今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ドル、金、原油が買われる」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • 中東情勢の悪化にドル高の流れが続き、ドル円は157円75銭と1月24日以来の高水準を付ける。原油高から石油に弱い円と、米国のインフレ再燃との観測から円売りドル買いが優勢に。
  • ドル高が進み、ユーロドルでも1.1672までユーロが売られる。
  • 株式市場はまちまちの展開。ダウは続落したものの、他の2指数は小幅ながら上昇して引ける。
  • インフレ懸念から債券は売られ、長期金利は4.03%台へと大幅に上昇。
  • 金と原油は大幅に買われる。原油は一時75ドル台まで買われ、昨年6月以来の高水準に。
****************************
2月S&Pグローバル製造業PMI(改定値) → 51.6
2月ISM製造業景況指数 → 52.4
****************************
ドル/円 157.12 〜 157.75
ユーロ/ドル 1.1672 〜 1.1724
ユーロ/円 183.84 〜 184.61
NYダウ −73.14 → 48,904.78ドル
GOLD +63.70 → 5,311.60ドル
WTI +4.21 → 71.23ドル
米10年国債 +0.099 → 4.036%

本日の注目イベント

  • 豪 豪10−12月期経常収支
  • 豪 豪1月住宅建設許可件数
  • 日 1月失業率
  • 日 FIN/SUM 片山財務相、植田日銀総裁、挨拶
  • 欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(速報値)
  • 米 2月自動車販売台数
  • 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
  • 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演

本日のコメント

米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、アジア市場ではドル高、株安が進み、一方で金と原油が大きく買われましたが、欧米でもその流れが続き、ドル円はNYで157円75銭まで上昇しました。「油に弱い円」との見立てから円売りが加速しましたが、全体を見渡せば「ドル高一色」という景色でした。原油価格の上昇は、中東から9割近い原油を輸入している日本にとっては痛手であると同時に、米国ではインフレにつながる可能性があることから、FRBによる追加利下げのタイミングが遅れるとの想定から、ドル高要因になっています。さらに昨日は、「2月のISM製造業景況指数」が予想を上回り、これも利下げを遅らせる材料になっています。米長期債は大きく売られ、長期金利は4.03%台まで急騰しました。2月の米製造業活動は拡大し、仕入れ価格が2022年以来の高水準へと急上昇しました。週末のイラン攻撃前でさえも、インフレ再燃への懸念が強まっていたことが明らかになった格好で、ドルを押し上げています。

トランプ大統領は2日、イランに対する軍事攻撃を必要な限り継続する考えを示し、今回の作戦に関する4つの目標を初めて明示しました。ホワイトハウスで行われたイベントで軍事作戦の期間について問われ、「4−5週間を想定しているが、それよりはるかに長く継続できる能力がある。時間がどれだけかかっても構わない。必要なことは何でもやる」と、強気の姿勢を示していました。軍事攻撃の目標については、1)イランのミサイル能力排除、2)同国海軍の破壊、3)核兵器取得の道を断つこと、4)イランが国外のテロ組織に武器や資金を提供したり、指揮したりできないようにすることが狙いだと説明しています。ブルームバーグは、「特筆すべき点として、トランプ氏は体制転換を作戦目標の1つとして挙げなかった。トランプ氏に対しては、イラン攻撃の目的や想定期間を巡って発言が揺れており、政権の最終目標に対して疑問の声が上がっていた。また軍事衝突が3日目に入る中、影響は中東全体に広がっており、戦争拡大への懸念が高まっている」と、批評しています。

現時点では、米国、イスラエル、イランはいずれも攻撃の手を緩めない考えを示しています。トランプ氏はCNNに対し、「まだ大きな波が来ていない」と発言。NYポスト紙には「イランへの地上部隊の投入について躊躇しない」と述べる一方、「その必要はない」との見方も示唆しています。今回の衝突では、エネルギー施設の被害も確認されています。サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、この地域へのドローン攻撃を受けたことで、ラスタヌラ製油所の操業を停止したと発表しています。ラスタヌラは日量55万バレルの原油処理能力を持つ、サウジ最大級の製油所とされています。また、カタール国営エネルギー企業のカタールエナジーは、国内最大のガス田があるラスラファン複合施設が攻撃を受け、LNGの生産を停止したと明らかにしました。カタール国防省によると、同複合施設内の発電所の貯水タンクやエネルギー施設が、ドローン攻撃の標的となった模様です。ホルムズ海峡を通過するタンカーの往来は、先週末ほぼ停止されました。ホルムズ海峡はエネルギー輸送の要衝で、世界のLNG輸出の2割程度が通過します。「中東から出荷されるLNGの大半はアジア各国が購入しているが、供給に混乱が生じれば代替調達先を巡る競争が激化し、欧州を含む世界的なガス価格上昇につながる」と指摘する専門家の声もあります。

日銀の氷見野副総裁は2日金融政策運営について、緩やかな利上げによって徐々に景気を冷やしも過熱もしない中立金利に近づけていくとの見解を示しました。氷見野氏は、政策判断で重視する物価の基調と物価安定目標の差をインフレギャップと呼びたいとし、「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」と説明。これを踏まえると、ある程度緩和的なスタンスから出発して「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていくことになる」と語っていました。今回の講演は、米国とイスラエルによるイラン攻撃を受けた「週末以来の中東情勢を前提にした内容になっていない」とした上で、日銀としては「状況をしっかり注視してまいりたい」と述べていました。氷見野氏は、中東情勢を受けた内外の経済・物価動向を注視しつつ、物価の基調が改善していけば政策調整を進める姿勢を示す一方、利上げ時期を示唆するような発言はありませんでした。さらに、物価の基調については「着実に上昇してきていることは確か」と説明し、その上で、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」としつつ、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」との認識を示していました。

本日のドル円は156円30銭〜158円30銭程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/2 氷見野・日銀副総裁 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 --------
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「予測されているようなインフレの進展が確認できている限り、年内に金利をあと数回引き下げることが可能との自信をある程度持っている。インフレがわれわれの望む水準に戻りつつあるという証拠が実際に得られる前に、利下げをあまり前倒しで進めたくない」 --------
2/26 高田・日銀審議委員 「既に賃金と物価が上がらないというノルムは解けており、物価安定の目標実現がおおむね達成した局面」、「日本経済は真の夜明けが視野に入った」とし、「金融政策は幅広いデータや情報から緩和度合いを丁寧に確認しながら、「段階的にギアシフトを行っていく途上にある」、(先行きは海外を中心に物価上昇要因が生じた場合)、「日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」 ドル円156円台前半から155円70銭まで下落。
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (連邦最高裁がトランプ大統領による広範な関税措置の多くを無効とした判断について)、「企業にさらなる不確実性をもたらす恐れがある一方で、インフレ抑制につながる可能性もあると」 --------
2/24 コリンズ・ボストン連銀総裁 「労働市場は、少なくともある種の異例な安定性の兆しをさらに示している」、「インフレ率が2%に向けて低下していることを示すさらなる証拠が必要だ」、「現行レンジをしばらく維持することが適切となる可能性はかなり高いと考えている。過去1年半で175ベーシスポイントの緩和を実施し、現在は緩やかな景気抑制的水準にあり、おそらく中立にかなり近い水準にすでに達している」 --------
2/17 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「サービス分野のインフレ率が依然として高止まりしている」、「関税に伴う価格上昇が一時的なものであれば、政策当局に行動の余地が生まれる可能性がある」、「これが一時的なものであり、インフレ率が2%へ戻る道筋にあることが確認できれば、2026年に追加利下げが複数回実施される可能性があると考えている。ただ、それを見極める必要がある」 --------
2/11 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 --------
2/10 ローガン・ダラス連銀総裁 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 --------
2/10 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 --------
2/5 ECB声明 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 --------
2/5 ラガルド・ECB総裁 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 --------
2/3 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 --------
2/3 ミラン・FRB理事 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 --------
2/2 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和