「ドル円158円に迫る」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円は引き続き中東情勢の悪化で円売り、インフレ懸念の拡大でドル買いの構図。欧州時間に157円97銭まで上昇したドル円は157円台で堅調に推移。
- ユーロドルはさらに下げ、一時は1.1531と、昨年11月25日以来のユーロ安を示現。
- 株式市場では3指数が揃って大幅続落。イランとの戦争が長引くとの見方もあり、ダウは一時1200ドル下げ、403ドル安で引ける。
- 債券も続落。インフレ懸念が広がり、売りが優勢な展開が続く。長期金利はここ2日間で12ベーシスポイントの急上昇。
- 金は反落。原油は大幅に続伸。
2月自動車販売台数 → 1575万台
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| ドル/円 | 157.47 〜157.95 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1531 〜 1.1625 |
| ユーロ/円 | 182.02 〜 183.20 |
| NYダウ | −403.51 → 48,501.27ドル |
| GOLD | −187.90 → 5,123.70ドル |
| WTI | +3.33 → 74.56ドル |
| 米10年国債 | +0.025 → 4.061% |
本日の注目イベント
- 豪 豪10−12月期GDP
- 中 2月中国製造業PMI
- 中 2月中国サービス業PMI
- 中 2月RatingDogサービス業PMI
- 中 2月RatingDog総合PMI
- 独 独2月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏2月総合PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏2月サービス業PMI(改定値)
- 欧 ユーロ圏1月卸売物価指数
- 欧 ユーロ圏1月失業率
- 米 2月ADP雇用者数
- 米 2月ISM非製造業景況指数
- 米 2月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
- 米 2月S&Pグローバル総合PMI(改定値)
- 米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
本日のコメント
米国とイスラエルの攻撃を受けたイランは、やはりというか、湾岸諸国に攻撃を加え、ホルムズ海峡を封鎖するなど抵抗を見せています。ベネズエラとは異なり、米軍は一晩で作戦を完遂させることはできません。トランプ大統領は前日、「大きな波はこれからやってくる」と、近い内にさらに大規模な攻撃が行われることを示唆しています。
金融市場や商品市場は大混乱です。ドル円は昨日の欧州時間に157円97銭まで円安が進みました。現時点でそれ以上に円安が進んでいないのは、日米通貨当局による「レートチェック」が行われた水準に近付いたことがあると思われます。ドル高の流れはユーロにも波及し、ユーロドルは1.15台前半まで売られました。ユーロでの介入警戒感はないことからユーロ売りが加速し、対ドルでは円よりも弱含んでいます。その結果、ユーロ円も下げています。昨日は安全資産の「金」も大きく売られています。米国のインフレ懸念が強まり、FRBによる利下げは当面行われないとの観測が広がったことが要因です。金利のつかない「金」は高金利には弱く、利益確定の売りにも押されたのか、190ドル程下げました。この状況は日本にとっても厳しいものと思われます。特に高市政権にとってこの先、物価高が避けられない可能性もあります。原油価格の上昇による物価高騰に加え、株価が大きく調整局面に入っており、個人消費にも影響が出そうです。戦争が長期化すれば高市首相の掲げる、物価高対策と積極財政による景気拡大にも黄色信号が灯って来る可能性がありそうです。今月訪米してトランプ大統領と会談を行う予定ですが、何を訴えるのでしょうか?
原油価格の高騰で、FRBの追加利下げの見通しにも影響が出て来ました。原油価格はイラン攻撃前の65ドル台から昨日は一時77ドル98セントまで買われ、今週だけで19.6%ほど上昇しています。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、イランへの攻撃によって、「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」と述べ、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁も、インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」と発言しています。また、NY連銀のウィリアムズ総裁は「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」と述べ、関税の効果は「今年後半」にピークを過ぎるとの見通しを示し、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」と分析しています。このように、地区連銀総裁は概ね、追加利下げには慎重な姿勢を見せていると解釈できます。またFRB議長も経験したイエレン前米財務長官も、イラン情勢が原油市場に与える影響の期間次第で、米経済成長への足かせとインフレ圧力拡大の両方が生じうるとし、金融政策のかじ取りが難しくなるとの見解を示していました。
イラン革命防衛隊は、ホルムズ海峡が戦時状態にあり、通航する船舶は「ミサイルやドローンの脅威にさらされる恐れがあると声明で警告した」とファルス通信が伝えています。声明は「ホルムズ海峡がイラン海軍の完全な支配・監視下にある」と主張しています。これに対してトランプ大統領は、ホルムズ海峡を航行する石油タンカーやその他の船舶の安全を確保するため、米国が保険と海軍による護衛を提供すると明らかにしました。米国際開発金融公社(DFC)がペルシャ湾岸地域におけるエネルギーやその他の商業取引の流れを確保するため、「非常に妥当な価格で保険を提供する」とトランプ氏は説明。さらに、「必要であれば、米海軍は可能な限り早期にホルムズ海峡でタンカーの護衛を開始する」とコメントしています。
今回の攻撃で「漁夫の利」を得ているのがロシアです。プーチン大統領は1日の声明で、イスラエルやトランプ大統領を直接名指しはしなかったものの、イランの最高指導者ハメネイ師の殺害を「人類の道徳と国際法のあらゆる規範をあざけるような違反」と非難しました。2日にはサウジアラビアやカタール、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)など、ペルシャ湾岸諸国の指導者と電話会談し、「即時停戦」を呼び掛けていました。未だにウクライナへの攻撃を続けておきながら、何を言うかというところですが、「開いた口が塞がらない」とはこのことです。関係者は、イランの攻撃に直面したペルシャ湾岸諸国から防空ミサイルの需要が高まり、ウクライナに回る分が少なくなるかもしれないと指摘し、中東での戦争が長期化すれば、ウクライナに対する米国の兵器販売も減速する可能性があるとの見方を示しています。米空軍は今回の攻撃に関連して、英国に軍事施設の使用を求め、英国も許可していますが、同じ要請を受けたスペインは拒否しています。スペインはトランプ大統領に「貿易で、国際法を尊重するよう」求め、毅然とした対応を行っています。トランプ氏は、対イラン攻撃の際にスペインが同国内の基地を使わせなかったことに不満を示し、「スペインとのあらゆる貿易取引をやめるよう、ベッセント財務長官に指示した」と述べています。まるで子供のけんかのような様相です。
本日も株価が大きく下げそうです。ドル円は逆の動きを見せ、158円台乗せもあるかもしれません。レンジ予想は156円50銭〜158円50銭程度でしょうか。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 | -------- |
| 3/3 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 | -------- |
| 3/3 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 | -------- |
| 3/2 | 氷見野・日銀副総裁 | 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 | -------- |
| 2/24 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「予測されているようなインフレの進展が確認できている限り、年内に金利をあと数回引き下げることが可能との自信をある程度持っている。インフレがわれわれの望む水準に戻りつつあるという証拠が実際に得られる前に、利下げをあまり前倒しで進めたくない」 | -------- |
| 2/26 | 高田・日銀審議委員 | 「既に賃金と物価が上がらないというノルムは解けており、物価安定の目標実現がおおむね達成した局面」、「日本経済は真の夜明けが視野に入った」とし、「金融政策は幅広いデータや情報から緩和度合いを丁寧に確認しながら、「段階的にギアシフトを行っていく途上にある」、(先行きは海外を中心に物価上昇要因が生じた場合)、「日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」 | ドル円156円台前半から155円70銭まで下落。 |
| 2/24 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | (連邦最高裁がトランプ大統領による広範な関税措置の多くを無効とした判断について)、「企業にさらなる不確実性をもたらす恐れがある一方で、インフレ抑制につながる可能性もあると」 | -------- |
| 2/24 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「労働市場は、少なくともある種の異例な安定性の兆しをさらに示している」、「インフレ率が2%に向けて低下していることを示すさらなる証拠が必要だ」、「現行レンジをしばらく維持することが適切となる可能性はかなり高いと考えている。過去1年半で175ベーシスポイントの緩和を実施し、現在は緩やかな景気抑制的水準にあり、おそらく中立にかなり近い水準にすでに達している」 | -------- |
| 2/17 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「サービス分野のインフレ率が依然として高止まりしている」、「関税に伴う価格上昇が一時的なものであれば、政策当局に行動の余地が生まれる可能性がある」、「これが一時的なものであり、インフレ率が2%へ戻る道筋にあることが確認できれば、2026年に追加利下げが複数回実施される可能性があると考えている。ただ、それを見極める必要がある」 | -------- |
| 2/11 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 | -------- |
| 2/10 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 | -------- |
| 2/10 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 | -------- |
| 2/5 | ECB声明 | 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 | -------- |
| 2/5 | ラガルド・ECB総裁 | 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 | -------- |
| 2/3 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 | -------- |
| 2/3 | ミラン・FRB理事 | 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 | -------- |
| 2/2 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



