今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「本日のイベントにも注意」

ひと目で分かる昨晩の動き

欧州市場
  • ドル円は東京時間朝方には146円台後半で推移したが、欧州時間にかけては147円台に値を戻す。NYが祝日であり、重要指標の発表も控えていることで動意もなく小動き。
  • ユーロドルも小動きの中、1.16台後半から1.17台前半で推移。
ドル/円 146.94 〜 147.31
ユーロ/ドル 1.1696 〜 1.1737
ユーロ/円 172.25 〜 172.54
NYダウ ------ → 45,544.88
GOLD ------ → 3,516.10ドル
WTI ------- → 64.01
米10年国債 ------- → 4.228%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
  • 日 氷見野日銀副総裁、道東金融経済懇談会で講演
  • 日 自民党両院議員総会
  • 独 独8月製造業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏8月製造業PMI(改定値)
  • 英 英8月製造業PMI(改定値)
  • 米 8月S&Pグローバル製造業PMI(確報値)
  • 米 8月ISM製造業景況指数

本日のコメント

中国の習近平国家主席は1日、ロシアと主導する新興国家の枠組みである「上海協力機構」(SCO)首脳会議を天津市で開き、演説を行いました。その中で、「加盟国の安全保障と経済協力に強力な支援を提供する」と述べ、ロシアやインドなど加盟10カ国に20億元(約412億円)の無償資金協力を行うとともに、今後3年間でSCOの銀行間コンソーシアム向けに100億元の追加融資を実施すると明らかにしました。また、習氏は特定の国名こそ挙げなかったものの、「冷戦思考、ブロック対立、いじめ行為に反対する」と述べ、米国が貿易戦争で採っている強硬姿勢への間接的な批判をにじませていました。

日本で石破首相との親密さをアピールしたインドのモディ首相はSCO参加のため中国を訪れ、ロシアのプーチン大統領と抱擁を交わした後、2人で首脳会談の会場へと向かいました。会談の冒頭では、両国は「特別な関係」を共有していると宣言し、インドによるロシア産原油の購入を巡り米国から批判を受ける中、両国の関係深化を改めて印象づけた形です。モディ氏はXに、「首脳会談の会場まで、プーチン大統領と共に移動した。彼との会話は常に示唆に富んでいる」と投稿しています。ブルームバーグによると、インドは米国からの輸入品に対する関税をゼロにすると申し出た模様で、トランプ大統領は、「インドが関税をゼロにすると申し出てきたが、今さら遅い。彼らは何年も前にそうするべきだった」と自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿しました。インドがこれをいつ提案したのか、またホワイトハウスがインドとの貿易協議を再開する計画なのかは明らかになっていません。

ウクライナに対して、過去最大規模の攻撃を繰り返しているロシアに対して同国のゼレンスキー大統領は「プーチン氏は停戦よりも殺戮を選んだ」と批難していました。アラスカで行われた米ロ首脳会談を契機に、停戦期待が盛り上がりましたが、やはり簡単な道のりではないようです。ドイツのメルツ首相は独公共放送ZDFとのインタビューで、「ウクライナでの停戦実現について希望を捨ててはいないものの、幻想も抱いていない」と述べています。またメルツ氏は、「歴史を振り返ると、戦争が終わるのは基本的に二つの可能性しかない。一つは片方の軍事的敗北だが、現時点ではロシアやウクライナにその兆候は見られない。もう一つは経済や軍事面の疲弊だ」と述べ、「ウクライナが降伏して独立を失えば明日にでも終わるだろう。だがその翌日には次の国が順番に狙われ、その翌日にはわれわれの番になる。それは選択肢にはならない」と強調していました。その上で、「この戦争が長期化する可能性に向けて心の準備をしている」と語っています。ロシアによるウクライナ全面侵攻は4年目に入り、欧州での戦争として第二次世界大戦以降最長となっています。

クックFRB理事にトランプ大統領が解任を通告した件で、トランプ氏は、SNSで、「連邦政府の訴訟と同じ判事だ。なぜそんなことが起きたのだ。担当から外れるべきだ」と投稿し、連邦地裁のコブ判事が本件を担当したことを批判していました。

本日は、10時半から氷見野日銀副総裁の講演があります。利上げの確度がどの程度なのか、ヒントが得られる可能性もあります。また、午後には自民党の「両院議員総会」が開かれ、政局不安が再燃するかもしれません。石破首相の退陣は、円売り材料と見られていましたが、その後の支持率の上昇や、「石破退陣反対」運動、さらには本日の総会で、総裁選を早期に開催することを支持する議員は実名で投票しなければなりません。このように、状況が変わったことで石破氏の続投の可能性も浮上しています。一方で、閣内からも反旗を翻す副大臣が現われるなど、混沌としている中での開催です。こちらにも注目です。

本日のドル円は146円〜148円程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
8/27 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「私の見解では、全ての会合が間違いなくライブだ」、(最大雇用と物価安定というFRBの2大責務に言及し)、「リスクは一段と均衡してきている」、(金利水準は)「やや景気抑制的だ」、「利下げを実施しても、依然としていくぶんか景気抑制的な状態を維持できるだろう。ただし、経済で実際に何が起きているのかを見極める必要がある」 --------
8/26 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「経済が緩やかな動きとなれば、金利調整は小幅にとどまるだろう。実際に経済が緩やかな動きになるかは分からない。それはその時に確認しなければならない。従ってこれは私の予測だが、予測は変わり得る」 --------
8/21 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「労働市場の動向は気掛かりな要因となり得る」、「現時点でも基本的には同じ考えだ」、「ただ、足元の環境においては、あらゆる見通しや予測に幅広い不確実性が伴う」、「特定の見通しに固執しているわけではない」 ドルが買われ、債券と株は下落。
8/21 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「米国のインフレは高過ぎる上、過去1年を通じて上昇基調にある」、「もし政策会合が明日開催されるとして、現時点の情報に基づけば、利下げの論拠は見当たらない」 ドルが買われ、債券と株は下落。
8/21 ブラード氏・前セントルイス連銀総裁 「金利は現時点でやや高過ぎる。2026年に向けて100bp程度の引き下げが可能だと考える。それは9月の会合での利下げから始まり、恐らく年内に追加利下げがあるだろう」 --------
8/14 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「現時点での戦略的アプローチは『動いて、待つ』というものになるだろう」、「われわれの行動後、経済がどう動くか分かるまでに時間がかかるかもしれない。その間に、次にどのような行動を取るべきか鮮明になるだろう」、「労働市場が堅調を維持すれば、年内は1度の利下げが適切になるという見方はなお変わらない」、「いつ行動を起こすかについては予断を持っていない。特定の時期に固執していない」 --------
8/14 ムサレム・セントルイス連銀総裁 (9月の会合で)「私自身としてどういった政策を支持できるかを正確に述べるのは時期尚早だ」、(9月会合で0.5ポイントの利下げが正当化され得るかとの質問に)、「経済の現状や見通しを踏まえれば支持されない」、「データは、より持続的なインフレの可能性があるかどうかを示し始めている。労働市場には下振れリスクがある」、「私は両方の要素を意識している」、「われわれの2つの責務の間に緊張が見られる場合は、バランスの取れたアプローチで臨む必要がある」 --------
8/14 デーリー・SF連銀総裁 「0.5ポイントというのは、われわれが緊急性を認識しているように聞こえる。労働市場について私が感じているものとは違う緊急シグナルを発することになると懸念する」、「そうは見ていないし、遅れを取り戻す必要も感じない」 --------
8/13 ベッセント・財務長官 「9月の0.5ポイント利上げを皮切りに、そこから一連の利下げを実施できるだろうと考えている。どのモデルを見ても、金利は恐らく150、175ベーシス・ポイント低い水準にあるできだろう」、「トランプ大統領も望んでいる」、「日本はインフレ問題を抱えており、確実に日本からの波及がある」、(日銀の植田総裁と話したこと明らかにしたうえで)、「これは総裁の見解ではなく、私見だが、日銀は後手に回っており、利上げするだろう」 株と債券が買われ、金利が低下したことでドル円は147円08銭まで下落。
8/12 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「米経済の先行きに対する不透明感は薄れつつあるものの、FRBがインフレ抑制と雇用の下支えのどちらに重点を置くべきかは、依然として明確ではない」 --------
8/12 シュミッド・カンザスシティ連銀総裁 「経済が勢いをなお維持し、企業の楽観的な見方が強まり、インフレが当局の目標を上回る水準にとどまる中では、緩やかな引き締め状態にある金融政策スタンスを当面維持するのが適切だ」 --------
8/7 ポスティック・アトランタ連銀総裁 「年内に1回の利下げが実施される可能性が高いとの見通しは変わらない」、「関税の影響が一時的なものなのか、あるいはもっと持続的なものなのかという点が、現時点では恐らく最も重要な問題だ」、「この日発動された関税の影響が、一時的な物価上昇にとどまるという教科書的な関税の例に当てはまるには、いくらか会懐疑的な理由がある」、「これは一度きりで、ある朝目が覚めたら全ての関税が明らかになっているという話ではない。むしろ、関税が頻繁に変化することで、消費者の意識の中に関税や物価上昇見通しが浮かぶ期間が長くなり、インフレ期待が高まるリスクがある」 --------
8/6 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「景気は減速している。短期的にFF金利の調整を開始することが適切になる可能性がある」、「関税の影響が明確になるまで、どれくらい待てるのか、それが現在、私を悩ませている。最良の選択肢が、多少の調整を行い、その後に一時停止や方向転換を迫られる展開であっても、関税の影響が明確になるまで何もしないで待つより望ましい可能性がある」 --------
8/6 クック・FRB理事 「7月の雇用統計は懸念すべき内容だった。こうしたデータの修正は転換点でよく見られる傾向だ」 --------
8/4 デーリー・SF連銀総裁 (先週のFOMCの決定について)、「もう1会合見送る用意はあったが永遠に待つことはできない」、「インフレが加速・波及したり、雇用市場が持ち直したりすれば、2回未満の利下げでも十分かもしれないが、より可能性が高いのは、2回を超える利下げが必要になるかもしれないことだと考える。労働市場が弱い局面に入りつつある一方で、インフレへの波及が見られない場合、さらに措置を講じる準備も必要というのが私の見解だ」 --------
7/30 FOMC声明文 「経済活動の伸びは緩やかになった。景気見通しに関する不確実性は依然として高い。委員会は長期にわたって最大限の雇用と2%のインフレを達成することを目指し、2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」 --------
7/30 パウエル・FRB議長 「解決すべき不確実性は非常に多い。そのプロセスの終わりが間近に迫っているという感触はない」、(利下げ次期については)、「9月については何も決定していない」 ドル円は買われ、149円54銭まで上昇。
7/24 ラガルド・ECB総裁 「現在の状況は良好だ。今は金利を据え置き、リスクが今後数か月の間にどう展開いていくかを見守ることが適切な状況にある」 --------
7/24 ECB声明文 「これまでのところ経済は全体として底堅さを示している。しかし、通商摩擦をはじめとする要因により、依然として先行きは極めて不透明だ」 --------
7/10 デーリー・SF連銀総裁 「2回の利下げというのが可能性の高いシナリオだと私はみているが、あらゆる当局の予測には不確実性が伴う」 --------
7/10 ペンス・元副大統領 「われわれは主に中国を対象に、相手の行動の変化を促すべく関税やその脅威を交渉手段として用いた。目的は本質的に貿易障壁を下げ、貿易を拡大することだった」、「トランプ氏は米産業政策の長期的な転換を進めており、恒久的かつ一方的な貿易関税が米国にとって長期的に有益だと見なしているとは、私は考えていない」、「自由市場を信奉する保守派として、私はそれには賛同できない」 --------
7/2 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「経済指標は非常に堅調だ。経済が悪い方向に進んでいるという切迫感はない。また、経済環境全体に切迫感がない限り、霧の中を運転するように、ゆっくり進むのが妥当だ」、「現時点で政策金利を引き下げる緊急性はない」 --------
7/1 パウエル・FRB議長 「(関税の行方に)われわれは注視している。夏にかけていくらかの数値が上がると予想している」と話し、その上で「ただし影響が想定より高いのか低いのか、あるいは遅いのか早いのかは、今後明らかになる可能性があるとして、それを確認する用意がある」、(月利下げについては)「検討は会合ごとに行われる。どの会合も選択肢から排除しないし、直接的に議題に上げることもしない。データがどう展開するかにかかっている」 利下げの可能性を排除しなかったことで、ドル円はやや売られる。
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和