「失業保険申請件数の減少にドル反発」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 前日、FOMC会合を受けて145円50銭まで売られたドル円は急反発。失業保険申請件数が減少していたことで米金利が上昇し、ドル円は148円26銭まで買われる。
- 前日、1.19台前半まで買われたユーロドルは反落し1.1750まで売られる。
- 株式市場は3指数が買われ、揃って最高値を更新。日本も含めて世界的な株高が続く市場に警戒感も。
- 債券は続落。長期金利は4.10%台を回復。
- 金と原油は続落。
新規失業保険申請件数 → 23.1万件
9月フィラデルフィア連銀景況指数 → 23.2
8月景気先行指標総合指数 → −0.5%
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| ドル/円 | 147.50 〜 148.26 | 
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1750 〜 1.1826 | 
| ユーロ/円 | 174.07 〜 174.43 | 
| NYダウ | +124.10 → 46,142.42 | 
| GOLD | −39.50 → 3,678.30ドル | 
| WTI | −0.48 → 63.57 | 
| 米10年国債 | +0.017 → 4.104% | 
本日の注目イベント
- 日 日銀金融政策決定会合
- 日 植田日銀総裁記者会見
- 日 8月消費者物価指数
- 独 独8月生産者物価指数
- 英 英8月小売売上高
- 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
- 米 トランプ大統領、中国の習近平国家主席と電話会談
- 加 カナダ7月小売売上高
本日のコメント
FOMC会合での利下げを受け145円50銭まで売られたドル円は、わずか1日で底値から2円80銭近くも反発を見せました。今後も緩やかな利下げ基調が続くことで、目先ドルは上値の重い展開が続くと予想していましたが、わずか1日でこれまでのレンジの上限を試す動きでした。やや驚きでした。テクニカルでも、結局一目均衡表の雲の下限を抜け切れていないことになります。
先週分の新規失業保険申請件数が、約4年ぶりの大幅減となったことがその原因でした。同件数(13日終了週)は前週比3万3000件減の23万1000件と、市場予想を下回りました。前の週は26万4000件(速報値26万3000件)に修正されています。同統計は祝日を挟む時期に変動しやすくなり、前の週の統計には「レーバーデー」の週末が含まれていました。また増加の大半はテキサス州に集中しており、これについて州当局者は、不正申請の試みが原因だと指摘しています。年初から政策金利を据え置いてきたFOMC会合は、今週開いた定例会合で利下げを再開。その理由として、労働市場に軟化の兆しが強まっていることを挙げていました。パウエル議長も会合後の記者会見で、「労働市場が非常に堅調だとは、もはや言えなくなった」と発言していました。新規失業保険申請件数の減少は、不透明な経済環境でも企業が労働者を維持していることを示唆していますが、今回の数字がドットチャートに示されたような利下げスタンスにブレイキをかける可能性も浮上してきました。「労働市場の良い時代は終わった」と宣言した翌日に、それを打ち消すような数字が示され、なんともタイミングが悪すぎます。ブルームバーグは、「今回の統計は、レイオフが突然増加したとする先週のいかなる説にも疑問を投げ掛ける。またFOMCと市場の双方における、さらなる大幅利下げの要求を弱めることにもなる」といったコメントを紹介していました。
今回の会合ではメンバーの意見が大きく分かれることが事前に予想されていましたが、市場は落ち着いていました。ドル円は昨日の東京の朝方はNYの動きを受け、146円台後半で一進一退の展開でしたが、午後には日経平均株価が600円を超えたこともあり、147円台を回復し、147円台半ばまでドルが買い戻されました。ブルームバーグは、「パウエルFRB議長、0.25ポイント利下げで意見集約に成功」といった見出しで以下のように報じています。「FOMC内の見解が大きく割れる中にあって、パウエル議長は17日、政策金利を0.25ポイント引き下げる決定に意見を集約することにおおむね成功を収めた。執拗に利下げ注文を繰り返すトランプ大統領の強い政治的圧力にとらわれることなく、米労働市場の減速を巡る懸念や、根強いインフレに対する警戒感など多様な意見の間で妥協点を見いだした。ただ、トランプ氏の関税措置がインフレに及ぼす影響は引き続き不透明だ。パウエル議長はFOMC会合後の記者会見で、『どうすべきか判断は難しい』と述べるとともに、『リスクのない道筋はもう存在しない』と語り、追加利下げの是非を検討するのに当たり、金融当局者が今後数カ月にわたり難しい選択を迫られることを明確にした」と報じ、さらに、「幅広い賛成を取り付けたことは、パウエル議長にとって大きな成果だ。来年5月に任期満了となる議長は、連邦準備制度の独立性に対する数十年ぶりの脅威を退けようとしている。ただ、17日に公表された最新の四半期経済予測では、金利の見通しを巡って当局者間に依然として意見の相違があることが示された」と、一定の評価を下していました。
ホワイトハウスの報道官も事前に述べていましたが、トランプ大統領は、クック理事の解任を認めるよう、最高裁判所に上告しました。中央銀行の独立性を巡る係争問題に最高裁が巻き込まれた形で、その判断次第では米経済に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、トランプ氏は自身を批判する放送局の「免許取り消し」の可能性にも言及しています。トランプ氏は18日、米国のテレビネットワークが自身に対して過度に批判的であれば、放送免許に関して精査を受けるべきだと述べました。報道の自由に対する脅しとしては、これまでで最も踏み込んだ発言です。トランプ氏は「ネットワーク局が放送する夜の番組はトランプ攻撃ばかりだ」と記者団に述べ、「免許を与えられている立場でそんなことは許されない。彼らは民主党の手先だ。免許を取り上げるべきだと思う」と語っています。米国憲法で保障され、長年守られてきた言論・報道の自由を、真っ向から否定する発言です。トランプ氏は今週、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)に対しても150億ドル(約2兆2200億円)の名誉毀損訴訟を起こしています。
自民党の総裁選は5人で争う模様です。市場が最も気にしているのが、高市氏の発言です。高市氏は今日正式に出馬表明を行う予定ですが、すでに中低所得層を支援する「給付付き税額控除」を公約に掲げる意向であることが判明しています。投開票日は10月4日ですが、本日の日銀金融政策決定会合だけではなく、10月の会合にも影響を与える可能性があります。本日の会合では政策金利は据え置かれ、注目は植田総裁の会見ということになります。
本日のドル円は146円70銭〜148円70銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 | 
|---|---|---|---|
| 9/17 | FOMC声明文 | 「最近の複数の指標は経済活動の伸びが今年上期に緩やかになったことを示唆する。雇用の伸びは鈍化し、失業率はやや上昇したものの、低いままだ。インフレは上昇し、幾分高止まりしている」 | ドル円は146円台前半から急落し145円50銭まで売られたが、その後147円台まで反発。債券は売られ、株式市場はまちまちの動き。 | 
| 9/17 | パウエル議長 | 「労働市場に軟化の兆しが強まっている」、「労働需要は軟化し、最近の雇用創出ペースは失業率の安定維持に必要な水準を下回っているようだ。非常に堅調だとはもはや言えなくなった」、「インフレは上昇し、幾分高止まりしている」(失業率については)、「やや上昇したものの、低いままだ」、「雇用の下振れリスクは高まった」 | ドル円は146円台前半から急落し145円50銭まで売られたが、その後147円台まで反発。債券は売られ、株式市場はまちまちの動き。 | 
| 9/11 | ラガルド・ECB総裁 | 「基調的なインフレの指標は、ECBの中期的な目標である2%と一致する状態が続いている」、「最近の貿易協定によって不確実性は和らいだものの、貿易関係が再び悪化すれば、輸出が一段と冷え込み、投資や消費にも下押し圧力がかかる可能性がある」 | -------- | 
| 9/5 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「もっと情報を得たい。私はまだ決めていない。インフレの数値が穏やかであれば、それだけ労働市場に集中しやすくなる」、「しかし最新のインフレ統計ではサービス部門でインフレ上振れが見られた。従ってそれが一時的なものであり、もっと深刻な兆候ではないことを確認したい」 | -------- | 
| 9/3 | ムサレム・セントルイス連銀総裁 | 「完全雇用の労働市場とコアインフレがFRBの目指す2%を1ポイント近く上回っている環境と、やや引き締め的な現行の政策金利は整合する」、「現時点では政策においてバランスの取れたアプローチを取ることが重要であり、労働市場の支援やインフレ抑制のいずれかに偏り過ぎるべきではない。先行きを見通すと、労働市場は徐々に冷え込みながらも完全雇用に近い状態を維持するだろうが、リスクは下方向に傾いている」 | -------- | 
| 9/3 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「物価安定が依然として最大の関心事項ではあるものの、労働市場は十分減速しており、年内残りの期間において恐らく25ベーシスポイントの政策緩和が妥当になると考えられる」、「今後数カ月のインフレ動向や雇用市場の展開によっては、この認識は変わり得る」 | -------- | 
| 9/3 | ウォラー・FRB理事 | 「次回会合で利下げを始める必要がある。その後は決まった道筋を踏まなくてもいい。人々は関税によるインフレをまだ懸念しており、状況を見極めながら進めることができる」、「米国の政策金利は現在、景気を刺激も抑制もしない中立金利を上回っており、金融政策が経済を抑制している」、「中立に近づきたいことは認識している。どれくらい利下げすべきかもおおよそ分かっていて、例えば100から150ベーシスポイントだ。ただ、その水準にどれだけの速さで到達するかは、入ってくるデータ次第になるだろう」 | -------- | 
| 8/27 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「私の見解では、全ての会合が間違いなくライブだ」、(最大雇用と物価安定というFRBの2大責務に言及し)、「リスクは一段と均衡してきている」、(金利水準は)「やや景気抑制的だ」、「利下げを実施しても、依然としていくぶんか景気抑制的な状態を維持できるだろう。ただし、経済で実際に何が起きているのかを見極める必要がある」 | -------- | 
| 8/26 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「経済が緩やかな動きとなれば、金利調整は小幅にとどまるだろう。実際に経済が緩やかな動きになるかは分からない。それはその時に確認しなければならない。従ってこれは私の予測だが、予測は変わり得る」 | -------- | 
| 8/21 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「労働市場の動向は気掛かりな要因となり得る」、「現時点でも基本的には同じ考えだ」、「ただ、足元の環境においては、あらゆる見通しや予測に幅広い不確実性が伴う」、「特定の見通しに固執しているわけではない」 | ドルが買われ、債券と株は下落。 | 
| 8/21 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「米国のインフレは高過ぎる上、過去1年を通じて上昇基調にある」、「もし政策会合が明日開催されるとして、現時点の情報に基づけば、利下げの論拠は見当たらない」 | ドルが買われ、債券と株は下落。 | 
| 8/21 | ブラード氏・前セントルイス連銀総裁 | 「金利は現時点でやや高過ぎる。2026年に向けて100bp程度の引き下げが可能だと考える。それは9月の会合での利下げから始まり、恐らく年内に追加利下げがあるだろう」 | -------- | 
| 8/14 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「現時点での戦略的アプローチは『動いて、待つ』というものになるだろう」、「われわれの行動後、経済がどう動くか分かるまでに時間がかかるかもしれない。その間に、次にどのような行動を取るべきか鮮明になるだろう」、「労働市場が堅調を維持すれば、年内は1度の利下げが適切になるという見方はなお変わらない」、「いつ行動を起こすかについては予断を持っていない。特定の時期に固執していない」 | -------- | 
| 8/14 | ムサレム・セントルイス連銀総裁 | (9月の会合で)「私自身としてどういった政策を支持できるかを正確に述べるのは時期尚早だ」、(9月会合で0.5ポイントの利下げが正当化され得るかとの質問に)、「経済の現状や見通しを踏まえれば支持されない」、「データは、より持続的なインフレの可能性があるかどうかを示し始めている。労働市場には下振れリスクがある」、「私は両方の要素を意識している」、「われわれの2つの責務の間に緊張が見られる場合は、バランスの取れたアプローチで臨む必要がある」 | -------- | 
| 8/14 | デーリー・SF連銀総裁 | 「0.5ポイントというのは、われわれが緊急性を認識しているように聞こえる。労働市場について私が感じているものとは違う緊急シグナルを発することになると懸念する」、「そうは見ていないし、遅れを取り戻す必要も感じない」 | -------- | 
| 8/13 | ベッセント・財務長官 | 「9月の0.5ポイント利上げを皮切りに、そこから一連の利下げを実施できるだろうと考えている。どのモデルを見ても、金利は恐らく150、175ベーシスポイント低い水準にあるできだろう」、「トランプ大統領も望んでいる」、「日本はインフレ問題を抱えており、確実に日本からの波及がある」、(日銀の植田総裁と話したこと明らかにしたうえで)、「これは総裁の見解ではなく、私見だが、日銀は後手に回っており、利上げするだろう」 | 株と債券が買われ、金利が低下したことでドル円は147円08銭まで下落。 | 
| 8/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米経済の先行きに対する不透明感は薄れつつあるものの、FRBがインフレ抑制と雇用の下支えのどちらに重点を置くべきかは、依然として明確ではない」 | -------- | 
| 8/12 | シュミッド・カンザスシティ連銀総裁 | 「経済が勢いをなお維持し、企業の楽観的な見方が強まり、インフレが当局の目標を上回る水準にとどまる中では、緩やかな引き締め状態にある金融政策スタンスを当面維持するのが適切だ」 | -------- | 
| 8/7 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「年内に1回の利下げが実施される可能性が高いとの見通しは変わらない」、「関税の影響が一時的なものなのか、あるいはもっと持続的なものなのかという点が、現時点では恐らく最も重要な問題だ」、「この日発動された関税の影響が、一時的な物価上昇にとどまるという教科書的な関税の例に当てはまるには、いくらか会懐疑的な理由がある」、「これは一度きりで、ある朝目が覚めたら全ての関税が明らかになっているという話ではない。むしろ、関税が頻繁に変化することで、消費者の意識の中に関税や物価上昇見通しが浮かぶ期間が長くなり、インフレ期待が高まるリスクがある」 | -------- | 
| 8/6 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「景気は減速している。短期的にFF金利の調整を開始することが適切になる可能性がある」、「関税の影響が明確になるまで、どれくらい待てるのか、それが現在、私を悩ませている。最良の選択肢が、多少の調整を行い、その後に一時停止や方向転換を迫られる展開であっても、関税の影響が明確になるまで何もしないで待つより望ましい可能性がある」 | -------- | 
| 8/6 | クック・FRB理事 | 「7月の雇用統計は懸念すべき内容だった。こうしたデータの修正は転換点でよく見られる傾向だ」 | -------- | 
| 8/4 | デーリー・SF連銀総裁 | (先週のFOMCの決定について)、「もう1会合見送る用意はあったが永遠に待つことはできない」、「インフレが加速・波及したり、雇用市場が持ち直したりすれば、2回未満の利下げでも十分かもしれないが、より可能性が高いのは、2回を超える利下げが必要になるかもしれないことだと考える。労働市場が弱い局面に入りつつある一方で、インフレへの波及が見られない場合、さらに措置を講じる準備も必要というのが私の見解だ」 | -------- | 
外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和
						邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
						・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
						・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
						・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
						・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書
					




 
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