今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「G7サミット開幕」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は143円台半ばまで売られたが、午後には株価や米金利の上昇に144円87銭まで買われる。
  • ユーロドルは1.1615まで買われた後反落したが、堅調に推移。ユーロ円は167円46銭近辺まで買われる。
  • 株式市場は3指数が大幅高。イランとイスラエルが緊張緩和を望んでいるとWSJが報じたことで安心感が広がる。
  • 債券は続落。長期金利は4.44%台に上昇。
  • 金は4日ぶりに反落。急騰した原油も売られる。
  • 6月NY連銀製造業景況指 → −16.0
ドル/円 143.66 〜 144.87
ユーロ/ドル 1.1555 〜 1.1615
ユーロ/円 166.70 〜 167.46
NYダウ +317.30 → 42,515.09
GOLD −35.50 → 3,417.30ドル
WTI −1.21 → 71.77
米10年国債 +0.048 → 4.446%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合
  • 日 植田日銀総裁記者会見
  • 独 独6月ZEW景気期待指数
  • 米 5月小売売上高
  • 米 5月輸入物価指数
  • 米 5月輸出物価指数
  • 米 5月鉱工業生産
  • 米 5月設備稼働率
  • 米 6月NAHB住宅市場指数

本日のコメント

イスラエルがイランの核施設を中心に空爆を行い、イランも報復攻撃に出たことで中東情勢に緊張感が高まってきましたが、その割にはドルが買われ、昨日の日経平均株価は一時500円を超える大幅高を見せていました。昨日のNYでも株価は上昇し、3指数はそこそこの大幅高でした。一方、大きく買われた金と原油は反落しています。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、中東・欧州当局者の話として、「イランはイスラエルとの緊張緩和を望んでおり、米国がイスラエル攻撃に参加しない限り、米国との核協議を再開する用意があることを示唆している」と報じました。ただ、両国では双方のミサイル攻撃により、イランでは224人、イスラエルでも24人の死者が出ていると報じられており、このまま攻撃が停止され、事態が鎮静化するのかどうかはわかりません。

そんな中、カナダのアルバータ州カナナスキスで「G7首脳会議」が開幕しました。トランプ大統領は上記中東での交戦について、「彼らは話たがっているようだ。もっと早くそうするべきだった」と語っていましたが、米国が軍事的にさらに関与するのかどうかの質問には「答えたくない」と述べていました。また、ブルームバーグは、「米国は、イスラエルとイランに紛争の緩和を促す内容を盛り込んだG7共同声明への支持を拒んでいる。トランプ政権と他のG7各国との足並みの乱れが浮き彫りになっている」と伝えています。「G7」に合わせて日米首脳会談があるのかどうか、そして会談した場合の内容も注目されていましたが、石破首相は16日午後1時(日本時間17日午前4時)に、トランプ氏と30分という短い時間でしたが会談を行いました。首相は記者団に対し、「関税協議を巡り今なお日米間で認識が一致していない」と話し、「担当閣僚にさらに協議するよう指示した」と述べ、赤沢経済再生相がこれまで述べていたことと合致していました。結局6回の協議を経てもなお日米の主張に溝があり、埋まっていないことが確認された形です。問題はこの後再度会談する可能性があるのかどうかです。すでに赤沢氏とベッセント財務長官との協議では進展しないことが分かっており、ここは石破氏自らがトランプ氏と直接話しをすることが不可欠かと思います。仮に「G7」閉幕後、両者がそのまま帰国の途につくようなら、協議の合意はかなり難しくなると思います。ここは「G7」後のチャンスに期待したいところです。

142―145円台のレンジが長く続いていることで、日足チャートも煮詰まってきました。現在雲の上限(先行スパン2)は145円60銭近辺まで低下してきており、ローソク足はその下の部分で抑えられている状況です。同時に下値もわずかですが切り上がっており、見方によっては「三角保ちあい」(さんかくもちあい)を形成しつつあると見ることも出来ます。「三角保ちあい」は、現時点ではどちらに抜けるかは分かりませんが、抜けた場合には抜けた方向にかなり値を飛ばすことが、過去の経験則から分かっています。ここは注意深く見ていく必要がありそうです。今週は「G7」に加えて日米の金融決定会合もあり、今日は日銀の番です。政策金利は動かないとしても、金融政策トップの発言もあります。

本日のドル円は143円70銭〜145円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
6/11 ベッセント・財務長官 「誠意を持って交渉している貿易相手国に対しては、発動時期をさらに延長する可能性が極めて高い、そうでない国に対しては延期をしない」・・議会証言で。 --------
6/6 トランプ・米大統領 「FRBの『手遅れ』は最悪だ」(『Too late 』at the Fed is a disaster )とSNSに投稿。「欧州は利下げを10回実施したが、われわれは一度も行っていない。彼にもかかわらず、我が国は好調だ。1ポイント利下げを実施せよ、ロケット燃料になる」 --------
6/5 ラガルド・ECB総裁 「私たちは、新型コロナウイルス、ウクライナでの不当な戦争、エネルギー危機など、複合的なショックに対応してきた金融政策サイクルの終盤に差し掛かっていると考える」、「現在、異なるプレイヤー、異なるパートナー、異なる政策を有する異なる時代に入っている。私たちは分析、評価、測定を継続し、2%の中銀目標を達成するため努力する」、(自身の任期満了前の辞任については)、「自らの使命を果たすこと、そして任期を全うすることを完全に決意している。私がECBを去る日はまだ来ない」 ユーロドルは1.13台後半から1.1495まで買われる。
6/3 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (このところ良好な物価データを目にしているものの)、「目にすべき進展という意味において、道のりはまだ長い。インフレに対する勝利宣言はまだしない」 --------
5/22 ミラン・米大統領経済諮問委会(CEA)の委員長 「米国は強いドル政策を維持している」、(国際的なドル安協定の憶測について)「われわれが密かに進めているという事実はない。まったく根拠のない話だ」 ドル円は143円台半ばから144台前半まで買われる。
5/21 米財務省声明文 「為替レートは市場で決定されるべきで、ドル円相場は現時点ではファンダメンタルズを反映しているとの共通認識を再確認した」(日米財務相会談を終えて) ドル円は143円台半ばから144円40銭まで上昇
5/20 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「米国債市場のボラティリティにより、すでに高い不確実性がさらに高まる可能性があるが、市場の機能は現時点ではリスクになっていない」、「さらに不確実性が.加わることになれば、より正常なスタンスに戻るまでの時間が長引くと想定する必要が生じるだろう。なぜなら、状況の収束に今以上の時間がかかると考えるからだ」 --------
5/20 ムサレム・セントルイス連銀総裁 「米中が関税の大幅引き下げで合意して、5月12日に対立激化が和らいだ後でも、関税は短期的な経済見通しに大きな影響をもたらすように思える」、「今はインフレとの闘い継続に対する国民の信頼を維持すべき時だ。当局はインフレ期待を注視すべきだ」 利下げ観測の後退により、ややドルが買われる。
5/7 パウエル・FRB議長 「発表された大幅な関税引き上げが維持されれば、インフレ加速と経済成長減速、そして失業増加をもたらす可能性が高い」、「インフレへの影響は、物価水準の一時的な変化を反映して短期的なものにとどまる」、「そのインフレ効果がより根強いものになる可能性もある」、「やることはこれまでと変わらない」、「今は予防的になれる状況ではない。さらなるデータを目にするまで、どのような対応が正しいのか実際のところ分からないからだ」 ドル円は143円台から144円まで上昇。
5/7 FOMC声明文 「経済見通しに対する不確実性は一段と強まっている」、「失業増加とインフレ加速のリスクは高まったと判断している」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和