「米1月のNFPは13万人の増加」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は乱高下。アジア市場で152円台後半まで売られたドル円は「雇用統計」発表直後には154円65銭まで買われたが、その後152円台半ばまで下落。米労働省労働統計局(BLS)の発表や、トランプ大統領が、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)からの離脱を考えているとの報道に反応。
- ユーロドルは続伸。ドル安を受け1.19台に乗せる。
- 株式市場は下げたが、3指数とも前日とは大きくは変わらず。連日最高値を付けていたダウは66ドル下落。
- 債券は売られ、長期金利は4.17%台へと上昇。
- 金は反発し、原油も買われる。
1月失業率 → 4.3%
1月非農業部門雇用者数 → 13.0万人
1月平均時給 (前月比) → 0.4%
1月平均時給 (前年比) → 3.7%
1月労働参加率 → 62.5%
米1月財政収支 → −94.6b
***********************
| ドル/円 | 152.55 〜 154.65 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1833 〜 1.1903 |
| ユーロ/円 | 181.24 〜 183.00 |
| NYダウ | −66.74 → 50,121.40ドル |
| GOLD | +67.50 → 5,098.50ドル |
| WTI | +0.67 → 64.63ドル |
| 米10年国債 | +0.030 → 4.172% |
本日の注目イベント
- 英 英10−12月期GDP(速報値)
- 英 英12月鉱工業生産
- 英 英12月貿易収支
- 米 1月中古住宅販売件数
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 ミラン・FRB理事、討論会に参加
- 米 ローガン・ダラス連銀総裁講演
本日のコメント
注目された「1月の雇用統計」は市場予想を大きく上回っていました。
非農業部門雇用者数(NFP)は前月比13.0万人と、約1年ぶりの大幅増加でした。また失業率も4.3%に低下。市場予想は4.4%でした。労働市場は過去1年、総じて失業率の上昇と雇用の伸びの鈍化に直面してきましたが、今回の統計は持ち直しの兆しを示唆した可能性があります。ブルームバーグは今回の結果を受けて、「エコノミストの多くは2026年も労働市場の低迷が続くと予想しているが、トランプ政権の経済政策から受ける影響がより明確になり、金利が低下すれば、一部の企業が雇用を増やす可能性もある」と伝えています。一方、米労働省労働統計局(BLS)は毎年1月の雇用統計の公表にあわせて、年次ベンチマーク(基準)改定を行っています。同改定は、速報性に欠けるものの正確性の高い「四半期雇用・賃金調査(QCEW)」を基に行われます。QCEWは州失業保険税の記録を基に作成され、全米の雇用者の大部分を網羅するとされています。今回の年次改定により、2025年3月までの12カ月間の雇用者数の伸びは、当初発表よりも「約90万人少なかった」ことが示されました。この数値は、昨年9月にBLSが示していた暫定推計とおおむね一致しています。2025年の月間平均は4万9000人増から1万5000人増に下方修正されました。
この発表を受け、ドル円は乱高下しました。昨日のアジア市場では、東京市場が休場だったこともあり、前日の「小売売上高」の下振れでドル売りが進んだ流れを受け、参加者が少ない中152円80銭近辺まで売られていました。「1月の雇用統計」発表直後には154円台半ばまで急騰しましたが、その後BLSの年次改定発表を受け、再び152円台に突入。一時は152円55銭前後までドル売りが進みました。ドル円は自民党の圧勝を受けた今週9日(月)に157円75銭前後まで円が売られました。筆者もこの時は、日経平均株価の大幅上昇も予想されたことから、158円台乗せは時間の問題かと考えていました。予想通り株価は3000円以上も買われましたが、ドル円はジリジリと円が買い戻される展開となり、「何か変だ」とは思いましたが、その2日後に152円台までドル安が進むことは想定外でした。ここまでドル円が下げた理由ははっきりしませんが、あえて探せば、介入警戒感がかなり強まっていたこと、高市トレードでの円売りは市場に織り込み済みだったことや、投機筋などの円売りポジションもすでに構築されていたこと、さらにはドル円の動きが米金利との相関性を取り戻したことなどが考えられますが、いずれも「後講釈」の域を出ません。
再びドルが上値を重くする展開が予想されますが、極めて重要だと考えるのが下値の「150円」だと思います。この水準を下回るとトレンド転換の可能性が高まるからです。これまでの動きを簡単に整理してみると、159円23銭まで買われ、160円も視野に入ったドル円でしたが、日米金融当局による「レートチェック」で一気に152円割れまでドル安が進みました。その後日米ともに「実弾介入」は行っていなかったことが判明したことや、ベッセント財務長官が「ドル高政策を支持する」と述べたこと、さらには「自民党、単独で過半数獲得」との報道などで157円75銭まで大きく反発しました。この間の戻しは下落分の約80%となりましたが、「半値戻しは全値戻し」の格言通りには至りませんでした。ただ、今回の指標を受け、株価指数先物と米国債利回りはいずれも上昇。市場では6月の0.25ポイント利下げの観測が大きく後退し、年内最初の利下げは7月になるとの見方が広がっています。こうなると、少なくともパウエル議長の在任中は、追加利下げはないことが想定されます。
クリーブランド連銀のハマック総裁は10日、オハイオ州コロンバスでのイベントで、「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」と発言。その上で、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」と話していました。ハマック総裁は、インフレ再燃を招かないよう、利下げには慎重になるよう繰り返し訴え、1月のFOMC会合で金利を据え置いた決定を支持しています。ダラス連銀のローガン総裁も10日、「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」との考えを示しました。ローガン、ハマック両氏はいずれも、今年のFOMC会合で投票権を持っています。
また、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁も11日、ニューメキシコ州でのイベントで「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」と述べています。さらに、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」と話しています。シュミッド氏はその上で、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」と語っていました。
本日のドル円は152円50銭〜154円50銭程度を予想します。
佐藤正和の書籍紹介
これだけ! FXチャート分析 三種の神器 |
チャートがしっかり読めるようになるFX入門 |
What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 2/11 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 | -------- |
| 2/10 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 | -------- |
| 2/10 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 | -------- |
| 2/5 | ECB声明 | 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 | -------- |
| 2/5 | ラガルド・ECB総裁 | 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 | -------- |
| 2/3 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 | -------- |
| 2/3 | ミラン・FRB理事 | 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 | -------- |
| 2/2 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 | -------- |
| 1/28 | ベッセント・財務長官 | (ドル・円相場への米国の介入について質問され)、「絶対にしていない」、(その可能性について)、「強いドル政策を維持していると言う以外にコメントしない」、「米国は常に強いドル政策を取っている。ただし、それは適切なファンダメンタルズを整えることを意味する」、「健全な政策を実行していれば、資金は流入する」、「米国の貿易赤字が縮小していることを踏まえれば、時間の経過とともに自動的にドル高につながるはずだ」 | ドル円は152円台後半から1円ほど上昇。 |
| 1/28 | パウエル・FRB議長 | 「経済活動の見通しは前回の会合後に明らかに改善しており、これは時間の経過とともに労働需要や雇用に影響を与えるはずだ」、(労働市場については)「安定化の兆しが見られる」、「過度に踏み込むべきではない」、「冷え込みが続いている兆候もある」、(今後の利下げについて)、「次の利下げがいつになるのか、あるいは次回の会合で金利を引き下げるのかについて、明確な判断基準を示そうとしてはいない」、「入手するデータや変化する見通しなどを考慮しながら会合ごとに判断していく上で、われわれは良い位置にあるというのがわれわれの言いたいことだ」、(中央銀行の独立性について)、「独立性の要は政策当局者を守ることではない」、「国民にとって有効に機能してきた制度的な枠組みに過ぎない」、」(任期が終了した後も理事としてFRBにとどまるかどうかの質問に)、「決めていない」 | -------- |
| 1/20 | カーニー・カナダ首相 | 「世界の中堅国は、攻撃的な超大国の強制に抵抗するために協力しなければならない」、「最近の出来事はルールに基づく国際秩序が事実上死滅したことを示しており、カナダやその他の国々は、世界の大国による圧力戦術や威嚇に対抗するため、新たな同盟関係を構築するしか選択肢がない」、「中堅国は協力しなければならない。交渉の席につかなければ、餌食になるからだ」 | -------- |
| 1/15 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「われわれが直面している最も重要な課題は、インフレ率を2%に戻すことだ」、「労働市場に関するこれまでの懸念はいったん後退した。不透明感から企業は採用を鈍らせているものの、大規模なレイオフには踏み切っていない」、「シカゴ連銀の指標は、労働市場が安定していることを強く示している。依然として強さがあり、かなり堅調だ」、「インフレを2%に戻す軌道に乗せるべく、5年間にわたって取り組んできた。一定の進展はあったが、目標の達成が必要だ。それが実現すれば、金利は引き下げられると思う」 | -------- |
| 1/14 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「この国の長期的なインフレ率にとって、FRBの独立性はこれ以上ないほど重要だ」、(トランプ政権によるパウエル議長への圧力について問われ)「中銀の独立性がないところでは、インフレは勢いよくぶり返す」、「われわれは過去5年間、インフレ率を引き下げるために闘ってきており、それは容易なことではなかった。FRBの独立性が攻撃されれば、その問題はさらに悪化する」 | -------- |
| 1/14 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「トランプ大統領が過去1年間にFRBに圧力をかけてきたのは、金利が原因だ」、「政策担当者は今年後半に再び利下げを行う可能性はあるが、今月末の次回の会合では金利は据え置かれるべきだ」 | -------- |
| 1/14 | 三村・財務官 | 「最近の為替について、経済的なファンダメンタルズを反映しているようには見えない」、「最もいけないのはボラティリティー(大きな変動)だ。円安に伴う輸入インフレのデメリットが目立つという声もいろんなところから聞こえてくる」 | -------- |
| 1/14 | 片山・財務大臣 | (足元で進む円安に)「極めて遺憾であって憂慮している。その見方については日米財務相ともに共有した」、(日本政府としては)「日米財務相共同声明の考え方を踏まえて、投機的な動きを含めて行き過ぎた動きに対しては、あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」 | -------- |
| 1/8 | ミラン・FRB理事 | 「約1.5%の利下げを想定している。この想定はインフレに関する私の見解に大きく基づいている」、「基調的なインフレはFRBの目標からノイズのレンジ内で推移しており、総合インフレが中期的にどのようになるかを見極める良い示唆になっている」 | -------- |
| 1/8 | ベッセント・財務長官 | (FRB議長人事の決定時期はダボス会議)「その直前か直後になる可能性がある。1月中だと思う」、(金利は高過ぎるかとの質問に対して)、「現在の金利水準は中立金利を依然として大きく上回っている。景気抑制的なスタンスであるべきではないと考えている」、(適切な金利水準について)、「多くのモデルでは2.50−3.25%程度を示すだろう」 | -------- |
| 1/6 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「現在の金利水準が、中立と推定されるレンジ内にある」、「今後の政策運営については、2大責務の両面での進展を見極めながら、きめ細やかな判断が求められる」、「採用率が低い中で、労働市場のさらなる悪化は誰も望んでいない一方、インフレ率が目標を上回る状態が5年近く続いており、高インフレ期待の定着も避けたいところだ。まさに微妙なバランスだ」 | -------- |
| 1/6 | ミラン・FRB理事 | 「政策が中立水準付近にあるとは、かなり言いがたい。現状は明らかに景気に抑制的であり、経済の足かせになっている」、「今年は100ベーシスポイントを大きく超える利下げが正当化されると考えている」 | 株価の上昇に寄与。 |
| 1/5 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「景気の底堅さを踏まえ、今は中立にかなり近い状態だと推測される」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



