「ドル円149円台半ばに反落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は150円台から反落。米住宅許可件数が予想を下回ったことや、150円台からさらに上値を試す動きがなったことでドル売りが優勢に。
- ユーロドルは小幅に反発し、1.0869まで上昇。
- 株式市場では3指数が揃って買われ、ダウとS&P500は小幅ながら最高値を更新。
- 債券は小幅に買われ、長期金利は4.08%台に低下。
- 金は4日続伸。原油は反落し70ドル台を割り込む。
9月住宅着工件数 → 135.4万件
9月建設許可件数 → 142.8万件
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ドル/円 | 149.37 〜 150.08 |
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ユーロ/ドル | 1.0847 〜 1.0869 |
ユーロ/円 | 162.29 〜 162.86 |
NYダウ | +36.86 → 43,275.91 |
GOLD | +22.50 → 2,730.00ドル |
WTI | −1.45 → 69.22ドル |
米10年国債 | −0.008 → 4.083% |
本日の注目イベント
- 独 独9月生産者物価指数
- 米 9月景気先行指標総合指数
- 米 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁、経済金融政策見通しについて講演
- 米 ローガン・ダラス連銀総裁講演
- 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、タウンホールのイベントに参加
- 米 IMF、世銀年次総会(ワシントン)
本日のコメント
前日のNY市場で150円32銭まで買われたドル円でしたが、その流れを受けた先週末の東京市場ではドルの上値が重く、149円台後半まで売られる展開でした。NYでは住宅許可件数が予想を下回ったことや、150円台まで反発したドル円の達成感などもあり、149円37銭まで売られ、ドルの上昇も一服といったところです。また、来週には日銀金融政策決定会合もあり、来月7日にはFOMCも控えていることから、政策の不透明さもあり動きにくい面もあります。
特に日銀の追加利上げを巡る観測では、現時点で利上げを実施する必要性は乏しいとの見方がある一方、ドル円の水準次第では追加利上げの可能性も排除できないといった見方もあります。植田総裁は先の会見で、政策判断に「時間的な余裕はある」と述べていたこともあり、現時点では為替水準が政策判断の中心にあるようにも思えます。一方FRBが次回会合で、50bpのような大幅利下げを行うという見方はすっかり影を潜め、今や「25bp利下げか、あるいは据え置きか」という点に絞られてきました。労働市場の持ち直しと、インフレ再燃懸念がその背景にありますが、筆者は現時点では、「25bpの利下げ」を予想しています。アトランタ連銀のボスティック総裁は18日、高校生相手のイベントで、「大統領選を理由に金融当局者が政策アプローチを調整することはない」と発言。「選挙の有無で金融政策が変わるなどというのは考えたこともない」と述べ、大統領選直後であっても、必要なら金融政策の変更は有り得るとの考えをアピールしています。当然と言えば当然ですが、25bpか据え置きかは、来週1日(金)に発表される「10月の雇用統計」の結果が大きく左右するとみられます。米労働市場が依然として「巡航速度」を保っているのかどうかが焦点になります。日銀が25bp引き上げ、FRBが25bp引き下げた場合、ドル円は再び145円を目指すと予想しますが、その可能性は高くはないと思います。
中東、ロシアの地政学的リスクの高まりは依然として続いており、土日にも様々な情報が伝えられていました。北朝鮮の特殊部隊がロシアに派遣されていたことも判明し、ウクライナは、「11月に最初の部隊2600人がクルスク州に送られる予定だ」と発表しています。そのウクライナは、ロシア領内のゼリジンスクにある大規模な兵器工場の攻撃に成功したと発表しました。同地区はモスクワと900キロの距離にあり、ウクライナ軍事情報当局と特殊部隊は夜間に無人機でこの工場を攻撃したとされています。一方、パレスチナ自治区ガザの保健当局は20日、イスラエル軍が同日未明にかけて北部ベイトラヒヤで実施した攻撃で、死者と行方不明者が87人にのぼると発表しています。強硬姿勢を崩さないイスラエルのネタニヤフ首相を巡り、テルアビブ北部にある同氏の週末用の自宅が19日、レバノンから発射された無人機に攻撃されたと、イスラエル首相府が発表しています。無人機攻撃時にネタニヤフ夫妻は不在で、負傷者もなかったようですが、ガッツ外相は「レッドラインを再び越えたことは間違いない。われわれはイランが脅威をもたらせないよう打ち負かす必要がある」と述べていました。2024年も残り2カ月余り。これらの戦争は来年も続くのでしょうか。
本日のドル円は149円〜150円30銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
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10/17 | ラガルド・ECB総裁 | 「成長のリスクは依然として下振れ方向に傾いているが、リセッションは想定していない。われわれは引き続きソフトランディングを見込んでいる」 | -------- |
10/17 | ECB声明文 | 「インフレについて入ってくる情報は、ディスインフレのプロセスが順調に進行していることを示している」、「政策委員会は物価安定の目的を達成するため必要な限り、政策金利を十分に景気抑制的な水準に維持する。景気抑制の適切な水準と期間を決定するため、引き続きデータ依存かつ会合ごとのアプローチを取る」 | -------- |
10/15 | デーリー・サンフランシス連銀総裁 | 「われわれは警戒姿勢を維持し、意図的に行動する必要がある。経済を継続的に分析し、二大責務の両方を均衡させなければならない」、「年内にあと1回か2回の追加利下げが行われる可能性が高い」 | -------- |
10/14 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「政策を中立の姿勢に向けシ慎重なペースで進めていくことは可能だ」、「最終的には、政策の方向性は経済とインフレ、労働市場に関する実際のデータによって決まるだろう」、「労働市場については、急速な軟化は差し迫っていないように見受けられ心強い。インフレに関しては、ピークから顕著に鈍化したが、依然として目標をやや上回っている」 | -------- |
10/14 | ウォラー・FRB理事 | 「データを総合的に判断したところ、利下げペースに対して9月会合で必要とされた以上の慎重さを持って進めていくべきだとみている」、「政策を中立の姿勢に向け慎重なペースで進めていくことは可能だ」 | -------- |
10/10 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「データによってそれが適切と示されるのであれば、金利据え置きでも全く抵抗はない」、「つまり、私が想定した通りのデータとなる場合、年内残り2回の会合のうち1回では据え置きにオープンであることをすでに示している。われわれは辛抱強く、もう少し長く事態の展開を見守る力があると考える。今日の統計には、その見解を裏付ける要素がある」 | 市場はドル買いで反応。 |
10/9 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「先月に0.5ポイントの利下げが行われた後で、二つの責務に対するリスクの間で最善のバランスを取るためには、正常な政策スタンスへの回帰はより緩やかな道筋が適切になるとみられる」 | -------- |
10/3 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「インフレは低下しており、目標に近づいている。失業率は上昇したが、雇用市場は基本的には望ましい状態にある」と発言し、「金利は今後12カ月間に大幅に下がる必要がある」 | -------- |
10/2 | 石破首相 | 「個人的には現在追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない。これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」 | ドル円144円台半ばから146円台半ばまで上昇。 |
9/30 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「労働市場に警戒すべき指標が現れているため、適切だった。ただ、雇用とインフレは当局の目標にほぼ沿った水準になっており、経済全体は順調に成長している」、(11月のFOMC会合での利下げ幅については)、「金利を正常な水準まで引き下げるプロセス全体を考慮することがより重要だ」 | -------- |
9/30 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「基本シナリオ通りであれば向こう1年3カ月でFRBは秩序だった形で緩和を進め、2025年末に金利は3−3.25%のレンジで落ち着くだろう。これはインフレが低下を続け、労働市場が引き続き堅調であることが前提で、その場合は利下げをもう少し辛抱できる余裕が持てると思う」 | -------- |
9/30 | パウエル・FRB議長 | 「この先、経済がおおむね想定通りに進展すれば、政策は時間とともにより中立のスタンスへと移行するだろう」、「われわれはあらかじめ定まった道を進んでいるのではない」、「政策当局は今後も入手するデータに基づき、会合ごとに判断を下していく」、「委員会は利下げを急いでいない。最終的には、これから入ってくるデータに導かれるだろう。景気が予想以上に減速すれば、利下げを早めることが可能だ。景気が予想ほど減速しなければ、もっとゆっくりしたペースで利下げを実施できる」 | ドル円は買われ、143円92銭まで上昇。株価も小幅に上昇。 |
9/26 | イエレン・財務長官 | (米国のインフレは十分抑制されているかと問われ)、「その通りだ」、「かなりの期間にわたってコスト上昇の最大要素となっている住宅コストが下がると想定しており、2%のインフレが可能になる」、(今後どの程度のペースで利下げが実施されるべきかについてはコメントを控えていましたが)、「それはFOMCが決めることだ」、(為替レートをモニターしているかとの質問には)「もちろん、ドルの価値を観察している」、「米国は為替市場への介入を長らく行っていない。市場があまり無秩序により、介入が必要になるという状況は想定し得るが、通常の場合、ドルは市場によって決定され、世界の金利差がその重要な要素になってきた」 | -------- |
9/25 | クーグラー・FRB理事 | 「労働市場は依然底堅いものの、FOMCはディスインフレが正しい軌道に引き続き進む中で経済の不要な痛みや悪化を回避しつつディスインフレが進展を続けられるよう、重点のバランスを取る必要がある」、「私は先週の決定を強く支持した。インフレが引き続き、私の予想通り進めば、この先、FF金利の追加引き下げを支持するつもりだ」 | -------- |
9/24 | ボウマン・FRB理事 | 「米金融当局の2つの責務を達成する上でのリスクに目を向けると、特に労働市場が完全雇用の推計値に近い状態が続いている中、物価安定へのリスクは大きくなっていると、私は引き続きみている。25bpで利下げサイクルを開始すれば、経済状況が一層強くなると同時に、米金融当局の目標に向けた進展を自信を持って認識することができるだろうというのが私の見解だ」、「コアインフレは、当局目標の2%を依然として、不快なほど上回っている」 | -------- |
9/23 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「私としてはインフレへの懸念が残るため、先週の初回利下げでは比較的小幅な動き、例えば25bpで折り合いがついたかもしれなかった。しかしそうした動きはこの先の労働市場に対して高まる不透明感と整合しなかっただろう」 | -------- |
9/23 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「2%への軌道にあるという確信を得た現在、FRBが担うもう一つの責務である雇用のリスクに、さらなる重点を置くのが適切だ。つまり向こう1年に、もっと多くの利下げがあるということを意味する可能性が高い」 | -------- |
9/23 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「50bpの利下げ後でも依然としてネットでタイトなポジションであるので、最初の一歩を通常より大きくすることに違和感はなかった」、「データが大きく変わらない限り、今後は恐らく、より小さなステップになると予想している」 | -------- |
9/20 | 植田・日銀総裁 | 「足元の日本経済のデータ見通しに沿って推移しているが、すぐ利上げだとはならないと考えている」、「データが見通し通りに推移していけば、少しずつ利上げしていくという考えは変わらない」、(利上げペースに関して)「時間的余裕がある」 | ドル円は141円台後半から143円台に反発。 |
9/19 | イエレン・財務長官 | 「米経済の現状に関する非常に明るい兆候だ。インフレ率押し下げにおける進展と、労働市場を守るという決意を反映している」、「金融政策スタンスは引き続き景気抑制的だ。金利はさらに低下すると予想されている」、(労働市場については)「引き続き正常かつ健全だ。雇用主がスタッフの採用に苦慮していた2022年や23年ほど過熱していない。今のこの道筋を進み続けることは可能だ」 | -------- |
9/18 | パウエル議長 | 「今回の決定は緩やかな成長と持続的に2%に向かうインフレ率という状況において、政策スタンスの適切な再調整により労働市場の強さを維持し得るという、われわれの確信の強まりを反映している」、「今回の決定を受けて、『これが新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」 | ドル円が反発し、株と債券は売られる。 |
9/18 | FOMC声明文 | 「雇用とインフレ目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断している。委員会は最大限の雇用を支え、インフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」 | -------- |
9/12 | ラガルド・ECB総裁 | 「労働コストの全体的な伸びは緩やかになっているものの、賃金上昇率は高く変動の大きい状態は続くだろう。一方で景気回復は、幾つかの逆風に直面し、リスクは引き続き下振れ方向に傾いている」 | ユーロドルは小幅に買われる。 |
9/6 | サマーズ・元財務長官 | 「確かに、数字はそれほど顕著な弱さを示してはいない。しかし、最近の統計の傾向に懸念を抱いた人にとって、経済の健全性を示すものではなかった。9月の会合で利下げ幅が25ベーシスになるのか、50になるのかは、私自身の1、2カ月前の予想よりも予断を許さなくなったように見える | -------- |
9/6 | イエレン・財務長官 | 「雇用の伸びがこの辺りで安定すれば非常に喜ばしい」、「そうなることを望み、期待している」 | -------- |
9/4 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | インフレ率は著しく低下したが、物価安定の責務を果たす上で、リスクはまだ残っている。こうしたリスクが引き続き弱まるよう、警戒を怠ってはならない」、「早計な金融緩和はインフレを再燃させ、それを何カ月あるいは何年も経済に定着させかねない危険な一手であることを、歴史が示している」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書