今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「WTI原油価格乱高下」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は原油価格の動きに伴い158円12銭まで上昇。一時は157円台半ばまで売られたが、方向の定まらない動きが続く。
  • ユーロドルではドルが売られ、ユーロは1.1667まで反発。
  • 株式市場は原油価格の動きに翻弄され乱高下したが、結局ナスダックはほぼ変わらず。他の指数は小幅安で引ける。
  • 債券は大幅に反落。アマゾンの大型起債が嫌気され、長期金利は4.15%台に上昇。
  • 金は大幅に上昇。原油はホルムズ海峡を巡る報道で乱高下。91ドル台まで買われたが、その後76ドル台まで下げる荒っぽい動きに。
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2月中古住宅販売件数 → 4.09百万件
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ドル/円 157.40 〜 158.12
ユーロ/ドル 1.1606 〜 1.1667
ユーロ/円 183.43 〜 183.72
NYダウ −34.29 → 47,706.51ドル
GOLD +138.40 → 5,242.10ドル
WTI −11.32 → 83.45ドル
米10年国債 +0.060 → 4.156%

本日の注目イベント

  • 独 独2月消費者物価指数(改定値)
  • 米 2月消費者物価指数
  • 米 2月財政収支

本日のコメント

「トランプが大統領に返り咲いたら、取り返しのつかない事態になる。政治的信条がないからだ。彼は物事を損得勘定で考える。金銭的・政治的な意味で全てが個人的な『取引』なのだ。合衆国憲法など尊重する気などみじんもない」

これは2018−19年に第一次トランプ政権で大統領補佐官を務め、側近中の側近だったジョン・ボルトン氏の言葉です。著書「トランプ大統領との453日」を読み返すと、この中で書きしるされたトランプ氏に関する分析は、ことごとく正鵠を射ていることに驚きます。ボルトン氏はさらに「2期目は、再選という政治的制約がなくなる。もはや有権者の顔色をうかがう必要がないことから、トランプが一期目と同じ道を辿ると思うな」と警告も発しています。そして最後に、「彼は法の支配を理解していない。自分の身に起こることを、全て不公正で政治的だとし、違法な『迫害』だと主張するだろう」と述べています。453日間間近で観察してきただけに、驚くほど的確です。

NYでは為替も株式も原油価格に翻弄された1日でした。米海軍がホルムズ海峡を航行する石油タンカーを護衛したとするライト・エネルギー長官のSNSへの投稿はその後削除され、変動の激しい原油市場の混乱を一段と広げる事態となった模様です。事情に詳しい関係者が、実際にはそのような護衛はなかったと明らかにし、イラン準国営ファルス通信も、米国は同海峡でタンカーを護衛していないと伝えました。ホワイトハウスのレビット報道官も会見で、「米国はホルムズ海峡で原油タンカーを護衛していないと確認した」と述べました。サウジアラビアとイラク、UAE、クウェートは合計で最大日量670万バレルの減産を実施し、サウジはホルムズ海峡を迂回する輸出ルートの増強を急いでいると報じられています。これらの一連の動きで、91ドル台だったWTI原油価格は一時76ドル台まで急落しました。また、CNNはイランがここ数日、ホルムズ海峡に数十個の機雷を設置したと報道。CBSも情報当局の評価として、イランが機雷配備に向けた措置を講じていると伝えています。これに対してトランプ大統領は、「イランがホルムズ海峡に機雷を設置したとの報告はないが、もし設置しているのであれば、直ちに撤去することを求める」とSNSに投稿。「何らかの理由で機雷が敷設され、速やかに撤去されない場合、イランに対する軍事的な対応は前例のないレベルになる」と威嚇しました。ヘグセス国防長官も同日行った会見で、イラン海軍に対する作戦の一環として、米国が機雷敷設艦を標的にしていると説明。米中央軍は「機雷敷設艦および機雷保管施設の特定および攻撃を本日も継続している」と述べています。

また、トランプ大統領は「戦争は、ほぼ終わる」と発言していましたが、これも混乱している金融・商品市場を落ち着かせる意図で放った言葉で、すぐに終結する見込みはないと思われます。イランを巡る中東地域の戦争は、10日も空爆が続いています。ヘグセス国防長官は、イランに対する最も激しい攻撃を行っていると発表し、同国が敗北するまで攻撃を止めない方針を強調しています。ヘグセス氏は10日の記者会見で、「敵が完全かつ決定的に敗北するまで、私たちは容赦しない。私たちのスケジュールと選択に基づいて行動する」と強調しました。「ごく短期に」終結するとの見通しを示していたトランプ氏に対し、より攻撃的な姿勢を見せた格好です。ブルームバーグは、「戦闘は11日目に入った。米国とイスラエルは、イランへの爆撃を10日朝まで夜通し行い、これに対しイランも、中東全域の目標に対してドローンやミサイルを発射した」と伝えています。FOXニュースは、トランプ氏がイラン側と話し合う意思があるかと問われ、「可能だが確約はできない」と述べたと報じ、イラン当局者はこの考えに反発しており、カリバフ議会議長は、「イランは絶対に停戦を求めていない」と述べた模様です。さらに、アラグチ・イラン外相も9日、PBSのニュース番組で、米国との協議は「われわれの議題にはない」と語っていました。ホワイトハウスのレビット報道官は記者会見で、イランとの戦争で米兵150人が負傷したとの報道について、「大きく外れていない」と述べています。

原油価格の乱高下を受け、米金利が上昇したことでドル円は再び158円台に乗せ、金は大幅高となっています。もっとも、米金利が上昇したのは、アマゾンがAIブームに伴う資金需要に対応するため、総額で約370億ドル−420億ドル(約5兆8400億円−6兆6300億円)という大型起債を計画していることが嫌気された側面もありました。原油高と円安が重なり、このままでは輸入物価の上昇は避けられないところです。今後の物価上昇を抑えるには、日銀の利上げが必須かと思われますが、足元の株価の急落を考えると、筆者はそう簡単には利上はできないのではないかと考えています。今朝の日経新聞はそれでも、「4月利上げの可能性は排除できない」との論陣を張っていました。金利先物市場が示唆する利上げの確率は、今朝の時点で3月が「5.4%」ですが、4月は「60.5%」となっています。記事は、この辺りの市場の見方を中心に論じていました。一応頭の片隅にインプットしておく必要があるかもしれません。

本日のドル円は157円〜158円80銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 --------
3/3 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 --------
3/3 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 --------
3/2 氷見野・日銀副総裁 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 --------
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「予測されているようなインフレの進展が確認できている限り、年内に金利をあと数回引き下げることが可能との自信をある程度持っている。インフレがわれわれの望む水準に戻りつつあるという証拠が実際に得られる前に、利下げをあまり前倒しで進めたくない」 --------
2/26 高田・日銀審議委員 「既に賃金と物価が上がらないというノルムは解けており、物価安定の目標実現がおおむね達成した局面」、「日本経済は真の夜明けが視野に入った」とし、「金融政策は幅広いデータや情報から緩和度合いを丁寧に確認しながら、「段階的にギアシフトを行っていく途上にある」、(先行きは海外を中心に物価上昇要因が生じた場合)、「日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」 ドル円156円台前半から155円70銭まで下落。
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (連邦最高裁がトランプ大統領による広範な関税措置の多くを無効とした判断について)、「企業にさらなる不確実性をもたらす恐れがある一方で、インフレ抑制につながる可能性もあると」 --------
2/24 コリンズ・ボストン連銀総裁 「労働市場は、少なくともある種の異例な安定性の兆しをさらに示している」、「インフレ率が2%に向けて低下していることを示すさらなる証拠が必要だ」、「現行レンジをしばらく維持することが適切となる可能性はかなり高いと考えている。過去1年半で175ベーシスポイントの緩和を実施し、現在は緩やかな景気抑制的水準にあり、おそらく中立にかなり近い水準にすでに達している」 --------
2/17 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「サービス分野のインフレ率が依然として高止まりしている」、「関税に伴う価格上昇が一時的なものであれば、政策当局に行動の余地が生まれる可能性がある」、「これが一時的なものであり、インフレ率が2%へ戻る道筋にあることが確認できれば、2026年に追加利下げが複数回実施される可能性があると考えている。ただ、それを見極める必要がある」 --------
2/11 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 --------
2/10 ローガン・ダラス連銀総裁 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 --------
2/10 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 --------
2/5 ECB声明 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 --------
2/5 ラガルド・ECB総裁 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 --------
2/3 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 --------
2/3 ミラン・FRB理事 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 --------
2/2 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和