今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「NY市場、ドル円小動き」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は日米高官の協議を控え小動き。東京時間には144円08銭近辺まで下げたが、NYでは144円台半ばから後半で推移。
  • ユーロドルはドル円よりも値幅は出たものの、1.12台半ばを中心にもみ合い。
  • 株式市場は3指数が小幅ながら揃って下落。S&P500は7日ぶりに下落し、利益確定の売りに押される。
  • 債券は反落。長期金利は4.48%台に上昇。
  • 金は大幅に続伸。原油は小幅安。
ドル/円 144.44 〜 144.79
ユーロ/ドル 1.1224 〜 1.1286
ユーロ/円 162.45 〜 163.15
NYダウ −114.83 → 42,677.24
GOLD +51.10 → 3,284.60ドル
WTI −0.13 → 62.56ドル
米10年国債 +0.040 → 4.487%

本日の注目イベント

  • 日 4月貿易統計
  • 英 英4月消費者物価指数

本日のコメント

ドル円は昨日の夕方には144円08銭まで売られ、144円割れを試す展開でしたが、NYでは小動きでした。日米高官による「貿易協議」と「為替に関する協議」を控えており、その結果をある程度見極められるまで動きが取れないようです。現時点でも協議予定時間も含めて、両協議に関する詳しい情報は入ってきません。現地時間21日からはカナダのバンフで「G7」が開催されます。今回の会合はこれまでのものより幾分注目度は高いように思います。加藤財務相はベッセント財務長官と為替に関する協議を行うことで調整を行っており、実現すればドル円の水準についての話し合いもあるかもしれません。すでに両財務相の間では、「為替レートは市場で決定される」ことや、「過度の変動が経済に対して悪影響を与え得る」との原則が確認されており、今回の協議も「それをベースに引き続き議論されていくもの」と見られています。また、赤沢経済再生担当相もベッセント財務長官を含めた担当高官と第3回目の協議を行うことで調整している模様です。いずれも米国側の対応が読み切れず、市場では引き続き不確実性が支配的となっています。

セントルイス連銀のムサレム総裁は20日ミネアポリスでのイベントで、「米中が関税の大幅引き下げで合意して、5月12日に対立激化が和らいだ後でも、関税は短期的な経済見通しに大きな影響をもたらすように思える」と発言し、「今はインフレとの闘い継続に対する国民の信頼を維持すべき時だ。当局はインフレ期待を注視すべきだ」と強調していました。この発言で市場はややドル買いに振れましたが、影響は限定的でした。またアトランタ連銀のボスティック総裁も他のイベントで、「米国債市場のボラティリティにより、すでに高い不確実性がさらに高まる可能性があるが、市場の機能は現時点ではリスクになっていない」とした上で、「さらに不確実性が加わることになれば、より正常なスタンスに戻るまでの時間が長引くと想定する必要が生じるだろう。なぜなら、状況の収束に今以上の時間がかかると考えるからだ」と述べていました。いずれも、「トランプ関税」の影響は少なくはなく、まだ不確実性が高まる可能性を残していると考えているようです。

148円台半ばまで反発したドル円は再び上値を重くし、日足チャートではローソク足が「一目均衡表の雲の下限」に沿って切り下がっているのが確認できます。ここから再び140−145円のレンジに戻るのか、上記2つの協議の結果にかかっています。

石破首相は、「コメ買ったことない」と発言した江藤農相を更迭する方向だと、共同通信が伝えています。コメの値段が急騰し国民が混乱している中、農相として余りにも軽率です。更迭は当然でしょう。

本日のドル円は143円30銭〜145円程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
5/20 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「米国債市場のボラティリティにより、すでに高い不確実性がさらに高まる可能性があるが、市場の機能は現時点ではリスクになっていない」、「さらに不確実性が.加わることになれば、より正常なスタンスに戻るまでの時間が長引くと想定する必要が生じるだろう。なぜなら、状況の収束に今以上の時間がかかると考えるからだ」 --------
5/20 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「米中が関税の大幅引き下げで合意して、5月12日に対立激化が和らいだ後でも、関税は短期的な経済見通しに大きな影響をもたらすように思える」、「今はインフレとの闘い継続に対する国民の信頼を維持すべき時だ。当局はインフレ期待を注視すべきだ」 利下げ観測の後退により、ややドルが買われる。
5/7 パウエル・FRB議長 「発表された大幅な関税引き上げが維持されれば、インフレ加速と経済成長減速、そして失業増加をもたらす可能性が高い」、「インフレへの影響は、物価水準の一時的な変化を反映して短期的なものにとどまる」、「そのインフレ効果がより根強いものになる可能性もある」、「やることはこれまでと変わらない」、「今は予防的になれる状況ではない。さらなるデータを目にするまで、どのような対応が正しいのか実際のところ分からないからだ」 ドル円は143円台から144円まで上昇。
5/7 FOMC声明文 「経済見通しに対する不確実性は一段と強まっている」、「失業増加とインフレ加速のリスクは高まったと判断している」 --------
4/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「6月までに明確かつ説得力のあるデータが得られ、その時点で進むべき正しい方向について判断できれば、委員会が動く可能性がある」 --------
4/24 ウォラー・FRB理事 「特に大規模な関税が再導入された場合、この先レイオフの増加や失業率の上昇が見られ始めても意外ではない。労働市場の悪化が顕著になれば、FRBの最大雇用の責務に基づき措置を講じることが重要だと考えられる」 --------
4/23 ベッセント・財務長官 (日米通商交渉での)「通貨目標は一切ない」、「G7合意を尊重することを日本に期待している」 ドル円は141円台後半から143円57銭まで買われる。
4/17 ラガルド・ECB総裁 「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費に重荷になる」、「世界的な貿易混乱の拡大は、インフレ見通しの不確実性を高めている」 --------
4/16 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「二重の責務の両面から圧力がかかることが想定される状況下では、インフレのさらなる高止まりのリスクと労働市場の減速に伴うリスクとの間でバランスを保つため、金融政策を現状維持とする根拠は強いと考える」、「明確さを得るのが困難な場合には、追加データを待つことが今後の道筋を見極める一助となるだろう」 --------
4/16 パウエル・FRB議長 「長期のインフレ期待をしっかり抑制し続け、物価水準の一時的上昇が継続的インフレ問題にならないよう確実に対処することが、われわれの責務だ」、「物価の安定がなければ、全ての米国民に恩恵をもたらすような長期にわたる力強い労働市場環境の実現は不可能だ」 --------
4/4 クルーズ・米上院議員 「政権が進める関税引き上げは、米経済にとって『巨大なリスク』となっており、来年の中間選挙で共和党が惨敗する恐れがある」、「世界各国からの輸入品に関税を課せば、国内の雇用は崩壊し、米経済に」深刻な打撃を与えることになる」 --------
4/4 ハセット・国家経済会議(NEC)委員長 「関税により米国の消費者物価が『幾分上昇するかもしれない』」、「エコノミストやFRB当局者、一部議員による懸念は行き過ぎだ」 --------
4/4 ベッセント・米財務長官 「新たな関税は必要な措置だ。リセッションを織り込まなければならない理由は見あたらない」 --------
4/3 ジェファーソン・FRB副議長 「政策金利のさらなる調整を急ぐ必要はない、というのが私の見解だ」 --------
4/3 クック・FRB理事 「現時点ではインフレは上振れ、成長は下振れするリスクがあるというシナリオをより重視している。インフレ率が上昇し成長は鈍化するというシナリオは、金融当局に困難な課題をもたらす可能性がある」 --------
4/2 トランプ・米大統領 「長年にわたり、大半において米国の犠牲の下に他国が富と権力を得る中、勤勉な米国民は傍観者の立場を強いられてきた。だが、今後われわれが繁栄する番だ」 --------
4/1 フォンデアライエン・欧州委員長 「必ずしも報復したいわけではないが、必要であれば、強力な報復策を用意しており、それを用いる」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和