「日銀ETF売却を決定」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 東京時間に急落する場面があったドル円は、NYでは堅調に推移。米金利が上昇し、株高も加わったことで148円27銭まで買われた。
- ユーロドルは1.17台前半から半ばで一進一退。
- 株式市場では3指数が揃って最高値を更新。米中首脳会談での関係改善期待が広がり株価を押し上げた。
- 債券は売られ長期金利は4.12%台に上昇。
- 金は反発し、原油は続落。
| ドル/円 | 147.80 〜 148.27 | 
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1729 〜 1.1767 | 
| ユーロ/円 | 173.65 〜 173.99 | 
| NYダウ | +172.85 → 46,315.27 | 
| GOLD | +27.50 → 3,705.80ドル | 
| WTI | −0.89 → 62.68 | 
| 米10年国債 | +0.023 → 4.127% | 
本日の注目イベント
- 日 自民党総裁選告示
- 欧 ユーロ圏9月消費者信頼感指数(速報値)
- 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、パネル討論会に参加
- 米 ムサレム・セントルイス連銀総裁講演
- 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
- 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
本日のコメント
日銀は先週金曜日の金融政策決定会合で、市場予想通り政策金利を0.5%程度に据え置くことを決めましたが、今回は2人の審議委員が反対しました。植田体制になってからは初の反対票でしたが、次回10月会合に影響を与える可能性があります。政策金利の据え置きが予想されていたことで、午後3時半の総裁会見までは「無風状態か」と思われましたが、ドル円は12時半ごろから急速に下げ足を速め、148円前後から147円20銭程度まで一気にドルが売られました。日銀が保有するETF(上場投資信託)を売却することを決めたことで、株価が急落しそれに伴って円高が進みました。日銀の決定は、年間で時価にして6200億円程度を売却していくというもので、市場に与える影響は限定的との見方からその後ドルが買い戻され、株価も持ち直しました。日銀が保有するETFは巨額で、簿価で37兆円、時価に直して70兆円にもなるそうです。かつて株価が大きく下落していた際にETFを連日買い、PKO(Price Keeping Operation)と批判されていたものでしたが、その後株価の大幅な上昇により、今や巨額の含み益を抱えています。日経平均が4万5000円を超えた今、売却を進めても影響がないと同時に、「異次元緩和の最終出口」に駒を進めたということです。
トランプ大統領と中国の習近平国家主席が電話会談を行いましたが、年内の首脳会談の実現には至らなかったようです。ただ、米下院の超党派議員団は21日、中国を公式訪問しています。米下院議員団による公式訪問は6年ぶりとなり、米中が通商合意に近づく中で、議員団は習近平国家主席との会談に臨む予定です。前下院軍事委員長のアダム・スミス議員(民主党)が率いる議員団はこの日、北京の人民大会堂で李強首相と会談しました。李首相は「今回の訪問は関係改善の突破口となり、両国関係をさらに深めるきっかけになるだろう」とした上で、「中国は米国と相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力関係を望んでいる」と述べました。スミス議員はこれに応じ、両国が世界で平和的に共存する方法を見つける必要があると発言し、「われわれの間には意見の相違があり、今後もそれは続くだろう。しかし、相違を克服し、平和的に対処する方法を見つけるためにはオープンな対話が不可欠だ」と語っていました。(ブルームバーグ)
一方、トランプ政権はインドに対する厳しい姿勢を変えてはいません。トランプ大統領は、専門技術者が米国で就労するために必要な「H−1Bビザ」の申請に、極めて高額の手数料を課す大統領令に署名しました。同ビザの申請に10万ドル(約1480万円)の手数料を課すもので、インドのハイテク企業による米国プロジェクトを脅かすリスクがあることから、インドのIT企業を狙い撃ちにしたとの見方もあります。ブルームバーグは、「米企業にも混乱が広がっている。マイクロソフトとアルファベット、アマゾンなどは影響を受ける社員に対し、20日に米国に戻り、今後の渡航計画を中止するよう通知した」と報じています。また「トランプ政権はこの変更を、悪用を排除して正当な申請を強化するための広範な計画の一部と位置付けているが、世界最大の人口を抱えるインドへの影響は必至だ」と論じていました。
重要なイベントであった、FOMCや日米金融政策会合を終えても、ドル円は鉄壁なレンジである145−150円をブレイクできないだけではなく、さらにインサイドの146−149円も突破できていません。結局、147円プラスマイナス1円程度の範囲内で一進一退の動きになっています。それでもこのまま年末まで現水準で推移することはありませんが、この先何を材料に動くのか市場参加者も困惑していることでしょう。過去の例では、意外にささいな材料でも動いたケースもありますので、気は抜けません。連日同じようなレートを見せられてはいますが、めげずに目の前の動きに対峙していることが肝要です。
本日のドル円は147円10銭〜148円60銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 | 
|---|---|---|---|
| 9/17 | FOMC声明文 | 「最近の複数の指標は経済活動の伸びが今年上期に緩やかになったことを示唆する。雇用の伸びは鈍化し、失業率はやや上昇したものの、低いままだ。インフレは上昇し、幾分高止まりしている」 | ドル円は146円台前半から急落し145円50銭まで売られたが、その後147円台まで反発。債券は売られ、株式市場はまちまちの動き。 | 
| 9/17 | パウエル議長 | 「労働市場に軟化の兆しが強まっている」、「労働需要は軟化し、最近の雇用創出ペースは失業率の安定維持に必要な水準を下回っているようだ。非常に堅調だとはもはや言えなくなった」、「インフレは上昇し、幾分高止まりしている」(失業率については)、「やや上昇したものの、低いままだ」、「雇用の下振れリスクは高まった」 | ドル円は146円台前半から急落し145円50銭まで売られたが、その後147円台まで反発。債券は売られ、株式市場はまちまちの動き。 | 
| 9/11 | ラガルド・ECB総裁 | 「基調的なインフレの指標は、ECBの中期的な目標である2%と一致する状態が続いている」、「最近の貿易協定によって不確実性は和らいだものの、貿易関係が再び悪化すれば、輸出が一段と冷え込み、投資や消費にも下押し圧力がかかる可能性がある」 | -------- | 
| 9/5 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「もっと情報を得たい。私はまだ決めていない。インフレの数値が穏やかであれば、それだけ労働市場に集中しやすくなる」、「しかし最新のインフレ統計ではサービス部門でインフレ上振れが見られた。従ってそれが一時的なものであり、もっと深刻な兆候ではないことを確認したい」 | -------- | 
| 9/3 | ムサレム・セントルイス連銀総裁 | 「完全雇用の労働市場とコアインフレがFRBの目指す2%を1ポイント近く上回っている環境と、やや引き締め的な現行の政策金利は整合する」、「現時点では政策においてバランスの取れたアプローチを取ることが重要であり、労働市場の支援やインフレ抑制のいずれかに偏り過ぎるべきではない。先行きを見通すと、労働市場は徐々に冷え込みながらも完全雇用に近い状態を維持するだろうが、リスクは下方向に傾いている」 | -------- | 
| 9/3 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「物価安定が依然として最大の関心事項ではあるものの、労働市場は十分減速しており、年内残りの期間において恐らく25ベーシスポイントの政策緩和が妥当になると考えられる」、「今後数カ月のインフレ動向や雇用市場の展開によっては、この認識は変わり得る」 | -------- | 
| 9/3 | ウォラー・FRB理事 | 「次回会合で利下げを始める必要がある。その後は決まった道筋を踏まなくてもいい。人々は関税によるインフレをまだ懸念しており、状況を見極めながら進めることができる」、「米国の政策金利は現在、景気を刺激も抑制もしない中立金利を上回っており、金融政策が経済を抑制している」、「中立に近づきたいことは認識している。どれくらい利下げすべきかもおおよそ分かっていて、例えば100から150ベーシスポイントだ。ただ、その水準にどれだけの速さで到達するかは、入ってくるデータ次第になるだろう」 | -------- | 
| 8/27 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「私の見解では、全ての会合が間違いなくライブだ」、(最大雇用と物価安定というFRBの2大責務に言及し)、「リスクは一段と均衡してきている」、(金利水準は)「やや景気抑制的だ」、「利下げを実施しても、依然としていくぶんか景気抑制的な状態を維持できるだろう。ただし、経済で実際に何が起きているのかを見極める必要がある」 | -------- | 
| 8/26 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「経済が緩やかな動きとなれば、金利調整は小幅にとどまるだろう。実際に経済が緩やかな動きになるかは分からない。それはその時に確認しなければならない。従ってこれは私の予測だが、予測は変わり得る」 | -------- | 
| 8/21 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「労働市場の動向は気掛かりな要因となり得る」、「現時点でも基本的には同じ考えだ」、「ただ、足元の環境においては、あらゆる見通しや予測に幅広い不確実性が伴う」、「特定の見通しに固執しているわけではない」 | ドルが買われ、債券と株は下落。 | 
| 8/21 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「米国のインフレは高過ぎる上、過去1年を通じて上昇基調にある」、「もし政策会合が明日開催されるとして、現時点の情報に基づけば、利下げの論拠は見当たらない」 | ドルが買われ、債券と株は下落。 | 
| 8/21 | ブラード氏・前セントルイス連銀総裁 | 「金利は現時点でやや高過ぎる。2026年に向けて100bp程度の引き下げが可能だと考える。それは9月の会合での利下げから始まり、恐らく年内に追加利下げがあるだろう」 | -------- | 
| 8/14 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | 「現時点での戦略的アプローチは『動いて、待つ』というものになるだろう」、「われわれの行動後、経済がどう動くか分かるまでに時間がかかるかもしれない。その間に、次にどのような行動を取るべきか鮮明になるだろう」、「労働市場が堅調を維持すれば、年内は1度の利下げが適切になるという見方はなお変わらない」、「いつ行動を起こすかについては予断を持っていない。特定の時期に固執していない」 | -------- | 
| 8/14 | ムサレム・セントルイス連銀総裁 | (9月の会合で)「私自身としてどういった政策を支持できるかを正確に述べるのは時期尚早だ」、(9月会合で0.5ポイントの利下げが正当化され得るかとの質問に)、「経済の現状や見通しを踏まえれば支持されない」、「データは、より持続的なインフレの可能性があるかどうかを示し始めている。労働市場には下振れリスクがある」、「私は両方の要素を意識している」、「われわれの2つの責務の間に緊張が見られる場合は、バランスの取れたアプローチで臨む必要がある」 | -------- | 
| 8/14 | デーリー・SF連銀総裁 | 「0.5ポイントというのは、われわれが緊急性を認識しているように聞こえる。労働市場について私が感じているものとは違う緊急シグナルを発することになると懸念する」、「そうは見ていないし、遅れを取り戻す必要も感じない」 | -------- | 
| 8/13 | ベッセント・財務長官 | 「9月の0.5ポイント利上げを皮切りに、そこから一連の利下げを実施できるだろうと考えている。どのモデルを見ても、金利は恐らく150、175ベーシスポイント低い水準にあるできだろう」、「トランプ大統領も望んでいる」、「日本はインフレ問題を抱えており、確実に日本からの波及がある」、(日銀の植田総裁と話したこと明らかにしたうえで)、「これは総裁の見解ではなく、私見だが、日銀は後手に回っており、利上げするだろう」 | 株と債券が買われ、金利が低下したことでドル円は147円08銭まで下落。 | 
| 8/12 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米経済の先行きに対する不透明感は薄れつつあるものの、FRBがインフレ抑制と雇用の下支えのどちらに重点を置くべきかは、依然として明確ではない」 | -------- | 
| 8/12 | シュミッド・カンザスシティ連銀総裁 | 「経済が勢いをなお維持し、企業の楽観的な見方が強まり、インフレが当局の目標を上回る水準にとどまる中では、緩やかな引き締め状態にある金融政策スタンスを当面維持するのが適切だ」 | -------- | 
| 8/7 | ポスティック・アトランタ連銀総裁 | 「年内に1回の利下げが実施される可能性が高いとの見通しは変わらない」、「関税の影響が一時的なものなのか、あるいはもっと持続的なものなのかという点が、現時点では恐らく最も重要な問題だ」、「この日発動された関税の影響が、一時的な物価上昇にとどまるという教科書的な関税の例に当てはまるには、いくらか会懐疑的な理由がある」、「これは一度きりで、ある朝目が覚めたら全ての関税が明らかになっているという話ではない。むしろ、関税が頻繁に変化することで、消費者の意識の中に関税や物価上昇見通しが浮かぶ期間が長くなり、インフレ期待が高まるリスクがある」 | -------- | 
| 8/6 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「景気は減速している。短期的にFF金利の調整を開始することが適切になる可能性がある」、「関税の影響が明確になるまで、どれくらい待てるのか、それが現在、私を悩ませている。最良の選択肢が、多少の調整を行い、その後に一時停止や方向転換を迫られる展開であっても、関税の影響が明確になるまで何もしないで待つより望ましい可能性がある」 | -------- | 
| 8/6 | クック・FRB理事 | 「7月の雇用統計は懸念すべき内容だった。こうしたデータの修正は転換点でよく見られる傾向だ」 | -------- | 
| 8/4 | デーリー・SF連銀総裁 | (先週のFOMCの決定について)、「もう1会合見送る用意はあったが永遠に待つことはできない」、「インフレが加速・波及したり、雇用市場が持ち直したりすれば、2回未満の利下げでも十分かもしれないが、より可能性が高いのは、2回を超える利下げが必要になるかもしれないことだと考える。労働市場が弱い局面に入りつつある一方で、インフレへの波及が見られない場合、さらに措置を講じる準備も必要というのが私の見解だ」 | -------- | 
外為オンラインのシニアアナリスト 
佐藤正和
						邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
						・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
						・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
						・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
						・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書
					




 
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