今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「米政府機関今週にも解除か?」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 米政府機関が向こう数日に再開される見通しがたったことでドル円は上昇。欧州市場では154円25銭まで買われたが、NYでは154円16銭が高値に。
  • ユーロドルは売られたものの、1.15台半ばで下げ止まる。
  • 株式市場では3指数が大幅高。先週まで売られていた大型ハイテク株が大きく上昇。ナスダックは522(2.27%)ポイント高に。
  • 債券は売られ、長期金利は4.11%台に上昇。
  • 金は100ドルを超える大幅高。原油も続伸。
ドル/円 153.89 〜 154.16
ユーロ/ドル 1.1541 〜 1.1577
ユーロ/円 177.73 〜 178.39
NYダウ +381.53 → 47,368.63ドル
GOLD +112.20 → 4,122.00ドル
WTI +0.38 → 60.13ドル
米10年国債 +0.021 → 4.118%

本日の注目イベント

  • 豪 豪11月ウエストパック消費者信頼感指数
  • 豪 豪10月NAB企業景況感指数
  • 日 9月国際収支・貿易収支
  • 日 10月景気ウオッチャー調査
  • 独 独11月ZEW景気期待指数
  • 英 英10月失業率
  • 英 英ILO失業率(7−9月)
  • 米 債券市場休場(ベテランズデー)

本日のコメント

米議会上院が、連邦政府機関の一部閉鎖を終わらせる手続きの評決を可決したことを受け、ホワイトハウスは10日、米政府機関閉鎖を終結させる超党派の合意を支持する立場を示しました。これにより、向こう数日に政府機関が再開される見通しが強まりました。この報道は昨日の東京時間に流れ、市場ではドル高・株高が見られましたが、動きは限定的でした。ただ、やはりおひざ元の米国ではリスクオンの流れが強まり、ドル円は154円16銭まで買われ、株式市場では3指数が大きく上昇。債券は売られ、金が大幅高を見せるなど、一定の効果はあったようです。今後は下院が法案を可決し次第、大統領が署名し、今週末辺りにも解除が決まりそうです。

今回の一連の動きに対してブルームバーグは、「米政府閉鎖解除に向けて議会が一歩前進したが、民主党は今回の攻防で最大の争点としてきた医療保険制度改革法(オバマケア)の補助金延長を勝ち取ることはできなかった」と、厳しく論じ、さらに「民主党は今後数週間以内にオバマケア補助金延長に関して別途採決するとの約束を共和党から取り付けたものの、採決で勝利を収めることができるかは極めて不透明な情勢だ。先週にはニューヨーク市長選やニュージャージー、バージニア州知事選といった地方選で相次ぐ勝利を収め、民主党内は祝賀ムードに包まれていたが、穏健派の動きは内部で亀裂を生む可能性が高い」と続けていました。この結果に対して民主党のウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)は「大きな誤りだ。国民は医療保険のために立ち上がって戦うことを求めており、それこそがわれわれがすべきことだ」と述べています。民主党は今後、補助金の採決を足がかりに、2026年の中間選挙に向けて最重要テーマの一つである医療保険政策を中心とした選挙戦を展開する構えだとしています。

米史上最長となった政府機関の閉鎖で、公式経済統計の発表が遅れているなか、民間の代替データの重要性が高まっているとのことです。米労働統計局(BLS)は10月に価格に関する実地調査を行えなかったため、本来なら今週13日に予定されていた10月の消費者物価指数(CPI)の発表は、見送られるリスクが極めて高くなっています。オンライン価格分析会社の「オープンブランド」がまとめたデータによると、米国の耐久消費財および個人用品の価格は、10月に伸び率が3カ月ぶりに鈍化したと報告されています。同社が算出する大型商品とパーソナルケア関連商品を含む価格指数は、10月に「0.22%」上昇し、9月の「0.48%」から上昇ペースが減速していました。同社はその原因を「インフレに疲れた消費者が一層価格に敏感になるなかで、販売業者が市場シェア維持を優先して値上げを抑制している現状だ。またここ数カ月の消費者物価に見られる関税の影響にはばらつきがあり、物価圧力の継続的な高まりにつながっていないことも示された」と説明しています。

政府は10日夕方、物価高などに対応するための経済対策を協議する「日本成長戦略会議」の初会合を開きました。経済対策を通じて所得の増加や消費マインドを改善させる好循環を作り、「増税なき税収増」を目指す方針です。首相官邸で開いた同会議には、民間の有識者も参加して意見交換を行いました。政府が示した資料では、経済対策について「税率を上げずとも税収を増加させることを目指す」と明記。民間投資を引き出すため、政府が複数年度の予算措置を宣言することや投資促進につながる税制措置の方向性を示すとしています。高市首相は会議の席上、「投資の予見可能性の向上につながる措置によって民間投資を後押ししていく必要がある」と強調していました。民間側の有識者は12人で、筒井団連会長や芳野連合会長をはじめ、新たに仏クレディ・アグリコル証券の会田氏や、元日銀審議委員であるPwCコンサルティングの片岡氏が出席しています。先に発足させた「経済財政諮問会議」では、リフレ派の民間人を多く登用したことに始まり、いよいよ高市政権は本格的に動き出し、国民が納得する具体的な成果を見せる段階に来たようです。

本日のドル円は153円〜155円程度を予想します。

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12日(水)、13日(木)の「今日のアナリストレポート」は都合によりお休みとさせて頂きます。ご愛読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
11/6 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「インフレ面で問題が生じていても、それを確認できるまでにはかなり時間がかかるだろう」、「だからこそ、私は一層の不安を感じている」 --------
11/6 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「高いインフレを引き続き懸念しており、政策はこれに対抗する方向で運営されるべきだ」、「われわれの責務は目標未達であり、その規模と長さ、リスクを比較すると、私にとってはインフレの方がより差し迫った懸念事項だ」とし、「インフレを適切なタイミングで2%に戻すには、政策金利に関してやや景気抑制的なスタンスを維持することが必要だ」 --------
11/4 デーリー・SF連銀総裁 「今後入ってくる情報を慎重に見極め、予断を持たずに判断する。リスクのバランスを取りながら、経済がソフトランディングを実現できるようにすることを意味する」 --------
11/4 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「私はインフレの方を心配している。4年半にわたって目標を上回って推移しており、好ましくない方向に進んでいる12月会合でどうするかは、まだ決めていない。インフレ鈍化に合わせて金利を引き下げていくのが、恐らく最も慎重な対応だろう」 --------
11/4 クック・FRB理事 「今後の政策はあらかじめ決められた道筋をたどるわけではない。われわれは現在、2つの使命の双方でリスクが高まっている局面にある」、「雇用に対する下振れリスクの方が、インフレの上振れリスクよりも大きいと考えている」 --------
11/4 ミラン・FRB理事 「FRBは過度に景気抑制的であり、中立水準が現行政策よりかなり低いところにある。FOMCの一部メンバーに比べてインフレに関し楽観的である自身の見通しを踏まえると、金融政策を景気抑制的に維持する理由を見いだせない」、「しばらく隠れていた信用問題が突如として表面化した。一見すると相関関係のないような問題が続けて起きている。これは金融政策スタンスについて何かを示唆している」 --------
10/31 植田・日銀総裁 「物価目標が実現する確度が少しずつ高まってきている」、「実質金利の低下に伴う金融緩和度合いが強まっている可能性があり、日本経済への影響を改めて精査する」、「米関税政策やその影響を巡る不確実性を非常に重視してきた」、「日本企業の収益に下押し圧力がかかる下でも、積極的な賃金設定行動が途切れないかどうかを、もう少し確認したい」 (6会合連続で政策金利を据え置いたことも踏まえ)ドル円は152円台前半から153台に。NYでは154円45銭までドル高が進行。
10/30 パウエル・FRB議長 「12月会合での追加利下げは既定路線ではない。そう呼ぶ状況からは程遠い」、「FOMCの一部では、いったん立ち止まり労働市場に本当に下振れリスクがあるのか、また現在目にしている成長加速が本物なのかを見極める時期に来ているとの見方がある」、「霧の中を運転しているときはスピードを落とすものだ」 債券が売られ、ドル円は153円台まで上昇。
10/16 ミラン・FRB理事 「最近再燃した米中貿易摩擦が経済にとって一段の下振れリスクとなり、迅速な金融緩和が必要だ」、「金融政策が今のように景気抑制的な状態にある中で、今回のようなショックが経済を直撃すれば、その悪影響は大きくなる」、「10月28〜29日のFOMC会合では0.5ポイントの利下げを支持する」、「今年は0.25ポイントずつ、3回の利下げが行われる展開になるだろう」 --------
10/16 ウォラー・FRB理事 「間違いを犯したくはない。だからこそ、慎重に0.25ずつ利下げし、様子を見てから次の判断をするのが賢明だ」 --------
10/15 ミラン・FRB理事 「1週間前と比べて下方リスクが増している。政策当局者として、それを政策に反映させるべきだと認識する義務がある」、「米中間の貿易政策を巡る不確実性の強まりが、新たなテールリスクを生じさせている」、「1週間前や1カ月前よりも、一段と低い金利を望んでいるとは言わない。だが、リスクバランスが変化したことで、迅速に政策をより中立的な水準に近づけることの緊急性が一層高まったと考えられる」 --------
10/15 ベッセント・財務長官 (円相場について)「水準についてはコメントしない」、「日銀が適切に金融政策を運営し続ければ、円相場も適正な水準に落ち着くだろう」、(日本の利上げの是非を巡っては)「植田和男総裁がどのように判断するか私からはコメントしない」 --------
10/14 ラガルド・ECB総裁 「米国との通商合意により不確実性は大幅に後退し、経済成長に対するリスクはいっそう均衡、インフレに対するリスクもまずまず均衡している」、(金融緩和は終わったのかと問われると)、「そのようなことは決して言わない。中央銀行当局者の仕事に終わりはないと思っているからだ」 --------
10/14 コリンズ・ボストン連銀総裁 「インフレリスクの抑制がやや一段と進む一方で、雇用への下振れリスクは強まっている。労働市場を支えるためには、年内に政策の正常化をさらに少し進めるのが賢明だと思われる」、「いくらか追加緩和を行っても、金融政策はやや引き締め的な状況が維持される。これは関税の影響が経済全体に波及した後、インフレの鈍化再開を確実にする上で適切だ」 --------
10/14 パウエル・FRB議長 「米経済見通しは9月会合以降変わっていないと見受けられる」、「雇用の伸びが鈍化しており、今後さらに弱まる可能性がある」、「求人が一段と減少すれば失業率上昇につながる可能性が高い。求人数が減少してもこれまでは問題なかったが、失業率が上昇に転じる地点に近づいている」 --------
10/13 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「関税に起因する価格上昇が、持続的なインフレにつながるような状況は見られないというのが私の見解だ。特に労働市場において、そういった兆候はない」、「経済が私の想定どおりに推移すれば、今年と来年の金融政策調整によって、労働市場を完全雇用に近い状況に十分維持することができるだろう」 --------
10/9 高市・自民党総裁 「行き過ぎた円安ということを誘発するつもりはございません」、「一般論として円安にはいい面も悪い面もある」、「輸出企業にとっては競争力が生まれる側面がある」、(150円を超えるドル円相場は許容範囲かとの質問に対して)、「発言すべき事柄ではない」、「金融政策の手段は日銀が決める」、「私の立場で利上げそのものについて発言すべきでないということは分かっている」 ドル円は153円台前半から1円ほど円高に振れる。
10/9 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「労働市場のさらなる減速リスクには特に注意を払っている」、(インフレ率が約3%に上昇し、失業率が現在の4.3%を上回る水準にわずかに上昇するなど、経済が予想通りに推移する場合は)「今年中の利下げを支持するが、その具体的な意味合いは、今後見極める必要がある」 --------
10/7 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「大幅利下げを行えば、経済が一時的に高インフレに見舞われることになるだろう」、「基本的に、経済の潜在成長力や供給能力を超えるペースで景気を押し上げようとすれば、最終的には経済全体で物価が上昇することになる」 --------
10/7 ミラン・FRB理事 「人口増加ペースの減速に加え、トランプ大統領の関税政策によるインレへの影響は限定的だ」、「FRBが利下げを継続することは可能だ」 --------
10/6 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「インフレ率がなお高過ぎる状況では、金融政策は需要の伸びを抑制すべきだ。供給拡大の余地を確保し、経済全体の物価圧力を和らげるためだ」、「政策金利はやや景気抑制的な水準にある。現状は適切だ」 --------
10/2 ローガン・ダラス連銀総裁 「インフレ率は現在の目標である2%を上回って推移している」、「向こう数カ月に関税がインフレをさらに押し上げると予想する」、「従って、2%に確実に到達するため、政策経路の正常化をやや減速させることになるというのが私の予想だ。時間はしばらくかかるだろう」 --------
10/2 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「労働市場にある程度の安定が見られると思うし、基調としての経済もかなり堅調に成長を続けていると考えている」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和