今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米自動車関税は4月2日に発動」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は東京時間からジリ高の展開が続き、NYでは150円75銭まで上昇。耐久財受注が予想外に好調で米長期金利が上昇したことがドル買いに作用。
  • ユーロドルは続落。1.0744まで売られ、この日は終始1.07台で推移。
  • 株式市場では3指数が反落。自動車関税の発表を控え、ハイテク株を中心に売りが優勢となる。
  • 債券は反落。長期金利は4.35%台に上昇。
  • 金は反落し、原油は買われる。
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2月耐久財受注 → 0.9%
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ドル/円 150.14 〜 150.75
ユーロ/ドル 1.0744 〜 1.0795
ユーロ/円 161.62 〜 162.60
NYダウ −132.71 → 42,454.79
GOLD −3.40 → 3,022.50ドル
WTI +0.65 → 69.65ドル
米10年国債 +0.039 → 4.352%

本日の注目イベント

  • 米 10−12月GDP(確定値)
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 2月中古住宅販売成約件数
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
  • 米 コリンズ・ボストン連銀総裁、座談会

本日のコメント

トランプ大統領は日本時間早朝にホワイトハウスの執務室で、「米国外で生産された全ての自動車に25%の関税賦課を命じる大統領令に署名した。4月2日に発動する。その翌日から徴収を開始する」と述べた上で、「この措置は非常に穏健(Modest)なものだ」と記者団に述べました。ホワイトハウスの説明によると、自動車関税は既に実施されている関税に上乗せされ、トランプ政権は関税賦課で米国に年間1000億ドル(約15兆550億円)の新たな歳入がもたらされると予測しています。またトランプ氏は関税について「恒久的なものだ」と説明し、「例外措置について交渉することに興味はない」と発言していました。この発表を受け、GMやフォードなどの自動車株は時間外取引で売られています。日本の株式市場でも今日は、トヨタなど自動車株に売り圧力がかかりそうです。

植田日銀総裁は昨日、衆院財政金融委員会での答弁で、「食料品価格上昇など一時的要因を除く基調的物価は2%をやや下回っているが、賃金と物価の好循環などを背景に徐々に上昇しており、2%目標にもうちょっとだと考えている」と発言していました。また昨日26日に新しく日銀審議委員に就任した小枝早稲田大学教授は会見で、「(現在の)実質金利は極めて低い」と述べ、「日本経済がどう反応していくのかをしっかり見届けていく必要がある」と話していました。同時にトランプ政権の関税政策などの影響で、「通商政策を含めて先行きの不確実性は高い」とも指摘していました。小枝氏はマクロ経済や国際金融が専門で、植田総裁の下で日銀が進める金融正常化を支持すると見られています。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はミネソタ州で講演を行い、「向こう1、2年でインフレが低下して労働市場が引き続き堅調なら、金利をさらに引き下げることができるはずだ。住宅ローン金利に一定の効果があるだろう」と、ややハト派寄りの発言を行いましたが、「このところの信頼感低下は関税を巡る不確実性を反映している面が大きい」とも語っています。またセントルイス連銀のムサレム総裁も講演で、「関税による影響が一時的なものにとどまるかどうかは不透明だ。その二次的影響によって金融当局が金利をより長期にわたって据え置く可能性がある」と述べ、カシュカリ総裁とはやや異なった見方を示していました。

米民主党のウォーレン上院議員はブルームバーグとのインタビューで、トランプ大統領が政府職員大量解雇の一環として、パウエルFRB議長を解任する可能性があると警告しています。同議員は、「誰も安全ではない。FRB議長ですらもだ」と述べ、「トランプ氏が全ての公務員を一掃できるのなら、米消費者金融保護局(CFPB)を一方的に廃止できるのなら、それは一種の無法状態で、全ての権力が『王』に集中することになる」とし、「マスク氏やトランプ氏による連邦職員の大量解雇は『無法行為』だ」と警告していました。

本日のドル円は149円30銭〜151円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/26 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「向こう1,2年でインフレが低下して労働市場が引き続き堅調なら、金利をさらに引き下げることができるはずだ。住宅ローン金利に一定の効果があるだろう」、「このところの信頼感低下は関税を巡る不確実性を反映している面が大きい」 --------
3/26 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「関税による影響が一時的なものにとどまるかどうかは不透明だ。その二次的影響によって金融当局が金利をより長期にわたって据え置く可能性がある」 --------
3/25 クーグラー・FRB理事 「ここ数カ月に財のインフレが加速傾向にあるほか、」ミシガン大学の調査データで短期・長期両方のインフレ期待が高まっている。トランプ大統領は貿易相手国に対して新たな関税を導入しているほか、さらなる関税を示唆しており、経済を巡る不確実性は強まっている」、「政策金利をしばらくの間、据え置くことを支持する」 --------
3/24 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「1回にした理由は主に、インフレが非常に不安定になり、2%目標に向かって劇的かつ明確に動くことはないだろうと考えているからだ。その目標達成が遅れているため、政策を中立水準に戻す適切な道筋も遅れざるを得ないと考えている」 --------
3/19 パウエル・FRB議長 (関税性政策によるインフレについて)、「米金融当局が何もせず急速に解消し、一過性のものであるならば、拘泥しないのが適切な場合もある」、「一時的なものになるかどうか、当局として実際のところ分からない」 --------
3/19 トランプ大統領 「米国の関税が経済に移行(緩和!)し始めたら、FRBは金利を引き下げた方がずっといい」 ドル円150円台前半から149円割れまで下落。
3/7 パウエル・FRB議長 「多くの指標が労働市場は堅調で、ほぼ均衡状態にあることを示している」、(追加利下げについては)、「急ぐ必要はなく、(政権の動向などが)より明確になるまで待つことができる」、(米経済の現状について)、「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は良好な状態が続いている」 株が買われ、債券が売られ金利が上昇。ドル円は147円割れから148円台前半まで上昇。
3/3 トランプ大統領 「日本と中国が通貨安政策を取るなら、米国は不当に不利な立場に立たされる」 ドル円は149円台半ばから下落。
2/25 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレ率が当局目標の2%に戻りつつあるとの自信を深めるまで、やや景気抑制的な姿勢を維持することが理にかなっている。いんふれとの闘いは長期化していると認識しているが、われわれが断固たる姿勢を維持することが極めて重要だ」 --------
2/20 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「インフレ率が2%超にとどまる、ないし上昇するリスクが上方向に傾いているようだ。インフレが停滞するリスクは、労働市場が顕著に軟化するリスクよりも大きい」とし、その上で、「インフレ率が当局目標の2%へと順調に低下してきたことが明確になるまで、やや景気抑制的な金融政策を維持すべきだ」 --------
2/18 ウォラー・FRB理事 「昨年の場合と同様に、冬季の進展休止が一時的なものならば、一段の緩和策が適切になるだろう。しかし、その時期が明確になるまでは金利据え置きは望ましい」 ドル円は151円台から152円台に乗せる。
2/18 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 インフレ抑制の進展について落胆する理由はないと私は考えている。単に望まれているより長い時間がかかるだけだ」、(トランプ政権の政策の影響について)「時間をかけて判断すべきだ」 --------
2/17 ハーカー・フィラデルフィア連総裁 「具体的な時間的見通しは約束しないが、インフレは引き続き鈍化傾向にあり、金利は長期的に引き下げられると楽観している --------
2/17 ボーマン・FRB理事 「フェデラルファンド(FF)金利をより中立的な政策スタンスに近づけるプロセスは、新たな段階に入った。慎重で段階的なアプローチが好ましいと私が考えるのは、いくつか理由がある。現行政策のスタンスを考慮すると。1年前からの株高による金融環境の緩みが、ディスインフレの進行を遅らせたかもしれないと考えている」 --------
2/12 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「より明確に把握できるまでは、金融政策がどこに向かうのか、どのくらいの速度・ペースで進むべきかについて判断を下すことが不可能だ。従ってわれわれは動き出す前に、より多くの情報を入手する必要がある。われわれは十分な情報を得た時点で動くことになるだろう」 --------
2/12 パウエル・FRB議長 「1つや2つの良好なデータに興奮することはない。1つや2つの悪いデータに強く反応することもない」、「インフレに関しては近いところだが、まだ到達はしていない。昨年のインフレ率は2.6%だった。よって素晴らしい進展と言えるが、まだ達してはいない」 --------
2/11 サマーズ・元財務長官 「1月の雇用統計における賃金の大幅上昇など、労働市場のタイト化の兆しは、新政権による措置が講じられる前から、消費者物価が上昇する可能性がある背景がすでに整っている。ホワイトハウスから打ち出される政策が実行される前であっても、インフレに対して非常に注意をはらわなければならない」、「現在のサイクルでさらなる利下げ余地はない」 --------
2/11 パウエル・FRB議長 「政策スタンスは景気抑制の度合いが以前より顕著に弱まっており、経済は強さを維持している。よって政策スタンスの調整は急ぐ必要はない」、「政策による景気抑制の度合い低下が速過ぎ、ないし行き過ぎとなれば、インフレ面での進展を妨げる可能性がある。一方で遅過ぎ、または少な過ぎであれば、経済活動と雇用を過度に弱めかねない」、(トランプ政権が進めている関税の強化の不透明感が強まっている景気への影響に関しては)、「われわれは2大責務における両面のリスクに注意を払っている。政権はわれわれが直面するリスクと不確実性に対処する上で良い態勢にある」・・・・(上院議会証言で) --------
2/7 クーグラー・FRB理事 「軟化も過熱の兆候も見られない健全な労働市場と整合だ」、「トランプ大統領の新たな政策案の経済効果については、かなりの不確実性がある」 --------
2/5 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「2025年にインフレ率が上昇したり、インフレでの進展が停滞したりする場合、米金融当局はインフレが過熱によるものか、または関税によるものかを見極める難しい立場に置かれている」 --------
2/5 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「そうした不確実性がもう少し明瞭になるまで。成長や雇用、インフレに関して何が起きているのかを理解するのは非常に難しい」 --------
2/4 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁 「米経済は良好な状態であり、トランプ政権が導入する政策にFRBとして即座に対応する必要はない」、「多くの不確実性がある。経済と政策変更のいずれに関しても、時間を取って今後の動向を見極めることが可能だ」、「FRBの意思決定において、予防的である必要はない」 --------
2/3 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「昨年末までに実施した100ベーシスポイントの利下げが、経済にどのように反映されるのか確認したい」、「データの内容次第では、しばらく様子見になるかもしれない」 --------
2/3 コリンズ・ボストン連銀総裁 (ここ数日に発表されたような広範な関税が実施されれば、物価に影響を与える可能性が高いとしつつ、厳密な政策はまだ練られていない状況とし)、「影響の度合いを正確に予測するのは難しい」、「追加調整を行う緊急性はない。データ次第になる。いずれかの時点で、政策スタンスに関して一段の正常化が行われるのは確かだ」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和