今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米政府機関一部閉鎖解除近い?」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は153円前後まで売られたが、午後には切り返し153円台半ばまで上昇。
  • ユーロドルは1.15台半ばから後半でもみ合う。
  • 株式市場はまちまちな展開。ダウは上昇したものの、ナスダックは売られる。
  • 債券は小幅に下落。長期金利は4.09%台に上昇。
  • 金と原油は反発。
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10月雇用統計 → Delayed by Government Shutdown
11月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 50.3
9月消費者信用残高 → 13.093b
10月NY連銀インフレ期待 → 4.7%
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ドル/円 153.01 〜 153.59
ユーロ/ドル 1.1556 〜 1.1591
ユーロ/円 176.87 〜 177.60
NYダウ +74.80 → 46,987.10ドル
GOLD +18.80 → 4,009.80ドル
WTI +0.52 → 59.75ドル
米10年国債 +0.014 → 4.097%

本日の注目イベント

  • 日 9月景気先行指数(CI)(速報値)
  • 日 9月景気一致指数(CI)(速報値)
  • 日 中川日銀審議委員講演(岡山市)
  • 英 英10月消費者物価指数

本日のコメント

先週6日(木)には152円台後半まで売られたドル円でしたが、その後は堅調に推移し、今朝は再び154円に迫る水準まで上昇してきました。米共和党トップのスーン院内総務が、事態打開に向けた前向きな発言を行ったことがドルを押し上げた模様です。ただ、仮に154円台を回復したとしても、154円台半ばでは何度も跳ね返されており、この水準が「壁」になりつつあります。市場は「高市トレード」にも慣れっこになっていることから、ここを抜け切るには、もう一段の支援材料が必要です。一方、下値の方では150円台を固める動きは終わった可能性もあると見ていますが、どうでしょう。

米共和党のスーン院内総務は9日、「事態打開に向けた合意が、まとまりつつある」と述べました。スーン氏は「民主党から10票の賛成が得られるかどうか注視している」と話し、「新たな歳出パッケージの法案文は、ごく近く公表される見通しで、その4−6時間後に採決が行われる見込みだ」と語っていました。もっとも、民主党がこの案に賛同するかは依然不透明です。民主党は政府機関再開への合意条件として、失効が迫る医療保険制度改革法(オバマケア)の補助金の1年間延長を求めています。米政府閉鎖が40日目に突入する中、空の便には大きな影響が出ているようです。ダフィ運輸長官は、「閉鎖が続けば感謝祭の大型連休中に空の便がほとんど動かなくなる恐れがある」と警告しています。「上院議員らは週末、今回の政府閉鎖の間で初めて首都ワシントンにとどまった。4日の選挙で勝利した民主党は要求をやや後退させ、政府機関再開と引き換えにオバマケアの補助金を1年間延長する案を提示した。共和党はこの案を即座に拒否したが、両党の間では前進に向けた非公式の協議が始まっている」と報じられています。

政府機関の一部閉鎖の影響で「10月の雇用統計」も発表されず、これで2カ月分の雇用統計が発表されていないことになりました。また、このままでは今週予定される重要なインフレ指標も発表が危うくなっています。インフレや雇用の動向を示す政府データがなければ、12月のFOMC会合で追加利下げが必要かに関する議論は長引くことになります。ブルームバーグは、「政府機関が数週間内に再開して統計作業が動き出し、全データが公表されるとしても、統計は事後調査や他の方法で集計される。労働市場については民間データがいくつかあるが、政府統計の代替となる物価指標はほとんどなく、範囲も限られる」と警告しています。10月に利下げを決めた後、パウエル議長は「12月の追加利下げが既定路線ではない」との立場を示していました。インフレ再加速を警戒する当局者にとって、政府統計の不在は金利を据え置くさらなる理由になる可能性が高い(ブルームバーグ)ようです。

高市早苗首相が7日の衆院予算委員会で、経済財政運営に関し、「基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化目標の達成状況を毎年度の予算編成などで確認する従来の方法を「取り下げる」と表明したことに関して、国民民主党の玉木代表は9日、「高市政権が成長重視でやろうとする方向は財政再建の観点からも間違っていない」と話し、今週にも経済政策として具体案を高市早苗首相に提言する可能性を示しました。玉木氏は「単年度で収支を合わせようとすると柔軟な運営ができず、供給力を強化するための積極的な財政出動は間違っていない」と言及しました。「精査する必要はあるが、出すべきところには出し、成長を促し財政を健全化していく姿を見せていくべきだ」と述べました。「PBの黒字化」というタガが外れることになりそうです。これは、国債の売り圧力にはなりそうですが、「責任ある積極財政」の財源が膨らむという点では、株式市場にとってはプラスに働きます。

本日のドル円は153円〜155円程度を予想します。 

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/6 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレ面で問題が生じていても、それを確認できるまでにはかなり時間がかかるだろう」、「だからこそ、私は一層の不安を感じている」 --------
11/6 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「高いインフレを引き続き懸念しており、政策はこれに対抗する方向で運営されるべきだ」、「われわれの責務は目標未達であり、その規模と長さ、リスクを比較すると、私にとってはインフレの方がより差し迫った懸念事項だ」とし、「インフレを適切なタイミングで2%に戻すには、政策金利に関してやや景気抑制的なスタンスを維持することが必要だ」 --------
11/4 デーリー・SF連銀総裁 「今後入ってくる情報を慎重に見極め、予断を持たずに判断する。リスクのバランスを取りながら、経済がソフトランディングを実現できるようにすることを意味する」 --------
11/4 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「私はインフレの方を心配している。4年半にわたって目標を上回って推移しており、好ましくない方向に進んでいる12月会合でどうするかは、まだ決めていない。インフレ鈍化に合わせて金利を引き下げていくのが、恐らく最も慎重な対応だろう」 --------
11/4 クック・FRB理事 「今後の政策はあらかじめ決められた道筋をたどるわけではない。われわれは現在、2つの使命の双方でリスクが高まっている局面にある」、「雇用に対する下振れリスクの方が、インフレの上振れリスクよりも大きいと考えている」 --------
11/4 ミラン・FRB理事 「FRBは過度に景気抑制的であり、中立水準が現行政策よりかなり低いところにある。FOMCの一部メンバーに比べてインフレに関し楽観的である自身の見通しを踏まえると、金融政策を景気抑制的に維持する理由を見いだせない」、「しばらく隠れていた信用問題が突如として表面化した。一見すると相関関係のないような問題が続けて起きている。これは金融政策スタンスについて何かを示唆している」 --------
10/31 植田・日銀総裁 「物価目標が実現する確度が少しずつ高まってきている」、「実質金利の低下に伴う金融緩和度合いが強まっている可能性があり、日本経済への影響を改めて精査する」、「米関税政策やその影響を巡る不確実性を非常に重視してきた」、「日本企業の収益に下押し圧力がかかる下でも、積極的な賃金設定行動が途切れないかどうかを、もう少し確認したい」 (6会合連続で政策金利を据え置いたことも踏まえ)ドル円は152円台前半から153台に。NYでは154円45銭までドル高が進行。
10/30 パウエル・FRB議長 「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」、「FOMCの一部では、いったん立ち止まり労働市場に本当に下振れリスクがあるのか、また現在目にしている成長加速が本物なのかを見極める時期に来ているとの見方がある」、「霧の中を運転しているときはスピードを落とすものだ」 債券が売られ、ドル円は153円台まで上昇。
10/16 ミラン・FRB理事 「最近再燃した米中貿易摩擦が経済にとって一段の下振れリスクとなり、迅速な金融緩和が必要だ」、「金融政策が今のように景気抑制的な状態にある中で、今回のようなショックが経済を直撃すれば、その悪影響は大きくなる」、「10月28〜29日のFOMC会合では0.5ポイントの利下げを支持する」、「今年は0.25ポイントずつ、3回の利下げが行われる展開になるだろう」 --------
10/16 ウォラー・FRB理事 「間違いを犯したくはない。だからこそ、慎重に0.25ずつ利下げし、様子を見てから次の判断をするのが賢明だ」 --------
10/15 ミラン・FRB理事 「1週間前と比べて下方リスクが増している。政策当局者として、それを政策に反映させるべきだと認識する義務がある」、「米中間の貿易政策を巡る不確実性の強まりが、新たなテールリスクを生じさせている」、「1週間前や1カ月前よりも、一段と低い金利を望んでいるとは言わない。だが、リスクバランスが変化したことで、迅速に政策をより中立的な水準に近づけることの緊急性が一層高まったと考えられる」 --------
10/15 ベッセント・財務長官 (円相場について)「水準についてはコメントしない」、「日銀が適切に金融政策を運営し続ければ、円相場も適正な水準に落ち着くだろう」、(日本の利上げの是非を巡っては)「植田和男総裁がどのように判断するか私からはコメントしない」 --------
10/14 ラガルド・ECB総裁 「米国との通商合意により不確実性は大幅に後退し、経済成長に対するリスクはいっそう均衡、インフレに対するリスクもまずまず均衡している」、(金融緩和は終わったのかと問われると)、「そのようなことは決して言わない。中央銀行当局者の仕事に終わりはないと思っているからだ」 --------
10/14 コリンズ・ボストン連銀総裁 「インフレリスクの抑制がやや一段と進む一方で、雇用への下振れリスクは強まっている。労働市場を支えるためには、年内に政策の正常化をさらに少し進めるのが賢明だと思われる」、「いくらか追加緩和を行っても、金融政策はやや引き締め的な状況が維持される。これは関税の影響が経済全体に波及した後、インフレの鈍化再開を確実にする上で適切だ」 --------
10/14 パウエル・FRB議長 「米経済見通しは9月会合以降変わっていないと見受けられる」、「雇用の伸びが鈍化しており、今後さらに弱まる可能性がある」、「求人が一段と減少すれば失業率上昇につながる可能性が高い。求人数が減少してもこれまでは問題なかったが、失業率が上昇に転じる地点に近づいている」 --------
10/13 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「関税に起因する価格上昇が、持続的なインフレにつながるような状況は見られないというのが私の見解だ。特に労働市場において、そういった兆候はない」、「経済が私の想定どおりに推移すれば、今年と来年の金融政策調整によって、労働市場を完全雇用に近い状況に十分維持することができるだろう」 --------
10/9 高市・自民党総裁 「行き過ぎた円安ということを誘発するつもりはございません」、「一般論として円安にはいい面も悪い面もある」、「輸出企業にとっては競争力が生まれる側面がある」、(150円を超えるドル円相場は許容範囲かとの質問に対して)、「発言すべき事柄ではない」、「金融政策の手段は日銀が決める」、「私の立場で利上げそのものについて発言すべきでないということは分かっている」 ドル円は153円台前半から1円ほど円高に振れる。
10/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「労働市場のさらなる減速リスクには特に注意を払っている」、(インフレ率が約3%に上昇し、失業率が現在の4.3%を上回る水準にわずかに上昇するなど、経済が予想通りに推移する場合は)「今年中の利下げを支持するが、その具体的な意味合いは、今後見極める必要がある」 --------
10/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「大幅利下げを行えば、経済が一時的に高インフレに見舞われることになるだろう」、「基本的に、経済の潜在成長力や供給能力を超えるペースで景気を押し上げようとすれば、最終的には経済全体で物価が上昇することになる」 --------
10/7 ミラン・FRB理事 「人口増加ペースの減速に加え、トランプ大統領の関税政策によるインレへの影響は限定的だ」、「FRBが利下げを継続することは可能だ」 --------
10/6 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「インフレ率がなお高過ぎる状況では、金融政策は需要の伸びを抑制すべきだ。供給拡大の余地を確保し、経済全体の物価圧力を和らげるためだ」、「政策金利はやや景気抑制的な水準にある。現状は適切だ」 --------
10/2 ローガン・ダラス連銀総裁 「インフレ率は現在の目標である2%を上回って推移している」、「向こう数カ月に関税がインフレをさらに押し上げると予想する」、「従って、2%に確実に到達するため、政策経路の正常化をやや減速させることになるというのが私の予想だ。時間はしばらくかかるだろう」 --------
10/2 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「労働市場にある程度の安定が見られると思うし、基調としての経済もかなり堅調に成長を続けていると考えている」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和