「トランプ大統領就任式での演説がカギに」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は反発し、156円37銭までドルが買われる。米金利が上昇し、株価も大幅高に振れたことで円売りが優勢に。
- ユーロドルは1.03を挟む攻防が続く。
- 株式市場では3指数が揃って大幅高。ダウは一時500ドルを超える上昇を見せたが、334ドル高で取引を終える。
- 債券は反落。長期金利は4.62%台に上昇。
- 金は反落し、原油は続落。
12月住宅着工件数 → 1499千件
12月建設許可件数 → 1483千件
12月鉱工業生産 → 0.9%
12月設備稼働率 → 77.6%
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ドル/円 | 155.57 〜 156.37 |
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ユーロ/ドル | 1.0266 〜 1.0330 |
ユーロ/円 | 159.92 〜 161.01 |
NYダウ | +334.70 → 43,487.83 |
GOLD | −2.20 → 2,748.70ドル |
WTI | −0.80 → 77.88ドル |
米10年国債 | +0.014 → 4.627% |
本日の注目イベント
- 日 11月鉱工業生産(確定値)
- 独 独12月生産者物価指数
- 米 ドナルド・トランプ氏、第47代米大統領に就任
- 米 NY市場休場(キング牧師生誕記念日)
本日のコメント
今日20日は、トランプ氏の大統領就任式が首都ワシントンで行われます。首都ワシントンは寒波に見舞われているため、宣誓式および就任演説は米議会議事堂内で行われます。式典は日本時間明日の未明になりますが、注目されるのは就任演説でどのような発言を行うのかという点と、就任後直ちに「大統領令」に署名すると述べていたトランプ氏が、どの政策を優先して署名するのかということです。さらに言えば、その中に日本に関する関税等が含まれるのかどうかという点が相場に大きく影響します。仮に日本に対しても一律に関税10%を課すということになれば、急激な円高と株安が進行すると予想されます。「アメリカファースト」を旗印に、トランプ氏は就任日に「100本の大統領令」に署名するのではないかとの報道もあります。いよいよ「トランプリスク」の始動です。
ドル円は先週155円台を割り込み、154円98銭前後まで下落。およそ1カ月ぶりの円高水準を記録し、今月10日に付けた158円88銭の高値からは4円程ドルが売られています。また、年初に4万円台を回復した日経平均株価も、3万8000円台まで売られ、軟調な動きが続いています。上記トランプ政権の政策に対する不透明感や、今週23−24日に行われる日銀金融政策決定会合で追加利上げを実施する可能性が急速に高まっていることが背景です。日銀の利上げ確率は先週末のOIS市場で、一時99%まで高まり、市場は完全に利上げがあると読んでいます。これについて日経新聞は、「14〜16日の正副総裁が『利上げするか議論し判断する』と揃って発言した。日銀の正副総裁が、直前に迫った決定会合でここまではっきりと何を議論するのか説明するのは珍しい。これは、2024年7月の利上げ決定が市場予想に反したサプライズと受け止められ、大幅な円高・株安が発生したことへの反省が透ける」と説明しています。確かに、昨年7月の利上げは「唐突」で、「日銀は市場とのコミュニケーションを取るのがFRBと比べると下手だ」と、批判されていました。同じ混乱を引き起こさないとの考えから、上記日銀の正副総裁が市場にメッセージを送ったと考えられます。ただ、仮にその通りだとしても、市場はほぼ織り込んでいるため、反応は限定的とみていますが、本日のトランプ大統領の就任演説と「大統領令への署名」次第では、日銀の利上げそのものの行方もわかりません。市場が大きく混乱するようなら、追加利上げが見送られることもないとは言えません。ここは、注意深く見守るしかありません。
イスラエルとハマスの停戦は、当初予定されていた時間よりも遅れましたが、ハマスがイスラエル人女性3人を解放したことで、停戦が実行に移されました。ただ、停戦直前までイスラエルによる執拗な攻撃は続いたようで、死者も多く出ていました。これまでの攻撃で、ハマスでは4万6000人のパレスチナ人の命が失われたと報じられています。停戦が恒久化し、そしてその影響がロシア・ウクライナへも波及すればいいのですが、こちらはそう簡単ではなさそうです。「ダボス会議」が今日からスイスで開催されますが、23日にはトランプ氏がオンラインで参加する予定です。ここで、ロシア・ウクライナ問題に言及する可能性があり、注目されています。
本日のドル円は155円50銭〜157円程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
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1/16 | ウォラー・FRB理事 | 「昨日発表されたインフレデータは非常に良好な内容だった。こうした数字が続けば、今年前半に利下げが実施され得ると考えるのが妥当だろう」、「このディスインフレ傾向は続き、考えられているより少し早く2%に近づくと、私は楽観している」、「経済活動を促進も抑制もしない中立金利に関する当局者の予想中央値は、今後発表されるデータ次第で年内3−4回の利下げが可能なことを示唆している」、「データが良好でなければ2回に戻ることになる。インフレが根強く続けば1回となる可能性さえある」 | 債券が買われ金利が低下。ドル円は156円台前半から155円05銭まで下落。 |
1/15 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | NY連銀のウイリアムズ総裁は、「ディスインフレのプロセスは続いている。しかし、当局の2%目標にはまだ達していない。この目標を持続的な形で達成出来るまでにはさらに時間がかかる」 | -------- |
1/15 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「目標の2%に戻すための最終段階を成功裏に終えるためには、当局は景気抑制的であるべきだとなお考えている」 | -------- |
1/15 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「インフレ面での改善傾向が続いている。2025年は成長を続けながらソフトランディングが達成できると、引き続き楽観している」 | -------- |
1/9 | ハーカー総裁・フィラデルフィア連銀総裁 | 「今は休止して、状況の推移を見守るのが適切」、「しばしの現状維持は可能だ。恐らく長期ではない。データがどうなるのか、見極める必要がある」 | -------- |
1/9 | ボウマンFRB理事 | 「インフレ率は2023年に大幅に鈍化したが、24年は進展が停滞したようだ。コアインフレ率は目標である2%の水準をなお不快なほど上回っている。政策については慎重かつ緩やかなアプローチが望ましい」 | -------- |
1/9 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「時間の経過に伴い、一段の緩和が適切となるだろう。その規模は9月に考えていたよりもいくらか小幅となる可能性がある。じっくりと辛抱強くデータを総合的に評価する。つまり、辛抱強く分析的に見ていくことが、今年の政策を考える上で適切な可能性が高いだろう」 | -------- |
1/5 | クーグラーFRB理事 | 「インフレは、2024年第1四半期に上昇が見られたが、ここにきてまた上昇が見られる」、「これが本当に一時的な上昇であって、より永続的なものではないことを確認したい」 | -------- |
1/5 | デーリー・SF連銀総裁 | 「インフレ率は依然として目標を不快なほど大きく上回っている」 | -------- |
12/20 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「インフレ抑制がさらに進展するまで金利を据え置くべきだと考えた」、「経済活動を緩やかに抑制する程度の高い水準で金利を『当面は』維持すべきだと考えた」 | -------- |
12/20 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「私個人の予測としては、財政や移民といった政策に関する考えをいくらか織り込んだ。これらの要素は経済の先行きを考える上で重要だからだ」「不確実性が著しいことを、ただ強調しておきたい」 | -------- |
12/20 | 三村:財務省財務官 | 「投機的な動きも含め、為替の動きを憂慮している。行き過ぎた動きには適切な対応を取りたいと思っている」 | ドル円はやや円高方向に振れる。 |
12/18 | FOMC声明文 | 「最近複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆している。今年の早い時期以降、労働市場の状況はおおむね緩和してきた。失業率は上昇したが低いままだ。インフレは委員会が目指す2%の目標に向けて進展を示したが、依然として幾分高い水準にある。金融政策の適切なスタンスを見極める上で、委員会は今後の情報が経済見通しに与える意義を引き続き監視する。委員会の目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、委員会は必要に応じて金融政策のスタンスを調整する用意がある」 | 債券と株が大きく売られ、金利上昇に伴いドル円は153円70銭台から154円台半ばまで買われる。 |
12/18 | パウエル・FRB議長 | 「今回の行動により、われわれは政策金利をピーク時から1ポイント引き下げたことになり、現在の政策スタンスは顕著に景気抑制度合いが弱まった。」、「よって政策金利のさらなる調整を検討する上で、われわれはより慎重になることが可能だ」(ただ)、「政策は依然として有意に景気抑制的であり、委員会は利下げを継続する方向にある」 | 債券と株が大きく売られ、金利上昇に伴いドル円は153円70銭台から154円台半ばまで買われる。 |
12/6 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「米国の雇用情勢に関する一連のデータが不安定だったにもかかわらず、労働市場はおおむね安定しているようだ」、「私には持続可能な完全雇用のように感じられる」 | -------- |
12/6 | デーリー・SF連銀総裁 | 「労働市場は引き続き良い位置にある。雇用が拡大する中、失業者一人につき約1人分の空ポジションがある。つまり、バランスの取れた労働市場と言える」 | -------- |
12/6 | ボウマン・FRB理事 | 「失業率は上昇したものの、歴史的に見れば低い水準だ」、「現時点において労働市場よりもインフレの方がより大きな懸念だと引き続き見ている」、「インフレは高止まりしており、利下げは慎重かつ漸進的に進めたい」 | -------- |
12/4 | ムサレム・セントルイス連銀総裁 | 「政策の選択性を維持することが重要だと思われ、現在の経済環境や新たに入手できる情報、見通しの変化を慎重に見極めるためには、利下げペースの減速や一時停止を検討する時期が近づいているのかもしれない」 | -------- |
12/4 | パウエル・FRB議長 | (米経済の現状について)、「著しく良好だ」、(金融政策について)、「景気を刺激も抑制もしない中立水準に向けて金利を引き下げる上で、当局は慎重になれる余裕がある」、(次期財務長官に指名されているスコット・ベッセント氏については)、「承認されれば、他の財務長官と同じような関係を築けると確信している」、「例えば、経済諮問委員会(CEA)とも、最も重要な財務省とも、同じような全般的な関係、かつ組織的な関係を築くことを十分に期待している」 | 株と債券が買われ、NYダウは初の4万5千ドル台に乗せる。 |
12/4 | デーリー・SF連銀総裁 | 「経済を良好な状態に保つためには、政策の再調整を続けなくてはならない。12月になるか、それよりも後になるのか、それは次回の会合で議論する機会を得られる問いだ。しかし重要なのは、経済に合わせて政策金利を引き下げ続けなくてはならないことだ」 | -------- |
12/4 | クーグラー・FRB理事 | 「経済は最大限の雇用確保と物価安定という2大目標に向けて近年大きく前進し、現在は良好な状態にあると私は見ている。労働市場は堅調を維持し、インフレ率は、途中多少の起伏はあったものの、目標の2%に向けた持続可能な道筋をたどっているように見受けられる」、「FOMCの政策決定にあらかじめ定まった道筋はない。インフレ鈍化の面で達成した前進を、台無しにしかねないリスクや負の供給ショックが到来しないか、私は注意深く監視していく。仕事はまだ終わっていない。 | -------- |
12/2 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「最大限の雇用と物価安定というFOMCの2つの責務に関し、それらを達成する上でのリスクはほぼ均衡が取れている状態にシフトした。従ってわれわれも、経済活動を刺激も抑制もしないスタンスへと金融政策をシフトし始めるべきだ」 | -------- |
12/2 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | 「インフレと雇用に対するリスクが一段と均衡してきた現在、政策を中立スタンスに移行すべく金利をさらに引き下げる必要があるだろう」、「政策の道筋はデータ次第になる。過去5年間に学んだことがあるとすれば、見通しは依然として極めて不透明だということだ」 | -------- |
12/2 | ウォラー・FRB理事 | 「政策金利据え置きが理にかなうデータが会合前に出る可能性はあるが、現時点で12月会合での政策金利引き下げを支持する方向に傾いている」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書