今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円3週間ぶりに144円台後半に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は続伸。前日144円68銭まで買われた後143円台前半まで売られたドル円は再び上昇し、NYでは144円83銭を付ける。
  • ユーロドルも続伸し、2023年7月以来となる1.1214まで上昇。
  • 株式市場はまちまち。ダウとS&P500は反落したが、ナスダックは小幅高に。
  • 債券は反落。長期金利は3.78%台に上昇。
  • 金は6日続伸。原油は売られ70ドルを割り込む。
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8月新築住宅販売件数 → 71.6万件
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ドル/円 143.88 〜 144.83
ユーロ/ドル 1.1122 〜 1.1214
ユーロ/円 160.83 〜 161.67
NYダウ −293.47 → 41,914.75ドル
GOLD +7.70 → 2,684.70ドル
WTI −1.87 → 69.69ドル
米10年国債 +0.057 → 3.785%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合議事録(7月30・31日分)
  • 独 独10月GFK消費者信頼調査
  • 欧 ECB経済報告
  • 欧 ラガルド・ECB総裁、会議で歓迎の挨拶
  • 米 4−6月GDP(確定値)
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 8月耐久財受注
  • 米 8月中古住宅販売成約件数
  • 米 パウエル・FRB議長、会議で開会挨拶
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、会議で発言
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、バー副議長との討論会で司会
  • 米 コリンズ・ボストン連銀総裁、クーグラー・FRB理事、討論会に参加

本日のコメント

昨日のドル円は前日と同じような動きを見せ、朝方はドル売りが先行したものの、その後買いが優勢となる展開でした。日経平均株価の上昇や、債券市場で10年債が買われ、長期金利が低下したことも円売りにつながった側面もあります。NYではドル円が続伸し、前日付けた144円63銭をわずかですが上回り、およそ3週間ぶりに144円83銭までドルが買われました。これで140円割れから5円程値を戻したことになり、短期的動きを示す「1時間足チャート」では、一目均衡表の重要なポイントは全て上抜けしています。もちろん、このままドルが上昇を続ける可能性は決して高くはないとみていますが、それでも145円台に乗せることが出来れば、今後の展開にやや変化が出るかもしれません。

本日はFOMCメンバーの発言する機会が多くあります。パウエル議長の講演もあります。先週のFOMCでは50bpの大幅利下げを断行したものの、その後の会見では利下げを急がない姿勢を見せドルが反発しました。残り2回のFOMC会合での市場の利下げ見込みは、11月と12月にそれぞれ25bp引き下げると予想しています。予想通りだとすれば、今年合計で1.0%の利下げを行ったことになりますが、これが1.25%になるのか、あるいは0.75%になるのかは今後の経済指標、とりわけ、雇用統計、JOLTS、週間失業保険申請件数といった、「労働市場の動向」を示す指標が重要になってきます。またドル円については、ドル高が大きく修正されたこともあり、日銀の利上げスタンスもややハト派的になっています。加えて、日本はやや例外かもしれませんが、世界的な株高傾向は「リスク選好」が進んでいることを示唆しており、円が売られ易い位置にいると言えます。

FRBのクーグラー理事は25日、先週の50bp利下げの決定を「強く支持する」と述べ、予想通りインフレ鈍化が続くなら追加利下げが適切になると話しています。理事は、「労働市場は依然底堅いものの、FOMCはディスインフレが正しい軌道に引き続き進む中で経済の不要な痛みや悪化を回避しつつディスインフレが進展を続けられるよう、重点のバランスを取る必要がある」と述べた上で、「私は先週の決定を強く支持した。インフレが引き続き、私の予想通り進めば、この先、FF金利の追加引き下げを支持するつもりだ」と発言しています。(ブルームバーグ)

OECD(経済協力開発機構)は25日、「世界経済は強いインフレのストレスが和らいで新たな安定成長の時期に入りつつあり、中央銀行は慎重に金融緩和を続けることが出来る」と、公表した報告書で指摘しています。2024年の成長予測については、米国が2.6%で据え置かれ、25年は1.6%に引き下げられ、ユーロ圏については2024年0.7%、25年を1.3%としています。主要中銀の政策金利見通しでは、2024年12月でFRB「4.38%」、ECB「3.25%」、そしてBOJは「0.5%」と見立てています。

本日は株式市場で、9月中間配当を受取る権利の最終日になります。株価が上昇すると見込まれており、株高にドル円がどこまで反応するのか注目したいと思います。

本日のドル円は143円70銭〜145円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/25 クーグラー・FRB理事 「労働市場は依然底堅いものの、FOMCはディスインフレが正しい軌道に引き続き進む中で経済の不要な痛みや悪化を回避しつつディスインフレが進展を続けられるよう、重点のバランスを取る必要がある」、「私は先週の決定を強く支持した。インフレが引き続き、私の予想通り進めば、この先、FF金利の追加引き下げを支持するつもりだ」 --------
9/24 ボウマン・FRB理事 「米金融当局の2つの責務を達成する上でのリスクに目を向けると、特に労働市場が完全雇用の推計値に近い状態が続いている中、物価安定へのリスクは大きくなっていると、私は引き続きみている。25bpで利下げサイクルを開始すれば、経済状況が一層強くなると同時に、米金融当局の目標に向けた進展を自信を持って認識することができるだろうというのが私の見解だ」、「コアインフレは、当局目標の2%を依然として、不快なほど上回っている」 --------
9/23 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「私としてはインフレへの懸念が残るため、先週の初回利下げでは比較的小幅な動き、例えば25bpで折り合いがついたかもしれなかった。しかしそうした動きはこの先の労働市場に対して高まる不透明感と整合しなかっただろう」 --------
9/23 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「2%への軌道にあるという確信を得た現在、FRBが担うもう一つの責務である雇用のリスクに、さらなる重点を置くのが適切だ。つまり向こう1年に、もっと多くの利下げがあるということを意味する可能性が高い」 --------
9/23 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「50bpの利下げ後でも依然としてネットでタイトなポジションであるので、最初の一歩を通常より大きくすることに違和感はなかった」、「データが大きく変わらない限り、今後は恐らく、より小さなステップになると予想している」 --------
9/20 植田・日銀総裁 「足元の日本経済のデータ見通しに沿って推移しているが、すぐ利上げだとはならないと考えている」、「データが見通し通りに推移していけば、少しずつ利上げしていくという考えは変わらない」、(利上げペースに関して)「時間的余裕がある」 ドル円は141円台後半から143円台に反発。
9/19 イエレン・財務長官 「米経済の現状に関する非常に明るい兆候だ。インフレ率押し下げにおける進展と、労働市場を守るという決意を反映している」、「金融政策スタンスは引き続き景気抑制的だ。金利はさらに低下すると予想されている」、(労働市場については)「引き続き正常かつ健全だ。雇用主がスタッフの採用に苦慮していた2022年や23年ほど過熱していない。今のこの道筋を進み続けることは可能だ」 --------
9/18 パウエル議長 「今回の決定は緩やかな成長と持続的に2%に向かうインフレ率という状況において、政策スタンスの適切な再調整により労働市場の強さを維持し得るという、われわれの確信の強まりを反映している」、「今回の決定を受けて、『これが新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」 ドル円が反発し、株と債券は売られる。
9/18 FOMC声明文 「雇用とインフレ目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断している。委員会は最大限の雇用を支え、インフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」 --------
9/12 ラガルド・ECB総裁 「労働コストの全体的な伸びは緩やかになっているものの、賃金上昇率は高く変動の大きい状態は続くだろう。一方で景気回復は、幾つかの逆風に直面し、リスクは引き続き下振れ方向に傾いている」 ユーロドルは小幅に買われる。
9/6 サマーズ・元財務長官 「確かに、数字はそれほど顕著な弱さを示してはいない。しかし、最近の統計の傾向に懸念を抱いた人にとって、経済の健全性を示すものではなかった。9月の会合で利下げ幅が25ベーシスになるのか、50になるのかは、私自身の1、2カ月前の予想よりも予断を許さなくなったように見える --------
9/6 イエレン・財務長官 「雇用の伸びがこの辺りで安定すれば非常に喜ばしい」、「そうなることを望み、期待している」 --------
9/4 ボスティック・アトランタ連銀総裁 インフレ率は著しく低下したが、物価安定の責務を果たす上で、リスクはまだ残っている。こうしたリスクが引き続き弱まるよう、警戒を怠ってはならない」、「早計な金融緩和はインフレを再燃させ、それを何カ月あるいは何年も経済に定着させかねない危険な一手であることを、歴史が示している」 --------
8/22 コリンズ・ボストン連銀総裁 「漸進的で整然としたペースでの利下げが適切になりそうだ」、「どのようなペースが理にかなっているかは、データが示すだろう。あらかじめ設定された道筋はない」、「全般的に健全な状態にあると考えられる。この状態を維持することは、インフレを鈍化させるという意味において重要だ」 債券が売られ、ドル円は小幅に上昇。
8/22 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「9月に金利引き下げのプロセスを開始する必要がある」、「整然とした利下げを開始する必要がある。今のところ、私は25か50かの陣営には入っていない。あと数週間のデータを確認する必要がある」 --------
8/20 ボウマン・FRB理事 「インフレ率が当局の2%目標に向って持続的に低下していることが今後のデータで引き続き示されれば、金融政策が過度に抑制的にならないようフェデラルファンド(FF)金利を徐々に引き下げることが適切になるだろう」、「ここ数カ月にインフレ率の引き下げでいくらか前進したが、地政学的情勢の緊迫化や追加的な財政刺激措置、移民流入による住宅需要の増加を要因に、上方向のリスクは残っている」 --------
8/19 デーリー・SF連銀総裁 「最近の米経済データを受けてインフレは制御されており、政策金利の調整を検討する時期に来ているとの確信を深めたが、米経済は緊急を要する状態にはない」 --------
8/19 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「レイオフが低水準にとどまり、失業保険統計も顕著な悪化を示唆していないことから、0.25ポイントを上回る規模での段階的な利下げを行う理由はないと考える」 --------
8/14 ムサレム・セントルイス連銀総裁 私の観点からすると、金融当局の2大責務に対するリスクはよりバランスが取れているようだ。従って、今後の会合に向けて、景気に対して緩やかに抑制的な政策への調整が適切となる時期が近づいているのかもしれない」 --------
8/14 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在の政策金利は非常に景気抑制的であり、この金融スタンスは経済が過熱している場合にのみ適切だ」 --------
8/5 デーリー・SF連銀総裁 「今後四半期に政策調整が必要になるだろう」と述べ、「当局は現在、労働市場が減速しつつあることを確認した。過度に減速させて景気下降につながらないようにするのが極めて重要だ」 --------
8/5 シーゲル・ペンシルベニア大学教授 「FOMCは75bpの緊急利下げを実施すべきだ。その上で、9月会合でも同じく75bpの利下げを追加するのが適切だ」 --------
8/2 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「単月の数字に過剰反応したくない」、「失業率が中立の水準よりも高くなる場合、それはまさに当局が法律で考慮と対応を義務付けられている責務の、もう一方に痛みが及んでくることになる」、「状況が利下げを正当化するとき、1回の引き下げにとどまらない傾向がある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和