「S&P500、小幅ながら最高値を更新」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 東京時間に152円台前半まで買われたドル円は、NYの朝方には151円台半ばまで下げたが、その後反発。米金利が上昇したことで152円台に乗せて引ける。
- ユーロドルは1.04台半ばを中心にもみ合う。
- 3指数ともマイナス圏で推移していた株式市場では、引けにかけて買われ、3指数とも小幅高で引ける。S&P500は14ポイント買われ、最高値を更新。
- 債券は反落。長期金利は4.55%台に上昇。
- 金は大幅に反発。原油も1ドルを超える上昇。
2月NY連銀製造業景況指数 → 5.7
2月NAHB住宅市場指数 → 42
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ドル/円 | 151.53 〜 152.13 |
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ユーロ/ドル | 1.0435 〜 1.0470 |
ユーロ/円 | 158.36 〜 158.92 |
NYダウ | +10.26 → 44,556.34 |
GOLD | +48.30 → 2,949.00ドル |
WTI | +1.11 → 71.85ドル |
米10年国債 | +0.074 → 4.550% |
本日の注目イベント
- 豪 豪第4四半期賃金指数
- 日 1月貿易統計
- 日 高田日銀審議委員、宮城県金融経済懇談会で講演
- 欧 ユーロ圏12月経常収支
- 英 英1月消費者物価指数
- 米 1月住宅着工件数
- 米 1月建設許可件数
- 米 FOMC議事録(1月28−29日分)
- 加 カナダ1月消費者物価指数
本日のコメント
昨日の日本の債券市場では10年債がさらに売られ、長期金利は1.43%台まで上昇しました。債券市場の多くの参加者が日銀の追加利上げを意識しており、債券には売り圧力がかかっています。第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストはこの背景について、「連続利上げが意識される背景としては、日銀がインフレ率の持続上昇には自信を深めている、あるいは上振れに対する警戒を強めていることがあるだろう。コメと野菜の高騰によって生鮮食品を含んだ総合CPIが前年比で+3.6%へと伸びを高めている現状、日銀は『基調的な物価上昇は2%を下回っている』と言いにくくなっている」と説明していました。長期金利が1.43%台まで上昇するのは、2009年11月以来およそ15年ぶりのこととなります。
日本のインフレが意識され、これが日銀の追加利上げのタイミングを早めるのではないかといった観測が強まる中、本日は10時半から高田日銀審議委員の講演が仙台であります。日銀政策委員の中では「タカ派」と見られている同氏だけに、「追加利上げの時期を早めるべきだ」といった趣旨の発言があるかもしれません。もっとも、タカ派的な発言がなければ、反対にドルが買われ、株価の上昇が見られる可能性もあります。円金利の上昇は、足元ではドル金利が低下傾向にあることから「ドル売り円買い」につながり易いと思われますが、昨日はFRBのウォラー理事がシドニーで講演し、「昨年の場合と同様に、冬季の進展休止が一時的なものならば、一段の緩和策が適切になるだろう。しかし、その時期が明確になるまでは金利据え置きは望ましい」と、ここしばらくは経済データを精査し、様子をみるべきだとの考えを示しました。このニュースが流れると、ドル円は昼過ぎには152円台に乗せ、一時は152円21銭辺りまで買われました。
米国とロシアの高官がサウジアラビアのリヤドで協議を行いました。ウクライナ戦争の終結方法などが話し合われましたが、ウクライナの参加はなく、欧州を置き去りにしたまま2大国で拙速な合意に突き進む可能性が懸念されています。会談後米国のルビオ国務長官は、「紛争を恒久的に終結させるということは、紛争に関わる全ての人が納得できるものでなければならない。そこにはウクライナはもちろん、欧州やロシアも含む」と説明していました。しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は急遽サウジ訪問を取りやめ、「われわれの背後ではなく、公正な方法で終わらせることを求めている」と談話を発表しています。協議では、ウクライナ侵攻後に導入された対ロシア制裁の解除を議論する方針も示唆されています。最終的にはトランプ氏とプーチン氏が直接会って、停戦合意に至ると見られますが、両氏の会談日程は示されていませんでした。今朝の報道では、今月中の会談実現は不可能だろうと、伝えています。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は18日アリゾナ州で講演を行いました。総裁は、「インフレ抑制の進展について落胆する理由はないと私は考えている。単に望まれているより長い時間がかかるだけだ」と述べ、これまでのFOMCメンバーとほぼ同様なスタンスでした。トランプ政権の政策の影響についても「時間をかけて判断すべきだ」と話しています。パウエル議長を始め多くのメンバーは、足元のインフレ率の上昇を注視はしているものの、おおむね「一過性のもの」と認識しているようです。ただ、今後の政策の影響については「不確実性が高く、様子を見守るしかない」というスタンスにいます。
本日のドル円は151円30銭〜153円30銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
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2/18 | ウォラー・FRB理事 | 「昨年の場合と同様に、冬季の進展休止が一時的なものならば、一段の緩和策が適切になるだろう。しかし、その時期が明確になるまでは金利据え置きは望ましい」 | ドル円は151円台から152円台に乗せる。 |
2/18 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | インフレ抑制の進展について落胆する理由はないと私は考えている。単に望まれているより長い時間がかかるだけだ」、(トランプ政権の政策の影響について)「時間をかけて判断すべきだ」 | -------- |
2/17 | ハーカー・フィラデルフィア連総裁 | 「具体的な時間的見通しは約束しないが、インフレは引き続き鈍化傾向にあり、金利は長期的に引き下げられると楽観している | -------- |
2/17 | ボーマン・FRB理事 | 「フェデラルファンド(FF)金利をより中立的な政策スタンスに近づけるプロセスは、新たな段階に入った。慎重で段階的なアプローチが好ましいと私が考えるのは、いくつか理由がある。現行政策のスタンスを考慮すると。1年前からの株高による金融環境の緩みが、ディスインフレの進行を遅らせたかもしれないと考えている」 | -------- |
2/12 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「より明確に把握できるまでは、金融政策がどこに向かうのか、どのくらいの速度・ペースで進むべきかについて判断を下すことが不可能だ。従ってわれわれは動き出す前に、より多くの情報を入手する必要がある。われわれは十分な情報を得た時点で動くことになるだろう」 | -------- |
2/12 | パウエル・FRB議長 | 「1つや2つの良好なデータに興奮することはない。1つや2つの悪いデータに強く反応することもない」、「インフレに関しては近いところだが、まだ到達はしていない。昨年のインフレ率は2.6%だった。よって素晴らしい進展と言えるが、まだ達してはいない」 | -------- |
2/11 | サマーズ・元財務長官 | 「1月の雇用統計における賃金の大幅上昇など、労働市場のタイト化の兆しは、新政権による措置が講じられる前から、消費者物価が上昇する可能性がある背景がすでに整っている。ホワイトハウスから打ち出される政策が実行される前であっても、インフレに対して非常に注意をはらわなければならない」、「現在のサイクルでさらなる利下げ余地はない」 | -------- |
2/11 | パウエル・FRB議長 | 「政策スタンスは景気抑制の度合いが以前より顕著に弱まっており、経済は強さを維持している。よって政策スタンスの調整は急ぐ必要はない」、「政策による景気抑制の度合い低下が速過ぎ、ないし行き過ぎとなれば、インフレ面での進展を妨げる可能性がある。一方で遅過ぎ、または少な過ぎであれば、経済活動と雇用を過度に弱めかねない」、(トランプ政権が進めている関税の強化の不透明感が強まっている景気への影響に関しては)、「われわれは2大責務における両面のリスクに注意を払っている。政権はわれわれが直面するリスクと不確実性に対処する上で良い態勢にある」・・・・(上院議会証言で) | -------- |
2/7 | クーグラー・FRB理事 | 「軟化も過熱の兆候も見られない健全な労働市場と整合だ」、「トランプ大統領の新たな政策案の経済効果については、かなりの不確実性がある」 | -------- |
2/5 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「2025年にインフレ率が上昇したり、インフレでの進展が停滞したりする場合、米金融当局はインフレが過熱によるものか、または関税によるものかを見極める難しい立場に置かれている」 | -------- |
2/5 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「そうした不確実性がもう少し明瞭になるまで。成長や雇用、インフレに関して何が起きているのかを理解するのは非常に難しい」 | -------- |
2/4 | デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 | 「米経済は良好な状態であり、トランプ政権が導入する政策にFRBとして即座に対応する必要はない」、「多くの不確実性がある。経済と政策変更のいずれに関しても、時間を取って今後の動向を見極めることが可能だ」、「FRBの意思決定において、予防的である必要はない」 | -------- |
2/3 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「昨年末までに実施した100ベーシスポイントの利下げが、経済にどのように反映されるのか確認したい」、「データの内容次第では、しばらく様子見になるかもしれない」 | -------- |
2/3 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | (ここ数日に発表されたような広範な関税が実施されれば、物価に影響を与える可能性が高いとしつつ、厳密な政策はまだ練られていない状況とし)、「影響の度合いを正確に予測するのは難しい」、「追加調整を行う緊急性はない。データ次第になる。いずれかの時点で、政策スタンスに関して一段の正常化が行われるのは確かだ」 | -------- |
1/30 | ラガルド・ECB総裁 | 「向かっている方向は明らかで、今回の決定は全会一致だった。確固としたフォワードガイダンスを得たいと考えている向きには、そのようなものは非現実的だと言えよう。現時点では重大な不確実性があるからだ。不確実性は恐らく強まっている」 | -------- |
1/30 | ECB声明文 | 「ディスインフレプロセスは極めて順調に進行している。基調的なインフレに関するほとんどの指標は、インフレ率が持続的に目標付近で安定することを示唆している」と2%物価の目標達成に自信を示ししつつ、「現在の金融政策は『依然として景気抑制的』だ」 | -------- |
1/29 | パウエル・FRB議長 | 「金融政策スタンスが景気を抑制する度合いは、以前より大幅に弱まっており、経済は強さを維持していることから、政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」、「労働市場が急速に減速したり、インフレが再燃し場合には政策金利を調整する用意がある」、(トランプ政権の政策の行方については)「分からない」 | ほとんど影響はなし。 |
1/29 | FOMC声明文 | 「最近の複数の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大を続けていることを示唆する。失業率はここ数カ月、低水準で推移しており、労働市場の状況は堅調を維持している。インフレは幾分高止まりしている」 | ほとんど影響はなし。 |
1/23 | トランプ大統領 | (ダボス会議でのオンライン参加で)「金利の即時引き下げを要求する」、(政策金利に関して、FRB議長の判断に疑問を呈した上で)「議長と適切な時期に話すつもりだ。彼らよりも私の方が金利に関してはるかに詳しく、その判断に当たる主な責任者よりも私の方が熟知しているのは確かだ。私が反対の意見であれば、それを伝える」、(金融当局が自分の主張に耳を傾けると考えるのかとの質問に)「イエス」 | ドル円がやや売られ、原油価格は下落。 |
1/16 | ウォラー・FRB理事 | 「昨日発表されたインフレデータは非常に良好な内容だった。こうした数字が続けば、今年前半に利下げが実施され得ると考えるのが妥当だろう」、「このディスインフレ傾向は続き、考えられているより少し早く2%に近づくと、私は楽観している」、「経済活動を促進も抑制もしない中立金利に関する当局者の予想中央値は、今後発表されるデータ次第で年内3−4回の利下げが可能なことを示唆している」、「データが良好でなければ2回に戻ることになる。インフレが根強く続けば1回となる可能性さえある」 | 債券が買われ金利が低下。ドル円は156円台前半から155円05銭まで下落。 |
1/15 | ウイリアムズ・NY連銀総裁 | NY連銀のウイリアムズ総裁は、「ディスインフレのプロセスは続いている。しかし、当局の2%目標にはまだ達していない。この目標を持続的な形で達成出来るまでにはさらに時間がかかる」 | -------- |
1/15 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「目標の2%に戻すための最終段階を成功裏に終えるためには、当局は景気抑制的であるべきだとなお考えている」 | -------- |
1/15 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「インフレ面での改善傾向が続いている。2025年は成長を続けながらソフトランディングが達成できると、引き続き楽観している」 | -------- |
1/9 | ハーカー総裁・フィラデルフィア連銀総裁 | 「今は休止して、状況の推移を見守るのが適切」、「しばしの現状維持は可能だ。恐らく長期ではない。データがどうなるのか、見極める必要がある」 | -------- |
1/9 | ボウマンFRB理事 | 「インフレ率は2023年に大幅に鈍化したが、24年は進展が停滞したようだ。コアインフレ率は目標である2%の水準をなお不快なほど上回っている。政策については慎重かつ緩やかなアプローチが望ましい」 | -------- |
1/9 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「時間の経過に伴い、一段の緩和が適切となるだろう。その規模は9月に考えていたよりもいくらか小幅となる可能性がある。じっくりと辛抱強くデータを総合的に評価する。つまり、辛抱強く分析的に見ていくことが、今年の政策を考える上で適切な可能性が高いだろう」 | -------- |
1/5 | クーグラーFRB理事 | 「インフレは、2024年第1四半期に上昇が見られたが、ここにきてまた上昇が見られる」、「これが本当に一時的な上昇であって、より永続的なものではないことを確認したい」 | -------- |
1/5 | デーリー・SF連銀総裁 | 「インフレ率は依然として目標を不快なほど大きく上回っている」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書