148.26
ユーロ/ドル 1.0983 〜 1.1030
ユーロ/円 162.27 〜 163.03
NYダウ +96.70 → 40,659.76ドル
GOLD +45.40 → 2,541.80ドル
WTI −1.51 → 76.65ドル
米10年国債 −0.030 → 3.833%

本日の注目イベント

  • 米 7月景気先行指標総合指数
  • 米 民主党全国大会(シカゴ、22日まで)

本日のコメント

前日(8月15日)のNY市場では149円40銭前後まで上昇し、150円台の可能性もわずかに意識されましたが、先週末のNYでは反落し147円台半ばまで売られたドル円でした。結局今回の下落幅の「38.2%戻し」を明確には抜け切れずに、この水準が「壁」となって反落したことになります。考えてみれば、日経平均株価も同じですが、141円台半ばから10日余りで7円近く戻したことになり、良く反発したと思います。ドル円は今後、再び下落に転じ、いわゆる「2番底」を付けに行くのかどうか、今週行われる、この時期恒例の「ジャクソンホール会合」でのパウエル議長の講演内容にかかっていると見ています。

注目の「ジャクソンホール」でのパウエル議長の講演は、23日午前8時(日本時時間23日午後11時)に行われます。今回の会合のテーマは「金融政策の有効性と波及経路の再評価」というものです。ここで、パウエル議長が9月会合で市場が予想していた50bpという大幅利下げが必要との認識を示すのかどうかと、同時に今後の利下げスタンスを探ることになります。米景気に対する悲観的な見方が急速に台頭し、市場の利下げ予想は一時9月に50p、11月にも50bp、さらに12月に25bpの利下げを見込む動きもありましたが、先週後半からその見方は徐々に後退しています。また13日には、株式市場と債券市場の両方を加味した今後1年以内に米景気がリセッション入りする確率が、4月の「29%」から「41%」に上昇したと発表したゴールドマンは、17日はその確率を20%まで引き下げています。弱い経済指標が相次ぐと利下げ確率が上昇し株価とドルが買われ、強い数字が出るとその反対の動きに直結する展開が続いています。この様な中、パウエル議長がどのような認識を示すのか、秋以降のドル円の水準を大きく左右させることになります。

11月の米大統領選に向けて、民主党大統領候補のハリス氏が予想外の支持を集めています。大統領選の結果を左右すると言われている「スウィングステート」7州で、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州でハリス氏がリードしているとの調査結果が出ていますが、直近のワシントンポストとABCニュース、イプソスの世論調査でも同様の結果が示されています。調査は9−13日に登録有権者1901人を含む、米成人2336人を対象に実施され、ハリス氏が49%対45%でトランプ氏をリードしているとの結果が出ています。(ブルームバーグ)トランプ氏は集会でも個人攻撃を強めることを止めず、有権者はこの点も支持をしない理由に挙げています。トランプ氏は17日の集会でも、「人々は、(トランプ氏に)有効的に振る舞えと言うが、彼女の笑い声を聞いたことがあるだろうか。あれは狂人の笑いだ」と述べ、「ハリス氏を狂人と呼ばないよう注意されているが、それが彼女だ」と攻撃しています。この止まない個人攻撃が、トランプ氏の不人気につながっており、まさに『口は災いのもと』といった状況です。両者の支持率は拮抗しており、現時点ではどちらが勝利するのか予想できないというのが実態のようです。「ほぼトラ」は既に消えています。

イスラエルとパレスチナ組織ハマスとの停戦合意も、「近いようで遠い」印象です。交渉仲介国は、「合意は最終段階に近づいている」と説明していますが、イスラエルのネタニヤフ首相は、「われわれが進めているのは交渉であり、ただ譲歩するというシナリオはない」と述べており、一方のハマスは、交渉を妨げているのは、「ネタニヤフ氏に全責任がある」と主張しています。交渉を仲介するブリンケン米国務長官は、イスラエルでネタニヤフ氏やガラント国防相と会談後、エジプトに向うとされています。カタール、エジプトを含めた仲介が今回は功を奏するのでしょうか。

本日のドル円は147円〜148円80銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/14 ムサレム・セントルイス連銀総裁 私の観点からすると、金融当局の2大責務に対するリスクはよりバランスが取れているようだ。従って、今後の会合に向けて、景気に対して緩やかに抑制的な政策への調整が適切となる時期が近づいているのかもしれない」 --------
8/14 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在の政策金利は非常に景気抑制的であり、この金融スタンスは経済が過熱している場合にのみ適切だ」 --------
8/5 デーリー・SF連銀総裁 「今後四半期に政策調整が必要になるだろう」と述べ、「当局は現在、労働市場が減速しつつあることを確認した。過度に減速させて景気下降につながらないようにするのが極めて重要だ」 --------
8/5 シーゲル・ペンシルベニア大学教授 「FOMCは75bpの緊急利下げを実施すべきだ。その上で、9月会合でも同じく75bpの利下げを追加するのが適切だ」 --------
8/2 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「単月の数字に過剰反応したくない」、「失業率が中立の水準よりも高くなる場合、それはまさに当局が法律で考慮と対応を義務付けられている責務の、もう一方に痛みが及んでくることになる」、「状況が利下げを正当化するとき、1回の引き下げにとどまらない傾向がある」 --------
7/31 パウエル・FRB議長 「問題となるのは、データの全体像や変化する見通し、リスクバランスがインフレに対する確信の強まり、そして堅調な労働市場の維持と整合するかどうかだ」、「そのテストが満たされれば、早ければ次回9月会合で政策金利の引き下げが選択肢になり得る」、(0.5ポイントの利下げ見通しに関する質問に対しては)、「現時点で考えているものではない」 株と債券が大きく買われ、ドル円は151円台から149円台半ばまで急落。
7/31 植田・日銀総裁 「2%を超えるインフレはかなり長く続いている。2%からさらに上にいってしまうリスクもある」 --------
7/25 イエレン・財務長官 「米国では数年前から、金融引き締め政策が敷かれており、金利が他国より高い水準にある」と指摘。「そのために資金が流入し、ドルが強くなる」、「こうした状況は当然予想されるものだ。システムはこのように機能すべきものだ」、「米国も一員であるG7は市場で決定される為替レ―トにコミットしており、介入は不自然なボラティリティーが起きた状況においてのみ、パートナー国との協議で行われるべきだ」(ブラジルでのG20会合で) --------
7/21 バイデン大統領 「再選を目指す意向であったが、私が身を引き、残りの任期に大統領として職務を全うすることに専念することが、党と国にとって最大の利益であると信じる」、「私は、カマラ(ハリス副大統領)が今年選挙での民主党の候補者になることを全面的に支持する。民主党とわが国全体を団結させるため全力を尽くす」 --------
7/17 トランプ・前大統領 「パウエル議長には任期を全うしてもらう」、「われわれは大きな通貨問題を抱えている」、「強いドルが問題だ」、(FRBによる利下げについては)、「11月の大統領選までには利下げを行わないよう」 ドル安が加速。157円台から156円台前半に。
7/17 ウォラー・FRB理事 「最終地点に到達したとは考えていないが、政策金利の引き下げが正当化される時期に近づいていると思う」 --------
7/17 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「われわれが求めているディスインフレトレンドに近づいている。これは前向きな兆しだ。インフレが目標の2%に持続的に向かっているとの確信を深めるため、さらに多くのデータを確認したい」 --------
7/17 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「最近のディスインフレの広がりは心強いが、それが持続する証左を、まだなお探している」 --------
7/15 パウエル・FRB議長 「1−3月(第1四半期)には自信を高めさせるものは何も得られなかった。だが、先週発表された一つを含む第2四半期の三つの指標で、幾分自信は深まった」、「インフレが鈍化し、労働市場は実際に冷えてきた。われわれは両方の責務に目を向けるつもりだ。これらのバランスは改善している」 ややドルが売られ、債券と株は買われる。
7/11 デーリー・SF連銀総裁 「現時点において物価安定と完全雇用という当局が責務を負う目標へのリスクは、一段とバランスが取れてきており、金融政策が機能しつつあるのは明白だ」と発言し、「雇用やインフレ、GDP、景気見通しに関するデータなど、これまでに得られた情報を考慮すると、何らかの政策調整が正当化される可能性が高い」 --------
7/11 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレ率が2%の物価目標に向って下げていることを示す待望の証左を得られた」、「上々だ。強く勇気づけられる」 市場への影響: --------
7/11 パウエル・FRB議長 「2%の物価目標達成に確信はあるのか」と質問された議長は、「確信はある程度ある」、「問題は、2%に向けて持続的に低下していると十分に確信しているかということだ。私にはまだそう言う用意はない」、「インフレに関する仕事は終わっていない。やるべきことはまだある」 株価は大幅に上昇し、ドル円も161円81銭まで買われる。
7/2 パウエル・FRB議長 「米経済は力強く、労働市場も強いことから、われわれは時間をかけて正しく対応することが可能だ」、「それがわれわれの計画だ」、(前回のインフレ統計とその前のデータについて)、「ディスインフレの軌道に戻りつつあることを示唆している」、「最近見られたようなデータがさらに続くのが望ましい」 株と債券が買われ、金利が低下したことでドル円は161円台前半まで売られる。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和