今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ユーロドル3ヵ月ぶりの安値」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は153円台後半から154円台半ばで小動き。米金利が上昇したこともあり、ドルは堅調に推移。
  • ユーロドルは緩やかに下落。1.1505まで売られ、およそ3ヵ月ぶりの安値を付ける。
  • 株式市場はまちまちの展開。大型IT株が買われナスダックは109ポイント上昇したが、ダウは軟調。
  • 債券は売られ、長期金利は4.1%台に上昇。
  • 金は反発。原油は4日続伸。
*****************************
10月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 52.5
10月ISM製造業景況指数 → 48.7
10月自動車販売台数 → 1532万台
*****************************
ドル/円 153.93 〜 154.30
ユーロ/ドル 1.1505 〜 1.1538
ユーロ/円 177.07 〜 177.78
NYダウ −226.19 → 47,336.68ドル
GOLD +17.50 → 4,014.00ドル
WTI +0.07 → 61.05ドル
米10年国債 +0.031 → 4.100%

本日の注目イベント

  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 欧 ラガルド・ECB総裁講演
  • 米 9月貿易収支
  • 米 9月雇用動態調査(JOLTS)求人件数
  • 米 9月製造業受注
  • 米 NY市長選
  • 米 決算発表 → ウーバー、AMD、ファイザー

本日のコメント

日本の連休中もドル円は堅調に推移していました。ただ市場は、154円台半ばをやや意識し始めたようにも感じます。ここ三日間ドルは堅調に推移しましたが、いずれも154円20−50銭の間で上昇が抑えられています。片山財務相が31日、円安が進行していることに関して、「足元でかなり一方的、急激な動きがみられている」と述べ、市場の動きをけん制する発言を行っていました。片山氏は、「投機的な動向も含めて、為替市場における過度な変動や無秩序な動きについて高い緊張感を持って見極めている」と述べていました。片山氏が財務大臣に就任してからは初めてとなる「口先介入」と受け止めていますが、市場は警戒感を持ちながらも株高、金利高を手がかりにドル買いを進めている状況です。155円台を超える水準では、さらに本確的な「口先介入」が出て来ることも予想されます。

10月のISM製造業総合景況指数は「48.7」と、今年2月以降8ヵ月連続で製造業の拡大と縮小の境目である「50」を下回っていました。ISM製造業調査委員会のスーザン・スペンス委員長は記者団との電話会見で、「製造業者の間ではトランプ政権の通商政策を巡る全体的な不透明感への懸念が根強い」と語り、「次にどの国が対象になるのか、どのコモディティーが規制の対象になるのか分からないというのが、全体としての雰囲気だ」と話していました。労働市場を中心に景気減速を示す指標も出ている一方、インフレ懸念も払拭できていません。昨日は多くのFOMCメンバーの発言がありましたが、依然として見方は分かれていました。

メンバーの中で最も積極緩和派と見られるミラン理事はブルームバーグ・テレビジョンの番組で、「FRBは過度に景気抑制的であり、中立水準が現行政策よりかなり低いところにある。FOMCの一部メンバーに比べてインフレに関し楽観的である自身の見通しを踏まえると、金融政策を景気抑制的に維持する理由を見いだせない」と述べ、「しばらく隠れていた信用問題が突如として表面化した。一見すると相関関係のないような問題が続けて起きている。これは金融政策スタンスについて何かを示唆している」と話しています。また、クック理事も講演で「今後の政策はあらかじめ決められた道筋をたどるわけではない。われわれは現在、2つの使命の双方でリスクが高まっている局面にある」としながらも、「雇用に対する下振れリスクの方が、インフレの上振れリスクよりも大きいと考えている」と語っていました。一方、シカゴ連銀のグールズビー総裁はヤフー・ファイナンスとのインタビューで、「私はインフレの方を心配している。4年半にわたって目標を上回って推移しており、好ましくない方向に進んでいる。12月会合でどうするかは、まだ決めていない。インフレ鈍化に合わせて金利を引き下げていくのが、恐らく最も慎重な対応だろう」と述べており、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は講演で、「今後入ってくる情報を慎重に見極め、予断を持たずに判断する。リスクのバランスを取りながら、経済がソフトランディングを実現できるようにすることを意味する」と、両懸念材料に対してはニュートラルなスタンスを示していました。

米政府機関閉鎖が2カ月目に入るなか、ダフィー運輸長官は、航空の安全が脅かされると判断した場合には米国の空域を閉鎖する用意があると表明しました。長官は3日、CNBCのインタビューで「安全でないと判断すれば、空域全体を閉鎖する」と発言。現時点ではその段階には至っていないものの、政府機関閉鎖が航空システム全体のリスクを高めていると指摘しています。ブルームバーグは、「10月1日に始まった政府機関閉鎖で航空管制官の不足が深刻化しており、連邦航空局(FAA)は先週、多くの空港で運航ペースを落とさざるを得なかった。今回の政府閉鎖では、1万3000人超の航空管制官と約5万人の米運輸保安局(TSA)職員が無給で勤務を続けている。給与の支払いが滞る中、保育費や通勤費など日々の生活に必要な費用の確保に多くの職員が苦慮しており、出勤を控える職員も出ている」と伝えています。

本日も154円台半ばを超えることができるのかどうかを注視しています。株価次第というところですが、本日のドル円は153円30銭〜155円程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/4 デーリー・SF連銀総裁 「今後入ってくる情報を慎重に見極め、予断を持たずに判断する。リスクのバランスを取りながら、経済がソフトランディングを実現できるようにすることを意味する」 --------
11/4 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「私はインフレの方を心配している。4年半にわたって目標を上回って推移しており、好ましくない方向に進んでいる12月会合でどうするかは、まだ決めていない。インフレ鈍化に合わせて金利を引き下げていくのが、恐らく最も慎重な対応だろう」 --------
11/4 クック・FRB理事 「今後の政策はあらかじめ決められた道筋をたどるわけではない。われわれは現在、2つの使命の双方でリスクが高まっている局面にある」、「雇用に対する下振れリスクの方が、インフレの上振れリスクよりも大きいと考えている」 --------
11/4 ミラン・FRB理事 「FRBは過度に景気抑制的であり、中立水準が現行政策よりかなり低いところにある。FOMCの一部メンバーに比べてインフレに関し楽観的である自身の見通しを踏まえると、金融政策を景気抑制的に維持する理由を見いだせない」、「しばらく隠れていた信用問題が突如として表面化した。一見すると相関関係のないような問題が続けて起きている。これは金融政策スタンスについて何かを示唆している」 --------
10/31 植田・日銀総裁 「物価目標が実現する確度が少しずつ高まってきている」、「実質金利の低下に伴う金融緩和度合いが強まっている可能性があり、日本経済への影響を改めて精査する」、「米関税政策やその影響を巡る不確実性を非常に重視してきた」、「日本企業の収益に下押し圧力がかかる下でも、積極的な賃金設定行動が途切れないかどうかを、もう少し確認したい」 (6会合連続で政策金利を据え置いたことも踏まえ)ドル円は152円台前半から153台に。NYでは154円45銭までドル高が進行。
10/30 パウエル・FRB議長 「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」、「FOMCの一部では、いったん立ち止まり労働市場に本当に下振れリスクがあるのか、また現在目にしている成長加速が本物なのかを見極める時期に来ているとの見方がある」、「霧の中を運転しているときはスピードを落とすものだ」 債券が売られ、ドル円は153円台まで上昇。
10/16 ミラン・FRB理事 「最近再燃した米中貿易摩擦が経済にとって一段の下振れリスクとなり、迅速な金融緩和が必要だ」、「金融政策が今のように景気抑制的な状態にある中で、今回のようなショックが経済を直撃すれば、その悪影響は大きくなる」、「10月28〜29日のFOMC会合では0.5ポイントの利下げを支持する」、「今年は0.25ポイントずつ、3回の利下げが行われる展開になるだろう」 --------
10/16 ウォラー・FRB理事 「間違いを犯したくはない。だからこそ、慎重に0.25ずつ利下げし、様子を見てから次の判断をするのが賢明だ」 --------
10/15 ミラン・FRB理事 「1週間前と比べて下方リスクが増している。政策当局者として、それを政策に反映させるべきだと認識する義務がある」、「米中間の貿易政策を巡る不確実性の強まりが、新たなテールリスクを生じさせている」、「1週間前や1カ月前よりも、一段と低い金利を望んでいるとは言わない。だが、リスクバランスが変化したことで、迅速に政策をより中立的な水準に近づけることの緊急性が一層高まったと考えられる」 --------
10/15 ベッセント・財務長官 (円相場について)「水準についてはコメントしない」、「日銀が適切に金融政策を運営し続ければ、円相場も適正な水準に落ち着くだろう」、(日本の利上げの是非を巡っては)「植田和男総裁がどのように判断するか私からはコメントしない」 --------
10/14 ラガルド・ECB総裁 「米国との通商合意により不確実性は大幅に後退し、経済成長に対するリスクはいっそう均衡、インフレに対するリスクもまずまず均衡している」、(金融緩和は終わったのかと問われると)、「そのようなことは決して言わない。中央銀行当局者の仕事に終わりはないと思っているからだ」 --------
10/14 コリンズ・ボストン連銀総裁 「インフレリスクの抑制がやや一段と進む一方で、雇用への下振れリスクは強まっている。労働市場を支えるためには、年内に政策の正常化をさらに少し進めるのが賢明だと思われる」、「いくらか追加緩和を行っても、金融政策はやや引き締め的な状況が維持される。これは関税の影響が経済全体に波及した後、インフレの鈍化再開を確実にする上で適切だ」 --------
10/14 パウエル・FRB議長 「米経済見通しは9月会合以降変わっていないと見受けられる」、「雇用の伸びが鈍化しており、今後さらに弱まる可能性がある」、「求人が一段と減少すれば失業率上昇につながる可能性が高い。求人数が減少してもこれまでは問題なかったが、失業率が上昇に転じる地点に近づいている」 --------
10/13 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「関税に起因する価格上昇が、持続的なインフレにつながるような状況は見られないというのが私の見解だ。特に労働市場において、そういった兆候はない」、「経済が私の想定どおりに推移すれば、今年と来年の金融政策調整によって、労働市場を完全雇用に近い状況に十分維持することができるだろう」 --------
10/9 高市・自民党総裁 「行き過ぎた円安ということを誘発するつもりはございません」、「一般論として円安にはいい面も悪い面もある」、「輸出企業にとっては競争力が生まれる側面がある」、(150円を超えるドル円相場は許容範囲かとの質問に対して)、「発言すべき事柄ではない」、「金融政策の手段は日銀が決める」、「私の立場で利上げそのものについて発言すべきでないということは分かっている」 ドル円は153円台前半から1円ほど円高に振れる。
10/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「労働市場のさらなる減速リスクには特に注意を払っている」、(インフレ率が約3%に上昇し、失業率が現在の4.3%を上回る水準にわずかに上昇するなど、経済が予想通りに推移する場合は)「今年中の利下げを支持するが、その具体的な意味合いは、今後見極める必要がある」 --------
10/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「大幅利下げを行えば、経済が一時的に高インフレに見舞われることになるだろう」、「基本的に、経済の潜在成長力や供給能力を超えるペースで景気を押し上げようとすれば、最終的には経済全体で物価が上昇することになる」 --------
10/7 ミラン・FRB理事 「人口増加ペースの減速に加え、トランプ大統領の関税政策によるインレへの影響は限定的だ」、「FRBが利下げを継続することは可能だ」 --------
10/6 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「インフレ率がなお高過ぎる状況では、金融政策は需要の伸びを抑制すべきだ。供給拡大の余地を確保し、経済全体の物価圧力を和らげるためだ」、「政策金利はやや景気抑制的な水準にある。現状は適切だ」 --------
10/2 ローガン・ダラス連銀総裁 「インフレ率は現在の目標である2%を上回って推移している」、「向こう数カ月に関税がインフレをさらに押し上げると予想する」、「従って、2%に確実に到達するため、政策経路の正常化をやや減速させることになるというのが私の予想だ。時間はしばらくかかるだろう」 --------
10/2 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「労働市場にある程度の安定が見られると思うし、基調としての経済もかなり堅調に成長を続けていると考えている」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和