今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「1月のISM製造業総合景況指数、3年ぶりの高水準」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は続伸。東京市場で155円台半ばまで買われたが、その後154円台後半まで押し戻されたドル円は、好調な経済指標や株高を手掛かりに155円79銭まで上昇。
  • ドル高が続き、ユーロドルは続落。1.18を割り込み、1.1776までユーロ安に。
  • 株式市場では3指数が大幅に反発。好調な経済指標に加え、インドとの貿易交渉が好転したことでダウは500ドルを超える上昇。
  • 債券は続落。長期金利は4.27%台に上昇。
  • 金は続落し、4650ドル台に。原油は大幅に反発。
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1月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 52.4
1月ISM製造業景況指数 → 52.6
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ドル/円 154.95 〜 155.79
ユーロ/ドル 1.1776 〜 1.1850
ユーロ/円 183.33 〜 183.75
NYダウ +515.19 → 49,407.66ドル
GOLD −92.50 → 4,652.60ドル
WTI +3.07 → 62.14ドル
米10年国債 +0.042 → 4.277%

本日の注目イベント

  • 豪 豪12月住宅建設許可件数
  • 豪 RBA、キャッシュターゲット
  • 米 1月自動車販売台数
  • 米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演

本日のコメント

昨日も触れたように、昨日の東京でのドル円の動きは、今回急落した値幅の「半値戻し」である「155円59銭」テストに失敗し、154円台後半まで押し戻されましたが、NYではその水準をクリア。155円79銭までドルが買われました。米経済指標が堅調だったことに加え、トランプ大統領がインドに対する関税を引き下げると発表したことでリスクオフの流れが後退しました。また、NY株式市場でも、株価が大幅に上昇し、低金利の円が売られるといった動きになっています。この先のメドですが、一目均衡表の「先行スパン1」が156円11銭近辺にあり、さらにその上には「フィボナッチ・リトレースメント」でいうところの「61.8%戻し」が156円45銭の水準にあります。従って、この辺りが目先の抵抗帯と見ることができそうです。今回のドルの急落では、日米金融当局による「レートチェック」はあったものの、「実弾介入」はなかったことが明らかになっています。「レートチェック」だけにしては、結局7円以上も円高方向に振れたわけですから、相当の効果があったことになりますが、これは米国が動いたことが要因でしょう。筆者も、米金融当局による「レートチェック」が、今回確認される以前いつ行われたのか記憶にありません。8日の衆院選では「自民党が単独で過半数を獲得」との事前調査も発表されています。高市首相の「責任ある積極財政」が信任されたことになると予想され、財政懸念は払拭されないことになります。しかし「高市トレード」はすでに市場に織り込まれているといった見方もある中、ドルの戻りがどこまであるのか、そして「実弾介入」を引き出すことが出来るのかが焦点になります。

トランプ大統領は、インドに対する関税率を25%から18%に引き下げると発表しました。インドのモディ首相が電話会談で、ロシア産原油の購入停止に同意したことを受けた措置だと説明しています。ブルームバーグによれば、トランプ氏は、インドがロシア産原油を購入していることに伴い課していたインド製品への25%の追加関税も撤廃するとのことです。さらに、インドは「米国に対する関税と非関税障壁を引き下げ、ゼロにする方向で取り組む」ほか、「米国のエネルギーと技術、農産物、石炭など多くの製品5000億ドル(約77兆8000億円)相当余り」をインドが購入するとも説明しています。SNSへの投稿でトランプ氏は「モディ首相への友情と敬意、また首相の要請に基づき、米国とインドは貿易合意に達した。米国は即時発効で、上乗せ関税を25%から18%に引き下げる」と表明。「インドとの素晴らしい関係は今後さらに強固になるだろう」と述べていました。モディ氏も合意内容を確認し、「メード・イン・インディアの製品には、18%に引き下げられた関税が課せられる」とXに投稿しています。ただ、トランプ氏のこの種のディールには、最早驚きはありません。

1月の「ISM製造業総合景況指数」は「52.6」と、市場予想の「48.5」を大きく上回り、拡大と縮小の境目である「50」を超えていました。新規受注の指数は10ポイント近く上昇し、生産指数も大きく伸び、いずれも約4年ぶりの高水準でした。この数字とは関係なかったようですが、アトランタ連銀のボスティック総裁は2日、「2026年の利下げを見込んでいない」と述べています。ボスティック総裁はアトランタ・ロータリークラブ主催のイベントで、12月に公表されたドット・プロットについて、自身は利下げを「1回も見込んでいない」と述べています。また、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」と話し、さらに「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」と発言しています。ポスティック総裁は今月末で退任する予定であるため、腹蔵なく、自身の考えを述べた可能性がありますが、多くのFOMCメンバーの意見を代弁していると思われます。

米労働統計局(BLS)は今週6日に予定されていた「1月の雇用統計」について、政府機関の一部閉鎖が続いているため公表を延期すると発表しました。BLSは「政府予算の再開後に改めて公表日を設定する」との声明を出し、さらに「連邦政府の一部閉鎖により、労働統計局はデータの収集、処理、公表を停止する」と説明しました。BLSによると、本日発表予定だった「昨年12月の求人件数統計(JOLTS)」についても、公表が延期されるようです。トランプ政権の強硬姿勢がさらに強まっていることから、民主党がそれに抵抗するといった「分断」が続いていることが背景です。

本日のドル円は154円70銭〜156円40銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
2/2 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 --------
1/28 ベッセント・財務長官 (ドル・円相場への米国の介入について質問され)、「絶対にしていない」、(その可能性について)、「強いドル政策を維持していると言う以外にコメントしない」、「米国は常に強いドル政策を取っている。ただし、それは適切なファンダメンタルズを整えることを意味する」、「健全な政策を実行していれば、資金は流入する」、「米国の貿易赤字が縮小していることを踏まえれば、時間の経過とともに自動的にドル高につながるはずだ」 ドル円は152円台後半から1円ほど上昇。
1/28 パウエル・FRB議長 「経済活動の見通しは前回の会合後に明らかに改善しており、これは時間の経過とともに労働需要や雇用に影響を与えるはずだ」、(労働市場については)「安定化の兆しが見られる」、「過度に踏み込むべきではない」、「冷え込みが続いている兆候もある」、(今後の利下げについて)、「次の利下げがいつになるのか、あるいは次回の会合で金利を引き下げるのかについて、明確な判断基準を示そうとしてはいない」、「入手するデータや変化する見通しなどを考慮しながら会合ごとに判断していく上で、われわれは良い位置にあるというのがわれわれの言いたいことだ」、(中央銀行の独立性について)、「独立性の要は政策当局者を守ることではない」、「国民にとって有効に機能してきた制度的な枠組みに過ぎない」、」(任期が終了した後も理事としてFRBにとどまるかどうかの質問に)、「決めていない」 --------
1/20 カーニー・カナダ首相 「世界の中堅国は、攻撃的な超大国の強制に抵抗するために協力しなければならない」、「最近の出来事はルールに基づく国際秩序が事実上死滅したことを示しており、カナダやその他の国々は、世界の大国による圧力戦術や威嚇に対抗するため、新たな同盟関係を構築するしか選択肢がない」、「中堅国は協力しなければならない。交渉の席につかなければ、餌食になるからだ」 --------
1/15 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「われわれが直面している最も重要な課題は、インフレ率を2%に戻すことだ」、「労働市場に関するこれまでの懸念はいったん後退した。不透明感から企業は採用を鈍らせているものの、大規模なレイオフには踏み切っていない」、「シカゴ連銀の指標は、労働市場が安定していることを強く示している。依然として強さがあり、かなり堅調だ」、「インフレを2%に戻す軌道に乗せるべく、5年間にわたって取り組んできた。一定の進展はあったが、目標の達成が必要だ。それが実現すれば、金利は引き下げられると思う」 --------
1/14 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「この国の長期的なインフレ率にとって、FRBの独立性はこれ以上ないほど重要だ」、(トランプ政権によるパウエル議長への圧力について問われ)「中銀の独立性がないところでは、インフレは勢いよくぶり返す」、「われわれは過去5年間、インフレ率を引き下げるために闘ってきており、それは容易なことではなかった。FRBの独立性が攻撃されれば、その問題はさらに悪化する」 --------
1/14 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「トランプ大統領が過去1年間にFRBに圧力をかけてきたのは、金利が原因だ」、「政策担当者は今年後半に再び利下げを行う可能性はあるが、今月末の次回の会合では金利は据え置かれるべきだ」 --------
1/14 三村・財務官 「最近の為替について、経済的なファンダメンタルズを反映しているようには見えない」、「最もいけないのはボラティリティー(大きな変動)だ。円安に伴う輸入インフレのデメリットが目立つという声もいろんなところから聞こえてくる」 --------
1/14 片山・財務大臣 (足元で進む円安に)「極めて遺憾であって憂慮している。その見方については日米財務相ともに共有した」、(日本政府としては)「日米財務相共同声明の考え方を踏まえて、投機的な動きを含めて行き過ぎた動きに対しては、あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」 --------
1/8 ミラン・FRB理事 「約1.5%の利下げを想定している。この想定はインフレに関する私の見解に大きく基づいている」、「基調的なインフレはFRBの目標からノイズのレンジ内で推移しており、総合インフレが中期的にどのようになるかを見極める良い示唆になっている」 --------
1/8 ベッセント・財務長官 (FRB議長人事の決定時期はダボス会議)「その直前か直後になる可能性がある。1月中だと思う」、(金利は高過ぎるかとの質問に対して)、「現在の金利水準は中立金利を依然として大きく上回っている。景気抑制的なスタンスであるべきではないと考えている」、(適切な金利水準について)、「多くのモデルでは2.50−3.25%程度を示すだろう」 --------
1/6 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「現在の金利水準が、中立と推定されるレンジ内にある」、「今後の政策運営については、2大責務の両面での進展を見極めながら、きめ細やかな判断が求められる」、「採用率が低い中で、労働市場のさらなる悪化は誰も望んでいない一方、インフレ率が目標を上回る状態が5年近く続いており、高インフレ期待の定着も避けたいところだ。まさに微妙なバランスだ」 --------
1/6 ミラン・FRB理事 「政策が中立水準付近にあるとは、かなり言いがたい。現状は明らかに景気に抑制的であり、経済の足かせになっている」、「今年は100ベーシスポイントを大きく超える利下げが正当化されると考えている」 株価の上昇に寄与。
1/5 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「景気の底堅さを踏まえ、今は中立にかなり近い状態だと推測される」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和