今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「5月東京都区部のコアCPIは3.6%」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は143円台から上昇し、144円45銭まで買われる。ミシガン大学消費者マインドが好転したことでドルが上昇。
  • ユーロドルは1.13台前半から半ばで推移し小動き。
  • 株式市場はまちまち。ダウは小幅に上昇したが、他の2指数は下落。
  • 債券は買われ、長期金利は4.4%台に低下。
  • 金は売られ、原油も続落。
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4月個人所得 → 0.1%
4月個人支出 → 0.2%
4月PCEデフレータ(前月比) → 0.1%
4月PCEデフレータ(前年比) → 2.1%
米4月PCEコアデフレータ(前月比) → 0.1%
4月PCEコアデフレータ(前年比) → 2.5%
5月シカゴ購買部協会景気指数 → 40.5
5月ミシガン大学消費者マインド(確定値) → 52.2
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ドル/円 143.48 〜 144.45
ユーロ/ドル 1.1313 〜 1.1367
ユーロ/円 162.74 〜 163.84
NYダウ +54.34 → 42,270.07
GOLD −28.50 → 3,315.40ドル
WTI −0.15 → 60.79ドル
米10年国債 −0.018 → 4.400%

本日の注目イベント

  • 独 独5月製造業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏5月製造業PMI(改定値)
  • 英 英5月製造業PMI(改定値)
  • 米 5月ISM製造業景況指数
  • 米 5月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
  • 米 パウエル・FRB議長、FRBの会議で挨拶
  • 米 ローガン・ダラス連銀総裁、質疑応答
  • 米 グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答

本日のコメント

注目されていた赤沢経済再生相とベッセント財務長官との関税を巡る協議は、ワシントン時間30日に行われましたが、目立った進展はなかったようです。4度目となる2国間協議を終えた赤沢氏は、「合意に向けた議論が進展していることを確認した」と述べ、その上で、「パッケージ全体で合意が成り立つかどうかが問題で、関税の見直しがなければ合意は難しい」と現地で話していました。これ以外にも赤沢氏は、「米側に一連の関税見直しを、改めて強く申し入れた。日米間の調整を加速し、6月のG7首脳会議前に再び協議を行うことで一致した」と述べており、最後に「全てが合意されるまでは何も合意できない」とも話していました。微妙な言い回しですが、この言葉からは、大きく進展しているとは思われません。今度は、石破・トランプ会談で合意に向けた話し合いになりそうです。

「一件落着」したかに見えた米中の関税問題を巡り、トランプ大統領は不満を表しています。トランプ氏は30日、「一部にとっては予想外ではなかっただろうが、中国は米国との合意に完全に違反した。ミスター・ナイスガイでいるのはもうやめだ」と、SNSに投稿しました。グリアUSTR代表もCNBCとのインタビューで、中国側の取り組みが遅いことを示唆し、「トランプ政権は、中国が合意を守っている、またはこの場合、守っていないかをつぶさに監視している」と話しています。ただ、トランプ氏はその後、「しかし、私は習主席と話しをするつもりだ。共にうまく解決できることを期待している」と投稿しており、近いうちに米中首脳会談が実現するかもしれません。

今週、ロシア・ウクライナ両政府による停戦に向けた協議が予定されている中、1日早朝、ロシアはウクライナに対してミサイルとドローンによる攻撃を行い、ウクライナでは9時間余り空襲警報が続いたようです。ロシアはウクライナ上空に無人機「シャヘド」を472機送り込み、弾道ミサイルと巡行ミサイル7発を発射。ウクライナ当局は、385の目標を撃墜したと発表しています。また今回の軍事訓練センターへの攻撃で12人が死亡し、60人が負傷したとも発表しています。米政府はロシアに対して新たな制裁を導入する予定ですが、これもG7首脳会議までには実施される模様です。

ドル円は、ここ1か月ほどは、上値は145円を超える場面もありましたが、直ぐに押し戻される展開で、おおむね141−145円のレンジ相場が続いています。4月2日に発表された「相互関税」に対する恐怖感が後退し、やや安心感が出て来たことから140円を割り込む勢いは見られませんが、一方で上値の方もインフレ懸念が思ったほど高まらないことで、ドル高も限定的となっています。こうなるとやはりカギは関税の行方ということとなり、とりわけ日本とEUに対する関税率が重要になってきます。G7は6月15日から17日までカナダで行われる予定になっていますが、EUに対してはその前に合意する可能性がありそうですが、どうでしょう。

先週末、全国の消費者物価指数(CPI)の先行指標となる「5月の東京都区部のCPI」が発表されました。コア指数は「3.6%」(4月は3.4%)と、2023年1月以来の高い伸びとなり、コアコアも「3.3%」(4月は3.1%)と、伸びが加速していました。6月からは再び値上がりする品目も多く、ようやくコメの価格は落ち着いたものの、物価上昇基調は続きそうで、いずれ日銀の追加利上げを催促することになりそうです。この指標発表直後、ドル円は売られる場面がありました。

本日のドル円は142円50銭〜144円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
5/22 ミラン・米大統領経済諮問委会(CEA)の委員長 「米国は強いドル政策を維持している」、(国際的なドル安協定の憶測について)「われわれが密かに進めているという事実はない。まったく根拠のない話だ」 ドル円は143円台半ばから144台前半まで買われる。
5/21 米財務省声明文 「為替レートは市場で決定されるべきで、ドル円相場は現時点ではファンダメンタルズを反映しているとの共通認識を再確認した」(日米財務相会談を終えて) ドル円は143円台半ばから144円40銭まで上昇
5/20 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「米国債市場のボラティリティにより、すでに高い不確実性がさらに高まる可能性があるが、市場の機能は現時点ではリスクになっていない」、「さらに不確実性が.加わることになれば、より正常なスタンスに戻るまでの時間が長引くと想定する必要が生じるだろう。なぜなら、状況の収束に今以上の時間がかかると考えるからだ」 --------
5/20 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「米中が関税の大幅引き下げで合意して、5月12日に対立激化が和らいだ後でも、関税は短期的な経済見通しに大きな影響をもたらすように思える」、「今はインフレとの闘い継続に対する国民の信頼を維持すべき時だ。当局はインフレ期待を注視すべきだ」 利下げ観測の後退により、ややドルが買われる。
5/7 パウエル・FRB議長 「発表された大幅な関税引き上げが維持されれば、インフレ加速と経済成長減速、そして失業増加をもたらす可能性が高い」、「インフレへの影響は、物価水準の一時的な変化を反映して短期的なものにとどまる」、「そのインフレ効果がより根強いものになる可能性もある」、「やることはこれまでと変わらない」、「今は予防的になれる状況ではない。さらなるデータを目にするまで、どのような対応が正しいのか実際のところ分からないからだ」 ドル円は143円台から144円まで上昇。
5/7 FOMC声明文 「経済見通しに対する不確実性は一段と強まっている」、「失業増加とインフレ加速のリスクは高まったと判断している」 --------
4/24 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「6月までに明確かつ説得力のあるデータが得られ、その時点で進むべき正しい方向について判断できれば、委員会が動く可能性がある」 --------
4/24 ウォラー・FRB理事 「特に大規模な関税が再導入された場合、この先レイオフの増加や失業率の上昇が見られ始めても意外ではない。労働市場の悪化が顕著になれば、FRBの最大雇用の責務に基づき措置を講じることが重要だと考えられる」 --------
4/23 ベッセント・財務長官 (日米通商交渉での)「通貨目標は一切ない」、「G7合意を尊重することを日本に期待している」 ドル円は141円台後半から143円57銭まで買われる。
4/17 ラガルド・ECB総裁 「貿易摩擦の激化が輸出を抑え、投資や個人消費に重荷になる」、「世界的な貿易混乱の拡大は、インフレ見通しの不確実性を高めている」 --------
4/16 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「二重の責務の両面から圧力がかかることが想定される状況下では、インフレのさらなる高止まりのリスクと労働市場の減速に伴うリスクとの間でバランスを保つため、金融政策を現状維持とする根拠は強いと考える」、「明確さを得るのが困難な場合には、追加データを待つことが今後の道筋を見極める一助となるだろう」 --------
4/16 パウエル・FRB議長 「長期のインフレ期待をしっかり抑制し続け、物価水準の一時的上昇が継続的インフレ問題にならないよう確実に対処することが、われわれの責務だ」、「物価の安定がなければ、全ての米国民に恩恵をもたらすような長期にわたる力強い労働市場環境の実現は不可能だ」 --------
4/4 クルーズ・米上院議員 「政権が進める関税引き上げは、米経済にとって『巨大なリスク』となっており、来年の中間選挙で共和党が惨敗する恐れがある」、「世界各国からの輸入品に関税を課せば、国内の雇用は崩壊し、米経済に」深刻な打撃を与えることになる」 --------
4/4 ハセット・国家経済会議(NEC)委員長 「関税により米国の消費者物価が『幾分上昇するかもしれない』」、「エコノミストやFRB当局者、一部議員による懸念は行き過ぎだ」 --------
4/4 ベッセント・米財務長官 「新たな関税は必要な措置だ。リセッションを織り込まなければならない理由は見あたらない」 --------
4/3 ジェファーソン・FRB副議長 「政策金利のさらなる調整を急ぐ必要はない、というのが私の見解だ」 --------
4/3 クック・FRB理事 「現時点ではインフレは上振れ、成長は下振れするリスクがあるというシナリオをより重視している。インフレ率が上昇し成長は鈍化するというシナリオは、金融当局に困難な課題をもたらす可能性がある」 --------
4/2 トランプ・米大統領 「長年にわたり、大半において米国の犠牲の下に他国が富と権力を得る中、勤勉な米国民は傍観者の立場を強いられてきた。だが、今後われわれが繁栄する番だ」 --------
4/1 フォンデアライエン・欧州委員長 「必ずしも報復したいわけではないが、必要であれば、強力な報復策を用意しており、それを用いる」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和