今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米ロ首脳会談今週15日に」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 東京市場が休場の中、ドル円は欧州時間から買われ、NYでは148円台に乗せ、148円25銭まで上昇。本日発表される米CPIが上振れるとの観測も。
  • ドル高が進んだことで、ユーロは下落。ユーロドルは1.1590まで売られる。
  • 先週末買われた主要3指数は揃って反落。CPI発表前に利益確定の売りが優勢に。
  • 債券はほぼ横ばい。長期金利は4.28%台で推移。
  • 金は大きく反落。原油は小幅高。
ドル/円 147.80 〜 148.25
ユーロ/ドル 1.1590 〜 1.1631
ユーロ/円 171.54 〜 172.13
NYダウ −200.52 → 43,975.09
GOLD −86.60 → 3,404.70ドル
WTI +0.08 → 63.96
米10年国債 +0.002 → 4.285%

本日の注目イベント

  • 豪 豪7月NAB企業景況感指数
  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 独 独8月ZEW景気期待指数
  • 英 英7月失業率
  • 英 英ILO失業率(4−6月)
  • 米 7月消費者物価指数
  • 米 7月財政収支

本日のコメント

「ラトちゃん」、「ベッちゃん」・・・・。

赤沢経済再生相は、日本が主張していた関税15%に対する認識の違いが米国サイドに認められたことが余程嬉しかったのか、ラトニック商務長官とベッセント財務長官のことをSNSでこのように呼んでいました。「YOUは何しにアメリカへ」とまで揶揄されていた赤沢氏でしたが、最後の最後に大きな魚を釣り上げましたが、魚籠(びく)に入れる際に逃がしてしまった格好で、野党からは同氏を交代させるべきだとの意見も出ていました。急遽訪米し協議した結果、日本側が主張していたように、「既存の税率が15%以上の品目については上乗せ関税がなく、15%未満の品目は15%にする」ことで合意しました。自身の主張が通ったことで、嬉しさのあまり上記表現をしたのでしょう。日本にとってもやれやれといったところです。余談ですが、赤沢氏がベッセント財務長官の執務室で会談をした際、部屋には先週来日した時にプレゼントされた自身の似顔絵が飾ってあったそうです。これは参議院議員の赤松氏が描いたもので、「ベッちゃん」もひどく気に入っていたとか・・・。

トランプ大統領は12日に失効する予定だった、中国とのレアアースや一部テクノロジーの輸出規制の緩和を90日間延長しました。対中国との交渉はまだ不透明な部分も多く、一旦は規制緩和を維持する意向のようです。トランプ氏は15日にロシアのプーチン大統領とアラスカで会談する予定です。これまでの情報では、ウクライナの領土の一部をロシアに渡すことで、プーチン氏も停戦に合意するのではないかと見られていますが、ウクライナのゼレンスキー大統領は否定的な発言を何度も繰り返しています。トランプ氏は会見で、「私はプーチン大統領と協議し、この戦争を終わらせなければならないと伝えるつもりだ。ディールを決定するのは私ではない。自分は行って、条件を見ることになる。『幸運を祈る』と言って立ち去り、それで終わりの可能性もある。これでは解決しないと言うかもしれない」と話していました。NATOのルッテ事務総長は、米ロ首脳会談がウクライナの領土を巡る交渉への道を開く可能性があると述べていました。プーチン氏が振り上げた刀を簡単には収めるとも思えませんが、米大統領と直接会って話をすることが、停戦への確実な一歩になると思います。

昨日の商品市場で「金」が大きく値を下げました。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が「米税関・国境取締局(CBP)は関税対象にあたるとの見解を出した」と報じたのがきっかけでした。この報道で、金にも相互関税がかかるのではないかとの懸念が広がり金価格は大きく下がりました。ただその後、トランプ氏が「金には関税をかけない」とSNSに投稿したことで下げ幅を縮小しています。金価格にも言及して来るトランプ氏のタフネスさには驚きます。

ドル円は再び148円台に乗せて来ました。基本は145−150円のレンジ内での動きですが、NYでは今夜発表される「7月の消費者物価指数(CPI)」が上振れするのではないかとの見方も出たようです。前年比では「2.8%」(6月は2.7%)と予想されていますが、今回の結果が仮に上振れしたとしても、「雇用統計の大幅減」を上回るほどのインパクトはないだろうと考えます。つまり、今回のCPIでは利下げ観測を修正するほどの影響はないと予想しているということです。市場の多くが米利下げ観測に軸足を乗せている現状で、150円を再び超えるには相当なドル買い材料が必要です。

本日のドル円は147円〜149円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/7 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「年内に1回の利下げが実施される可能性が高いとの見通しは変わらない」、「関税の影響が一時的なものなのか、あるいはもっと持続的なものなのかという点が、現時点では恐らく最も重要な問題だ」、「この日発動された関税の影響が、一時的な物価上昇にとどまるという教科書的な関税の例に当てはまるには、いくらか会懐疑的な理由がある」、「これは一度きりで、ある朝目が覚めたら全ての関税が明らかになっているという話ではない。むしろ、関税が頻繁に変化することで、消費者の意識の中に関税や物価上昇見通しが浮かぶ期間が長くなり、インフレ期待が高まるリスクがある」 --------
8/6 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「景気は減速している。短期的にFF金利の調整を開始することが適切になる可能性がある」、「関税の影響が明確になるまで、どれくらい待てるのか、それが現在、私を悩ませている。最良の選択肢が、多少の調整を行い、その後に一時停止や方向転換を迫られる展開であっても、関税の影響が明確になるまで何もしないで待つより望ましい可能性がある」 --------
8/6 クック・FRB理事 「7月の雇用統計は懸念すべき内容だった。こうしたデータの修正は転換点でよく見られる傾向だ」 --------
8/4 デーリー・SF連銀総裁 (先週のFOMCの決定について)、「もう1会合見送る用意はあったが永遠に待つことはできない」、「インフレが加速・波及したり、雇用市場が持ち直したりすれば、2回未満の利下げでも十分かもしれないが、より可能性が高いのは、2回を超える利下げが必要になるかもしれないことだと考える。労働市場が弱い局面に入りつつある一方で、インフレへの波及が見られない場合、さらに措置を講じる準備も必要というのが私の見解だ」 --------
7/30 FOMC声明文 「経済活動の伸びは緩やかになった。景気見通しに関する不確実性は依然として高い。委員会は長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指し、2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」 --------
7/30 パウエル・FRB議長 「解決すべき不確実性は非常に多い。そのプロセスの終わりが間近に迫っているという感触はない」、(利下げ次期については)、「9月については何も決定していない」 ドル円は買われ、149円54銭まで上昇。
7/24 ラガルド・ECB総裁 「現在の状況は良好だ。今は金利を据え置き、リスクが今後数か月の間にどう展開いていくかを見守ることが適切な状況にある」 --------
7/24 ECB声明文 「これまでのところ経済は全体として底堅さを示している。しかし、通商摩擦をはじめとする要因により、依然として先行きは極めて不透明だ」 --------
7/10 デーリー・SF連銀総裁 「2回の利下げというのが可能性の高いシナリオだと私はみているが、あらゆる当局の予測には不確実性が伴う」 --------
7/10 ペンス・元副大統領 「われわれは主に中国を対象に、相手の行動の変化を促すべく関税やその脅威を交渉手段として用いた。目的は本質的に貿易障壁を下げ、貿易を拡大することだった」、「トランプ氏は米産業政策の長期的な転換を進めており、恒久的かつ一方的な貿易関税が米国にとって長期的に有益だと見なしているとは、私は考えていない」、「自由市場を信奉する保守派として、私はそれには賛同できない」 --------
7/2 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「経済指標は非常に堅調だ。経済が悪い方向に進んでいるという切迫感はない。また、経済環境全体に切迫感がない限り、霧の中を運転するように、ゆっくり進むのが妥当だ」、「現時点で政策金利を引き下げる緊急性はない」 --------
7/1 パウエル・FRB議長 「(関税の行方に)われわれは注視している。夏にかけていくらかの数値が上がると予想している」と話し、その上で「ただし影響が想定より高いのか低いのか、あるいは遅いのか早いのかは、今後明らかになる可能性があるとして、それを確認する用意がある」、(月利下げについては)「検討は会合ごとに行われる。どの会合も選択肢から排除しないし、直接的に議題に上げることもしない。データがどう展開するかにかかっている」 利下げの可能性を排除しなかったことで、ドル円はやや売られる。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和