今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「トランプ大統領、プーチン大統領と本日電話会談」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は続伸。米金利は小幅に低下したものの、株価の上昇にリスク回避の流れが後退し149円28銭までドル高に。
  • ユーロドルも小幅に続伸し、1.0933まで買われる。
  • 株式市場では3指数が揃って続伸。リセッション入りの懸念がひとまず後退し、S&P500は36ポイント上昇。
  • 債券は反発し、長期金利は4.3%台を割り込む。
  • 金と原油は続伸。
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3月NY連銀製造業景況指数 → −20.0
2月小売売上高 → 0.2%
3月NAHB住宅市場指数 → 39
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ドル/円 148.20 〜 149.28
ユーロ/ドル 1.0888 〜 1.0930
ユーロ/円 161.51 〜 163.02
NYダウ +353.51 → 41,841.70
GOLD +5.00 → 3,006.10ドル
WTI +0.40 → 67.58ドル
米10年国債 −0.014 → 4.299%

本日の注目イベント

  • 独 独3月ZEW景気期待指数
  • 欧 ユーロ圏1月貿易収支
  • 米 2月住宅着工件数
  • 米 2月建設許可件数
  • 米 2月輸入物価指数
  • 米 2月輸出物価指数
  • 米 2月鉱工業生産
  • 米 2月設備稼働率

本日のコメント

トランプ大統領は18日に、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行うと発表しました。トランプ氏は大統領専用機の中で記者団に電話協議を行うと述べ、記者から、プーチン氏にどのような譲歩を求めるのかという質問に、「交渉の多くの部分が領土に関するものになるだろう」と答えています。一方でブルームバーグは、セマフォーの情報として、トランプ政権はロシアのウクライナ侵攻を終わらせるための将来の合意の一部として、「ウクライナのクリミアをロシア領として承認することを検討している」と報じています。トランプ氏は「ディールは見込みが極めて高い」と話していましたが、欧州諸国の見方は異なっています。そもそもトランプ氏は、ロシアよりもウクライナに対して批判的だとの認識をEU諸国は持っており、EUのカラス外交安全保障上級代表は、「ロシアが提示した条件は実際、平和など望んでいない」と厳しく批判しています。プーチン氏自身も、停戦を望んでいるのは確かなようですが、そうであるならば、ウクライナだけではなくロシア側にもある程度の譲歩は必要かと思います。

昨日の本欄で、カナダのカーニー新首相が会見で、貿易を巡るトランプ政権との協議に「進展」があったことを明らかにし、米国との「貿易戦争」がやや治まる気配を見せてはいましたが、その後の報道でカーニー氏は、米防衛大手ロッキード・マーチンとの戦闘機「F35」契約の見直しを指示したことが明らかになりました。カーニー氏は就任宣誓式から数時間後同国国防相に対し、軍および国防省と協力し、現在のF35契約がカナダにとって最善の投資かどうか、カナダのニーズにより合致する他の選択肢があるか判断するよう求めた。(ブルームバーグ)と伝えられています。ロッキード社とのF35契約は、88機を190億カナダドル(約1兆9700億円)相当で購入するというものです。カーニー氏は2月の討論会で、「防衛費はこれまで8割を米国で使ってきたが、そうではなくカナダで使うつもりだ」と話していました。仮にこの契約が修正されれば、トランプ氏はさらにカナダに対して関税を引き上げるかもしれません。

OECDは世界経済の見通しで、成長率予測を下方修正しました。トランプ政権の攻撃的な通商政策により、世界は突如として成長鈍化とインフレ率上昇の道を歩むことになるとその理由を述べ、緊張が高まれば状況はさらに悪化する可能性があると指摘していました。世界全体では0.2%引き下げ「3.1%」にし、米国を始め欧州、日本は0.2%から0.4%の幅で下方修正しています。特に日本は0.4%引き下げ「1.1%」にしました。主要国で唯一上方修正されたのが中国で、0.1%引き上げ「4.8%」にしています。とりわけ目立ったのが、今回厳しい関税引き上げの対象となったカナダとメキシコでした。カナダは1.3%引き下げ「0.7%」、メキシコに至っては2.6%引き下げ「−1.3%」に下方修正しています。25%への関税引き上げの影響が非常に大きいということがうかがえます。

ドル円は再び149円台を回復したことで、比較的早期のサインを見せてくれる「MACD」では変化が出てきました。「マックDライン」が「シグナルライン」を上抜けする「ゴールデンクロス」を見せています。「ゴールデンクロス」が点灯するのは、昨年12月中旬以来のこととなります。ただ、このまま直ぐにドルが上昇するには、まだ時間が必要かと思います。両線が依然として「マイナス圏」で推移しているからです。「ゴールデンクロス」が再び消滅する可能性もありますが、一応注意して見ておく必要があります。

本日のドル円は148円30銭〜150円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/7 パウエル・FRB議長 「多くの指標が労働市場は堅調で、ほぼ均衡状態にあることを示している」、(追加利下げについては)、「急ぐ必要はなく、(政権の動向などが)より明確になるまで待つことができる」、(米経済の現状について)、「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は良好な状態が続いている」 株が買われ、債券が売られ金利が上昇。ドル円は147円割れから148円台前半まで上昇。
3/3 トランプ大統領 「日本と中国が通貨安政策を取るなら、米国は不当に不利な立場に立たされる」 ドル円は149円台半ばから下落。
2/25 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ率が当局目標の2%に戻りつつあるとの自信を深めるまで、やや景気抑制的な姿勢を維持することが理にかなっている。いんふれとの闘いは長期化していると認識しているが、われわれが断固たる姿勢を維持することが極めて重要だ」 --------
2/20 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「インフレ率が2%超にとどまる、ないし上昇するリスクが上方向に傾いているようだ。インフレが停滞するリスクは、労働市場が顕著に軟化するリスクよりも大きい」とし、その上で、「インフレ率が当局目標の2%へと順調に低下してきたことが明確になるまで、やや景気抑制的な金融政策を維持すべきだ」 --------
2/18 ウォラー・FRB理事 「昨年の場合と同様に、冬季の進展休止が一時的なものならば、一段の緩和策が適切になるだろう。しかし、その時期が明確になるまでは金利据え置きは望ましい」 ドル円は151円台から152円台に乗せる。
2/18 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 インフレ抑制の進展について落胆する理由はないと私は考えている。単に望まれているより長い時間がかかるだけだ」、(トランプ政権の政策の影響について)「時間をかけて判断すべきだ」 --------
2/17 ハーカー・フィラデルフィア連総裁 「具体的な時間的見通しは約束しないが、インフレは引き続き鈍化傾向にあり、金利は長期的に引き下げられると楽観している --------
2/17 ボーマン・FRB理事 「フェデラルファンド(FF)金利をより中立的な政策スタンスに近づけるプロセスは、新たな段階に入った。慎重で段階的なアプローチが好ましいと私が考えるのは、いくつか理由がある。現行政策のスタンスを考慮すると。1年前からの株高による金融環境の緩みが、ディスインフレの進行を遅らせたかもしれないと考えている」 --------
2/12 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「より明確に把握できるまでは、金融政策がどこに向かうのか、どのくらいの速度・ペースで進むべきかについて判断を下すことが不可能だ。従ってわれわれは動き出す前に、より多くの情報を入手する必要がある。われわれは十分な情報を得た時点で動くことになるだろう」 --------
2/12 パウエル・FRB議長 「1つや2つの良好なデータに興奮することはない。1つや2つの悪いデータに強く反応することもない」、「インフレに関しては近いところだが、まだ到達はしていない。昨年のインフレ率は2.6%だった。よって素晴らしい進展と言えるが、まだ達してはいない」 --------
2/11 サマーズ・元財務長官 「1月の雇用統計における賃金の大幅上昇など、労働市場のタイト化の兆しは、新政権による措置が講じられる前から、消費者物価が上昇する可能性がある背景がすでに整っている。ホワイトハウスから打ち出される政策が実行される前であっても、インフレに対して非常に注意をはらわなければならない」、「現在のサイクルでさらなる利下げ余地はない」 --------
2/11 パウエル・FRB議長 「政策スタンスは景気抑制の度合いが以前より顕著に弱まっており、経済は強さを維持している。よって政策スタンスの調整は急ぐ必要はない」、「政策による景気抑制の度合い低下が速過ぎ、ないし行き過ぎとなれば、インフレ面での進展を妨げる可能性がある。一方で遅過ぎ、または少な過ぎであれば、経済活動と雇用を過度に弱めかねない」、(トランプ政権が進めている関税の強化の不透明感が強まっている景気への影響に関しては)、「われわれは2大責務における両面のリスクに注意を払っている。政権はわれわれが直面するリスクと不確実性に対処する上で良い態勢にある」・・・・(上院議会証言で) --------
2/7 クーグラー・FRB理事 「軟化も過熱の兆候も見られない健全な労働市場と整合だ」、「トランプ大統領の新たな政策案の経済効果については、かなりの不確実性がある」 --------
2/5 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「2025年にインフレ率が上昇したり、インフレでの進展が停滞したりする場合、米金融当局はインフレが過熱によるものか、または関税によるものかを見極める難しい立場に置かれている」 --------
2/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「そうした不確実性がもう少し明瞭になるまで。成長や雇用、インフレに関して何が起きているのかを理解するのは非常に難しい」 --------
2/4 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済は良好な状態であり、トランプ政権が導入する政策にFRBとして即座に対応する必要はない」、「多くの不確実性がある。経済と政策変更のいずれに関しても、時間を取って今後の動向を見極めることが可能だ」、「FRBの意思決定において、予防的である必要はない」 --------
2/3 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「昨年末までに実施した100ベーシスポイントの利下げが、経済にどのように反映されるのか確認したい」、「データの内容次第では、しばらく様子見になるかもしれない」 --------
2/3 コリンズ・ボストン連銀総裁 (ここ数日に発表されたような広範な関税が実施されれば、物価に影響を与える可能性が高いとしつつ、厳密な政策はまだ練られていない状況とし)、「影響の度合いを正確に予測するのは難しい」、「追加調整を行う緊急性はない。データ次第になる。いずれかの時点で、政策スタンスに関して一段の正常化が行われるのは確かだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和