今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米ロ首脳会談、評価はまちまち」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は軟調な経済指標の発表を受け146円75銭まで売られたが、その後反発。147円台に乗せて越週。
  • ユーロドルは小動きの中、1.17を挟みもみ合い。
  • 株式市場では米ロ首脳会談を見極めたいとする雰囲気の中、ダウは小幅に買われ、他の2指数は小幅安。
  • 債券は続落し、長期金利は4.31%台に上昇。
  • 金は小幅に続落。原油は反落。
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7月小売売上高 → 0.5%
8月NY連銀製造業景況指数 → 11.9
7月輸入物価指数 → 0.4%
7月輸出物価指数 → 0.1%
7月鉱工業生産 → −0.1%
7月設備稼働率 → 77.5%
8月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 58.6
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ドル/円 146.75 〜 147.31
ユーロ/ドル 1.1673 〜 1.1715
ユーロ/円 171.63 〜 172.37
NYダウ +34.86 → 44,936.12
GOLD −0.60 → 3,382.60ドル
WTI −1.16 → 62.80
米10年国債 +0.031 → 4.316%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏6月貿易収支
  • 米 8月NAHB住宅市場指数
  • 加 カナダ7月住宅着工件数

本日のコメント

注目の米ロ首脳会談が、アラスカ州アンカレジにある米軍基地で行われました。最初に目にしたのは、トランプ大統領が赤い絨毯の上で、ロシアのプーチン大統領を迎え、握手をする光景でした。会談の内容は明らかになってはいませんが、会見では終始プーチン氏が話し、トランプ氏は聞き役だった印象でした。会見時間もプーチン氏が8分以上行ったものの、トランプ氏はわずか3分程度。3対3で行われた会談時間も、当初ロシア側は6〜7時間を予定していたそうですが、2時間45分で終わったそうです。それでもトランプ氏は今回の会談を「10点満点だ」と称賛していました。評価はまちまちで、「プーチン氏主導で行われた」、「終始プーチン氏のペースだった」といった言葉が多かったようです。

トランプ氏は首脳会談後のFOXニュースとのインタビューで、いくつかの争点が残っていると説明。合意には至っていないと指摘したうえで、「ウクライナとロシアの戦争終結はゼレンスキー氏にかかっている」と語っていました。さらにトランプ氏は、「重要な論点が一つか二つあるが、合意に至ることは可能だと思う」と語り、「それを実現できるかどうかは、ゼレンスキー大統領次第だ。欧州諸国も少しは関与すべきだとは思うが、最終的にはゼレンスキー大統領にかかっていると思う」と説明していました。ゼレンスキー氏は本日18日、ワシントンでトランプ氏と会談することになっています。

もう一つの戦争はさらに過激さを増しています。イスラエルのネタニヤフ首相は、ガザ市制圧とハマス殲滅を目指し、過去2年あまりで最も大規模な攻撃を行っており、ネタニヤフ氏の舌鋒もさらに過激さを増しています。そんな中、パレスチナ人自治区ガザ全域の制圧を計画するネタニヤフ氏に対する抗議のデモが起きています。住民は残る人質の解放と戦争終結につながる交渉を求めて、街頭に繰り出しています。ネタニヤフ氏はこうした抗議活動がイスラム組織ハマスを勢いづけるとの考えを示唆。道路を封鎖し、エルサレムの連絡トンネルで座り込むデモ隊に、警察は放水砲などで鎮圧し、少なくとも30人を逮捕しています。(ブルームバーグ)ロシアに対しては、停戦に応じないとさらに厳しい制裁加えるとしているトランプ政権ですが、ガザ地区ではそのロシアよりも多くの民間人を殺戮しているイスラエルに対しては「おとがめなし」です・・・・。

9月のFOMC会合では利下げが確定的と予想していますが、メンバーの中では現時点で最もタカ派と見られるアトランタ連銀のボスティック総裁にもやや変化が見られます。アラバマ州北部とミシシッピ州でバンカーや教師、事業主らと対話し3日間の視察を終えたボスティック氏は、政策金利を近く調整することに違和感はないと述べる一方で、経済の見通しが透明性を増すのを待つ間、政策当局は警戒を怠ってはならないとも警告しています。「現時点での戦略的アプローチは『動いて、待つ』というものになるだろう」とボスティック氏は述べ、「われわれの行動後、経済がどう動くか分かるまでに時間がかかるかもしれない。その間に、次にどのような行動を取るべきか鮮明になるだろう」と話していました。また、「労働市場が堅調を維持すれば、年内は1度の利下げが適切になるという見方はなお変わらない」と述べていましたが、「いつ行動を起こすかについては予断を持っていない。特定の時期に固執していない」とも話していました。これまでのFOMCメンバーの発言を考慮すると、次回会合では意見が分かれると見られます。ここはやはり、パウエル議長の考えが重要で、22日(金)のジャクソンホールではそれが明らかになる可能性が高いと思われます。

本日のドル円は146円50銭〜148円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/14 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「現時点での戦略的アプローチは『動いて、待つ』というものになるだろう」、「われわれの行動後、経済がどう動くか分かるまでに時間がかかるかもしれない。その間に、次にどのような行動を取るべきか鮮明になるだろう」、「労働市場が堅調を維持すれば、年内は1度の利下げが適切になるという見方はなお変わらない」、「いつ行動を起こすかについては予断を持っていない。特定の時期に固執していない」 --------
8/14 ムサレム・セントルイス連銀総裁 (9月の会合で)「私自身としてどういった政策を支持できるかを正確に述べるのは時期尚早だ」、(9月会合で0.5ポイントの利下げが正当化され得るかとの質問に)、「経済の現状や見通しを踏まえれば支持されない」、「データは、より持続的なインフレの可能性があるかどうかを示し始めている。労働市場には下振れリスクがある」、「私は両方の要素を意識している」、「われわれの2つの責務の間に緊張が見られる場合は、バランスの取れたアプローチで臨む必要がある」 --------
8/14 デーリー・SF連銀総裁 「0.5ポイントというのは、われわれが緊急性を認識しているように聞こえる。労働市場について私が感じているものとは違う緊急シグナルを発することになると懸念する」、「そうは見ていないし、遅れを取り戻す必要も感じない」 --------
8/13 ベッセント・財務長官 「9月の0.5ポイント利上げを皮切りに、そこから一連の利下げを実施できるだろうと考えている。どのモデルを見ても、金利は恐らく150、175ベーシス・ポイント低い水準にあるできだろう」、「トランプ大統領も望んでいる」、「日本はインフレ問題を抱えており、確実に日本からの波及がある」、(日銀の植田総裁と話したこと明らかにしたうえで)、「これは総裁の見解ではなく、私見だが、日銀は後手に回っており、利上げするだろう」 株と債券が買われ、金利が低下したことでドル円は147円08銭まで下落。
8/12 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「米経済の先行きに対する不透明感は薄れつつあるものの、FRBがインフレ抑制と雇用の下支えのどちらに重点を置くべきかは、依然として明確ではない」 --------
8/12 シュミッド・カンザスシティ連銀総裁 「経済が勢いをなお維持し、企業の楽観的な見方が強まり、インフレが当局の目標を上回る水準にとどまる中では、緩やかな引き締め状態にある金融政策スタンスを当面維持するのが適切だ」 --------
8/7 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「年内に1回の利下げが実施される可能性が高いとの見通しは変わらない」、「関税の影響が一時的なものなのか、あるいはもっと持続的なものなのかという点が、現時点では恐らく最も重要な問題だ」、「この日発動された関税の影響が、一時的な物価上昇にとどまるという教科書的な関税の例に当てはまるには、いくらか会懐疑的な理由がある」、「これは一度きりで、ある朝目が覚めたら全ての関税が明らかになっているという話ではない。むしろ、関税が頻繁に変化することで、消費者の意識の中に関税や物価上昇見通しが浮かぶ期間が長くなり、インフレ期待が高まるリスクがある」 --------
8/6 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「景気は減速している。短期的にFF金利の調整を開始することが適切になる可能性がある」、「関税の影響が明確になるまで、どれくらい待てるのか、それが現在、私を悩ませている。最良の選択肢が、多少の調整を行い、その後に一時停止や方向転換を迫られる展開であっても、関税の影響が明確になるまで何もしないで待つより望ましい可能性がある」 --------
8/6 クック・FRB理事 「7月の雇用統計は懸念すべき内容だった。こうしたデータの修正は転換点でよく見られる傾向だ」 --------
8/4 デーリー・SF連銀総裁 (先週のFOMCの決定について)、「もう1会合見送る用意はあったが永遠に待つことはできない」、「インフレが加速・波及したり、雇用市場が持ち直したりすれば、2回未満の利下げでも十分かもしれないが、より可能性が高いのは、2回を超える利下げが必要になるかもしれないことだと考える。労働市場が弱い局面に入りつつある一方で、インフレへの波及が見られない場合、さらに措置を講じる準備も必要というのが私の見解だ」 --------
7/30 FOMC声明文 「経済活動の伸びは緩やかになった。景気見通しに関する不確実性は依然として高い。委員会は長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指し、2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」 --------
7/30 パウエル・FRB議長 「解決すべき不確実性は非常に多い。そのプロセスの終わりが間近に迫っているという感触はない」、(利下げ次期については)、「9月については何も決定していない」 ドル円は買われ、149円54銭まで上昇。
7/24 ラガルド・ECB総裁 「現在の状況は良好だ。今は金利を据え置き、リスクが今後数か月の間にどう展開いていくかを見守ることが適切な状況にある」 --------
7/24 ECB声明文 「これまでのところ経済は全体として底堅さを示している。しかし、通商摩擦をはじめとする要因により、依然として先行きは極めて不透明だ」 --------
7/10 デーリー・SF連銀総裁 「2回の利下げというのが可能性の高いシナリオだと私はみているが、あらゆる当局の予測には不確実性が伴う」 --------
7/10 ペンス・元副大統領 「われわれは主に中国を対象に、相手の行動の変化を促すべく関税やその脅威を交渉手段として用いた。目的は本質的に貿易障壁を下げ、貿易を拡大することだった」、「トランプ氏は米産業政策の長期的な転換を進めており、恒久的かつ一方的な貿易関税が米国にとって長期的に有益だと見なしているとは、私は考えていない」、「自由市場を信奉する保守派として、私はそれには賛同できない」 --------
7/2 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「経済指標は非常に堅調だ。経済が悪い方向に進んでいるという切迫感はない。また、経済環境全体に切迫感がない限り、霧の中を運転するように、ゆっくり進むのが妥当だ」、「現時点で政策金利を引き下げる緊急性はない」 --------
7/1 パウエル・FRB議長 「(関税の行方に)われわれは注視している。夏にかけていくらかの数値が上がると予想している」と話し、その上で「ただし影響が想定より高いのか低いのか、あるいは遅いのか早いのかは、今後明らかになる可能性があるとして、それを確認する用意がある」、(月利下げについては)「検討は会合ごとに行われる。どの会合も選択肢から排除しないし、直接的に議題に上げることもしない。データがどう展開するかにかかっている」 利下げの可能性を排除しなかったことで、ドル円はやや売られる。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和