今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米11月のPMI大幅に伸びる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は堅調に推移し、NYでは11月のPMIが大きく上振れしたことで155円02銭までドルが買われる。
  • ユーロドルも大きく売られる。欧州市場では一時1.0333近辺まで売られ、2022年11月下旬以来の安値を記録。NYでは1.04台に戻す。
  • 株式市場では良好なPMIを受け3指数が揃って上昇。ダウは426ドル買われ、10日ぶりに最高値を更新。
  • 債券は小幅に買われ、長期金利は4.40%台に低下。
  • 金は5日続伸し2700ドル台を回復。原油も続伸し71ドル台に。
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11月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 71.8
11月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 48.8
11月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 57.0
11月S&Pグローバル総合業PMI(速報値) → 55.3
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ドル/円 154.22 〜 155.02
ユーロ/ドル 1.0393 〜 1.0434
ユーロ/円 160.61 〜 161.37
NYダウ +426.16 → 44,296.51
GOLD +37.30 → 2,712.20ドル
WTI +1.14 → 71.24ドル
米10年国債 −0.018 → 4.400%

本日の注目イベント

  • 日 9月景気先行指数(CI)(改定値)
  • 日 9月景気一致指数(改定値)
  • 独 独11月ifo景況感指数

本日のコメント

ドル円は先週末のNYで再び155円台に乗せる場面がありました。NYでの高値は155円02銭と、155円台にわずかに乗せただけでしたが、依然底堅い動きを見せています。11月のPMIが市場予想を大きく上回り、米景気の底堅さを見せたことで株式市場ではダウが400ドルを超える上昇。リスク資産の株が買われたことで円売りが強まりました。さらにユーロドルでも、「ドル高ユーロ安」が一段と進み、ユーロは欧州で一時1.0333前後まで売られ、2022年11月下旬以来の安値を付けており、ユーロ安に引っ張られた側面もあったようです。ただ週明けのオセアニア市場では、ドル円は「窓を開け」154円05銭辺りまで売られています。トランプ次期政権の財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏が、関税政策や積極的なドル安誘導への姿勢を見せるのではないかとの思惑が働いたようです。

ようやく決まった米財務長官のポストはマイクロヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループのベッセントCEOで、同氏は「財政のタカ派と見られており、赤字削減やインフレ抑制、関税への段階的アプローチを支持している。これは利回り上昇やドル高につながった『トランプ・トレード』の一部巻き戻しに大きな役割を果たすだろう」と、ブルームバーグは同氏のスタンスを論じています。トランプ氏の政策に一定のハドメがかかる可能性がありますが、トランプ氏は同氏に対して声明で、「スコットは長らく米国第一のアジェンダに対する強力な支持者となってきた。われわれの偉大な国が250周年を迎えるのを控え、世界をリードする経済大国としての地位を固める中で、米国の新たな黄金時代を導く手助けを彼はしてくれるだろう」と述べていました。トランプ政策を推進する上での、国債増発による財政赤字拡大見通しと、財政規律派のベッセント氏を今後どのように相場を見立てる中で織り込んでいくのか、市場関係者にとっても難しい判断になるかもしれません。

ウクライナを巡り、お互いの考え方が異なるトランプ次期大統領とNATOのルッテ事務総長が22日、米フロリダ州のパームビーチで会談を行いました。トランプ氏は大統領選期間、米国のウクライナ支援には懐疑的な見方を強く示すとともに、「戦争を24時間以内に終結させることができる」と述べていました。一方のルッテ氏は、ウクライナの強力な支持者であり、「いかなる和平合意もウクライナが受け入れ可能な条件でなければならない」との見解を示しています。会談は和やかに行われた模様ですが、NATOからは「両氏が世界安全保障問題について幅広く協議した」という声明しか発表されていません。「Make America Great Again」を声高に叫んで大統領選に再選したトランプ氏ですが、課題は山積しています。解決に向けどのような手法を見せても、その都度市場のボラティリティーが上昇することは、間違いないと思われます。

本日のドル円は153円20銭〜154円70銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/20 クック・FRB理事 (FRBが担う雇用とインフレの両責務について)、「リスクはおおむね均衡している。金利の方向性は下向きだが、引き下げの幅とタイミングは、これから出て来るデータと経済の見通し次第だ」 --------
11/20 コリンズ・ボストン連銀総裁 「最終的な行先は不確かだが、ある程度の追加緩和は必要だと考える。現行の政策は依然として少なくとも幾らかは景気に抑制的だから」 --------
11/20 ボウマン・FRB理事 「政策金利の引き下げに関して、インフレ目標をなお達成できていない点を認識しつつ、労働市場の動向を注意深く見守りながら、最終地点までどの程度離れているのか正確に判断できるよう慎重に進めたい」、「2023年初頭以降、インフレ抑制でかなりの進展が見られたが、ここ数カ月は進展が停滞しているようだ。また、物価安定目標を達成する前の段階で、政策金利が中立水準に達する、あるいは中立水準を割り込むリスクを排除すべきではない」 --------
11/18 植田・日銀総裁 「経済や物価の改善に併せて緩和度合いを少しずつ調整していくことが成長を支え、物価安定の目標を持続的・安定的に実現していくことに資する」、(そのタイミングについては)、「先行きの経済・物価・金融情勢次第」とし、「毎回の会合で利用可能なデータや情報などから、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら政策判断を行っていく」 利上げへの言及がなかったことでドル円は154円台半ばから154円台後半へと上昇。
11/14 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「米金融当局は大きな進展を遂げたが、まだ勝利宣言をすることは出来ない」 --------
11/14 クーグラー・FRB理事 「インフレの進展を停滞させる、あるいは再び加速させるリスクが生じれば、政策金利の引き下げを一時停止するのが適切となるだろう。しかし、労働市場が突然減速する場合、政策金利の漸進的な引き下げを継続することが適切だろう」 --------
11/14 パウエル・FRB議長 「最近の経済は目覚ましく良好に推移している。慎重なペースで政策金利を引き下げる余地が生じている」、「経済は、利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していない。労働市場の状況は概ね均衡し、インフレ期待もかなり安定する中で、インフレ率は時に起伏のある道をたどりながらも、2%の目標に向かって引き続き低下していくと予想している。また、経済データが許せば、利下げをゆっくり進めるのが賢明だろう」 ややタカ派的であったことからドル円は156円41銭まで上昇。
11/13 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「インフレは正しい方向に進んでいると考える。その点について自信を持っているが、もう少し様子を見る必要がある。何らかの決定を下す前に、さらに1カ月もしくは6週間のデータを分析しなくてはならない」 --------
11/13 ローガン・ダラス連銀総裁 「終着点に達するまでFOMCはさらに追加利下げを必要とする可能性が高いだろう。しかし、利下げの回数やペースを見極めるのは難しい」 --------
11/13 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「インフレを目標に回帰させ、最大限の雇用を支える上で、金融政策は好位置にある。政策金利を時間とともに中立水準へ漸進的に調整することを通じて、これらの達成を図っている。インフレが2%に向って低下し続けることが前提だ」、「追加利下げを検討する際には、今後入手するデータを思慮深く、かつ辛抱強く検証することが可能だ」 --------
11/12 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 (来月のFOMC会合での利下げ一時停止の可能性について尋ねられ)、「インフレ面で驚くようなことが起こらない限り、見通しが劇的に変わることはないだろう」、「それまでにインフレが予想外の上振れを見せれば、利下げを一時停止する可能性もある。一方で、12月までに労働市場が実際に過熱するとは考えにくく、それほど時間はない」 --------
11/12 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「購買力は高いが価格に敏感な消費者に、より生産的で価値の高い労働力が重なり、経済を良好な方向に導いた。米金融当局は経済が今後どう展開しても適切に対応できる状態にある」、(今後の経済シナリオについては)「1つは、米選挙を巡る不透明感が消え、企業が投資・雇用を再開した場合、金融当局としてインフレの上振れリスクを警戒するシナリオ。2つ目は購買力低下による利幅縮小に対応して企業が人員を削減、その結果として雇用リスクが上昇するシナリオだ」 --------
11/9 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「利下げ幅は、議会と新政権の目先の計画ではなく、生産性と経済成長にかかっている。成長が維持され、今後も構造的に生産性に高い経済成長が続くのであれば、恐らくそれほど大きな利下げには至らないだろう」と、「トランプ時期政権と新議会による政策はインフレを刺激し、最終的に利下げ幅の縮小につながるかどうかを判断するのは時期尚早」 --------
11/7 パウエル・FRB議長 「われわれは時間をかけてより中立的なスタンスへと移行しており、そうした中で今回の政策スタンスのさらなる調整は、経済と労働市場の強さを維持する一助となり、インフレ面でのさらなる進展を今後も可能にするだろう」 株と債券が買われ、金利が低下したことで153円台から152円70銭まで下落。
11/7 FOMC声明文 「委員会は雇用とインフレ目標達成に対するリスクはほぼ均衡していると考える。経済見通しは不確かで、委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」、「今年に入って以降、労働市場の状況は概ね緩和してきた。失業率は上昇したが、依然として低い水準だ」、「委員会は最大限の雇用を支え、インフレ率を目標の2%に戻すことを強くコミットしている」 株と債券が買われ、金利が低下したことで153円台から152円70銭まで下落。
10/21 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「これまでのところ、われわれが利下げを続けないことを示唆する情報は見当たらない」、「インフレ率が既に2%に向かいつつある経済にとって、極めて引き締め的な金利となっており、労働市場のさらなる悪化を私は望まない」、「われわれは現在の経済情勢と変化しつつある状況に適合するよう、政策を調整し続けていく」 --------
10/21 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「中立的な水準に到達する上で、私は今後数四半期にわたってより緩やかな利下げを予想している。ただし、それはデータ次第にある」、「より早いペースで動くためには、労働市場が急速に弱くなっているという確かな証拠が必要だ」 債券が売られ金利が上昇。ドル円は149円台後半から150円台後半に。
10/21 ローガン・ダラス連銀総裁 「2大責務のインフレと労働市場に対するリスクのバランスを取る上で、それほど景気抑制的でない金融政策が寄与する。景気が現在の想定通りに進展すれば、政策金利をより正常または中立的水準に向けて徐々に引き下げる戦略は、リスクを管理し、目標を達成するのに役立つだろう。しかし、正常化への道筋がどのようなものになるのか、政策がどの程度のスピードで対応すべきか、そして金利がどこに落ち着くべきかについては、様々なショックが影響する可能性がある」 債券が売られ金利が上昇。ドル円は149円台後半から150円台後半に。
10/17 ラガルド・ECB総裁 「成長のリスクは依然として下振れ方向に傾いているが、リセッションは想定していない。われわれは引き続きソフトランディングを見込んでいる」 --------
10/17 ECB声明文 「インフレについて入ってくる情報は、ディスインフレのプロセスが順調に進行していることを示している」、「政策委員会は物価安定の目的を達成するため必要な限り、政策金利を十分に景気抑制的な水準に維持する。景気抑制の適切な水準と期間を決定するため、引き続きデータ依存かつ会合ごとのアプローチを取る」 --------
10/15 デーリー・サンフランシス連銀総裁 「われわれは警戒姿勢を維持し、意図的に行動する必要がある。経済を継続的に分析し、二大責務の両方を均衡させなければならない」、「年内にあと1回か2回の追加利下げが行われる可能性が高い」 --------
10/14 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「政策を中立の姿勢に向けシ慎重なペースで進めていくことは可能だ」、「最終的には、政策の方向性は経済とインフレ、労働市場に関する実際のデータによって決まるだろう」、「労働市場については、急速な軟化は差し迫っていないように見受けられ心強い。インフレに関しては、ピークから顕著に鈍化したが、依然として目標をやや上回っている」 --------
10/14 ウォラー・FRB理事 「データを総合的に判断したところ、利下げペースに対して9月会合で必要とされた以上の慎重さを持って進めていくべきだとみている」、「政策を中立の姿勢に向け慎重なペースで進めていくことは可能だ」 --------
10/10 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「データによってそれが適切と示されるのであれば、金利据え置きでも全く抵抗はない」、「つまり、私が想定した通りのデータとなる場合、年内残り2回の会合のうち1回では据え置きにオープンであることをすでに示している。われわれは辛抱強く、もう少し長く事態の展開を見守る力があると考える。今日の統計には、その見解を裏付ける要素がある」 市場はドル買いで反応。
10/9 ローガン・ダラス連銀総裁 「先月に0.5ポイントの利下げが行われた後で、二つの責務に対するリスクの間で最善のバランスを取るためには、正常な政策スタンスへの回帰はより緩やかな道筋が適切になるとみられる」 --------
10/3 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレは低下しており、目標に近づいている。失業率は上昇したが、雇用市場は基本的には望ましい状態にある」と発言し、「金利は今後12カ月間に大幅に下がる必要がある」 --------
10/2 石破首相 「個人的には現在追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない。これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展することを期待している」 ドル円144円台半ばから146円台半ばまで上昇。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和