今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「FOMC、3会合連続で据え置き」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円はFOMCでの結果発表後一旦は下げたが、パウエル議長が会見で利下げを急がないとの姿勢を明確にしたことで144円まで反発。
  • ユーロドルは1.13台後半まで買われたがその後反落。
  • 株式市場では3指数が揃って3日ぶりに上昇。S&P500は、パウエル議長の会見を受け24ポイント高。
  • 債券は続伸。長期金利は4.26%台に低下。
  • 金と原油は反落。
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3月消費者信用残高 → 10172b
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ドル/円 142.91 〜 144.00
ユーロ/ドル 1.1292 〜 1.1371
ユーロ/円 162.32 〜 162.97
NYダウ +284.97 → 41,113.97
GOLD −30.90 → 3,391.90ドル
WTI −1.02 → 58.07ドル
米10年国債 −0.035 → 4.269%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合議事録(3月18―19日分)
  • 独 独3月貿易収支
  • 独 独3月鉱工業生産
  • 英 BOE金融政策発表
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 NY連銀1年インフレ期待(4月)
  • 米 決算発表 → アーム・ホールディングス、ウーバー

本日のコメント

注目されたFOMCでは予想通り政策金利の据え置きを決めました。これで3会合連続の据え置きとなります。声明文では、「経済見通しに対する不確実性は一段と強まっている」と指摘。その上で、「失業増加とインフレ加速のリスクは高まったと判断している」と記されていました。FOMC会合直後は、据え置きが予想通りであったことや、米長期金利が低下したことを受け、ドル円は143円台を割り込み、142円91銭近辺まで一旦下落しましたが、30分後に行われたパウエル議長の会見を受け、ドル円は144円まで反発しました。

パウエル議長は、これまで通り利下げは急がないとの姿勢を鮮明にしながらも、「発表された大幅な関税引き上げが維持されれば、インフレ加速と経済成長減速、そして失業増加をもたらす可能性が高い」と発言。「インフレへの影響は、物価水準の一時的な変化を反映して短期的なものにとどまる」としながらも、「そのインフレ効果がより根強いものになる可能性もある」と、トランプ関税を巡る影響に言及しました。また、トランプ氏による執拗な利下げ圧力に関しても、「やることはこれまでと変わらない」と話し、「今は予防的になれる状況ではない。さらなるデータを目にするまで、どのような対応が正しいのか実際のところ分からないからだ」と、関税引き上げの効果を読み切れない胸の内を率直に述べていました。

昨日の朝方に発表されましたが、ベッセント財務長官とグリアUSTR代表は9日から12日までスイスで中国の何立峰副首相と貿易関税について会談することになりました。関税を巡り対立が続いていた米中関係にやや緩和の兆しが見えたことで、ドル円は買われました。現時点では、米国は中国製品に対し145%の関税を課し、中国側も米国製品に対して125%の関税を課すという、「関税率引き上げ合戦」が続いています。ベッセント財務長官はFOXニュースとのインタビューで、「貿易の大きなディールではなく、緊張緩和が焦点になる。前進する前に緊張を徐々に緩和する必要がある」と話していました。一方、トランプ氏は中国を本格的な交渉の場に引き出すために関税を引き下げる用意があるかと記者に問われ、「ノーだ」と答えています。(ブルームバーグ)今回の会談で、米中が関税率で合意する可能性はほとんどないと思われます。

ドル円は連日ある程度の「値幅」はありますが、はっきりとした「方向性」は見えません。結局は「トランプ関税の着地点」が見えるまではこのような状況が続く可能性が高いと予想されます。

本日のドル円は142円50銭〜144円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
5/7 パウエル・FRB議長 「発表された大幅な関税引き上げが維持されれば、インフレ加速と経済成長減速、そして失業増加をもたらす可能性が高い」、「インフレへの影響は、物価水準の一時的な変化を反映して短期的なものにとどまる」、「そのインフレ効果がより根強いものになる可能性もある」、「やることはこれまでと変わらない」、「今は予防的になれる状況ではない。さらなるデータを目にするまで、どのような対応が正しいのか実際のところ分からないからだ」 ドル円は143円台から144円まで上昇。
5/7 FOMC声明文 「経済見通しに対する不確実性は一段と強まっている」、「失業増加とインフレ加速のリスクは高まったと判断している」 --------
4/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「6月までに明確かつ説得力のあるデータが得られ、その時点で進むべき正しい方向について判断できれば、委員会が動く可能性がある」 --------
4/24 ウォラー・FRB理事 「特に大規模な関税が再導入された場合、この先レイオフの増加や失業率の上昇が見られ始めても意外ではない。労働市場の悪化が顕著になれば、FRBの最大雇用の責務に基づき措置を講じることが重要だと考えられる」 --------
4/23 ベッセント・財務長官 (日米通商交渉での)「通貨目標は一切ない」、「G7合意を尊重することを日本に期待している」 ドル円は141円台後半から143円57銭まで買われる。
4/17 ラガルド・ECB総裁 「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費に重荷になる」、「世界的な貿易混乱の拡大は、インフレ見通しの不確実性を高めている」 --------
4/16 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「二重の責務の両面から圧力がかかることが想定される状況下では、インフレのさらなる高止まりのリスクと労働市場の減速に伴うリスクとの間でバランスを保つため、金融政策を現状維持とする根拠は強いと考える」、「明確さを得るのが困難な場合には、追加データを待つことが今後の道筋を見極める一助となるだろう」 --------
4/16 パウエル・FRB議長 「長期のインフレ期待をしっかり抑制し続け、物価水準の一時的上昇が継続的インフレ問題にならないよう確実に対処することが、われわれの責務だ」、「物価の安定がなければ、全ての米国民に恩恵をもたらすような長期にわたる力強い労働市場環境の実現は不可能だ」 --------
4/4 クルーズ・米上院議員 「政権が進める関税引き上げは、米経済にとって『巨大なリスク』となっており、来年の中間選挙で共和党が惨敗する恐れがある」、「世界各国からの輸入品に関税を課せば、国内の雇用は崩壊し、米経済に」深刻な打撃を与えることになる」 --------
4/4 ハセット・国家経済会議(NEC)委員長 「関税により米国の消費者物価が『幾分上昇するかもしれない』」、「エコノミストやFRB当局者、一部議員による懸念は行き過ぎだ」 --------
4/4 ベッセント・米財務長官 「新たな関税は必要な措置だ。リセッションを織り込まなければならない理由は見あたらない」 --------
4/3 ジェファーソン・FRB副議長 「政策金利のさらなる調整を急ぐ必要はない、というのが私の見解だ」 --------
4/3 クック・FRB理事 「現時点ではインフレは上振れ、成長は下振れするリスクがあるというシナリオをより重視している。インフレ率が上昇し成長は鈍化するというシナリオは、金融当局に困難な課題をもたらす可能性がある」 --------
4/2 トランプ・米大統領 「長年にわたり、大半において米国の犠牲の下に他国が富と権力を得る中、勤勉な米国民は傍観者の立場を強いられてきた。だが、今後われわれが繁栄する番だ」 --------
4/1 フォンデアライエン・欧州委員長 「必ずしも報復したいわけではないが、必要であれば、強力な報復策を用意しており、それを用いる」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和