今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円147円台まで反発」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は再び円売りが加速。東京時間、日経平均株価が大幅高を演じたこともあり147円24銭前後まで上昇。その後は146円台半ばまで押し戻されたがNYでは再びドルが買われ、147円18銭を付け、147円前後で引ける。
  • ユーロドルは続落。1.1008まで売られたが、1.10台はかろうじて維持。
  • 英ポンドが大幅安。ベイリーBOE総裁が、利下げについてより積極的なアプローチを示唆したことで、ポンド円は194円台前半から1円ほど下落。
  • 株式市場では中東での地政学的リスクが高まったことで3指数が反落。ダウは184ドル売られ、他の2指数は小幅安。
  • 債券は続落。長期金利は3.84%へと上昇。
  • 金は反発。原油は5%余り上昇。中東での地政学リスクが高まり、原油輸送も混乱するとの連想から73ドル台まで買われる。
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新規失業保険申請件数 → 22.5万件
9月ISM非製造業景況指数 → 54.9
8月製造業受注 → −0.2%
9月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 55.2
9月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 54.0
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ドル/円 146.48 〜 147.18
ユーロ/ドル 1.1008 〜 1.1047
ユーロ/円 161.44 〜 162.26
NYダウ −184.93 → 42,011.59
GOLD +9.50 → 2,679.20ドル
WTI +3.61 → 73.71ドル
米10年国債 +0.065 → 3.846%

本日の注目イベント

  • 米 9月雇用統計
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで開会の挨拶

本日のコメント

ドル円は145円の節目を上回ったこともあり、円安傾向へのスピードがやや速まってきました。昨日の東京時間朝方には、日経平均株価の上昇もあり147円台に乗せ、一時は147円24銭前後まで円安が進みました。円安のトリガーは前日夕方の石破首相の発言でしたが、このところ発表される米経済指標が、前日の「ADP雇用者数」のように予想を上回るものが出ていることが根底にあります。労働市場も含め、景気は思ったほど減速していないとの連想から、FRBが大幅利下げを回避するとの見立てがドル円を押し上げています。

昨日も「9月のISM非製造業景況指数」が市場予想の「51.7」を大きく上回る「54.9」と、2023年2月以来の高水準でした。同指数は「50」が活動の拡大と縮小の境目で、今回の内容では受注が相次ぎ、企業活動が活発化したことが寄与していました。市場では「個人消費が堅調な中、サービス部門が引き続き景気拡大を支えている。そのため、11月の米利下げ幅は0.25ポイントに縮小される可能性が高い。しかし、まだ多くのデータが控えており、港湾労働者のストライキは不確定要素だ」といった見方をブルームバーグは紹介しています。今朝の報道では米港湾労働者の組合である国際港湾労働者協会は、来月15日までにストライキを中断することで合意したようです。

イスラエルは親イラン民兵組織ヒズボラの掃討作戦を一段と強めたようです。イスラエル軍は3日、ヒズボラが関与する医療施設を空爆し、ベイルート中心部で9人が死亡、またヒズボラが使用していた地方政府庁舎を夜間に空爆し、15人のヒズボラ戦闘員を殺害したと発表しています。戦闘が激化するなかで、イランが1日行った大規模なミサイル攻撃に対してイスラエルがいつ、どのような報復攻撃に出るのかが注目されています。米国防総省は、イランの石油施設への攻撃を懸念し協議している模様です。バイデン大統領も、イスラエルによるイラン石油施設への攻撃を支持するのかと問われて、「それを我々は協議中だ」と答えています。WTI原油価格は昨日のマーケットで前日比3ドル61セント上昇し、73ドル台まで買われました。ほぼ全量を輸入に頼る日本にとって、原油価格の高騰は「円安材料」となります。

シカゴ連銀のグールズビー総裁はシカゴの公共ラジオ放送のインタビューで、「インフレは低下しており、目標に近づいている。失業率は上昇したが、雇用市場は基本的には望ましい状態にある」と発言し、「金利は今後12カ月間に大幅に下がる必要がある」と述べ、具体的な下げ幅には言及しませんでしたが、ハト派寄りの姿勢を見せていました。今夜は「9月の雇用統計」が発表されます。市場予想は、非農業部門雇用者数(NFP)が「15万人増」、失業率が8月と同じく「4.2%」です。上振れを予想する向きがやや多いように感じますが、こればかりは開けてみないとわかりません。

本日のドル円は145円30銭〜148円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/3 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレは低下しており、目標に近づいている。失業率は上昇したが、雇用市場は基本的には望ましい状態にある」と発言し、「金利は今後12カ月間に大幅に下がる必要がある」 --------
10/2 石破首相 「個人的には現在追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない。これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」 ドル円144円台半ばから146円台半ばまで上昇。
9/30 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「労働市場に警戒すべき指標が現れているため、適切だった。ただ、雇用とインフレは当局の目標にほぼ沿った水準になっており、経済全体は順調に成長している」、(11月のFOMC会合での利下げ幅については)、「金利を正常な水準まで引き下げるプロセス全体を考慮することがより重要だ」 --------
9/30 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「基本シナリオ通りであれば向こう1年3カ月でFRBは秩序だった形で緩和を進め、2025年末に金利は3−3.25%のレンジで落ち着くだろう。これはインフレが低下を続け、労働市場が引き続き堅調であることが前提で、その場合は利下げをもう少し辛抱できる余裕が持てると思う」 --------
9/30 パウエル・FRB議長 「この先、経済がおおむね想定通りに進展すれば、政策は時間とともにより中立のスタンスへと移行するだろう」、「われわれはあらかじめ定まった道を進んでいるのではない」、「政策当局は今後も入手するデータに基づき、会合ごとに判断を下していく」、「委員会は利下げを急いでいない。最終的には、これから入ってくるデータに導かれるだろう。景気が予想以上に減速すれば、利下げを早めることが可能だ。景気が予想ほど減速しなければ、もっとゆっくりしたペースで利下げを実施できる」 ドル円は買われ、143円92銭まで上昇。株価も小幅に上昇。
9/26 イエレン・財務長官 (米国のインフレは十分抑制されているかと問われ)、「その通りだ」、「かなりの期間にわたってコスト上昇の最大要素となっている住宅コストが下がると想定しており、2%のインフレが可能になる」、(今後どの程度のペースで利下げが実施されるべきかについてはコメントを控えていましたが)、「それはFOMCが決めることだ」、(為替レートをモニターしているかとの質問には)「もちろん、ドルの価値を観察している」、「米国は為替市場への介入を長らく行っていない。市場があまり無秩序により、介入が必要になるという状況は想定し得るが、通常の場合、ドルは市場によって決定され、世界の金利差がその重要な要素になってきた」 --------
9/25 クーグラー・FRB理事 「労働市場は依然底堅いものの、FOMCはディスインフレが正しい軌道に引き続き進む中で経済の不要な痛みや悪化を回避しつつディスインフレが進展を続けられるよう、重点のバランスを取る必要がある」、「私は先週の決定を強く支持した。インフレが引き続き、私の予想通り進めば、この先、FF金利の追加引き下げを支持するつもりだ」 --------
9/24 ボウマン・FRB理事 「米金融当局の2つの責務を達成する上でのリスクに目を向けると、特に労働市場が完全雇用の推計値に近い状態が続いている中、物価安定へのリスクは大きくなっていると、私は引き続きみている。25bpで利下げサイクルを開始すれば、経済状況が一層強くなると同時に、米金融当局の目標に向けた進展を自信を持って認識することができるだろうというのが私の見解だ」、「コアインフレは、当局目標の2%を依然として、不快なほど上回っている」 --------
9/23 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「私としてはインフレへの懸念が残るため、先週の初回利下げでは比較的小幅な動き、例えば25bpで折り合いがついたかもしれなかった。しかしそうした動きはこの先の労働市場に対して高まる不透明感と整合しなかっただろう」 --------
9/23 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「2%への軌道にあるという確信を得た現在、FRBが担うもう一つの責務である雇用のリスクに、さらなる重点を置くのが適切だ。つまり向こう1年に、もっと多くの利下げがあるということを意味する可能性が高い」 --------
9/23 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「50bpの利下げ後でも依然としてネットでタイトなポジションであるので、最初の一歩を通常より大きくすることに違和感はなかった」、「データが大きく変わらない限り、今後は恐らく、より小さなステップになると予想している」 --------
9/20 植田・日銀総裁 「足元の日本経済のデータ見通しに沿って推移しているが、すぐ利上げだとはならないと考えている」、「データが見通し通りに推移していけば、少しずつ利上げしていくという考えは変わらない」、(利上げペースに関して)「時間的余裕がある」 ドル円は141円台後半から143円台に反発。
9/19 イエレン・財務長官 「米経済の現状に関する非常に明るい兆候だ。インフレ率押し下げにおける進展と、労働市場を守るという決意を反映している」、「金融政策スタンスは引き続き景気抑制的だ。金利はさらに低下すると予想されている」、(労働市場については)「引き続き正常かつ健全だ。雇用主がスタッフの採用に苦慮していた2022年や23年ほど過熱していない。今のこの道筋を進み続けることは可能だ」 --------
9/18 パウエル議長 「今回の決定は緩やかな成長と持続的に2%に向かうインフレ率という状況において、政策スタンスの適切な再調整により労働市場の強さを維持し得るという、われわれの確信の強まりを反映している」、「今回の決定を受けて、『これが新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」 ドル円が反発し、株と債券は売られる。
9/18 FOMC声明文 「雇用とインフレ目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断している。委員会は最大限の雇用を支え、インフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」 --------
9/12 ラガルド・ECB総裁 「労働コストの全体的な伸びは緩やかになっているものの、賃金上昇率は高く変動の大きい状態は続くだろう。一方で景気回復は、幾つかの逆風に直面し、リスクは引き続き下振れ方向に傾いている」 ユーロドルは小幅に買われる。
9/6 サマーズ・元財務長官 「確かに、数字はそれほど顕著な弱さを示してはいない。しかし、最近の統計の傾向に懸念を抱いた人にとって、経済の健全性を示すものではなかった。9月の会合で利下げ幅が25ベーシスになるのか、50になるのかは、私自身の1、2カ月前の予想よりも予断を許さなくなったように見える --------
9/6 イエレン・財務長官 「雇用の伸びがこの辺りで安定すれば非常に喜ばしい」、「そうなることを望み、期待している」 --------
9/4 ボスティック・アトランタ連銀総裁 インフレ率は著しく低下したが、物価安定の責務を果たす上で、リスクはまだ残っている。こうしたリスクが引き続き弱まるよう、警戒を怠ってはならない」、「早計な金融緩和はインフレを再燃させ、それを何カ月あるいは何年も経済に定着させかねない危険な一手であることを、歴史が示している」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和