今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「3月のミシガン大学消費者マインドは57.9に低下」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は落ち着いた動きを見せ、終始148円台で推移。米金利が上昇したことで、148円89銭まで買われた。
  • ユーロドルは小幅に反発し、1.0911まで上昇。
  • 株式市場では、下落基調の中、値ごろ感から3指数が大幅反発。ダウは674ドル買われ、ナスダックは2.6%の上昇。
  • 債券は売られ、長期金利は4.31%台に上昇。
  • 金は4日続伸し、引け値で初の3000ドル台に。原油は反発。
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3月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 57.9
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ドル/円 148.26 〜 148.89
ユーロ/ドル 1.0866 〜 1.0911
ユーロ/円 161.27 〜 162.32
NYダウ +674.62 → 41,488.19
GOLD +9.80 → 3,001.10ドル
WTI +0.63 → 67.18
米10年国債 +0.044 → 4.312%

本日の注目イベント

  • 中 中国2月小売売上高
  • 中 中国2月鉱工業生産
  • 欧 OECD中間経済見通し
  • 米 3月NY連銀製造業景況指数
  • 米 2月小売売上高
  • 米 3月NAHB住宅市場指数
  • 加 カナダ2月住宅着工件数

本日のコメント

「米3月のミシガン大学消費者マインド」は「57.9」と、2年ぶりの低水準に落ち込みました。トランプ大統領が関税政策を進める中、消費者の中にはインフレが加速するという見方が徐々に醸成され、これが消費者心理を悪化させていると見られます。2月は「64.7」で、市場予想も「63.0」でしたが、これを大きく下回る結果でした。最新のNBCニュースがまとめた調査でも、米経済の現状に不満を抱き始めている有権者が増えていることも明らかになっています。米国が正しい方行に向っていると回答した有権者の比率は「44%」で、過半数が正しくない方向に向かっていると考えている結果が出ています。トランプ氏の経済運営に対しては、有権者の過半数を超える「54%が不満足」と回答し、インフレと生活費への対応に対しても「55%が不満足」と答えています。米経済を「すばらしい」、もしくは「良好」と答えた有権者はわずか「18%」だったという結果も示されました。また、政府効率化省(DOGE)を率い、連邦政府機関の人員削減を強行するイーロン・マスク氏に対しても、有権者の過半数がネガティブにみていることも明らかになっています。

先週カナダの第24代首相に就任したマーク・カーニー氏は、先ずフランス語で、続いて英語で宣誓を行いその後の記者会見では、貿易を巡るトランプ政権との協議に「進展」があったことを明らかにしました。カーニー氏は、「彼が成し遂げようとしていることを私は尊重する。われわれは共に自国を配慮する。私も彼も、双方に有益な相互解決策を見いだせることを、長い経験から知っている」と述べ、その上で「第一に、海外から不当な貿易措置に直面する中でカナダの労働者とその家族を守ること。第二に、カナダ国民の懐により多くの資金をもたらすことで、この素晴らしい国を成長させることだ」と言明しました。トランプ氏の提唱する「相互関税」は4月2日に発動される予定ですが、このままでいくと、同盟国の日本にも適用される見込みで、それは先週武藤経済産業相が成果なく米国から帰国したことでも明らかです。「相互関税」が発動されれば、日本の株価の下落から「リスク回避の円買い」が再び強まる可能性もあり、予断を許しません。まだ、145−150円のレンジの中で、145円方向を試す可能性の方が高いと予想しています。

シカゴ先物市場におけるヘッジファンドなど投機筋のポジションを見ると、先週11日時点では13万3902枚の「円買い・ドル売り」ポジションでした。円のネット買い持ちポジションは過去最高水準でしたが、その前の週と比較すると増加枚数はわずか「251枚」だったことに気づきます。ブルームバーグは「投機筋の円買いポジションは歴史的水準ではあるが、持ち高は限界水準であるかもしれない」と報じています。何かのきっかけで、円買いポジションを閉じて円売りに変える可能性は十分あり、その場合にはドルが大きく買われることになります。それがいつ起こるかは分かりませんが、その可能性は常に意識しておく必要があります。日米の金利差からしても、余程円高が進むという確信がない限り、円買いポジションを長期に維持できないことは、過去のポジションの歴史を見れば、明らかです。

本日のドル円は147円50銭〜149円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/7 パウエル・FRB議長 「多くの指標が労働市場は堅調で、ほぼ均衡状態にあることを示している」、(追加利下げについては)、「急ぐ必要はなく、(政権の動向などが)より明確になるまで待つことができる」、(米経済の現状について)、「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は良好な状態が続いている」 株が買われ、債券が売られ金利が上昇。ドル円は147円割れから148円台前半まで上昇。
3/3 トランプ大統領 「日本と中国が通貨安政策を取るなら、米国は不当に不利な立場に立たされる」 ドル円は149円台半ばから下落。
2/25 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ率が当局目標の2%に戻りつつあるとの自信を深めるまで、やや景気抑制的な姿勢を維持することが理にかなっている。いんふれとの闘いは長期化していると認識しているが、われわれが断固たる姿勢を維持することが極めて重要だ」 --------
2/20 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「インフレ率が2%超にとどまる、ないし上昇するリスクが上方向に傾いているようだ。インフレが停滞するリスクは、労働市場が顕著に軟化するリスクよりも大きい」とし、その上で、「インフレ率が当局目標の2%へと順調に低下してきたことが明確になるまで、やや景気抑制的な金融政策を維持すべきだ」 --------
2/18 ウォラー・FRB理事 「昨年の場合と同様に、冬季の進展休止が一時的なものならば、一段の緩和策が適切になるだろう。しかし、その時期が明確になるまでは金利据え置きは望ましい」 ドル円は151円台から152円台に乗せる。
2/18 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 インフレ抑制の進展について落胆する理由はないと私は考えている。単に望まれているより長い時間がかかるだけだ」、(トランプ政権の政策の影響について)「時間をかけて判断すべきだ」 --------
2/17 ハーカー・フィラデルフィア連総裁 「具体的な時間的見通しは約束しないが、インフレは引き続き鈍化傾向にあり、金利は長期的に引き下げられると楽観している --------
2/17 ボーマン・FRB理事 「フェデラルファンド(FF)金利をより中立的な政策スタンスに近づけるプロセスは、新たな段階に入った。慎重で段階的なアプローチが好ましいと私が考えるのは、いくつか理由がある。現行政策のスタンスを考慮すると。1年前からの株高による金融環境の緩みが、ディスインフレの進行を遅らせたかもしれないと考えている」 --------
2/12 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「より明確に把握できるまでは、金融政策がどこに向かうのか、どのくらいの速度・ペースで進むべきかについて判断を下すことが不可能だ。従ってわれわれは動き出す前に、より多くの情報を入手する必要がある。われわれは十分な情報を得た時点で動くことになるだろう」 --------
2/12 パウエル・FRB議長 「1つや2つの良好なデータに興奮することはない。1つや2つの悪いデータに強く反応することもない」、「インフレに関しては近いところだが、まだ到達はしていない。昨年のインフレ率は2.6%だった。よって素晴らしい進展と言えるが、まだ達してはいない」 --------
2/11 サマーズ・元財務長官 「1月の雇用統計における賃金の大幅上昇など、労働市場のタイト化の兆しは、新政権による措置が講じられる前から、消費者物価が上昇する可能性がある背景がすでに整っている。ホワイトハウスから打ち出される政策が実行される前であっても、インフレに対して非常に注意をはらわなければならない」、「現在のサイクルでさらなる利下げ余地はない」 --------
2/11 パウエル・FRB議長 「政策スタンスは景気抑制の度合いが以前より顕著に弱まっており、経済は強さを維持している。よって政策スタンスの調整は急ぐ必要はない」、「政策による景気抑制の度合い低下が速過ぎ、ないし行き過ぎとなれば、インフレ面での進展を妨げる可能性がある。一方で遅過ぎ、または少な過ぎであれば、経済活動と雇用を過度に弱めかねない」、(トランプ政権が進めている関税の強化の不透明感が強まっている景気への影響に関しては)、「われわれは2大責務における両面のリスクに注意を払っている。政権はわれわれが直面するリスクと不確実性に対処する上で良い態勢にある」・・・・(上院議会証言で) --------
2/7 クーグラー・FRB理事 「軟化も過熱の兆候も見られない健全な労働市場と整合だ」、「トランプ大統領の新たな政策案の経済効果については、かなりの不確実性がある」 --------
2/5 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「2025年にインフレ率が上昇したり、インフレでの進展が停滞したりする場合、米金融当局はインフレが過熱によるものか、または関税によるものかを見極める難しい立場に置かれている」 --------
2/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「そうした不確実性がもう少し明瞭になるまで。成長や雇用、インフレに関して何が起きているのかを理解するのは非常に難しい」 --------
2/4 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済は良好な状態であり、トランプ政権が導入する政策にFRBとして即座に対応する必要はない」、「多くの不確実性がある。経済と政策変更のいずれに関しても、時間を取って今後の動向を見極めることが可能だ」、「FRBの意思決定において、予防的である必要はない」 --------
2/3 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「昨年末までに実施した100ベーシスポイントの利下げが、経済にどのように反映されるのか確認したい」、「データの内容次第では、しばらく様子見になるかもしれない」 --------
2/3 コリンズ・ボストン連銀総裁 (ここ数日に発表されたような広範な関税が実施されれば、物価に影響を与える可能性が高いとしつつ、厳密な政策はまだ練られていない状況とし)、「影響の度合いを正確に予測するのは難しい」、「追加調整を行う緊急性はない。データ次第になる。いずれかの時点で、政策スタンスに関して一段の正常化が行われるのは確かだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和