今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円150円に迫るも上昇は一服」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円はアジア、欧州の流れを受け続伸。一時は149円94銭まで買われたが150円には届かず。
  • ユーロドルはこの日も小幅に上昇。1.0952まで買われる。ユーロは対円でも163円台半ばまで上昇。
  • 株式市場は3指数が3日ぶりに反落。大型ハイテク株が売られナスダックは304ポイントの下落。
  • 債券は小幅に上昇。長期金利は4.28%台で推移。
  • 金は6日続伸。原油は反落。
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2月住宅着工件数 → 1501千件
2月建設許可件数 → 1456千件
2月輸入物価指数 → 0.4%
2月輸出物価指数 → 0.1%
2月鉱工業生産 → 0.7%
2月設備稼働率 → 78.2%
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ドル/円 149.10 〜 149.94
ユーロ/ドル 1.0893 〜 1.0952
ユーロ/円 163.00 〜 163.66
NYダウ −260.32 → 41,581.31
GOLD +34.70 → 3,040.80ドル
WTI −0.68 → 66,90ドル
米10年国債 −0.015 → 4.283%

本日の注目イベント

  • 日 2月貿易統計
  • 日 日銀金融政策決定会合
  • 日 植田日銀総裁記者会見
  • 欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)
  • 米 FOMC 政策金利発表
  • 米 パウエル議長記者会見

本日のコメント

トランプ大統領は18日ロシアのプーチン大統領とウクライナ停戦案を巡り電話協議を行いました。ホワイトハウスの発表によると、会談は1時間半程度行われ、プーチン氏はウクライナのエネルギー資産に対する攻撃を制限することを確約したものの、米国が求めていた30日間の停戦には同意しませんでした。プーチン氏とすれば、ウクライナのNATO非加盟と米国によるウクライナへの武器供与、それに領土の確保は何としても譲れないところです。また、米大統領がバイデン氏からトランプ氏に替わり、そのトランプ氏との最初の電話会談で停戦に合意したのでは、この3年間の戦いは一体何だったのかと問われることにもなり、停戦を望みながらもそう簡単に合意に進むわけにもいかないのでしょう。ゼレンスキー大統領は米ロ首脳による電話会談について、「ロシアがわれわれのインフラを攻撃するのに、われわれが沈黙しているわけにはいかない。われわれは対応する」と述べた上で、「ロシア側の提案の詳細についてトランプ大統領と話したい。ロシアによる空爆を減らし恒久的な平和につながるあらゆる措置をウクライナは支持する」と語っていました。

やや忘れかけていたイスラエルとハマスの戦いも、再び激化してきました。米ロがトップ会談を行うこのタイミングで、イスラエルは停戦以来最大級の攻撃を行いました。ガザ全域への空爆で、昨日時点で、子供を含む404人の死亡が確認されています。イスラエルは、「ハマスが人質解放を繰り返し拒否した」ことを攻撃再開の理由に挙げていますが、これで恒久停戦の可能性が再び遠のいたように思えます。「戦争を直ぐに止めさせる」と豪語していたトランプ氏にとっては、ロシアだけを相手にする訳にはいきません。

「トランプ関税」に対して対抗措置を講じると、強気の発言を行っていたカナダのカーニー首相は、就任後初の外遊先のロンドンで会見し、現実を直視し、ややトーンを下げた発言を行いました。カーニー氏は、「カナダの経済規模が米国の10分の1であることを踏まえると、同等の金額の関税で対抗する能力には限界がある」と、経済学者らしい発言をしました。「トランプ関税」を受けて、トルドー前首相は600億カナダドル(約6兆2000億円)相当の米国産品を対象に対抗措置を進めてきましたが、「米国に最大の影響をもたらす一方、カナダへの影響はゼロではないが限定的なためだ」と述べ、さらに「最終的に米国に影響を与えないと考えられる措置は講じないし、カナダに明らかに不利になる措置も当然ながら講じない」と話していました。

本日は日米ともに金融政策会合の結果が発表されます。日銀は政策を据え置くとみられますが、「トランプ関税」の影響が極めて不透明なことから、「利上げを実施するには不確実性が高い」といった、ややハト派的なコメントを発する可能性があるかもしれません。またFOMCでも政策変更はないと思われますが、パウエル議長の発言とドットチャートに注目です。特にドットチャートでは、12月の予測では年内2回の利下げが示唆されていましたが、市場の現時点での予測は3回の利下げを織り込む動きになっています。この市場の予測とFOMCメンバーによるドットチャートの差が、ややタカ派的になるのではないかといった見方も浮上しています。

本日のドル円は148円30銭〜150円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/7 パウエル・FRB議長 「多くの指標が労働市場は堅調で、ほぼ均衡状態にあることを示している」、(追加利下げについては)、「急ぐ必要はなく、(政権の動向などが)より明確になるまで待つことができる」、(米経済の現状について)、「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は良好な状態が続いている」 株が買われ、債券が売られ金利が上昇。ドル円は147円割れから148円台前半まで上昇。
3/3 トランプ大統領 「日本と中国が通貨安政策を取るなら、米国は不当に不利な立場に立たされる」 ドル円は149円台半ばから下落。
2/25 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ率が当局目標の2%に戻りつつあるとの自信を深めるまで、やや景気抑制的な姿勢を維持することが理にかなっている。いんふれとの闘いは長期化していると認識しているが、われわれが断固たる姿勢を維持することが極めて重要だ」 --------
2/20 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「インフレ率が2%超にとどまる、ないし上昇するリスクが上方向に傾いているようだ。インフレが停滞するリスクは、労働市場が顕著に軟化するリスクよりも大きい」とし、その上で、「インフレ率が当局目標の2%へと順調に低下してきたことが明確になるまで、やや景気抑制的な金融政策を維持すべきだ」 --------
2/18 ウォラー・FRB理事 「昨年の場合と同様に、冬季の進展休止が一時的なものならば、一段の緩和策が適切になるだろう。しかし、その時期が明確になるまでは金利据え置きは望ましい」 ドル円は151円台から152円台に乗せる。
2/18 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 インフレ抑制の進展について落胆する理由はないと私は考えている。単に望まれているより長い時間がかかるだけだ」、(トランプ政権の政策の影響について)「時間をかけて判断すべきだ」 --------
2/17 ハーカー・フィラデルフィア連総裁 「具体的な時間的見通しは約束しないが、インフレは引き続き鈍化傾向にあり、金利は長期的に引き下げられると楽観している --------
2/17 ボーマン・FRB理事 「フェデラルファンド(FF)金利をより中立的な政策スタンスに近づけるプロセスは、新たな段階に入った。慎重で段階的なアプローチが好ましいと私が考えるのは、いくつか理由がある。現行政策のスタンスを考慮すると。1年前からの株高による金融環境の緩みが、ディスインフレの進行を遅らせたかもしれないと考えている」 --------
2/12 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「より明確に把握できるまでは、金融政策がどこに向かうのか、どのくらいの速度・ペースで進むべきかについて判断を下すことが不可能だ。従ってわれわれは動き出す前に、より多くの情報を入手する必要がある。われわれは十分な情報を得た時点で動くことになるだろう」 --------
2/12 パウエル・FRB議長 「1つや2つの良好なデータに興奮することはない。1つや2つの悪いデータに強く反応することもない」、「インフレに関しては近いところだが、まだ到達はしていない。昨年のインフレ率は2.6%だった。よって素晴らしい進展と言えるが、まだ達してはいない」 --------
2/11 サマーズ・元財務長官 「1月の雇用統計における賃金の大幅上昇など、労働市場のタイト化の兆しは、新政権による措置が講じられる前から、消費者物価が上昇する可能性がある背景がすでに整っている。ホワイトハウスから打ち出される政策が実行される前であっても、インフレに対して非常に注意をはらわなければならない」、「現在のサイクルでさらなる利下げ余地はない」 --------
2/11 パウエル・FRB議長 「政策スタンスは景気抑制の度合いが以前より顕著に弱まっており、経済は強さを維持している。よって政策スタンスの調整は急ぐ必要はない」、「政策による景気抑制の度合い低下が速過ぎ、ないし行き過ぎとなれば、インフレ面での進展を妨げる可能性がある。一方で遅過ぎ、または少な過ぎであれば、経済活動と雇用を過度に弱めかねない」、(トランプ政権が進めている関税の強化の不透明感が強まっている景気への影響に関しては)、「われわれは2大責務における両面のリスクに注意を払っている。政権はわれわれが直面するリスクと不確実性に対処する上で良い態勢にある」・・・・(上院議会証言で) --------
2/7 クーグラー・FRB理事 「軟化も過熱の兆候も見られない健全な労働市場と整合だ」、「トランプ大統領の新たな政策案の経済効果については、かなりの不確実性がある」 --------
2/5 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「2025年にインフレ率が上昇したり、インフレでの進展が停滞したりする場合、米金融当局はインフレが過熱によるものか、または関税によるものかを見極める難しい立場に置かれている」 --------
2/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「そうした不確実性がもう少し明瞭になるまで。成長や雇用、インフレに関して何が起きているのかを理解するのは非常に難しい」 --------
2/4 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済は良好な状態であり、トランプ政権が導入する政策にFRBとして即座に対応する必要はない」、「多くの不確実性がある。経済と政策変更のいずれに関しても、時間を取って今後の動向を見極めることが可能だ」、「FRBの意思決定において、予防的である必要はない」 --------
2/3 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「昨年末までに実施した100ベーシスポイントの利下げが、経済にどのように反映されるのか確認したい」、「データの内容次第では、しばらく様子見になるかもしれない」 --------
2/3 コリンズ・ボストン連銀総裁 (ここ数日に発表されたような広範な関税が実施されれば、物価に影響を与える可能性が高いとしつつ、厳密な政策はまだ練られていない状況とし)、「影響の度合いを正確に予測するのは難しい」、「追加調整を行う緊急性はない。データ次第になる。いずれかの時点で、政策スタンスに関して一段の正常化が行われるのは確かだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和