「トランプ大統領、ゼレンスキー氏と会談」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は買われ、NYでは147円98銭まで上昇。ジャクソンホールでのパウエル議長の講演を控える中、米金利が上昇したことで円売りが強まった。
- ユーロドルは小幅に売られ、1.16台半ばから後半で推移。
- 株式市場は小動き。3指数はまちまちの動きで、値幅も限定的だった。
- 債券は3日続落。長期金利は4.33%台に上昇。
- 金は小幅ながら3日続落。原油は反発。
米 8月NAHB住宅市場指数 → 32
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ドル/円 | 147.53 〜 147.98 |
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ユーロ/ドル | 1.1656 〜 1.1684 |
ユーロ/円 | 172.18 〜 172.68 |
NYダウ | −34.30 → 44,911.82 |
GOLD | −4.60 → 3,378.00ドル |
WTI | +0.62 → 63.42 |
米10年国債 | +0.018 → 4.334% |
本日の注目イベント
- 豪 豪8月ウエストパック消費者信頼感指数
- 欧 ユーロ圏6月経常収支
- 米 7月住宅着工件数
- 米 7月建設許可件数
- 加 カナダ7月消費者物価指数
本日のコメント
トランプ大統領は18日、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談しました。両首脳は、欧州首脳を交えた会議が、戦争終結に向けたロシアのプーチン大統領を交えた3者会談につながるとの楽観的見方を示しました。トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室でゼレンスキー氏と会談中に記者団に対し、「今日全てがうまくいけば3者会談が開催されるだろう」と述べ「われわれは全員と協力して、平和が実現するなら、その平和が長期的に維持されるようにするだろう」と話していました。ゼレンスキー氏は、「和平合意の一環として米国が安全保証に関与する見通しに勇気づけられた」と発言。また、領土交換の議論はプーチン氏との直接会談に限るべきだという自身の重要な要望をトランプ氏が受け入れたと示唆しました。一方、トランプ氏は、善意の証しとしてロシアに最大1000人の捕虜解放を促すことができる可能性があると述べています。2月にゼレンスキー氏がホワイトハウスを訪れた際には、トランプ氏と激しい口論に発展し、その後の両者の関係が懸念されていましたが、今回の会談では停戦の可能性を探る中、成功裏に運んだようです。
トランプ氏は会談後に「プーチン氏に電話をするつもりだ」と発言し、その後実際にプーチン氏に電話をした模様で、ゼレンスキー氏を交えた3者会談の可能性も出てきました。一方、ロシアからエネルギーを購入していることを理由に高関税が課される可能性のあるインドのモディ首相は、プーチン氏からの電話を受け「プーチン氏が最近アラスカで行われたトランプ米大統領との会談について見解を共有した」と述べています。インドとロシアの関係が依然として強固なことを改めて浮き彫りにしたと、ブルームバーグは伝えています。
金融市場は、アラスカでの米ロ首脳買会談に続き、トランプ氏とゼレンスキー氏との会談が続いたわりには、冷静な反応を見せています。昨日は米金利が上昇したことでドル円は148円に迫る動きでした。NY株式市場では小幅な値動きが続き、日本株だけが活況を呈しています。ロシア・ウクライナ問題よりもジャクソンホールの方が重要だということでしょうか?日経QUICKは「8月の外国為替市場の月次調査」で、9月のFOMC会合では、「78%の回答者が25bpの利下げを見込んでいる」と発表しました。筆者も同調査には毎月回答していますが、今回の調査では悩んだ末に「50bpの利下げ」と回答しました。「50bpの利下げ」予想はわずか5%とのことでした。回答者の多くが、直近の「CPI」と「PPI」の上振れを踏まえ、「パウエル議長は依然としてインフレ警戒感を解いていない」と見ていることがその理由だと思われます。筆者も、何回もこの欄で述べているように、今後の米国のインフレには強い警戒感を持っていますが、7月の雇用統計の結果で大きなインパクトを受け、50bpを選択した次第です。基本は、「金融政策は今後のデータ次第だ」ということです。従って、議長が年内残り3回の会合での利下げ回数に言及することもないと思われます。
本日のドル円は147円〜148円80銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
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8/14 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「現時点での戦略的アプローチは『動いて、待つ』というものになるだろう」、「われわれの行動後、経済がどう動くか分かるまでに時間がかかるかもしれない。その間に、次にどのような行動を取るべきか鮮明になるだろう」、「労働市場が堅調を維持すれば、年内は1度の利下げが適切になるという見方はなお変わらない」、「いつ行動を起こすかについては予断を持っていない。特定の時期に固執していない」 | -------- |
8/14 | ムサレム・セントルイス連銀総裁 | (9月の会合で)「私自身としてどういった政策を支持できるかを正確に述べるのは時期尚早だ」、(9月会合で0.5ポイントの利下げが正当化され得るかとの質問に)、「経済の現状や見通しを踏まえれば支持されない」、「データは、より持続的なインフレの可能性があるかどうかを示し始めている。労働市場には下振れリスクがある」、「私は両方の要素を意識している」、「われわれの2つの責務の間に緊張が見られる場合は、バランスの取れたアプローチで臨む必要がある」 | -------- |
8/14 | デーリー・SF連銀総裁 | 「0.5ポイントというのは、われわれが緊急性を認識しているように聞こえる。労働市場について私が感じているものとは違う緊急シグナルを発することになると懸念する」、「そうは見ていないし、遅れを取り戻す必要も感じない」 | -------- |
8/13 | ベッセント・財務長官 | 「9月の0.5ポイント利上げを皮切りに、そこから一連の利下げを実施できるだろうと考えている。どのモデルを見ても、金利は恐らく150、175ベーシス・ポイント低い水準にあるできだろう」、「トランプ大統領も望んでいる」、「日本はインフレ問題を抱えており、確実に日本からの波及がある」、(日銀の植田総裁と話したこと明らかにしたうえで)、「これは総裁の見解ではなく、私見だが、日銀は後手に回っており、利上げするだろう」 | 株と債券が買われ、金利が低下したことでドル円は147円08銭まで下落。 |
8/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米経済の先行きに対する不透明感は薄れつつあるものの、FRBがインフレ抑制と雇用の下支えのどちらに重点を置くべきかは、依然として明確ではない」 | -------- |
8/12 | シュミッド・カンザスシティ連銀総裁 | 「経済が勢いをなお維持し、企業の楽観的な見方が強まり、インフレが当局の目標を上回る水準にとどまる中では、緩やかな引き締め状態にある金融政策スタンスを当面維持するのが適切だ」 | -------- |
8/7 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「年内に1回の利下げが実施される可能性が高いとの見通しは変わらない」、「関税の影響が一時的なものなのか、あるいはもっと持続的なものなのかという点が、現時点では恐らく最も重要な問題だ」、「この日発動された関税の影響が、一時的な物価上昇にとどまるという教科書的な関税の例に当てはまるには、いくらか会懐疑的な理由がある」、「これは一度きりで、ある朝目が覚めたら全ての関税が明らかになっているという話ではない。むしろ、関税が頻繁に変化することで、消費者の意識の中に関税や物価上昇見通しが浮かぶ期間が長くなり、インフレ期待が高まるリスクがある」 | -------- |
8/6 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「景気は減速している。短期的にFF金利の調整を開始することが適切になる可能性がある」、「関税の影響が明確になるまで、どれくらい待てるのか、それが現在、私を悩ませている。最良の選択肢が、多少の調整を行い、その後に一時停止や方向転換を迫られる展開であっても、関税の影響が明確になるまで何もしないで待つより望ましい可能性がある」 | -------- |
8/6 | クック・FRB理事 | 「7月の雇用統計は懸念すべき内容だった。こうしたデータの修正は転換点でよく見られる傾向だ」 | -------- |
8/4 | デーリー・SF連銀総裁 | (先週のFOMCの決定について)、「もう1会合見送る用意はあったが永遠に待つことはできない」、「インフレが加速・波及したり、雇用市場が持ち直したりすれば、2回未満の利下げでも十分かもしれないが、より可能性が高いのは、2回を超える利下げが必要になるかもしれないことだと考える。労働市場が弱い局面に入りつつある一方で、インフレへの波及が見られない場合、さらに措置を講じる準備も必要というのが私の見解だ」 | -------- |
7/30 | FOMC声明文 | 「経済活動の伸びは緩やかになった。景気見通しに関する不確実性は依然として高い。委員会は長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指し、2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」 | -------- |
7/30 | パウエル・FRB議長 | 「解決すべき不確実性は非常に多い。そのプロセスの終わりが間近に迫っているという感触はない」、(利下げ次期については)、「9月については何も決定していない」 | ドル円は買われ、149円54銭まで上昇。 |
7/24 | ラガルド・ECB総裁 | 「現在の状況は良好だ。今は金利を据え置き、リスクが今後数か月の間にどう展開いていくかを見守ることが適切な状況にある」 | -------- |
7/24 | ECB声明文 | 「これまでのところ経済は全体として底堅さを示している。しかし、通商摩擦をはじめとする要因により、依然として先行きは極めて不透明だ」 | -------- |
7/10 | デーリー・SF連銀総裁 | 「2回の利下げというのが可能性の高いシナリオだと私はみているが、あらゆる当局の予測には不確実性が伴う」 | -------- |
7/10 | ペンス・元副大統領 | 「われわれは主に中国を対象に、相手の行動の変化を促すべく関税やその脅威を交渉手段として用いた。目的は本質的に貿易障壁を下げ、貿易を拡大することだった」、「トランプ氏は米産業政策の長期的な転換を進めており、恒久的かつ一方的な貿易関税が米国にとって長期的に有益だと見なしているとは、私は考えていない」、「自由市場を信奉する保守派として、私はそれには賛同できない」 | -------- |
7/2 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「経済指標は非常に堅調だ。経済が悪い方向に進んでいるという切迫感はない。また、経済環境全体に切迫感がない限り、霧の中を運転するように、ゆっくり進むのが妥当だ」、「現時点で政策金利を引き下げる緊急性はない」 | -------- |
7/1 | パウエル・FRB議長 | 「(関税の行方に)われわれは注視している。夏にかけていくらかの数値が上がると予想している」と話し、その上で「ただし影響が想定より高いのか低いのか、あるいは遅いのか早いのかは、今後明らかになる可能性があるとして、それを確認する用意がある」、(月利下げについては)「検討は会合ごとに行われる。どの会合も選択肢から排除しないし、直接的に議題に上げることもしない。データがどう展開するかにかかっている」 | 利下げの可能性を排除しなかったことで、ドル円はやや売られる。 |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書