今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円142円台に反発」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 月曜日には139円台半ばまで売られたドル円は大きく反発。「米8月の小売売上高」が市場予想を上回ったことで142円台を回復し、142円43銭まで買われる。
  • ユーロドルは1.11台前半から半ばで推移し、ほぼ前日と同水準。
  • 株式市場では3指数がまちまち。ダウは小幅に売られたが他の2指数は小幅高で取引を終える。
  • 債券はやや軟調な動きを見せ、長期金利は小幅に上昇。
  • 金は続落。原油はレバノン各地で爆発があり、ヒズボラ戦闘員が死傷したことで3日続伸。
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8月小売売上高 → 0.1%
8月鉱工業生産 → 0.8%
8月設備稼働率 → 78.0%
9月NAHB住宅市場指数 → 41
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ドル/円 140.56 〜 142.43
ユーロ/ドル 1.1111 〜 1.1142
ユーロ/円 156.29 〜 158.16
NYダウ −15.90 → 41,606.18ドル
GOLD −16.52 → 2,592.40ドル
WTI +1.10 → 71.19ドル
米10年国債 +0.028 → 3.646%

本日の注目イベント

  • 日 8月貿易統計
  • 欧 ユーロ圏8月消費者物価指数(改定値)
  • 英 英8月消費者物価指数
  • 米 8月住宅着工件数
  • 米 8月建設許可件数
  • 米 FOMC 政策金利発表
  • 米 パウエル議長記者会見

本日のコメント

今週16日(月)には139円58銭まで売られたドル円は、昨日のNY市場で大きく反発しています。「8月の米小売売上高」の発表を受け、同市場だけでもほぼ2円もドル高に振れており、今夜のFOMC会合を前に神経質な動きが続いています。

「8月の米小売売上高」は市場予想の「マイナス0.2%」に対して「0.1%の増加」でした。数値の上振れはオンライン購入に支えられており、その他の分野では強弱まちまちの結果でした。また7月分も上方修正され、個人消費の底堅さを物語っていました。ただ、今夜のFOMCでの利下げに関して市場が織り込む50bpの利下げ確率は「約55%」と、それほど大きく変わってはいません。50bpの確率がやや優勢とは言え、依然として「五分五分」と見られています。ただそれでも「50bp以外であったら衝撃的だ」といった声もあり、「五分五分」とは言いながらも仮に25bpであったら、かなりのサプライズになる可能性もありそうです。発表は日本時間19日(木)午前3時で、3時半からパウエル議長の会見があります。

「米人気歌手がハリス氏支持を表明」・・・今朝こんな記事がありましたが、これはテイラー・スウィフトさんではなく、ビリー・アイリッシュさんという別の人気歌手だそうです。アイリッシュさんは、自身のインスタグラムに兄と一緒に動画を投稿し、2人ともハリス氏に投票するつもりだと明らかにしています。また、人気ポッド・キャスターのジョー・ローガン氏も、ハリス氏支持を直接表明はしなかったものの、トランプ氏を公然と批判し、ハリス氏のパフォーマンスを称賛しています。(ブルームバーグ)米大統領選まで50日を切りましたが、両者の支持率は依然として拮抗しているようです。大統領選の勝敗を左右すると言われている激戦7州ではハリス氏が0.1ポイントリードしているようですが、州別では4州でトランプ氏、3州でハリス氏がリードしており、いずれも僅差です。文字通り「命がけの米大統領選」、最後の最後までどちらが勝つのか分からないかもしれません。

139円台から3円程反発したことで、短い動きを示す「1時間足」チャートではローソク足が大きく雲を上抜けしており、「2時間足」でも、約2週間ぶりに雲抜けの気配を見せています。上値の重さは変わりませんが、小さな変化はあるのかもしれません。個人消費の堅調さを示唆する指標が、今夜のFOMCでの決定に大きな影響を与えることはないとは思いますが、50bpであった場合市場がどのような動きを見せるのか、なかなか予想は難しいところがあります。株価が上昇しドル円は売られると思われますが、株価の上昇がドル円の下落をどの程度抑制するのか。

本日のドル円は140円〜143円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/12 ラガルド・ECB総裁 「労働コストの全体的な伸びは緩やかになっているものの、賃金上昇率は高く変動の大きい状態は続くだろう。一方で景気回復は、幾つかの逆風に直面し、リスクは引き続き下振れ方向に傾いている」 ユーロドルは小幅に買われる。
9/6 サマーズ・元財務長官 「確かに、数字はそれほど顕著な弱さを示してはいない。しかし、最近の統計の傾向に懸念を抱いた人にとって、経済の健全性を示すものではなかった。9月の会合で利下げ幅が25ベーシスになるのか、50になるのかは、私自身の1、2カ月前の予想よりも予断を許さなくなったように見える --------
9/6 イエレン・財務長官 「雇用の伸びがこの辺りで安定すれば非常に喜ばしい」、「そうなることを望み、期待している」 --------
9/4 ボスティック・アトランタ連銀総裁 インフレ率は著しく低下したが、物価安定の責務を果たす上で、リスクはまだ残っている。こうしたリスクが引き続き弱まるよう、警戒を怠ってはならない」、「早計な金融緩和はインフレを再燃させ、それを何カ月あるいは何年も経済に定着させかねない危険な一手であることを、歴史が示している」 --------
8/22 コリンズ・ボストン連銀総裁 「漸進的で整然としたペースでの利下げが適切になりそうだ」、「どのようなペースが理にかなっているかは、データが示すだろう。あらかじめ設定された道筋はない」、「全般的に健全な状態にあると考えられる。この状態を維持することは、インフレを鈍化させるという意味において重要だ」 債券が売られ、ドル円は小幅に上昇。
8/22 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「9月に金利引き下げのプロセスを開始する必要がある」、「整然とした利下げを開始する必要がある。今のところ、私は25か50かの陣営には入っていない。あと数週間のデータを確認する必要がある」 --------
8/20 ボウマン・FRB理事 「インフレ率が当局の2%目標に向って持続的に低下していることが今後のデータで引き続き示されれば、金融政策が過度に抑制的にならないようフェデラルファンド(FF)金利を徐々に引き下げることが適切になるだろう」、「ここ数カ月にインフレ率の引き下げでいくらか前進したが、地政学的情勢の緊迫化や追加的な財政刺激措置、移民流入による住宅需要の増加を要因に、上方向のリスクは残っている」 --------
8/19 デーリー・SF連銀総裁 「最近の米経済データを受けてインフレは制御されており、政策金利の調整を検討する時期に来ているとの確信を深めたが、米経済は緊急を要する状態にはない」 --------
8/19 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「レイオフが低水準にとどまり、失業保険統計も顕著な悪化を示唆していないことから、0.25ポイントを上回る規模での段階的な利下げを行う理由はないと考える」 --------
8/14 ムサレム・セントルイス連銀総裁 私の観点からすると、金融当局の2大責務に対するリスクはよりバランスが取れているようだ。従って、今後の会合に向けて、景気に対して緩やかに抑制的な政策への調整が適切となる時期が近づいているのかもしれない」 --------
8/14 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在の政策金利は非常に景気抑制的であり、この金融スタンスは経済が過熱している場合にのみ適切だ」 --------
8/5 デーリー・SF連銀総裁 「今後四半期に政策調整が必要になるだろう」と述べ、「当局は現在、労働市場が減速しつつあることを確認した。過度に減速させて景気下降につながらないようにするのが極めて重要だ」 --------
8/5 シーゲル・ペンシルベニア大学教授 「FOMCは75bpの緊急利下げを実施すべきだ。その上で、9月会合でも同じく75bpの利下げを追加するのが適切だ」 --------
8/2 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「単月の数字に過剰反応したくない」、「失業率が中立の水準よりも高くなる場合、それはまさに当局が法律で考慮と対応を義務付けられている責務の、もう一方に痛みが及んでくることになる」、「状況が利下げを正当化するとき、1回の引き下げにとどまらない傾向がある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和