今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「市場の混乱も一服」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は反落。東京時間での「口先介入」や、原油価格の上昇が一服となったことで、欧州では156円83銭まで下落。NYでも上値は重く、米金利の上昇にも反応せず。
  • ユーロドルは反発し、1.16台半ばまで上昇。
  • 連日売られていた株式市場では、3指数が揃って反発。良好な米経済指標に反応した形で買い戻しが優勢に。ナスダックは290ポイント上昇。
  • 債券は続落。ADP雇用者数など、経済指標の上振れで利下げ観測が一段と後退。長期金利は4.09%台に上昇。
  • 金は小幅に反発。原油価格は乱高下したもののほぼ横ばい。
******************************
2月ADP雇用者数  → 6.3万人
2月ISM非製造業景況指数 → 56.1
2月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値) → 51.7
2月S&Pグローバル総合PMI(改定値) → 51.9
******************************
ドル/円 156.90 〜 157.41
ユーロ/ドル 1.1617 〜 1.1652
ユーロ/円 182.47 〜 183.07
NYダウ +238.14 → 48,739.41ドル
GOLD +11.00 → 5,134.70ドル
WTI +0.10 → 74.66ドル
米10年国債 +0.036 → 4.096%

本日の注目イベント

  • 豪 豪1月貿易収支
  • 欧 ユーロ圏1月小売売上高
  • 欧 ラガルド・ECB総裁講演
  • 米 新規失業保険申請件数
  • 米 第4四半期労働生産性(速報値)
  • 米 1月輸入物価指数
  • 米 1月輸出物価指数

本日のコメント

米国とイスラエルがイランを攻撃してから5日目に突入しましたが、紛争終結の出口は見えません。米潜水艦がスリランカ沖でイランの軍艦を撃沈しました。米潜水艦が魚雷で敵艦を攻撃したのは第二次世界大戦後初めてのことだと報じられています。イランの防空体制が破壊される中、ヘグセス国防長官はさらに内陸部への攻撃を強化する計画を明らかにしています。イランからトルコに向かって発射された弾道ミサイルはNATOが撃墜しましたが、今回の戦闘でトルコが攻撃相手になったのは初めてです。イランはホルムズ海峡を封鎖し、湾岸諸国を攻撃するなど、劣勢は避けられない状況が伺えます。

それでも昨日の海外市場では混乱もやや一服でした。ドル円は東京時間から上値を重くし、片山財務相の円安をけん制した「口先介入」で157円台前半まで押し戻される場面もありました。高市政権としては、原油高、円安が引き起こす物価高に最大の危機感を持っていると思われますが、原油高は無理としても、せめて為替での円安はなんとしても避けたいところです。その原油価格はアジア市場から乱高下を繰り返していましたが、結局上昇は一服でした。原油価格が落ち着いたことで、「油に弱い円」も、買い戻された側面もあったようです。

イラン情勢の緊迫は続きますが、収束に向けての焦点の一つはイランの最高指導者に誰がなるかという点です。トランプ大統領は昨日ホワイトハウスでのドイツのメルツ首相との会談で、ハメネイ師の後継者に「より穏健な人物がいる」と述べ、「最悪のシナリオは前任者と同じくらい悪い人物が権力を掌握することだ」と話しながらも「想定していた人物の大半が死んだ」と述べていました。イランではこれまでに1000人超が死亡しています。また米国でも米軍関係者6人が死亡したと明らかにされています。最初の一連の攻撃で殺害された最高指導者ハメネイ師の顧問、ムハンマド・モフベル氏はイラン国営テレビに対し、「われわれは米国を全く信用しておらず、米国と交渉する意図もない」と述べ、対決する姿勢を見せています。

2つ目の焦点は原油価格がさらに高騰して80ドル、90ドルを目指すのかという点です。トランプ大統領は3日、米国際開発金融公社(DFC)が「非常に妥当な価格」で保険を提供し、湾岸地域におけるエネルギーや商取引の流れを維持すると述べていました。必要であれば、米海軍が重要なホルムズ海峡を通過するタンカーの護衛を「可能な限り早期に」開始するとも語っています。一方、イラン側はホルムズ海峡を監視下におき、航海する船舶を攻撃するとしています。実際、ペルシャ湾では同海峡を航行できず、多くの船舶が漂泊していると伝えられています。原油価格が100ドルに達すると、日本のGDPを0.3%程度押し下げるとの試算もあります。

2月の「ADP雇用者数」は前月比6万3000人と、予想の5万人を上回りました。ブルームバーグは、「今回の統計は、雇用創出が低調にとどまった2025年から、労働市場が緩やかに持ち直していることを示している。第2次トランプ政権の発足から1年が経過し、経済政策を巡る不透明感が和らいだことで、雇用主の間では採用拡大の動きも一部で出ている。減税も投資や雇用の拡大を後押しする可能性がある」との分析をしています。また、2月の「ISM非製造業景況指数」も、2022年半ば以来の高水準でした。堅調な新規受注の伸びと事業活動が全体をけん引し、同指数は前月比2.3ポイント上昇の56.1と、エコノミスト予想の全てを上回っています。2日に発表された2月の「ISM製造業景況指数」も予想を上回っており、「米経済は今年まずまずのスタートを切っており、極端なエネルギー価格上昇シナリオを除けば、この底堅さがイランでの戦争に伴う混乱を乗り越える一助となるだろう」との声もありました。

上記経済指標の上振れでFRBによる追加利下げのタイミングが徐々に後退する中、FRBのミラン理事は相変わらず大幅利下げを主張しています。ミラン氏は4日、ブルームバーグTVとのインタビューで「行動を継続することが適切だと考えている」と述べ、「先週末の出来事を踏まえても、これまでのところ、労働市場やインフレに関する私の見通しを変更するには至っていない」と語っています。さらに具体的には示さなかったものの、「労働市場に関するデータ全体を見渡すと、金融政策によるさらなる支援が依然として必要だという証拠がある」と語っていました。明日は、2月の「雇用統計」が発表されます。

本日のドル円は156円50銭〜158円程度を予想します。

佐藤正和の書籍紹介

これだけ! FXチャート分析 三種の神器

これだけ! FXチャート分析 三種の神器
著者:佐藤正和
出版社:クロスメディア・パブリッシング

チャートがしっかり読めるようになるFX入門

チャートがしっかり読めるようになるFX入門
著者:佐藤正和
出版社:翔泳社

What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 --------
3/3 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 --------
3/3 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 --------
3/2 氷見野・日銀副総裁 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 --------
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「予測されているようなインフレの進展が確認できている限り、年内に金利をあと数回引き下げることが可能との自信をある程度持っている。インフレがわれわれの望む水準に戻りつつあるという証拠が実際に得られる前に、利下げをあまり前倒しで進めたくない」 --------
2/26 高田・日銀審議委員 「既に賃金と物価が上がらないというノルムは解けており、物価安定の目標実現がおおむね達成した局面」、「日本経済は真の夜明けが視野に入った」とし、「金融政策は幅広いデータや情報から緩和度合いを丁寧に確認しながら、「段階的にギアシフトを行っていく途上にある」、(先行きは海外を中心に物価上昇要因が生じた場合)、「日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」 ドル円156円台前半から155円70銭まで下落。
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (連邦最高裁がトランプ大統領による広範な関税措置の多くを無効とした判断について)、「企業にさらなる不確実性をもたらす恐れがある一方で、インフレ抑制につながる可能性もあると」 --------
2/24 コリンズ・ボストン連銀総裁 「労働市場は、少なくともある種の異例な安定性の兆しをさらに示している」、「インフレ率が2%に向けて低下していることを示すさらなる証拠が必要だ」、「現行レンジをしばらく維持することが適切となる可能性はかなり高いと考えている。過去1年半で175ベーシスポイントの緩和を実施し、現在は緩やかな景気抑制的水準にあり、おそらく中立にかなり近い水準にすでに達している」 --------
2/17 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「サービス分野のインフレ率が依然として高止まりしている」、「関税に伴う価格上昇が一時的なものであれば、政策当局に行動の余地が生まれる可能性がある」、「これが一時的なものであり、インフレ率が2%へ戻る道筋にあることが確認できれば、2026年に追加利下げが複数回実施される可能性があると考えている。ただ、それを見極める必要がある」 --------
2/11 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 --------
2/10 ローガン・ダラス連銀総裁 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 --------
2/10 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 --------
2/5 ECB声明 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 --------
2/5 ラガルド・ECB総裁 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 --------
2/3 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 --------
2/3 ミラン・FRB理事 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 --------
2/2 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 --------
※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和