今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ユーロドル、およそ半年ぶりの安値に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は利下げ観測が幾分後退したことで、昨日の東京時間から上昇。NYでは153円95銭までドルが買われる。
  • ドル高の流れにユーロは下落。4月22日以来となる1.0629までユーロ安が進む。
  • 株式市場では3指数が揃って最高値を更新。ナスダックとS&P500は小幅高に終わったが、ダウは305ドル上昇し、初の4万4000ドル台に。
  • 債券市場は休場。
  • 金は77ドルを超える大幅続落。原油も2ドルを超える大幅安。
ドル/円 153.65 〜 153.95
ユーロ/ドル 1.0629 〜 1.0665
ユーロ/円 163.57 〜 164.02
NYダウ +304.14 → 44,293.13
GOLD −77.10 → 2,617.70ドル
WTI −2.34 → 68.04ドル
米10年国債 ------ → 4.304%

本日の注目イベント

  • 豪 豪11月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 豪 豪10月NAB企業景況感指数
  • 独 独10月消費者物価指数(改定値)
  • 独 独11月ZEW景況感指数
  • 英 英10月失業率
  • 英 英ILO失業率(7−9月)
  • 米 ウォラー・FRB理事講演
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加
  • 米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
  • 加 カナダ9月住宅建設許可件数

本日のコメント

ドル円は昨日の東京時間から上げ足を早め、再び153円台に乗せてきました。NYではさらにドルが買われ、153円95銭までドル高が進んでいます。株式市場では「トランプトレード」が継続されていることで「リスクオン」の流れが続き低金利の円が売られ易い中、FOMCメンバーの一部から、今後利下げ幅が縮小する可能性があるとの見方が出たことも、ドル買い円売りにつながっています。NYダウは300ドルを超える上昇を見せ、初となる4万4000ドル台に乗せて取引を終えています。ここ1週間で2200ドルほど上昇したことになり、背景には法人税減税や所得税減税の恒久的延長との見方を材料にしているようです。一方、債券市場は「ベテランズデー」の祝日のため休場でしたが、トランプ政権では大幅な国債発行は避けられないとの見方から金利上昇圧力は続いており、ドルが買われる一因になっています。

経済や税制、銀行政策に大きな影響力を持つ米財務長官のポストについて、トランプ氏は候補者として4人程に絞り込んだと伝えられています。ヘッジファンド創設者のジョン・ポールソン氏やキャンター・フィッツジェラルドのハワード・ルトニック氏らの名前が挙がっています。米国では、財務長官は国務長官に次ぐ重要なポストとみられています。今後多くの重要ポストが決められることになりますが、2016年からのトランプ政権では多くの側近が「クビ」になったことも忘れてはいけません。トランプ氏は自分の意にそぐわなければ、たとえ側近といえども更迭することは実証済みです。昨日のコメントにも書きましたが、トランプ氏がロシアのプーチン大統領と電話で会談し、ウクライナ戦争を悪化させないよう要請したとありましたが、ロシア大統領府はこれを否定しています。ロシアのペスコフ大統領報道官は、「まったくの事実無根であり、完全な作り話だ。会談は無かった」と述べています。どちらの言い分が正しいのか分かりませんが、今後もこの様な、不確実で言葉だけが先行する事態が起こる可能性は大いにありそうです。

今夜のNYではFOMCメンバーの講演が多く予定されています。先週、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁がFOXテレビの番組で「強い経済は利下げ幅縮小を意味するだろう」といった趣旨の発言を行っています。利下げ幅の縮小はまだコンセンサスにはなっていませんが、他のFOMCメンバーが同様な認識を持っているのかどうかが、発言内容から判明します。特にウォラー・FRB理事の講演には注目かと思います。

本日のドル円は152円80銭〜154円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/9 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「利下げ幅は、議会と新政権の目先の計画ではなく、生産性と経済成長にかかっている。成長が維持され、今後も構造的に生産性に高い経済成長が続くのであれば、恐らくそれほど大きな利下げには至らないだろう」と、「トランプ時期政権と新議会による政策はインフレを刺激し、最終的に利下げ幅の縮小につながるかどうかを判断するのは時期尚早」 --------
11/7 パウエル・FRB議長 「われわれは時間をかけてより中立的なスタンスへと移行しており、そうした中で今回の政策スタンスのさらなる調整は、経済と労働市場の強さを維持する一助となり、インフレ面でのさらなる進展を今後も可能にするだろう」 株と債券が買われ、金利が低下したことで153円台から152円70銭まで下落。
11/7 FOMC声明文 「委員会は雇用とインフレ目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると考える。経済見通しは不確かで、委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」、「今年に入って以降、労働市場の状況は概ね緩和してきた。失業率は上昇したが、依然として低い水準だ」、「委員会は最大限の雇用を支え、インフレ率を目標の2%に戻すことを強くコミットしている」 株と債券が買われ、金利が低下したことで153円台から152円70銭まで下落。
10/21 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「これまでのところ、われわれが利下げを続けないことを示唆する情報は見当たらない」、「インフレ率が既に2%に向かいつつある経済にとって、極めて引き締め的な金利となっており、労働市場のさらなる悪化を私は望まない」、「われわれは現在の経済情勢と変化しつつある状況に適合するよう、政策を調整し続けていく」 --------
10/21 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「中立的な水準に到達する上で、私は今後数四半期にわたってより緩やかな利下げを予想している。ただし、それはデータ次第にある」、「より早いペースで動くためには、労働市場が急速に弱くなっているという確かな証拠が必要だ」 債券が売られ金利が上昇。ドル円は149円台後半から150円台後半に。
10/21 ローガン・ダラス連銀総裁 「2大責務のインフレと労働市場に対するリスクのバランスを取る上で、それほど景気抑制的でない金融政策が寄与する。景気が現在の想定通りに進展すれば、政策金利をより正常または中立的水準に向けて徐々に引き下げる戦略は、リスクを管理し、目標を達成するのに役立つだろう。しかし、正常化への道筋がどのようなものになるのか、政策がどの程度のスピードで対応すべきか、そして金利がどこに落ち着くべきかについては、様々なショックが影響する可能性がある」 債券が売られ金利が上昇。ドル円は149円台後半から150円台後半に。
10/17 ラガルド・ECB総裁 「成長のリスクは依然として下振れ方向に傾いているが、リセッションは想定していない。われわれは引き続きソフトランディングを見込んでいる」 --------
10/17 ECB声明文 「インフレについて入ってくる情報は、ディスインフレのプロセスが順調に進行していることを示している」、「政策委員会は物価安定の目的を達成するため必要な限り、政策金利を十分に景気抑制的な水準に維持する。景気抑制の適切な水準と期間を決定するため、引き続きデータ依存かつ会合ごとのアプローチを取る」 --------
10/15 デーリー・サンフランシス連銀総裁 「われわれは警戒姿勢を維持し、意図的に行動する必要がある。経済を継続的に分析し、二大責務の両方を均衡させなければならない」、「年内にあと1回か2回の追加利下げが行われる可能性が高い」 --------
10/14 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「政策を中立の姿勢に向けシ慎重なペースで進めていくことは可能だ」、「最終的には、政策の方向性は経済とインフレ、労働市場に関する実際のデータによって決まるだろう」、「労働市場については、急速な軟化は差し迫っていないように見受けられ心強い。インフレに関しては、ピークから顕著に鈍化したが、依然として目標をやや上回っている」 --------
10/14 ウォラー・FRB理事 「データを総合的に判断したところ、利下げペースに対して9月会合で必要とされた以上の慎重さを持って進めていくべきだとみている」、「政策を中立の姿勢に向け慎重なペースで進めていくことは可能だ」 --------
10/10 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「データによってそれが適切と示されるのであれば、金利据え置きでも全く抵抗はない」、「つまり、私が想定した通りのデータとなる場合、年内残り2回の会合のうち1回では据え置きにオープンであることをすでに示している。われわれは辛抱強く、もう少し長く事態の展開を見守る力があると考える。今日の統計には、その見解を裏付ける要素がある」 市場はドル買いで反応。
10/9 ローガン・ダラス連銀総裁 「先月に0.5ポイントの利下げが行われた後で、二つの責務に対するリスクの間で最善のバランスを取るためには、正常な政策スタンスへの回帰はより緩やかな道筋が適切になるとみられる」 --------
10/3 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレは低下しており、目標に近づいている。失業率は上昇したが、雇用市場は基本的には望ましい状態にある」と発言し、「金利は今後12カ月間に大幅に下がる必要がある」 --------
10/2 石破首相 「個人的には現在追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない。これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」 ドル円144円台半ばから146円台半ばまで上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和