今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル円145円台後半まで反落」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は欧州時間の朝方に「米韓高官が通貨韓国ウォンについて協議した」との報道から、円買いの思惑も入り145円58銭まで下落。その後、米国がドル安誘導を求める可能性が否定されたことで147円台まで反発。
  • ユーロドルは1.12台半ばで買われたがその後反落。
  • 株式市場では前日と同様まちまちの展開。ナスダックは136ポイント買われ、6日続伸。
  • 債券は売られ、長期金利は4.53%台に急伸。
  • 金は大きく売られ、原油も反落。
ドル/円 145.78 〜 147.10
ユーロ/ドル 1.1105 〜 1.1236
ユーロ/円 163.72 〜 164.42
NYダウ −89.37 → 42,052.06
GOLD −59.50 → 3,188.30ドル
WTI −0.52 → 63.15ドル
米10年国債 +0.071 → 4.536%

本日の注目イベント

  • 豪 豪4月雇用統計
  • 欧 ユーロ圏3月鉱工業生産
  • 欧 ユーロ圏1−3月期GDP(改定値)
  • 英 英1−3月期GDP(速報値)
  • 英 英3月鉱工業生産
  • 英 英3月貿易収支
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 4月生産者物価指数
  • 米 4月小売売上高
  • 米 5月NY連銀製造業景況指数
  • 米 5月フィラデルフィア連銀景況指数
  • 米 4月鉱工業生産
  • 米 4月設備稼働率
  • 米 5月NAHB住宅市場指数
  • 米 パウエル・FRB議長、会議冒頭の挨拶

本日のコメント

米中貿易協議の合意を受け148円台半ばまで買われたドル円は、昨日の夕方には一転して145円台半ばまで急落しました。米国と韓国の政府高官が通貨政策を協議したとの報道で、韓国ウォンが一時2%近く急伸しました。来週にはカナダでG7会合があり、加藤財務相がベッセント財務長官と為替の協議を行うとも伝えられており、その連想もあり円が買われました。しかしその後、「米当局者が世界各国と貿易交渉を行っているが、その一部に通貨政策の約束を盛り込もうとはしていないと、関係者が明らかにした」ことを、ブルームバーグが報じました。ブルームバーグによると、トランプ政権の経済チームでこれらの問題への対応を担っているのはベッセント財務長官ただ一人で、他国との為替政策の協議を他の政府高官に委ねることはしていなく、こうした問題はベッセント氏が出席する場でのみ交渉されるとしています。14日には米国と韓国の政府高官が通貨政策を協議したとの報道で、韓国ウォンが対ドルで急伸したこともあり、ドル円は引き続き荒っぽい動きを見せています。

トランプ大統領の中東歴訪に同行している米企業トップには「大規模な商談」が決まり、トランプ氏も自身の力をアピールしている模様です。カタールは、ボーイング社の「787ドリームライナー」や「777X」を含む、最大210機を購入する契約に署名しました。ホワイトハウスは、この契約総額が960億ドル(約14兆1000億円)になると発表しています。今回のトランプ氏の中東歴訪にはボーイング社だけではなく、アップルやテスラのなど10社余りのCEOが同行しています。トランプ氏は歴訪の中で、トルコで行われるかもしれないロシアとウクライナの停戦協議にも出席したい意向を示していますが、カタールに向かう機内で「明日は予定が全て埋まっている。ご存じの通り、全て決まっている。トルコには、プーチン氏が現れるか、分からない。私に来てほしいとプーチン氏は考えていることは知っている。戦争を終わらせることができるなら、それは考える」と発言し、「スケジュールはかなり厳しい。だが、多くの人命を救うため、それをしないということはない」と、プーチン氏が出席すれば、自分も参加する可能性があることを示唆していました。ウクライナのゼレンスキー大統領は、プーチン氏の出席いかんに関わらず、トルコを訪問する予定で、トルコ当局もプーチン氏の訪問を見込んではいないものの、訪問の可能性は排除していないとしています。

G7会合や赤沢経済再生相が担当する通商交渉など、日本にとってはまだ不確実性の高いイベントが残っており、その結果次第では相場も再び上下する可能性が十分あります。相場も、これからさらに暑い夏に向かいそうです。

本日のドル円は145円50銭〜147円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
5/7 パウエル・FRB議長 「発表された大幅な関税引き上げが維持されれば、インフレ加速と経済成長減速、そして失業増加をもたらす可能性が高い」、「インフレへの影響は、物価水準の一時的な変化を反映して短期的なものにとどまる」、「そのインフレ効果がより根強いものになる可能性もある」、「やることはこれまでと変わらない」、「今は予防的になれる状況ではない。さらなるデータを目にするまで、どのような対応が正しいのか実際のところ分からないからだ」 ドル円は143円台から144円まで上昇。
5/7 FOMC声明文 「経済見通しに対する不確実性は一段と強まっている」、「失業増加とインフレ加速のリスクは高まったと判断している」 --------
4/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「6月までに明確かつ説得力のあるデータが得られ、その時点で進むべき正しい方向について判断できれば、委員会が動く可能性がある」 --------
4/24 ウォラー・FRB理事 「特に大規模な関税が再導入された場合、この先レイオフの増加や失業率の上昇が見られ始めても意外ではない。労働市場の悪化が顕著になれば、FRBの最大雇用の責務に基づき措置を講じることが重要だと考えられる」 --------
4/23 ベッセント・財務長官 (日米通商交渉での)「通貨目標は一切ない」、「G7合意を尊重することを日本に期待している」 ドル円は141円台後半から143円57銭まで買われる。
4/17 ラガルド・ECB総裁 「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費に重荷になる」、「世界的な貿易混乱の拡大は、インフレ見通しの不確実性を高めている」 --------
4/16 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「二重の責務の両面から圧力がかかることが想定される状況下では、インフレのさらなる高止まりのリスクと労働市場の減速に伴うリスクとの間でバランスを保つため、金融政策を現状維持とする根拠は強いと考える」、「明確さを得るのが困難な場合には、追加データを待つことが今後の道筋を見極める一助となるだろう」 --------
4/16 パウエル・FRB議長 「長期のインフレ期待をしっかり抑制し続け、物価水準の一時的上昇が継続的インフレ問題にならないよう確実に対処することが、われわれの責務だ」、「物価の安定がなければ、全ての米国民に恩恵をもたらすような長期にわたる力強い労働市場環境の実現は不可能だ」 --------
4/4 クルーズ・米上院議員 「政権が進める関税引き上げは、米経済にとって『巨大なリスク』となっており、来年の中間選挙で共和党が惨敗する恐れがある」、「世界各国からの輸入品に関税を課せば、国内の雇用は崩壊し、米経済に」深刻な打撃を与えることになる」 --------
4/4 ハセット・国家経済会議(NEC)委員長 「関税により米国の消費者物価が『幾分上昇するかもしれない』」、「エコノミストやFRB当局者、一部議員による懸念は行き過ぎだ」 --------
4/4 ベッセント・米財務長官 「新たな関税は必要な措置だ。リセッションを織り込まなければならない理由は見あたらない」 --------
4/3 ジェファーソン・FRB副議長 「政策金利のさらなる調整を急ぐ必要はない、というのが私の見解だ」 --------
4/3 クック・FRB理事 「現時点ではインフレは上振れ、成長は下振れするリスクがあるというシナリオをより重視している。インフレ率が上昇し成長は鈍化するというシナリオは、金融当局に困難な課題をもたらす可能性がある」 --------
4/2 トランプ・米大統領 「長年にわたり、大半において米国の犠牲の下に他国が富と権力を得る中、勤勉な米国民は傍観者の立場を強いられてきた。だが、今後われわれが繁栄する番だ」 --------
4/1 フォンデアライエン・欧州委員長 「必ずしも報復したいわけではないが、必要であれば、強力な報復策を用意しており、それを用いる」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和