今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「NY、リスク回避の流れ強まる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 東京時間に154円台半ばまで買われたドル円は下落。米金利が低下し、リスク回避の流れから円が買われ、153円32銭まで下落。
  • ユーロドルは、独仏の株式が売られたことで下げ足を速め、1.1474までユーロ安ドル高が進む。
  • 株式市場では高値警戒感が徐々に出始め、大型IT株を中心に3指数が揃って大幅安。ナスダックは486ポイントの大幅下落。
  • 安全資産の債券は買われ、長期金利は4.08%台に低下。
  • 金と原油は揃って反落。
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9月貿易収支 → Delayed by Government Shutdown
9月雇用動態調査(JOLTS) → Delayed by Government Shutdown
9月製造業受注 → Delayed by Government Shutdown
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ドル/円 153.32 〜 153.69
ユーロ/ドル 1.1474 〜 1.1496
ユーロ/円 176.07 〜 176.42
NYダウ −251.44 → 47,085.24ドル
GOLD −53.50 → 3,960.50ドル
WTI −0.49 → 60.56ドル
米10年国債 −0.025 → 4.085%

本日の注目イベント

  • 日 日銀金融政策決定会合議事録(9月18−19日分)
  • 中 10月RatingDogサービス業PMI
  • 独 独9月製造業新規受注
  • 独 独10月サービス業PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏9月卸売物価指数
  • 欧 ユーロ圏10月総合PMI(改定値)
  • 欧 ユーロ圏10月サービス業PMI(改定値)
  • 米 10月ADP雇用者数
  • 米 10月ISM非製造業景況指数
  • 米 10月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
  • 米 10月S&Pグローバル総合PMI(改定値)

本日のコメント

「やはり・・・・。」と言うべきか。ドル円は昨日の東京時間でも上昇し、154円48銭近辺まで買われましたが、154円半ばを前に「ピタリ」と止まり、その後はご承知のように153円台に下落しました。海外市場では153円32銭までドルが売られています。昨日も指摘したように、ドル円では155円を試す前に、154円台半ばが徐々に「壁」になりつつあります。昨日のNYでは好調な株式も大きく売られ、安全資産の債券が買われ、金も大きく売られました。金はここ2週間ほどで、高値から約400ドル(9.8%)程下げています。この下げが何を示唆するのか、金融市場全体に目配りする必要がありそうです。好調な株価の上昇が円売りを促して来た部分も大きく、今後の株価の推移はドル円を見る上では重要です。

昨日の衆院本会議で高市首相は、立憲民主党の野田代表の質問に答え、物価の現状について「賃金上昇を伴った持続的、安定的な物価上昇の実現は道半ば」との見解を示しました。日銀に対し、2%の物価安定目標の実現に向け、「引き続き適切な金融政策運営が行われていくことを期待している」とも述べ、「政府としては責任ある積極財政の考え方の下、日本の供給構造を強化しながら、物価高をさらに加速させることがないよう、戦略的に財政出動を行っていく」との方針を示しています。さらに野田氏は、利上げをけん制していた首相就任前の高市氏の発言を取り上げ、「今の状況で全く金利の引き上げを許さないということになれば円安が進行し、インフレを助長する可能性がある」と見解をただしましたが、これに対しては「物価高に対する経済対策を月内に取りまとめる」と答えるに留めていました。因みに、先週日銀が利上げを見送る決定を行ったことに対して、片山財務相はテレビ番組で「極めてリーズナブルな決定」と発言していました。ただ、金融緩和が基本的に続くということが市場に織り込まれており、それが円安の一因になっているのではという質問に対しては、「それが良いか悪いか、一刀両断の判断はできない」と答えていました。これらの発言に対して市場の一部には、「片山財務相は、円安を認めるのではないか」といった「憶測」も出ているようです。

米政府機関の閉鎖が4日で過去最長記録に並びました。「この日はニューヨーク市長選をはじめ注目の選挙が実施されており、選挙をひとたび通過すれば障害が取り除かれ、対立解消に向かう可能性もある」(ブルームバーグ)との見方もようやく出て来ました。4日に投開票されるのはニューヨーク市長選のほか、ニュージャージー州とバージニア州の知事選などが含まれ、これが終われば、共和・民主両党は来年の「中間選挙」に向けた態勢づくりを一気に本格化させるとの観測です。複数の共和党関係者は、民主党が政府閉鎖を巡って強硬姿勢を維持していることについて、選挙を控え進歩派の支持層から反発を招くことを恐れているためだと指摘しています。一方、民主党が今回の選挙で大きな勝利を収めれば、トランプ政権下で影響力を発揮する機会が限られる同党にとって、自らの主張を強めることもあり得るとのこと。ただ民主党は、政府閉鎖を終結させる条件として、医療保険制度改革法(オバマケア)の補助金延長を引き続き要求しています。補助金が打ち切られれば、多くの人々が来年1月1日以降に保険料の大幅上昇に直面する見通しで、その対象者は約2200万人にのぼるとも言われています。共和党のスーン上院院内総務は、「政府閉鎖が週内にも終わると、楽観している」と述べていました。一方民主党のシューマー上院院内総務は、「民主党は当初から一貫して明確な立場を示してきた」とした上で、「国民の医療費負担を軽減し、政府を再開させ、医療保険制度改革法の補助金を延長する必要がある」と語っています。

さすがに今日の日本株は大幅な下落が見込まれます。「それでも買いそびれた資金が潤沢にあり、下落は限定的だ」と株式関係者は今朝話していました。ドル円は153円台が維持できるかどうかが焦点になります。チャートでは、ドル高トレンドは一切崩れていません。民間の雇用統計である「ADP雇用者」には注目です。

本日のドル円は152円70銭〜154円30銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/4 デーリー・SF連銀総裁 「今後入ってくる情報を慎重に見極め、予断を持たずに判断する。リスクのバランスを取りながら、経済がソフトランディングを実現できるようにすることを意味する」 --------
11/4 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「私はインフレの方を心配している。4年半にわたって目標を上回って推移しており、好ましくない方向に進んでいる12月会合でどうするかは、まだ決めていない。インフレ鈍化に合わせて金利を引き下げていくのが、恐らく最も慎重な対応だろう」 --------
11/4 クック・FRB理事 「今後の政策はあらかじめ決められた道筋をたどるわけではない。われわれは現在、2つの使命の双方でリスクが高まっている局面にある」、「雇用に対する下振れリスクの方が、インフレの上振れリスクよりも大きいと考えている」 --------
11/4 ミラン・FRB理事 「FRBは過度に景気抑制的であり、中立水準が現行政策よりかなり低いところにある。FOMCの一部メンバーに比べてインフレに関し楽観的である自身の見通しを踏まえると、金融政策を景気抑制的に維持する理由を見いだせない」、「しばらく隠れていた信用問題が突如として表面化した。一見すると相関関係のないような問題が続けて起きている。これは金融政策スタンスについて何かを示唆している」 --------
10/31 植田・日銀総裁 「物価目標が実現する確度が少しずつ高まってきている」、「実質金利の低下に伴う金融緩和度合いが強まっている可能性があり、日本経済への影響を改めて精査する」、「米関税政策やその影響を巡る不確実性を非常に重視してきた」、「日本企業の収益に下押し圧力がかかる下でも、積極的な賃金設定行動が途切れないかどうかを、もう少し確認したい」 (6会合連続で政策金利を据え置いたことも踏まえ)ドル円は152円台前半から153台に。NYでは154円45銭までドル高が進行。
10/30 パウエル・FRB議長 「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」、「FOMCの一部では、いったん立ち止まり労働市場に本当に下振れリスクがあるのか、また現在目にしている成長加速が本物なのかを見極める時期に来ているとの見方がある」、「霧の中を運転しているときはスピードを落とすものだ」 債券が売られ、ドル円は153円台まで上昇。
10/16 ミラン・FRB理事 「最近再燃した米中貿易摩擦が経済にとって一段の下振れリスクとなり、迅速な金融緩和が必要だ」、「金融政策が今のように景気抑制的な状態にある中で、今回のようなショックが経済を直撃すれば、その悪影響は大きくなる」、「10月28〜29日のFOMC会合では0.5ポイントの利下げを支持する」、「今年は0.25ポイントずつ、3回の利下げが行われる展開になるだろう」 --------
10/16 ウォラー・FRB理事 「間違いを犯したくはない。だからこそ、慎重に0.25ずつ利下げし、様子を見てから次の判断をするのが賢明だ」 --------
10/15 ミラン・FRB理事 「1週間前と比べて下方リスクが増している。政策当局者として、それを政策に反映させるべきだと認識する義務がある」、「米中間の貿易政策を巡る不確実性の強まりが、新たなテールリスクを生じさせている」、「1週間前や1カ月前よりも、一段と低い金利を望んでいるとは言わない。だが、リスクバランスが変化したことで、迅速に政策をより中立的な水準に近づけることの緊急性が一層高まったと考えられる」 --------
10/15 ベッセント・財務長官 (円相場について)「水準についてはコメントしない」、「日銀が適切に金融政策を運営し続ければ、円相場も適正な水準に落ち着くだろう」、(日本の利上げの是非を巡っては)「植田和男総裁がどのように判断するか私からはコメントしない」 --------
10/14 ラガルド・ECB総裁 「米国との通商合意により不確実性は大幅に後退し、経済成長に対するリスクはいっそう均衡、インフレに対するリスクもまずまず均衡している」、(金融緩和は終わったのかと問われると)、「そのようなことは決して言わない。中央銀行当局者の仕事に終わりはないと思っているからだ」 --------
10/14 コリンズ・ボストン連銀総裁 「インフレリスクの抑制がやや一段と進む一方で、雇用への下振れリスクは強まっている。労働市場を支えるためには、年内に政策の正常化をさらに少し進めるのが賢明だと思われる」、「いくらか追加緩和を行っても、金融政策はやや引き締め的な状況が維持される。これは関税の影響が経済全体に波及した後、インフレの鈍化再開を確実にする上で適切だ」 --------
10/14 パウエル・FRB議長 「米経済見通しは9月会合以降変わっていないと見受けられる」、「雇用の伸びが鈍化しており、今後さらに弱まる可能性がある」、「求人が一段と減少すれば失業率上昇につながる可能性が高い。求人数が減少してもこれまでは問題なかったが、失業率が上昇に転じる地点に近づいている」 --------
10/13 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「関税に起因する価格上昇が、持続的なインフレにつながるような状況は見られないというのが私の見解だ。特に労働市場において、そういった兆候はない」、「経済が私の想定どおりに推移すれば、今年と来年の金融政策調整によって、労働市場を完全雇用に近い状況に十分維持することができるだろう」 --------
10/9 高市・自民党総裁 「行き過ぎた円安ということを誘発するつもりはございません」、「一般論として円安にはいい面も悪い面もある」、「輸出企業にとっては競争力が生まれる側面がある」、(150円を超えるドル円相場は許容範囲かとの質問に対して)、「発言すべき事柄ではない」、「金融政策の手段は日銀が決める」、「私の立場で利上げそのものについて発言すべきでないということは分かっている」 ドル円は153円台前半から1円ほど円高に振れる。
10/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「労働市場のさらなる減速リスクには特に注意を払っている」、(インフレ率が約3%に上昇し、失業率が現在の4.3%を上回る水準にわずかに上昇するなど、経済が予想通りに推移する場合は)「今年中の利下げを支持するが、その具体的な意味合いは、今後見極める必要がある」 --------
10/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「大幅利下げを行えば、経済が一時的に高インフレに見舞われることになるだろう」、「基本的に、経済の潜在成長力や供給能力を超えるペースで景気を押し上げようとすれば、最終的には経済全体で物価が上昇することになる」 --------
10/7 ミラン・FRB理事 「人口増加ペースの減速に加え、トランプ大統領の関税政策によるインレへの影響は限定的だ」、「FRBが利下げを継続することは可能だ」 --------
10/6 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「インフレ率がなお高過ぎる状況では、金融政策は需要の伸びを抑制すべきだ。供給拡大の余地を確保し、経済全体の物価圧力を和らげるためだ」、「政策金利はやや景気抑制的な水準にある。現状は適切だ」 --------
10/2 ローガン・ダラス連銀総裁 「インフレ率は現在の目標である2%を上回って推移している」、「向こう数カ月に関税がインフレをさらに押し上げると予想する」、「従って、2%に確実に到達するため、政策経路の正常化をやや減速させることになるというのが私の予想だ。時間はしばらくかかるだろう」 --------
10/2 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「労働市場にある程度の安定が見られると思うし、基調としての経済もかなり堅調に成長を続けていると考えている」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和