今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「グッドフライデーのため小動き」

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場
  • 主な海外市場が休場だったことで、ドル円は142円台前半から半ばで小動き。
  • ユーロドルは買われたが1.14台には届かず。
ドル/円 142.11 〜 142.40
ユーロ/ドル 1.1367 〜 1.1398
ユーロ/円 161.81 〜 162.15
NYダウ ------ → 39,142.23
GOLD ------ → 3,328.40ドル
WTI ------ → 64.68ドル
米10年国債 ------ → 4.325%

本日の注目イベント

  • 米 3月景気先行指標総合指数
  • 米 IMF・世銀、春季会合(ワシントン、26日まで)

本日のコメント

先週17日(木)に訪米し、トランプ大統領を始めベッセント財務長官などと関税を巡る交渉を行い、「為替問題は出なかった」と、ひとまず市場関係者を安心させた赤沢経済再生相の発言でした。ただ為替問題は基本的には日米ともに財務省マターであることから、今月中にも加藤財務相が訪米し、ベッセント財務長官と交渉する予定でした。加藤財務相は22日のG20に合わせて訪米し、改めて24日(木)にワシントンでベッセント氏と交渉するようです。週明けのオセアニア市場ではドル円がやや円高方向に振れ、141円51銭辺りまで下げましたが、昨日のNHK「日曜討論」に出演した石破首相は「為替については予断を招くので発言しない。実際に取り扱うのは加藤財務相とベッセント財務長官であり、真摯な話し合いがなされる」と述べ、「そこはフェアにやっていくということであって、向こうが何を求めているのか、私の立場で予断を持っていない」と話していました。

先週、とうとうFRBの金融政策にも「介入」をし、「パウエル氏は一刻も早く辞任すべきだ」と述べたトランプ大統領でしたが、シカゴ連銀のグールズビー総裁は20日、CBSの番組で、「政治的干渉からの金融政策の独立性が極めて重要であるという点で、エコノミストの間ではほぼ一致した見解がある。そうすることによって、FRBやその他のあらゆる中央銀行は必要な役割を果たすことができる」と話し、「金融政策の独立性が疑問視されるような状況に陥らないことを強く希望する。そうなったら、FRBの信頼は損なわれかねない」と、トランプ氏の発言に反論していました。また、米国だけではなく、フランスのロンバール経済・財務相も仏紙とのインタビューで、「トランプ氏は、長期にわたり、強硬な関税措置によってドルの信認を損ねてきた。パウエル氏が解任されたら、信任はさらに損なわれ、債券市場に波及するだろう。その結果、債務返済コストが上昇し、同国の経済に深刻な混乱が生じる」とし、「それによって米国は遅かれ早かれ緊張緩和に向けた交渉を余儀なくされるだろう」と付け加えていました。この件に関しては、ハセット国家経済会議(NEC)委員長は、パウエル議長解任が選択肢になっているかとの記者団の質問に「トランプ大統領と同氏のチームがその件を引き続き検討する」と答え、否定はしませんでした。「朝令暮改」を繰り返す一方、こまかいことまで自身の気に入ったように変えていくトランプ氏。「打ち出した大統領令は早くも100本を超え、3カ月でわずか29本だった第一次政権を大きく上回る。一方連邦議会を通して成立した法案は政権発足からわずか5本にとどまる」(日経新聞)。

上述のように、ドル円は141円台に入り先週16日に記録した141円64銭を下回る動きになっています。パウエル議長解任問題に加え、今週は日米財務相会談が予定されており、ここで改めて為替問題が協議されることも、円高圧力になっているようです。当初、協議は22日に行われるとブルームバーグは伝えていましたが、今朝、時事通信社の記者は「24日ではないか」と話していました。いずれにしても、日本政府としては「25%の相互関税」の撤廃を求めるものと思われますが、米国が「はい、わかりました」という訳もなく、せめて12.5%といった半分か、あるいはその程度の税率なら承服する可能性がありあそうです。ただそのためには、「為替問題」では、米国側に譲歩する必要もありそうです。こればかりは、開けてみなければ分かりません。

本日のドル円は140円50銭〜143円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
4/17 ラガルド・ECB総裁 「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費に重荷になる」、「世界的な貿易混乱の拡大は、インフレ見通しの不確実性を高めている」 --------
4/16 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「二重の責務の両面から圧力がかかることが想定される状況下では、インフレのさらなる高止まりのリスクと労働市場の減速に伴うリスクとの間でバランスを保つため、金融政策を現状維持とする根拠は強いと考える」、「明確さを得るのが困難な場合には、追加データを待つことが今後の道筋を見極める一助となるだろう」 --------
4/16 パウエル・FRB議長 「長期のインフレ期待をしっかり抑制し続け、物価水準の一時的上昇が継続的インフレ問題にならないよう確実に対処することが、われわれの責務だ」、「物価の安定がなければ、全ての米国民に恩恵をもたらすような長期にわたる力強い労働市場環境の実現は不可能だ」 --------
4/4 クルーズ・米上院議員 「政権が進める関税引き上げは、米経済にとって『巨大なリスク』となっており、来年の中間選挙で共和党が惨敗する恐れがある」、「世界各国からの輸入品に関税を課せば、国内の雇用は崩壊し、米経済に」深刻な打撃を与えることになる」 --------
4/4 ハセット・国家経済会議(NEC)委員長 「関税により米国の消費者物価が『幾分上昇するかもしれない』」、「エコノミストやFRB当局者、一部議員による懸念は行き過ぎだ」 --------
4/4 ベッセント・米財務長官 「新たな関税は必要な措置だ。リセッションを織り込まなければならない理由は見あたらない」 --------
4/3 ジェファーソン・FRB副議長 「政策金利のさらなる調整を急ぐ必要はない、というのが私の見解だ」 --------
4/3 クック・FRB理事 「現時点ではインフレは上振れ、成長は下振れするリスクがあるというシナリオをより重視している。インフレ率が上昇し成長は鈍化するというシナリオは、金融当局に困難な課題をもたらす可能性がある」 --------
4/2 トランプ・米大統領 「長年にわたり、大半において米国の犠牲の下に他国が富と権力を得る中、勤勉な米国民は傍観者の立場を強いられてきた。だが、今後われわれが繁栄する番だ」 --------
4/1 フォンデアライエン・欧州委員長 「必ずしも報復したいわけではないが、必要であれば、強力な報復策を用意しており、それを用いる」 --------
3/31 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレは落ち着いた水準へと実際に鈍化していることから、そうした確信は得られる可能性が高い」、(トランプ氏の関税政策について)、「政策判断への影響は、当局者らの見通しがより明確になるには時間がかかる」 --------
3/31 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「FOMC参加者の間では、インフレ見通しに上振れリスクがあるとの極めて幅広い見方が示された。それは私の個人的見解とも完全に一致している」、「今後実施される関税などの政策に大きく左右され得る上振れリスクがあることは確かだ。関税が経済に与える影響はまだ明らかではない。最新のデータを注視していく」 --------
3/27 IMF 「大規模な政策転換が発表されており、最新のデータでは経済活動が2024年の非常に強いペースから減速していることが示唆されている。ただし、リセッションはわれわれの基本シナリオには含まれていない」 --------
3/27 コリンズ・ボストン連銀総裁 「関税が短期的にインフレ率を押し上げるのは『不可避』と見受けられる」、「金利据え置きの長期化が適切になる公算が大きい」、「一段と広範にわたる関税賦課やそれに対する報復措置が講じられる状況では特に、インフレ期待が重要になる」 --------
3/26 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「向こう1,2年でインフレが低下して労働市場が引き続き堅調なら、金利をさらに引き下げることができるはずだ。住宅ローン金利に一定の効果があるだろう」、「このところの信頼感低下は関税を巡る不確実性を反映している面が大きい」 --------
3/26 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「関税による影響が一時的なものにとどまるかどうかは不透明だ。その二次的影響によって金融当局が金利をより長期にわたって据え置く可能性がある」 --------
3/25 クーグラー・FRB理事 「ここ数カ月に財のインフレが加速傾向にあるほか、」ミシガン大学の調査データで短期・長期両方のインフレ期待が高まっている。トランプ大統領は貿易相手国に対して新たな関税を導入しているほか、さらなる関税を示唆しており、経済を巡る不確実性は強まっている」、「政策金利をしばらくの間、据え置くことを支持する」 --------
3/24 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「1回にした理由は主に、インフレが非常に不安定になり、2%目標に向かって劇的かつ明確に動くことはないだろうと考えているからだ。その目標達成が遅れているため、政策を中立水準に戻す適切な道筋も遅れざるを得ないと考えている」 --------
3/19 パウエル・FRB議長 (関税性政策によるインフレについて)、「米金融当局が何もせず急速に解消し、一過性のものであるならば、拘泥しないのが適切な場合もある」、「一時的なものになるかどうか、当局として実際のところ分からない」 --------
3/19 トランプ大統領 「米国の関税が経済に移行(緩和!)し始めたら、FRBは金利を引き下げた方がずっといい」 ドル円150円台前半から149円割れまで下落。
3/7 パウエル・FRB議長 「多くの指標が労働市場は堅調で、ほぼ均衡状態にあることを示している」、(追加利下げについては)、「急ぐ必要はなく、(政権の動向などが)より明確になるまで待つことができる」、(米経済の現状について)、「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は良好な状態が続いている」 株が買われ、債券が売られ金利が上昇。ドル円は147円割れから148円台前半まで上昇。
3/3 トランプ大統領 「日本と中国が通貨安政策を取るなら、米国は不当に不利な立場に立たされる」 ドル円は149円台半ばから下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和