「自公過半数割れ」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は152円台に上昇。米金利が再び上昇しドル円をサポート。ドル円は152円38銭まで買われ、高値圏で引ける。
- ユーロドルは前日とほぼ同水準で推移。
- 株式市場ではナスダックが買われ、ダウは下落するなどまちまち。
- 債券は売られ、長期金利は4.24%台に上昇。
- 金は続伸し原油は反発。
9月耐久財受注 → −0.8%
10月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 70.5
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ドル/円 | 151.81 〜 152.38 |
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ユーロ/ドル | 1.0794 〜 1.0839 |
ユーロ/円 | 164.25 〜 164.78 |
NYダウ | −259.96 → 42,114.40 |
GOLD | +5.70 → 2,754.60ドル |
WTI | +1.59 → 71.78ドル |
米10年国債 | +0.028 → 4.24% |
本日の注目イベント
- 特になし
本日のコメント
まずは、昨日行われた衆院選の結果です。自民党は単独で過半数を割り込んだだけではなく、自公を合わせても過半数の「233議席」を下回る「215議席」にとどまり、事前に予想された最悪の事態に近い結果でした。裏金問題に対する国民の目は思った以上に厳しいものだったようです。この結果を受け石破首相は昨日の夜、政権を維持するため野党の一部と連立を組む可能性に触れていました。この後、石破内閣は総辞職を行い、国会で次の首班指名行うことになりますが、躍進した立憲民主党を含め、単独で過半数の議席を有する党がないことから決選投票を睨んで、どの野党を取り込むのかが焦点になりそうです。その際、やはり中心になるのは「維新の党」と「国民民主党」ということになりそうです。
政治的混乱は避けられない見通しで、ドル円は早朝のオセアニア市場で153円27銭までドルが買われ、先週24日に記録した153円19銭をわずかに上回る場面もありました。日経先物は下落しており、株が下げ、リスク回避の円買いとの連想からするとやや違和感もありますが、政治的混乱を軸に考えれば、「日本売り」との連想で株が売られ、円が売られる動きも理解できそうです。政治的混乱が長引けば、日銀が追加利上げを実施するタイミングも遅れ、これが円安要因になるとも考えられます。ただ、東京株式市場がオープンし、日経平均株価が大きく売られるようだと、円が大きく売られ続けることは想定しづらいと思われますが、どうでしょう。今週末には「米10月の雇用統計」発表も控えており、さらに来週には米大統領選もあることから、市場参加者も相場の見通しを立てにくい状況で、少なくとも一方方向にはポジションを傾けにくいはずです。
その「米大統領選」まで、残すところあと1週間です。ハリス氏とトランプ氏の支持率は依然として拮抗しており、エマーソン大学が行った最新の調査では両者の支持率はいずれも「49%」と、まれにみる接戦になっているようです。ハリス氏は民主党支持者の間で人気の高い、オバマ元大統領夫人、ミシエル・オバマ氏を動員し、最後の支持を訴えています。一方トランプ氏は相変わらず相手候補を非難し続け、「Kamala ,you lost. Get out!」(カマラ、お前は負けた。出て行け)といった演説を行っています。著名富裕者も、ビル・ゲイツ氏はハリス氏支持を表明し、5000万ドル(約76億円)の選挙資金を寄付しています。一方イーロン・マスク氏はトランプ氏支持を初期の段階から支持しています。ここでも米国の分断が見られるように、選挙後、特にトランプ氏が勝利した場合の米国の分断はさらに加速されそうです。
ここから1週間、相場は大きく乱高下する可能性があります。まず今日は、日本株がどのような反応を見せるのかに注目です。その後、石破首相や野田代表などから今後の政治運営についてコメントがあるかもしれません。
本日のドル円は151円50銭〜154円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
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10/21 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「これまでのところ、われわれが利下げを続けないことを示唆する情報は見当たらない」、「インフレ率が既に2%に向かいつつある経済にとって、極めて引き締め的な金利となっており、労働市場のさらなる悪化を私は望まない」、「われわれは現在の経済情勢と変化しつつある状況に適合するよう、政策を調整し続けていく」 | -------- |
10/21 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「中立的な水準に到達する上で、私は今後数四半期にわたってより緩やかな利下げを予想している。ただし、それはデータ次第にある」、「より早いペースで動くためには、労働市場が急速に弱くなっているという確かな証拠が必要だ」 | 債券が売られ金利が上昇。ドル円は149円台後半から150円台後半に。 |
10/21 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「2大責務のインフレと労働市場に対するリスクのバランスを取る上で、それほど景気抑制的でない金融政策が寄与する。景気が現在の想定通りに進展すれば、政策金利をより正常または中立的水準に向けて徐々に引き下げる戦略は、リスクを管理し、目標を達成するのに役立つだろう。しかし、正常化への道筋がどのようなものになるのか、政策がどの程度のスピードで対応すべきか、そして金利がどこに落ち着くべきかについては、様々なショックが影響する可能性がある」 | 債券が売られ金利が上昇。ドル円は149円台後半から150円台後半に。 |
10/17 | ラガルド・ECB総裁 | 「成長のリスクは依然として下振れ方向に傾いているが、リセッションは想定していない。われわれは引き続きソフトランディングを見込んでいる」 | -------- |
10/17 | ECB声明文 | 「インフレについて入ってくる情報は、ディスインフレのプロセスが順調に進行していることを示している」、「政策委員会は物価安定の目的を達成するため必要な限り、政策金利を十分に景気抑制的な水準に維持する。景気抑制の適切な水準と期間を決定するため、引き続きデータ依存かつ会合ごとのアプローチを取る」 | -------- |
10/15 | デーリー・サンフランシス連銀総裁 | 「われわれは警戒姿勢を維持し、意図的に行動する必要がある。経済を継続的に分析し、二大責務の両方を均衡させなければならない」、「年内にあと1回か2回の追加利下げが行われる可能性が高い」 | -------- |
10/14 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「政策を中立の姿勢に向けシ慎重なペースで進めていくことは可能だ」、「最終的には、政策の方向性は経済とインフレ、労働市場に関する実際のデータによって決まるだろう」、「労働市場については、急速な軟化は差し迫っていないように見受けられ心強い。インフレに関しては、ピークから顕著に鈍化したが、依然として目標をやや上回っている」 | -------- |
10/14 | ウォラー・FRB理事 | 「データを総合的に判断したところ、利下げペースに対して9月会合で必要とされた以上の慎重さを持って進めていくべきだとみている」、「政策を中立の姿勢に向け慎重なペースで進めていくことは可能だ」 | -------- |
10/10 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「データによってそれが適切と示されるのであれば、金利据え置きでも全く抵抗はない」、「つまり、私が想定した通りのデータとなる場合、年内残り2回の会合のうち1回では据え置きにオープンであることをすでに示している。われわれは辛抱強く、もう少し長く事態の展開を見守る力があると考える。今日の統計には、その見解を裏付ける要素がある」 | 市場はドル買いで反応。 |
10/9 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「先月に0.5ポイントの利下げが行われた後で、二つの責務に対するリスクの間で最善のバランスを取るためには、正常な政策スタンスへの回帰はより緩やかな道筋が適切になるとみられる」 | -------- |
10/3 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「インフレは低下しており、目標に近づいている。失業率は上昇したが、雇用市場は基本的には望ましい状態にある」と発言し、「金利は今後12カ月間に大幅に下がる必要がある」 | -------- |
10/2 | 石破首相 | 「個人的には現在追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない。これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」 | ドル円144円台半ばから146円台半ばまで上昇。 |
9/30 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「労働市場に警戒すべき指標が現れているため、適切だった。ただ、雇用とインフレは当局の目標にほぼ沿った水準になっており、経済全体は順調に成長している」、(11月のFOMC会合での利下げ幅については)、「金利を正常な水準まで引き下げるプロセス全体を考慮することがより重要だ」 | -------- |
9/30 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「基本シナリオ通りであれば向こう1年3カ月でFRBは秩序だった形で緩和を進め、2025年末に金利は3−3.25%のレンジで落ち着くだろう。これはインフレが低下を続け、労働市場が引き続き堅調であることが前提で、その場合は利下げをもう少し辛抱できる余裕が持てると思う」 | -------- |
9/30 | パウエル・FRB議長 | 「この先、経済がおおむね想定通りに進展すれば、政策は時間とともにより中立のスタンスへと移行するだろう」、「われわれはあらかじめ定まった道を進んでいるのではない」、「政策当局は今後も入手するデータに基づき、会合ごとに判断を下していく」、「委員会は利下げを急いでいない。最終的には、これから入ってくるデータに導かれるだろう。景気が予想以上に減速すれば、利下げを早めることが可能だ。景気が予想ほど減速しなければ、もっとゆっくりしたペースで利下げを実施できる」 | ドル円は買われ、143円92銭まで上昇。株価も小幅に上昇。 |
9/26 | イエレン・財務長官 | (米国のインフレは十分抑制されているかと問われ)、「その通りだ」、「かなりの期間にわたってコスト上昇の最大要素となっている住宅コストが下がると想定しており、2%のインフレが可能になる」、(今後どの程度のペースで利下げが実施されるべきかについてはコメントを控えていましたが)、「それはFOMCが決めることだ」、(為替レートをモニターしているかとの質問には)「もちろん、ドルの価値を観察している」、「米国は為替市場への介入を長らく行っていない。市場があまり無秩序により、介入が必要になるという状況は想定し得るが、通常の場合、ドルは市場によって決定され、世界の金利差がその重要な要素になってきた」 | -------- |
9/25 | クーグラー・FRB理事 | 「労働市場は依然底堅いものの、FOMCはディスインフレが正しい軌道に引き続き進む中で経済の不要な痛みや悪化を回避しつつディスインフレが進展を続けられるよう、重点のバランスを取る必要がある」、「私は先週の決定を強く支持した。インフレが引き続き、私の予想通り進めば、この先、FF金利の追加引き下げを支持するつもりだ」 | -------- |
9/24 | ボウマン・FRB理事 | 「米金融当局の2つの責務を達成する上でのリスクに目を向けると、特に労働市場が完全雇用の推計値に近い状態が続いている中、物価安定へのリスクは大きくなっていると、私は引き続きみている。25bpで利下げサイクルを開始すれば、経済状況が一層強くなると同時に、米金融当局の目標に向けた進展を自信を持って認識することができるだろうというのが私の見解だ」、「コアインフレは、当局目標の2%を依然として、不快なほど上回っている」 | -------- |
9/23 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「私としてはインフレへの懸念が残るため、先週の初回利下げでは比較的小幅な動き、例えば25bpで折り合いがついたかもしれなかった。しかしそうした動きはこの先の労働市場に対して高まる不透明感と整合しなかっただろう」 | -------- |
9/23 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「2%への軌道にあるという確信を得た現在、FRBが担うもう一つの責務である雇用のリスクに、さらなる重点を置くのが適切だ。つまり向こう1年に、もっと多くの利下げがあるということを意味する可能性が高い」 | -------- |
9/23 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「50bpの利下げ後でも依然としてネットでタイトなポジションであるので、最初の一歩を通常より大きくすることに違和感はなかった」、「データが大きく変わらない限り、今後は恐らく、より小さなステップになると予想している」 | -------- |
9/20 | 植田・日銀総裁 | 「足元の日本経済のデータ見通しに沿って推移しているが、すぐ利上げだとはならないと考えている」、「データが見通し通りに推移していけば、少しずつ利上げしていくという考えは変わらない」、(利上げペースに関して)「時間的余裕がある」 | ドル円は141円台後半から143円台に反発。 |
9/19 | イエレン・財務長官 | 「米経済の現状に関する非常に明るい兆候だ。インフレ率押し下げにおける進展と、労働市場を守るという決意を反映している」、「金融政策スタンスは引き続き景気抑制的だ。金利はさらに低下すると予想されている」、(労働市場については)「引き続き正常かつ健全だ。雇用主がスタッフの採用に苦慮していた2022年や23年ほど過熱していない。今のこの道筋を進み続けることは可能だ」 | -------- |
9/18 | パウエル議長 | 「今回の決定は緩やかな成長と持続的に2%に向かうインフレ率という状況において、政策スタンスの適切な再調整により労働市場の強さを維持し得るという、われわれの確信の強まりを反映している」、「今回の決定を受けて、『これが新しいペースだ』とは誰も捉えるべきではない」 | ドル円が反発し、株と債券は売られる。 |
9/18 | FOMC声明文 | 「雇用とインフレ目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると判断している。委員会は最大限の雇用を支え、インフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている」 | -------- |
9/12 | ラガルド・ECB総裁 | 「労働コストの全体的な伸びは緩やかになっているものの、賃金上昇率は高く変動の大きい状態は続くだろう。一方で景気回復は、幾つかの逆風に直面し、リスクは引き続き下振れ方向に傾いている」 | ユーロドルは小幅に買われる。 |
9/6 | サマーズ・元財務長官 | 「確かに、数字はそれほど顕著な弱さを示してはいない。しかし、最近の統計の傾向に懸念を抱いた人にとって、経済の健全性を示すものではなかった。9月の会合で利下げ幅が25ベーシスになるのか、50になるのかは、私自身の1、2カ月前の予想よりも予断を許さなくなったように見える | -------- |
9/6 | イエレン・財務長官 | 「雇用の伸びがこの辺りで安定すれば非常に喜ばしい」、「そうなることを望み、期待している」 | -------- |
9/4 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | インフレ率は著しく低下したが、物価安定の責務を果たす上で、リスクはまだ残っている。こうしたリスクが引き続き弱まるよう、警戒を怠ってはならない」、「早計な金融緩和はインフレを再燃させ、それを何カ月あるいは何年も経済に定着させかねない危険な一手であることを、歴史が示している」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書