今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円142円台前半まで下落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は東京市場での乱高下を受けながらも、石破新総裁選出で日銀が利上げし易いとの見方からドルが売られる。142円07銭まで売られ、自民党総裁選の結果を受けドルの反発局面が一変。
  • ユーロドルは続伸し、1.1203まで上昇。
  • 株式市場ではダウが続伸し最高値を更新。ナスダックとS&P500は反落。
  • 債券は買われ、長期金利は3.75%台に低下。
  • 金は8日ぶりに反落。原油は買われる。
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8月個人所得 → 0.2%
8月個人支出 → 0.2%
8月PCEデフレータ(前月比) → 0.1%
8月PCEデフレータ(前年比) → 2.2%
8月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.1%
8月PCEコアデフレータ(前年比) → 2.7%
9月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 70.1
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ドル/円 142.07 〜 143.22
ユーロ/ドル 1.1167 〜 1.1203
ユーロ/円 158.51 〜 159.99
NYダウ +137.89 → 42,313.00
GOLD −26.80 → 2,668.10ドル
WTI +0.51 → 68.18ドル
米10年国債 −0.046 → 3.751%

本日の注目イベント

  • 日 8月鉱工業生産(速報値)
  • 日 8月小売売上高
  • 中 9月財新製造業PMI
  • 中 9月財新製造業PMI
  • 独 独8月輸入物価指数
  • 独 独8月小売売上高
  • 独 独9月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ラガルド・ECB総裁、欧州議会で発言
  • 英 英4−6月期GDP(改定値)
  • 英 英4−6月期経常収支
  • 英 英8月消費者信用残高
  • 米 9月シカゴ購買部協会景気指数
  • 米 パウエル・FRB議長講演

本日のコメント

先週の金曜日午後、注目された自民党総裁選第1回投票で高市氏が石破氏を上回る181票を獲得し、決選投票に進むことになったことで、ドル円は145円台後半から一気に146円台に乗せ、一時は146円49銭と、9月3日以来となるドル高を付けました。高市氏は先の選挙活動中に、日銀の金利引き上げに対して「金利を、今上げるのはあほやと思う」と発言していたこともあり、同氏が自民党総裁に選出されれば日銀が利上げしにくくなるとの発想から円売りが加速しました。ただ、この日の動きはこれで終わることはありませんでした。決選投票では、石破氏が高市氏を破り新総裁に選出されると、一転してドルが売られ、143円30銭前後までドルが急落。東京時間だけでも3円以上も乱高下する動きでした。

この流れはNY市場でも継続され、ドル円は142円07銭まで売られ、結局この日だけで高値から4円40銭程ドルが売られる「大相場」となりました。石破新総裁の経済対策などは未知数ですが、これまでの発言からすると、金融所得課税を総合課税に一本化することに前向きで、日銀の独立性を重んじると思われています。ドル円で大きく円高が進みましたが、株式市場の方はもっと大荒れの様相です。高値引けで引けた先週末の日経平均株価は、その後先物市場では大きく売られ、本日の日経平均株価は2000円以上も下げそうな展開が予想されます。円安と株高が大きく進んだ先週でしたが、今週は真逆の動きからのスタートになりそうです。

8月の個人消費支出(PCE)統計では、コア価格指数が前月比ベースで市場予想を下回る伸びにとどまり、消費支出の伸びもわずかですが、景気の減速感が示されました。また9月のミシガン大学消費者マインドは、市場予想(69.4)と8月(67.9)実績を上回る(70.1)と、5カ月ぶりの高水準でした。今回の消費者の景気に対するセンチメントの改善は、FRBが18日の会合で50bpという大幅利下げを行ったことが影響したとみられています。大幅利下げを行ったことが、消費者の見通しを下支えしたようです。

イスラエルヒズボラに対する攻撃はさらに激しさを増しています。イスラエルは、ヒズボラの指導者ナスララ師を空爆で殺害しました。ネタニヤフ氏は国連総会の一般討論演説で、「イスラエルには選択肢は一つしかない」と述べ、レバノンでの即時交戦停止案を拒否。その数時間前に、滞在するNYのホテルの部屋から攻撃命令を下し、さらにその映像を公開するなど、常軌を逸しており暴走は止まりません。ネタニヤフ氏は28日にはイスラエルに戻り、テレビ演説で「今後数日中にわれわれは重大な試練に直面するだろう」と語り、国民にヒズボラからの報復への警戒を呼び掛けていました。バイデン大統領はヒズボラの指導者ナスララ師が殺害されたことについて、戦争拡大の脅威にさらされる地域の平和に向けた新たな取り組みを約束しながらも、テロにより米国人の犠牲を念頭に「当然の報いだ」と、イスラエルを擁護していました。

本日のドル円は141円〜143円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
9/26 イエレン・財務長官 (米国のインフレは十分抑制されているかと問われ)、「その通りだ」、「かなりの期間にわたってコスト上昇の最大要素となっている住宅コストが下がると想定しており、2%のインフレが可能になる」、(今後どの程度のペースで利下げが実施されるべきかについてはコメントを控えていましたが)、「それはFOMCが決めることだ」、(為替レートをモニターしているかとの質問には)「もちろん、ドルの価値を観察している」、「米国は為替市場への介入を長らく行っていない。市場があまり無秩序により、介入が必要になるという状況は想定し得るが、通常の場合、ドルは市場によって決定され、世界の金利差がその重要な要素になってきた」 --------
9/25 クーグラー・FRB理事 「労働市場は依然底堅いものの、FOMCはディスインフレが正しい軌道に引き続き進む中で経済の不要な痛みや悪化を回避しつつディスインフレが進展を続けられるよう、重点のバランスを取る必要がある」、「私は先週の決定を強く支持した。インフレが引き続き、私の予想通り進めば、この先、FF金利の追加引き下げを支持するつもりだ」 --------
9/24 ボウマン・FRB理事 「米金融当局の2つの責務を達成する上でのリスクに目を向けると、特に労働市場が完全雇用の推計値に近い状態が続いている中、物価安定へのリスクは大きくなっていると、私は引き続きみている。25bpで利下げサイクルを開始すれば、経済状況が一層強くなると同時に、米金融当局の目標に向けた進展を自信を持って認識することができるだろうというのが私の見解だ」、「コアインフレは、当局目標の2%を依然として、不快なほど上回っている」 --------
9/23 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「私としてはインフレへの懸念が残るため、先週の初回利下げでは比較的小幅な動き、例えば25bpで折り合いがついたかもしれなかった。しかしそうした動きはこの先の労働市場に対して高まる不透明感と整合しなかっただろう」 --------
9/23 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「2%への軌道にあるという確信を得た現在、FRBが担うもう一つの責務である雇用のリスクに、さらなる重点を置くのが適切だ。つまり向こう1年に、もっと多くの利下げがあるということを意味する可能性が高い」 --------
9/23 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「50bpの利下げ後でも依然としてネットでタイトなポジションであるので、最初の一歩を通常より大きくすることに違和感はなかった」、「データが大きく変わらない限り、今後は恐らく、より小さなステップになると予想している」 --------
9/20 植田・日銀総裁 「足元の日本経済のデータ見通しに沿って推移しているが、すぐ利上げだとはならないと考えている」、「データが見通し通りに推移していけば、少しずつ利上げしていくという考えは変わらない」、(利上げペースに関して)「時間的余裕がある」 ドル円は141円台後半から143円台に反発。
9/19 イエレン・財務長官 「米経済の現状に関する非常に明るい兆候だ。インフレ率押し下げにおける進展と、労働市場を守るという決意を反映している」、「金融政策スタンスは引き続き景気抑制的だ。金利はさらに低下すると予想されている」、(労働市場については)「引き続き正常かつ健全だ。雇用主がスタッフの採用に苦慮していた2022年や23年ほど過熱していない。今のこの道筋を進み続けることは可能だ」 --------
9/18 パウエル議長 「今回の決定は緩やかな成長と持続的に2%に向かうインフレ率という状況において、政策スタンスの適切な再調整により労働市場の強さを維持し得るという、われわれの確信の強まりを反映している」、「今回の決定を受けて、『これが新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」 ドル円が反発し、株と債券は売られる。
9/18 FOMC声明文 「雇用とインフレ目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断している。委員会は最大限の雇用を支え、インフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」 --------
9/12 ラガルド・ECB総裁 「労働コストの全体的な伸びは緩やかになっているものの、賃金上昇率は高く変動の大きい状態は続くだろう。一方で景気回復は、幾つかの逆風に直面し、リスクは引き続き下振れ方向に傾いている」 ユーロドルは小幅に買われる。
9/6 サマーズ・元財務長官 「確かに、数字はそれほど顕著な弱さを示してはいない。しかし、最近の統計の傾向に懸念を抱いた人にとって、経済の健全性を示すものではなかった。9月の会合で利下げ幅が25ベーシスになるのか、50になるのかは、私自身の1、2カ月前の予想よりも予断を許さなくなったように見える --------
9/6 イエレン・財務長官 「雇用の伸びがこの辺りで安定すれば非常に喜ばしい」、「そうなることを望み、期待している」 --------
9/4 ボスティック・アトランタ連銀総裁 インフレ率は著しく低下したが、物価安定の責務を果たす上で、リスクはまだ残っている。こうしたリスクが引き続き弱まるよう、警戒を怠ってはならない」、「早計な金融緩和はインフレを再燃させ、それを何カ月あるいは何年も経済に定着させかねない危険な一手であることを、歴史が示している」 --------
8/22 コリンズ・ボストン連銀総裁 「漸進的で整然としたペースでの利下げが適切になりそうだ」、「どのようなペースが理にかなっているかは、データが示すだろう。あらかじめ設定された道筋はない」、「全般的に健全な状態にあると考えられる。この状態を維持することは、インフレを鈍化させるという意味において重要だ」 債券が売られ、ドル円は小幅に上昇。
8/22 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「9月に金利引き下げのプロセスを開始する必要がある」、「整然とした利下げを開始する必要がある。今のところ、私は25か50かの陣営には入っていない。あと数週間のデータを確認する必要がある」 --------
8/20 ボウマン・FRB理事 「インフレ率が当局の2%目標に向って持続的に低下していることが今後のデータで引き続き示されれば、金融政策が過度に抑制的にならないようフェデラルファンド(FF)金利を徐々に引き下げることが適切になるだろう」、「ここ数カ月にインフレ率の引き下げでいくらか前進したが、地政学的情勢の緊迫化や追加的な財政刺激措置、移民流入による住宅需要の増加を要因に、上方向のリスクは残っている」 --------
8/19 デーリー・SF連銀総裁 「最近の米経済データを受けてインフレは制御されており、政策金利の調整を検討する時期に来ているとの確信を深めたが、米経済は緊急を要する状態にはない」 --------
8/19 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「レイオフが低水準にとどまり、失業保険統計も顕著な悪化を示唆していないことから、0.25ポイントを上回る規模での段階的な利下げを行う理由はないと考える」 --------
8/14 ムサレム・セントルイス連銀総裁 私の観点からすると、金融当局の2大責務に対するリスクはよりバランスが取れているようだ。従って、今後の会合に向けて、景気に対して緩やかに抑制的な政策への調整が適切となる時期が近づいているのかもしれない」 --------
8/14 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「現在の政策金利は非常に景気抑制的であり、この金融スタンスは経済が過熱している場合にのみ適切だ」 --------
8/5 デーリー・SF連銀総裁 「今後四半期に政策調整が必要になるだろう」と述べ、「当局は現在、労働市場が減速しつつあることを確認した。過度に減速させて景気下降につながらないようにするのが極めて重要だ」 --------
8/5 シーゲル・ペンシルベニア大学教授 「FOMCは75bpの緊急利下げを実施すべきだ。その上で、9月会合でも同じく75bpの利下げを追加するのが適切だ」 --------
8/2 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「単月の数字に過剰反応したくない」、「失業率が中立の水準よりも高くなる場合、それはまさに当局が法律で考慮と対応を義務付けられている責務の、もう一方に痛みが及んでくることになる」、「状況が利下げを正当化するとき、1回の引き下げにとどまらない傾向がある」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和