今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「トランプ大統領、自動車業界の負担軽減措置に署名」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は反落。先週末には一時144円台に乗せたドル円は141円97銭まで下落。米長期金利が低下し、米経済指標の低水準の結果にドル売りが優勢となる。
  • ユーロドルは小幅に上昇し、1.1418まで買われる。
  • 株式市場は3指数が揃って上昇。関税交渉が好転していることや、金利低下が支えとなり、ダウは6日続伸。
  • 債券は続伸し、長期金利は4.17%台に低下。
  • 金は反落し、原油は続落。
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2月ケース・シラ−住宅価格指数 → 4.50%
2月FHFA住宅価格指数 → 0.1%
3月雇用動態調査(JOLTS)求人件数 → 7192万件
4月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 86.0
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ドル/円 141.97 〜 142.73
ユーロ/ドル 1.1370 〜 1.1418
ユーロ/円 161.84 〜 162.45
NYダウ +300.03 → 40,527.62
GOLD −14.10 → 3,333.60ドル
WTI −1.63 → 60.42ドル
米10年国債 −0.037 → 4.172%

本日の注目イベント

  • 豪 豪3月消費者物価指数
  • 豪 豪第1四半期消費者物価指数
  • 日 3月鉱工業生産
  • 日 2月景気先行指数(CI)(改定値)
  • 日 2月景気一致指数(改定値)
  • 中 4月中国製造業PMI
  • 中 4月中国サービス業PMI
  • 中 4月財新製造業PMI
  • 独 独4月失業率
  • 独 独1−3月期GDP(速報値)
  • 独 独4月消費者物価指数(速報値)
  • 欧 ユーロ圏1−3月期GDP(速報値)
  • 米 4月ADP雇用者数
  • 米 1−3月労働コスト
  • 米 1−3月GDP(速報値)
  • 米 4月シカゴ購買部協会景気指数
  • 米 3月個人所得
  • 米 3月個人支出
  • 米 3月PCEデフレータ(前月比)
  • 米 3月PCEデフレータ(前年比)
  • 米 3月PCEコアデフレータ(前月比)
  • 米 3月PCEコアデフレータ(前年比)
  • 米 3月中古住宅販売成約件数
  • 米 決算発表 → マイクロソフト、メタ、メットライフ、イーベイ

本日のコメント

トランプ氏が大統領に就任して100日が経過しました。マスコミ各社も、この100日の成果を振り返り評価を下しています。筆者も、第1期目の言動やトランプ語録を基に、今年1月の「相場展望セミナー」では、しつこいくらいに、「トランプ氏が返り咲いたことで、この1年想定外の動きが考えられる」と警告を発するように話しましたが、実際にこの100日の動きは筆者の想定をも遥かに超えるものでした。その中心にあったのが言うまでもなく「関税」でした。4月2日の「相互関税」発表劇では、ホワイトハウスの中庭で得意げに貿易相手国別に極めて厳しい関税を発表し、その後は日本も含め「トランプ詣で」のラッシュでした。最初に「ガツーン」と相手を恫喝し、その後は徐々に手綱を緩める「トランプ流のディール」で、世界の金融市場は混乱しました。そして昨日は、自動車業界に影響を及ぼしている関税の負担を軽減する大統領令に署名しました。トランプ氏は、「私は今回、同一品目に対して複数の関税が適用される場合、関税の累積的影響(すなわち重複)を避けるべきだと判断した。重複によって生じる税率は、政策目標の達成に必要な水準を超えてしまうからだ」と、大統領専用機の中で話していました。その後トランプ氏は、ミシガン州で開催された100日を祝う会で演説を行い、「米国の歴史でどの政権よりも最も成功した最初の100日を祝うために今夜、我々は米国のハートランド(中心部)にいる」と、自身の成果を誇示していました。

28日に行われたカナダの総選挙では、元カナダ中銀総裁を務めたカーニー首相率いる与党・自由党が勝利を確実にしました。「反トランプ」を掲げるカーニー氏は、国民の信任を得るため敢えて議会を解散し、トランプ政権と決別する可能性のある自身の政策の信任を国民に問いました。「われわれは皆カナダ人だ。私の政権は全ての人のために全ての人と共に働く」と、勝利宣言を行いました。今後トランプ政権と関税交渉を行うことになります。全面対決は避けるものと思われますが、一方で「米国はもはや信頼できるパートナーではない」と言い放ったカーニー氏。カナダ中銀総裁、さらにはイングランド銀行総裁を務めた氏の手腕が注目されます。

ロシアのプーチン大統領は28日、5月9日の対ドイツ戦勝記念日にあわせ、「8日から72時間の停戦を決めた」と発表しました。ロシア側は停戦の理由を「人的な理由」としていますが、米国側はホワイトハウスのレビット報道官が「トランプ大統領が求めているのは恒久的な戦闘停止で、ロシアとウクライナの両首脳にますます不満を募らせている」と失望感を表していました。突如停戦を発表したプーチン氏ですが、クリミアなどの領土を自国の物にすることについては諦めていません。

本日のドル円は141円〜143円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
4/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「6月までに明確かつ説得力のあるデータが得られ、その時点で進むべき正しい方向について判断できれば、委員会が動く可能性がある」 --------
4/24 ウォラー・FRB理事 「特に大規模な関税が再導入された場合、この先レイオフの増加や失業率の上昇が見られ始めても意外ではない。労働市場の悪化が顕著になれば、FRBの最大雇用の責務に基づき措置を講じることが重要だと考えられる」 --------
4/23 ベッセント・財務長官 (日米通商交渉での)「通貨目標は一切ない」、「G7合意を尊重することを日本に期待している」 ドル円は141円台後半から143円57銭まで買われる。
4/17 ラガルド・ECB総裁 「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費に重荷になる」、「世界的な貿易混乱の拡大は、インフレ見通しの不確実性を高めている」 --------
4/16 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「二重の責務の両面から圧力がかかることが想定される状況下では、インフレのさらなる高止まりのリスクと労働市場の減速に伴うリスクとの間でバランスを保つため、金融政策を現状維持とする根拠は強いと考える」、「明確さを得るのが困難な場合には、追加データを待つことが今後の道筋を見極める一助となるだろう」 --------
4/16 パウエル・FRB議長 「長期のインフレ期待をしっかり抑制し続け、物価水準の一時的上昇が継続的インフレ問題にならないよう確実に対処することが、われわれの責務だ」、「物価の安定がなければ、全ての米国民に恩恵をもたらすような長期にわたる力強い労働市場環境の実現は不可能だ」 --------
4/4 クルーズ・米上院議員 「政権が進める関税引き上げは、米経済にとって『巨大なリスク』となっており、来年の中間選挙で共和党が惨敗する恐れがある」、「世界各国からの輸入品に関税を課せば、国内の雇用は崩壊し、米経済に」深刻な打撃を与えることになる」 --------
4/4 ハセット・国家経済会議(NEC)委員長 「関税により米国の消費者物価が『幾分上昇するかもしれない』」、「エコノミストやFRB当局者、一部議員による懸念は行き過ぎだ」 --------
4/4 ベッセント・米財務長官 「新たな関税は必要な措置だ。リセッションを織り込まなければならない理由は見あたらない」 --------
4/3 ジェファーソン・FRB副議長 「政策金利のさらなる調整を急ぐ必要はない、というのが私の見解だ」 --------
4/3 クック・FRB理事 「現時点ではインフレは上振れ、成長は下振れするリスクがあるというシナリオをより重視している。インフレ率が上昇し成長は鈍化するというシナリオは、金融当局に困難な課題をもたらす可能性がある」 --------
4/2 トランプ・米大統領 「長年にわたり、大半において米国の犠牲の下に他国が富と権力を得る中、勤勉な米国民は傍観者の立場を強いられてきた。だが、今後われわれが繁栄する番だ」 --------
4/1 フォンデアライエン・欧州委員長 「必ずしも報復したいわけではないが、必要であれば、強力な報復策を用意しており、それを用いる」 --------
3/31 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレは落ち着いた水準へと実際に鈍化していることから、そうした確信は得られる可能性が高い」、(トランプ氏の関税政策について)、「政策判断への影響は、当局者らの見通しがより明確になるには時間がかかる」 --------
3/31 ウイリアムズ・NY連銀総裁 「FOMC参加者の間では、インフレ見通しに上振れリスクがあるとの極めて幅広い見方が示された。それは私の個人的見解とも完全に一致している」、「今後実施される関税などの政策に大きく左右され得る上振れリスクがあることは確かだ。関税が経済に与える影響はまだ明らかではない。最新のデータを注視していく」 --------
3/27 IMF 「大規模な政策転換が発表されており、最新のデータでは経済活動が2024年の非常に強いペースから減速していることが示唆されている。ただし、リセッションはわれわれの基本シナリオには含まれていない」 --------
3/27 コリンズ・ボストン連銀総裁 「関税が短期的にインフレ率を押し上げるのは『不可避』と見受けられる」、「金利据え置きの長期化が適切になる公算が大きい」、「一段と広範にわたる関税賦課やそれに対する報復措置が講じられる状況では特に、インフレ期待が重要になる」 --------
3/26 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「向こう1,2年でインフレが低下して労働市場が引き続き堅調なら、金利をさらに引き下げることができるはずだ。住宅ローン金利に一定の効果があるだろう」、「このところの信頼感低下は関税を巡る不確実性を反映している面が大きい」 --------
3/26 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「関税による影響が一時的なものにとどまるかどうかは不透明だ。その二次的影響によって金融当局が金利をより長期にわたって据え置く可能性がある」 --------
3/25 クーグラー・FRB理事 「ここ数カ月に財のインフレが加速傾向にあるほか、」ミシガン大学の調査データで短期・長期両方のインフレ期待が高まっている。トランプ大統領は貿易相手国に対して新たな関税を導入しているほか、さらなる関税を示唆しており、経済を巡る不確実性は強まっている」、「政策金利をしばらくの間、据え置くことを支持する」 --------
3/24 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「1回にした理由は主に、インフレが非常に不安定になり、2%目標に向かって劇的かつ明確に動くことはないだろうと考えているからだ。その目標達成が遅れているため、政策を中立水準に戻す適切な道筋も遅れざるを得ないと考えている」 --------
3/19 パウエル・FRB議長 (関税性政策によるインフレについて)、「米金融当局が何もせず急速に解消し、一過性のものであるならば、拘泥しないのが適切な場合もある」、「一時的なものになるかどうか、当局として実際のところ分からない」 --------
3/19 トランプ大統領 「米国の関税が経済に移行(緩和!)し始めたら、FRBは金利を引き下げた方がずっといい」 ドル円150円台前半から149円割れまで下落。
3/7 パウエル・FRB議長 「多くの指標が労働市場は堅調で、ほぼ均衡状態にあることを示している」、(追加利下げについては)、「急ぐ必要はなく、(政権の動向などが)より明確になるまで待つことができる」、(米経済の現状について)、「不確実性の高まりにもかかわらず、米経済は良好な状態が続いている」 株が買われ、債券が売られ金利が上昇。ドル円は147円割れから148円台前半まで上昇。
3/3 トランプ大統領 「日本と中国が通貨安政策を取るなら、米国は不当に不利な立場に立たされる」 ドル円は149円台半ばから下落。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和