今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「NY連銀製造業指数軟調」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は反落。NY連銀製造業景況指数がマイナス幅を拡大したことでドル売りが進み、148円94銭まで下落。その後はドルが買い戻され149円台前半で引ける。
  • ユーロドルは小動きの中上値の重い展開が続く。今週のECB会合での利下げ観測も重荷に。
  • 株式市場は3指数が揃って反落。上昇を続けていたこともあり、半導体関連株がオランダのASML株の大幅安の影響を受け軒並み下落。
  • 債券は反発。長期金利は4.03%台へと低下。
  • 金は反発。原油はイスラエルがイラン石油施設への攻撃を行なわないとしたことで3ドルを超える下落。
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10月NY連銀製造業景況指数 → −11.9
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ドル/円 148.94 〜 149.54
ユーロ/ドル 1.0882 〜 1.0916
ユーロ/円 162.37 〜 162.90
NYダウ −324.80 → 42,740.42
GOLD +13.30 → 2,678.90ドル
WTI −3.25 → 70.58ドル
米10年国債 −0.069 → 4.032%

本日の注目イベント

  • 日 安達日銀審議委員、香川県金融経済懇談会に出席
  • 欧 ラガルド・ECB総裁講演
  • 英 英9月消費者物価指数
  • 米 9月輸入物価指数
  • 米 9月輸出物価指数
  • 米 企業決算 → モルガンスタンレー、アルコア
  • 加 カナダ9月住宅着工件数

本日のコメント

149円台後半で推移していたドル円でしたが、昨日の東京時間では株価の上昇という援軍もありましたが、思った以上にドルの上値が重い展開でした。昨日の動きを説明した今朝のコメントを見ると、「心理的節目の1ドル=150円手前では国内企業による輸出入や海外収益のヘッジに伴う円買いが出易く、円相場の下落は限定的だった」とあります。その理由として「15日午前時点では、12月末の先物レートが148円台前半となり、来年3月末でも146円台半ばで円買いを手当て出来る」と説明しています。つまり、スポットで149円台半ば以上でドル売りを行っておけば、先物ディスカウント分を考慮しても上記レートでドルを売ることが出来るという訳です。

日銀が1日に発表した短観によると、事業計画の前提となる想定為替レートは全規模・全産業ベースで145円15銭となっており、「想定以上の円安水準で輸出企業は手当出来る状態」ということのようです。結局、久しぶりの円安水準であったこともあり、実需のドル売りが相当持ち込まれたということでした。また今年夏前の頃のように、今後ドル高が見込まれる相場観が支配的であるのであれば、敢えて先物でヘッジを行う必要もありませんが、FRBが今後も緩やかな利下げを継続すると予想される現時点では、円高観測も依然として残っています。筆者のこれまでの経験から言えば、企業の財務担当者とすれば、自分の身を守る意味(?)でも、このような時は確実に為替予約を取ってきます。もっとも、ただ単にスポットで抑えて、その後先物で「足決め」をするという伝統的な方法よりも、通貨オプションを使うケースが圧倒的に多いはずです。

11月5日の米大統領選まで3週間を残すのみとなりました。状況は依然として混戦模様のようですが、ハリス氏とトランプ氏のいずれが勝利しても、米国のインフレ・成長見通しはほぼ同じだと、ブルームバーグの調査で明らかになっています。7−10日にエコノミスト29人を対象に実施した調査では、今後4年間の平均でいずれの候補者が当選した場合でも、個人消費支出(PCE)価格指数は年率2.2%上昇、GDPは同2%増と見込まれています。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は講演で、「われわれは警戒姿勢を維持し、意図的に行動する必要がある。経済を継続的に分析し、二大責務の両方を均衡させなければならない」と述べ、「年内にあと1回か2回の追加利下げが行われる可能性が高い」との認識をあらためて示しました。

イスラエルに対する国際的な批判が強まる中、同国首相府は15日、「米国の意見に耳を傾けるが、最終決定はイスラエルの国益に基づいて下す」と発表しました。バイデン政権はイスラエルに対して人道的な行動を求める一方、武器供与は続けており、ネタニヤフ氏は「バイデン政権はイスラエルを見放すことはできない」と、足元を見すかしており、強硬な姿勢をさらに強めています。イスラエルはイランの石油施設は攻撃しない旨を米国に伝えてはいますが、「イランに対してどのような報復攻撃を選択するかはイスラエルの自由だ」とネタニヤフ氏は主張しています。パレスチナ、レバノン、イエメン、さらにはイランとの交戦を続けながらもイスラエルは徹底抗戦する構えを崩していません。

本日のドル円は148円30銭〜149円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
10/15 デーリー・サンフランシス連銀総裁 「われわれは警戒姿勢を維持し、意図的に行動する必要がある。経済を継続的に分析し、二大責務の両方を均衡させなければならない」、「年内にあと1回か2回の追加利下げが行われる可能性が高い」 --------
10/14 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「政策を中立の姿勢に向けシ慎重なペースで進めていくことは可能だ」、「最終的には、政策の方向性は経済とインフレ、労働市場に関する実際のデータによって決まるだろう」、「労働市場については、急速な軟化は差し迫っていないように見受けられ心強い。インフレに関しては、ピークから顕著に鈍化したが、依然として目標をやや上回っている」 --------
10/14 ウォラー・FRB理事 「データを総合的に判断したところ、利下げペースに対して9月会合で必要とされた以上の慎重さを持って進めていくべきだとみている」、「政策を中立の姿勢に向け慎重なペースで進めていくことは可能だ」 --------
10/10 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「データによってそれが適切と示されるのであれば、金利据え置きでも全く抵抗はない」、「つまり、私が想定した通りのデータとなる場合、年内残り2回の会合のうち1回では据え置きにオープンであることをすでに示している。われわれは辛抱強く、もう少し長く事態の展開を見守る力があると考える。今日の統計には、その見解を裏付ける要素がある」 市場はドル買いで反応。
10/9 ローガン・ダラス連銀総裁 「先月に0.5ポイントの利下げが行われた後で、二つの責務に対するリスクの間で最善のバランスを取るためには、正常な政策スタンスへの回帰はより緩やかな道筋が適切になるとみられる」 --------
10/3 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレは低下しており、目標に近づいている。失業率は上昇したが、雇用市場は基本的には望ましい状態にある」と発言し、「金利は今後12カ月間に大幅に下がる必要がある」 --------
10/2 石破首相 「個人的には現在追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない。これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」 ドル円144円台半ばから146円台半ばまで上昇。
9/30 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「労働市場に警戒すべき指標が現れているため、適切だった。ただ、雇用とインフレは当局の目標にほぼ沿った水準になっており、経済全体は順調に成長している」、(11月のFOMC会合での利下げ幅については)、「金利を正常な水準まで引き下げるプロセス全体を考慮することがより重要だ」 --------
9/30 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「基本シナリオ通りであれば向こう1年3カ月でFRBは秩序だった形で緩和を進め、2025年末に金利は3−3.25%のレンジで落ち着くだろう。これはインフレが低下を続け、労働市場が引き続き堅調であることが前提で、その場合は利下げをもう少し辛抱できる余裕が持てると思う」 --------
9/30 パウエル・FRB議長 「この先、経済がおおむね想定通りに進展すれば、政策は時間とともにより中立のスタンスへと移行するだろう」、「われわれはあらかじめ定まった道を進んでいるのではない」、「政策当局は今後も入手するデータに基づき、会合ごとに判断を下していく」、「委員会は利下げを急いでいない。最終的には、これから入ってくるデータに導かれるだろう。景気が予想以上に減速すれば、利下げを早めることが可能だ。景気が予想ほど減速しなければ、もっとゆっくりしたペースで利下げを実施できる」 ドル円は買われ、143円92銭まで上昇。株価も小幅に上昇。
9/26 イエレン・財務長官 (米国のインフレは十分抑制されているかと問われ)、「その通りだ」、「かなりの期間にわたってコスト上昇の最大要素となっている住宅コストが下がると想定しており、2%のインフレが可能になる」、(今後どの程度のペースで利下げが実施されるべきかについてはコメントを控えていましたが)、「それはFOMCが決めることだ」、(為替レートをモニターしているかとの質問には)「もちろん、ドルの価値を観察している」、「米国は為替市場への介入を長らく行っていない。市場があまり無秩序により、介入が必要になるという状況は想定し得るが、通常の場合、ドルは市場によって決定され、世界の金利差がその重要な要素になってきた」 --------
9/25 クーグラー・FRB理事 「労働市場は依然底堅いものの、FOMCはディスインフレが正しい軌道に引き続き進む中で経済の不要な痛みや悪化を回避しつつディスインフレが進展を続けられるよう、重点のバランスを取る必要がある」、「私は先週の決定を強く支持した。インフレが引き続き、私の予想通り進めば、この先、FF金利の追加引き下げを支持するつもりだ」 --------
9/24 ボウマン・FRB理事 「米金融当局の2つの責務を達成する上でのリスクに目を向けると、特に労働市場が完全雇用の推計値に近い状態が続いている中、物価安定へのリスクは大きくなっていると、私は引き続きみている。25bpで利下げサイクルを開始すれば、経済状況が一層強くなると同時に、米金融当局の目標に向けた進展を自信を持って認識することができるだろうというのが私の見解だ」、「コアインフレは、当局目標の2%を依然として、不快なほど上回っている」 --------
9/23 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「私としてはインフレへの懸念が残るため、先週の初回利下げでは比較的小幅な動き、例えば25bpで折り合いがついたかもしれなかった。しかしそうした動きはこの先の労働市場に対して高まる不透明感と整合しなかっただろう」 --------
9/23 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「2%への軌道にあるという確信を得た現在、FRBが担うもう一つの責務である雇用のリスクに、さらなる重点を置くのが適切だ。つまり向こう1年に、もっと多くの利下げがあるということを意味する可能性が高い」 --------
9/23 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「50bpの利下げ後でも依然としてネットでタイトなポジションであるので、最初の一歩を通常より大きくすることに違和感はなかった」、「データが大きく変わらない限り、今後は恐らく、より小さなステップになると予想している」 --------
9/20 植田・日銀総裁 「足元の日本経済のデータ見通しに沿って推移しているが、すぐ利上げだとはならないと考えている」、「データが見通し通りに推移していけば、少しずつ利上げしていくという考えは変わらない」、(利上げペースに関して)「時間的余裕がある」 ドル円は141円台後半から143円台に反発。
9/19 イエレン・財務長官 「米経済の現状に関する非常に明るい兆候だ。インフレ率押し下げにおける進展と、労働市場を守るという決意を反映している」、「金融政策スタンスは引き続き景気抑制的だ。金利はさらに低下すると予想されている」、(労働市場については)「引き続き正常かつ健全だ。雇用主がスタッフの採用に苦慮していた2022年や23年ほど過熱していない。今のこの道筋を進み続けることは可能だ」 --------
9/18 パウエル議長 「今回の決定は緩やかな成長と持続的に2%に向かうインフレ率という状況において、政策スタンスの適切な再調整により労働市場の強さを維持し得るという、われわれの確信の強まりを反映している」、「今回の決定を受けて、『これが新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」 ドル円が反発し、株と債券は売られる。
9/18 FOMC声明文 「雇用とインフレ目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断している。委員会は最大限の雇用を支え、インフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」 --------
9/12 ラガルド・ECB総裁 「労働コストの全体的な伸びは緩やかになっているものの、賃金上昇率は高く変動の大きい状態は続くだろう。一方で景気回復は、幾つかの逆風に直面し、リスクは引き続き下振れ方向に傾いている」 ユーロドルは小幅に買われる。
9/6 サマーズ・元財務長官 「確かに、数字はそれほど顕著な弱さを示してはいない。しかし、最近の統計の傾向に懸念を抱いた人にとって、経済の健全性を示すものではなかった。9月の会合で利下げ幅が25ベーシスになるのか、50になるのかは、私自身の1、2カ月前の予想よりも予断を許さなくなったように見える --------
9/6 イエレン・財務長官 「雇用の伸びがこの辺りで安定すれば非常に喜ばしい」、「そうなることを望み、期待している」 --------
9/4 ボスティック・アトランタ連銀総裁 インフレ率は著しく低下したが、物価安定の責務を果たす上で、リスクはまだ残っている。こうしたリスクが引き続き弱まるよう、警戒を怠ってはならない」、「早計な金融緩和はインフレを再燃させ、それを何カ月あるいは何年も経済に定着させかねない危険な一手であることを、歴史が示している」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和